TRPGによくある導入からの人理修復   作:ヨーグルト=ソース

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とりあえず続き置いときますね。
今回もまたダイスは何回か振っています。


人懐っこい良い子

「こんにちは。サーヴァントフォーリナー、アビゲイル・ウィリアムズ、貴方の呼び声に答えて参上したわ!私のことは、アビーって呼んでくださいな」

 

「あ、ああ、こんにちは、アビー。ボク……私は内荒 藤太です」

 

 もしこの場にほかに人がいたならば、なんとか普通の反応を返すことが出来た私のことをどうか褒めて欲しい。

 

 あのバケモノを見たあとだからこそ、サーヴァントとは英雄、英傑と呼ばれるような筋骨隆々な者か、あの化け物のように凶悪なものが出てくると想像していたのだが、結果はこれだ。

 

 あの混沌のような作り物めいたありえざる美貌などではないが、とても愛らしい容姿をした少女が出てきたのだ。

 

 それこそ、馬鹿な!と叫びたい気持ちも分かるだろうか?……それにしても、こちらを見て少しだけ驚いたのは何故だろうか……?

 

 まあ、いまはとにかく藤丸くん、達を助けに行かねばいけない。

 

「アビー、キミに早速頼みたいことがあるんだ、だが、これはかなり危険で野蛮なことだ、断りたかったら断ってくれ」

 

 そう前置きをしてから軽く今の状況を話す。

 現状彼女が最後の頼みと言っても過言ではない……が、それはそれだ、彼女がもしも嫌がるのならば、1人で助けに行くつもりだ。

 

 そしてその質問に彼女は笑顔でこう答えてくれた。

 

「確かに戦いはあまり好きではないけれどマスターの最初の頼み事だもの、頑張るわ!」

 

 彼女はそう答えるとどこからか大きな鍵を顕現させる、すると彼女の服装が露出の多いものとなり、魔女のような大きな帽子が頭の上にふわりと乗っかる。そして額に鍵穴のようなものが現れ軽く微笑んだ顔でこちらを見る。

 

「それに、マスターは私のこのチカラを使っても平気そうだから、全力で戦えるわ」

 

 その鍵を空間そのものに突き刺すようにして捻ると、鍵穴のような形の穴が生まれ

 

「さあ、行きましょう?マスター」

 

 その中に私は引き込まれていった。

 

 突然の事に目を見開く。

 見上げてみれば空は真っ白で、何かがあるようには思えない、それとも見えないだけでナニカは存在しているのだろうか?逆に足元を見てみればそこは宇宙のようだ、様々な星々の輝きが見て取れる。

 

 ならばここはなんなのか?足元には宇宙、しかし自分のたっている場所を境に綺麗に途切れている。

 まるで宇宙の端に立っているような……宇宙の外側?

 

 

 外なる神を認識してしまった時のような…………

 

 

 おぉ、いあ……いあ……

 

 

「マスター!」

 

「っ!」

 

 危ない、頭がどうにかなる所だった。

 危険だがもう一度よく周りを見てみてもやはり奇妙な感覚に囚われるが、先程よりはずっとマシだ。

 

「すまないアビー、もう大丈夫だ」

 

「良かった……」

 

 彼女は心底安心したような表情をし、今度は弾けんばかりの笑顔を向けてくる。

 その様子にどうしたのかと聞けば。

 

「この場所は普通の人じゃ耐えられないみたいなのだけれど、マスターが平気だったから嬉しいの……この場所で、独りぼっちはもう嫌なの……」

 

 そうか………………はて?その言い方だと私は実はかなり危ない橋を渡ったのではないか……?

