問題児たちが異世界から来るそうですよ?~元人間曰く箱庭は面白いそうですよ?~   作:croto

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お風呂であんなコトやこんなコトだそうですよ?

「では、行きますよ!」

 

そう言ってクロウサギが貯水池の中央に水樹の苗を置くと、水が溢れ出し一気に水が貯まっていく。

 

「すごい」

 

「これが水樹の力」

 

「これなら生活以外にも水を使える。

ギフトゲームに参加しなくても着実にコミュニティを大きくしていける」

 

その様子に耀と飛鳥は感心し、ジンは喜ぶ。

 

また、子供たちも大いに歓声を上げていた。

 

 

 

「はぁぁ。本当に長い一日でした。

新しい同士を呼ぶのがこんなに大変だったとは、想像もしておりませんでした」

 

時刻も夜という時間になり、水樹のお陰で大浴場を使えることもあり十六夜以外の女性四人は風呂を満喫していた。

 

「それって私たちへの当て付け?」

 

「め、滅相もございません!

とんでもございません。」

 

気が緩んだのかクロウサギは問題児たちの勧誘の苦労を口にしてしまい、慌てて謝る。

 

「本当、このお湯森林の匂いがする」

 

ニャーニャーと鳴く猫への返事なのか誰かに肯定しながらも耀は寛ぐ。

 

「水樹の水をそのまま使ってますから。気に入っていただけてなによりです」

 

「でも、こうやってお風呂が使えるようになったのもあの子たちのお蔭よね」

 

長い間水不足だったため使っていなかった湯殿を綺麗に掃除したのは戦えないでいた120人剰りの子供達だった為、それに対して飛鳥は感謝する。

 

クロウサギの説明によるとギフトゲームで戦えない子供達はギフトプレイヤーを支えるのがここでの掟だという。

 

因みに会話に参加していない翡翠は、浴槽の隅で沈むように入っていて傍目に見れば溺れているように見えるが、そこはしっかりと説明で体内に水を溜め込む為と言っている。

 

さらに言えば、翡翠のギフトのガウリエルの能力で水を浄化出来るようで一々お湯を抜く必要がないとのことだった。

 

「楽しければそれでいいと思ってたけど、コミュニティのことを考えると無茶出来ないわね。

春日部さんはどう思う?」

 

「え、あ。私はとにかく勝てばいいと思う。

勝てば私達も楽しい、コミュニティも嬉しい、一石二鳥」

 

「耀さんの言うとおりだと思います。

ゲームを楽しむのは一流プレイヤーの条件ですよ」

 

「うん」

 

「そう言って貰えると助かるわ」

 

二人はこの箱庭に来てからコミュニティに入り、問題を解決したからか自身のこと以外にもコミュニティのことも考えるようになっていた。

 

「所で所で、こうして裸のお付き合いをしているのですから、先ずはお二人様のことを聞いてもいいですか?

ずっとずっと待ち望んでいた、所謂ガールズトークでございますよ?」

 

「ガールズトーク?」

 

「イエス!」

 

「例えば、ご趣味や故郷のこと等々」

 

「それなら、私も参加させて貰える?」

 

この先のことよりも先ずは仲間のことを知りたいとクロウサギがガールズトークを提案すると翡翠が戻って来た。

 

「あら、水面さん。もういいのかしら?」

 

「大丈夫なの?」

 

翡翠が戻って来たことに気付くと二人は声の感じから大丈夫だと分かっていながらも心配してきたが問題無いと翡翠は返す。

 

「そうです!翡翠さん。人工精霊やガウリエルについて聞きたいことが山ほどあるんですよ!」

 

クロウサギのその言葉に翡翠は自身の過去の一部を思い出す。

 

 

世界技術が魔法のそれと変わらない程に進化した世界では一度世界が滅び、世界規模で荒野や砂漠化が進行していた。

 

人類はその世界崩壊を食い止めるために悪魔に魂を売った。

 

魔法に似た力を一人の少女に植え込み、世界復興をしようとした。

 

そんな過去を思い出すもすぐに振り払い考えたことを消す。

 

「私達のことよりクロウサギのこと聞かせて?

髪の色が桜色になるなんてちょっと格好いい」

 

暗い過去を持つのは翡翠だけでなく耀、飛鳥も同じだったようで、自分達のことよりもクロウサギのことが知りたいと耀が話すと格好いいと言われたクロウサギは照れながらも謙遜する。

 

耀が話題を差し替えてくれたお陰で各々安堵する。

 

因みに風呂に入っていたから気付いていなかったが、この時十六夜とジンは外で一騒動起こしていたりする。

 

 

 

 

「これは!?」

 

「ジャングル?」

 

翌日、ギフトゲームが行われる場所に行くと本来の舞台区画ではない居住区画の筈がジャングルのような状態に変わっていた。

 

「ニ"ャー!」

 

耀の三毛猫の声に振り向くと三毛猫は木の根に巻き付かれるように捕まっていた。

 

「鬼、鬼種化の恩恵。

まさか、彼女が」

 

「ジンくん。ここにギアスロールが」

 

ジンが木に触れると与えられた恩恵が分かり、与えた側の正体に予想を付けながらもまさかと考える。

 

クロウサギに呼ばれギアスロールを確認すると、書かれていたことに驚愕する。

 

「ガルド自身がクリア条件?

指定の武具で討伐!?」

 

「こ、これは不味いです!

このゲームに勝つにはギフトではなく、指定の武器でガルドを倒さなくてはなりません」

 

つまりは耀の身体能力や飛鳥の命令での勝利は不可能とされた。

 

「へぇ?ということはお嬢様と春日部のギフトが効かねぇってことか。

出来レースが一転、五分と五分か。

ルール内容を先に決めておくべきだったな?おチビ様?」

 

「ついでに言っておくと、鬼ということを鑑みると高くて五分。

最悪勝ち目なしだけどね?」

 

「それはどういうことかしら?水面さん」

 

「じゃあ聞くけど、仮に指定の武器が貴女達では持てない程の重さがあったり、単純に武器がガルドの後ろにあってそれをガルドが守っていたら?

そうじゃなくても鬼ということはそれなりには強いしガルドの力に鬼の力が付与されていたら?

正直、私からしたら無傷じゃいられないよ?」

 

このゲームが五分だと言った十六夜に対して翡翠は五分以下であると考える。

 

ゲームに参加する三人も十六夜も疑問に思ったが話を聞くと納得のいく回答だった。

 

しかしここで退くわけにもいかないため、指定武器ということは何らかの形で指示されていると、あの外道にはちょうどいいハンデだと言い、耀も頑張るからと言いゲームに向かう。

 

少し違うことというと当初よりは警戒度が少し上がったくらいだった。

 

「さぁ、行きましょう」

 

 

ギフトゲームが始まり、耀は察知しやすいように目をつむりながら辺りの匂いで気配を探り、歩みを進める。

 

「あら、犬にもお友達が?」

 

「うん、二十匹位」

 

「ヒントらしいヒントは見当たりません。

武器らしい武器も見つかりません」

 

ジャングルに入ってしばらく経つが武器もヒントも見つからずにいた。

 

ふと過ったのは先程水面が言っていたようにガルドが守っているのではと考えるがそれはないだろうと振り払う。

 

「こうなったら方針を変えてましょう?

先ずは春日部さんの力でガルドを探して」

 

「もう見つけてる」

 

「「え?」」

 

方針を変えようとした提案だったが既に耀はガルドを見付けていた。

 

それはジャングルを抜けた先にある屋敷のような建物の中だった。

 

建物の中には普通に入れるようで扉を開け、中に入る。

 

「このジャングルは奇襲のため、でもなかったわね。

一体何が目的なのかしら?」

 

「本人に聞くしかないかも」

 

居住区画をジャングルに変えた意味が分からなく、建物の中を探ると一番奥に扉があり、三人で顔を見合わせて扉を開ける。

 

扉の先にいたのは昨日とはうって変わった様子のガルドだった。

 

いや、それが本当に昨日と同じガルドなのか疑うほどに変わった白い虎だった。

 

 

 

「今のは!」

 

「虎になった春日部だな」

 

「なるほど。

って違いますから!」

 

「じゃあ飛鳥?」

 

「そっちか」

 

「それも違いますから!」

 

虎の叫び声をジャングルの手前から聞いたクロウサギ、十六夜、翡翠はやっている場合ではないがコントを繰り広げる。

 

「俺たち見に行ったら不味いのか?

ジャッジマスターとそのお付きたちってことで」

 

「ウサギの素敵耳は、ここからでも大まかな状況は分かってしまいます。

ですから、最初の取り決めにない限り見学は許されません」

 

「クロウサギ、マジ使えねぇ」

 

「役立たず?」

 

「聞こえないように言ってください!

本気でへこみますから!」

 

好奇心から観に行きたかったが無理だと言われクロウサギのことを散々に言う。

 

 

 

しばらく経つとジャングルだった居住区画は元に戻り夕日が差す。

 

クロウサギがジンと耀のいる位置を把握していてすぐに向かうと体の至るところから流血し横たわっている耀とその耀を支えているジンがいた。

 

「こっちだクロウサギ。急いで」

 

「ニャーニャー」

 

「大至急コミュニティの工房に運びます。

あそこなら、治療用ギフトが揃ってますから」

 

「待った。それなら応急処置だけでもさせて」

 

「っ!翡翠さん?」

 

「大丈夫だから」

 

耀の身体を見てすぐにコミュニティに戻ろうとするところを翡翠は止め、膝を着いて耀の体の中心に手を当てると青白く光り、外傷が全て消えた。

 

「こ、これは一体!?」

 

「と、取り敢えず、は、外傷は無くした、けど、受けた傷、は、治った訳じゃない、から」

 

「ひ、翡翠さん!?」

 

「ど、どうして!?」

 

傷だらけだった耀の体から傷が消えたかと思うと今度は代わりに翡翠が苦しげに喋るのを見てクロウサギとジンは分かりやすく動揺する。

 

「クロウサギ、水面には俺とおチビ様がついてるから早く春日部を連れていけ」

 

「わ、分かりました」

 

そう言ってクロウサギは耀を抱えるとその力で一目散にコミュニティへと向かい、すぐに見えなくなった。

 

「で、お前はなんでそうなったんだ?

まぁ、大体予想は付くがな」

 

「耀の、傷を、肩代わり、した。

私はまぁ、死なないから、でも、耀、は、死ぬかも、しれな、かったから、だから、治した」

 

「はっ!そぉかよ」

 

「ち、ちょっと十六夜さん!そんな言い方は!」

 

「それでいい。十六夜の、態度は、それで、あってる」

 

これはただの自己犠牲だ。

 

だから十六夜の反応は間違っていないし、それは翡翠が一番わかっている。

 

それでも何年、何十年とやって来た行いは何百年という時間が空いても尚、無意識の内にやっていた。

 

十六夜とジンが話しているのを横目に翡翠は誰にも気付かれないように気配を消し、その場からゆっくりと離れコミュニティに戻る。

 

 

 

その後、ジンがフォレス・ガロに奪われた誇りをコミュニティ返還し、そのコミュニティに打倒魔王を宣言した。

 

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