 

 そんな私の気持ちを読み取ったのか、アビーは慌てながらも説明をしてくる。

 

「じ、実は召喚の時にマスターに耐性があるっていうのはこの繋がりからなんとなく、感覚でわかってはいたの……だからとっても嬉しくて、この景色を一緒に見ることが出来る人がいた事が。

 ……ごめんなさい、私悪い子ね……この感覚が間違っていたらマスターは大変なことになっていたかもしれないもの」

 

「いや、そういうことならいいんだ。それよりも今は、藤丸くん達を助けに行こう!」

 

「えぇ!分かったわ!」

 

 アビーがそう答えると同時に私たちはひとつの鍵穴に吸い込まれる。

 

 

 ────────────

 

 

 もう一度鍵穴をくぐり抜けると、そこはあの時吹き飛ばされた場所のようだ、周りには瓦礫が散乱している。

 

「藤丸くん達は……」

 

「マスター!あれ!」

 

 アビーが指を指した方向を見ると、轟音とともに巨大な土埃が舞った。

 

 彼らはまだ無事のようだ、この距離ならば先程の鍵穴を使わずともすぐに着くだろう。

 

 戦闘の現場に着くと、そこではマシュちゃんと青いフードをかぶり、杖を持った男性があのバケモノと戦っていた。

 マシュちゃんと男性が連携をとって戦っているのを見るに、彼は味方ということで良いのだろう。

 

 その事をアビーに伝え、牽制攻撃を打った後、こちらに来たタイミングで、あのデカブツのみを先程の鍵穴のようなものを使ってどこか遠くへと飛ばすように指示する。

 

「今だ、アビー!」

 

「えい!」

 

 マシュちゃんと男性のふたりが離れた瞬間、掛け声とともに空中に現れた触手から放たれたレーザーがデカブツの体にいくつかの穴を開ける。

 

「■■■■■■■ーーー!!」

 

 不意打ちを食らって怒り狂ったのか、やつは一直線にコチラへと向かってくる。まだだ、やつの反応速度は尋常ではなかった。ギリギリまでひきつけ、ひきつけ……

 

 

 そして

 

「開け、門よ」

 

 目の前に現れた巨大な鍵穴へとその身が入った瞬間、鍵穴と共にその巨体は一瞬にして消えた。

 

「はぁぁぁぁぁぁあ……何とかなった……」

 

 気が抜けたのだろうか、体が少し重く感じるのと同時に崩れ落ちてしまった。

 短時間でよくもこんなに密度の濃い時間を過ごせたな……視界の端で時計を見てみれば、この冬木に来てからまだ2時間も経っていない。

 

 アビーにお礼を言ってから惚けている藤丸くんやマシュちゃん達の元へと向かう。

 

「無事でよかったよ、藤丸くん、マシュちゃん、所長さんも」

 

 こちらの声でどこかへとやっていた意識が覚醒したのか、慌てつつも大丈夫だったか、怪我はしていないか、無事でよかったと、矢継ぎ早に話しかけてくる。

 

 すると後ろから先程のフードの男性が話しかけてくる。

 

「よォ兄ちゃん、さっきは助かったぜ。正直、そこの嬢ちゃんと俺だけじゃ奴さんの相手はキツかったからな」

 

「いや、こっちこそ藤丸くん達に協力してくださって感謝の念しかありません……」

 

「ははは!そりゃあこっちにも都合があっての事だから気にすんな!」

 

 そんなふうに彼、クー・フーリンさんと自己紹介も済ませ、アビーを紹介することに。

 

「内荒さん、そちらのシルクハットをかぶった女の子は……?」

 

 シルクハット……?どう見ても魔女帽子だと思うが、まあ、今は紹介が先か。

 

「紹介がまだでしたね、この子はアビゲイル、さっきの化け物を遠くに転移させてくれたのは彼女だ」

 

「はじめまして!どうかアビーって呼んでくださいな」

 

「はい、はじめまして」

 

「はじめまして、宜しくねアビー」

 

「って貴方!どうやってサーヴァントなんて召喚出来たのよ!?」

 

「それは『所長!無事ですか!?知らぬ間にすぐ近くにサーヴァント反応がふたつ増えているんですけど!?』ぁー」

 

 どうやら通信が直ったようで、ロマンさんが大慌てで通信を飛ばしてきた。

 

「ええ無事よ、さっきまで死にそうな思いをしていたけどもね!……それと、このサーヴァント達は協力者のクー・フーリンと彼が召喚したアビゲイル・ウィリアムズよ」

 

『よ、良かった……って、クー・フーリン!?ケルトの大英雄じゃないか!なんたってそんな大物が?あとは……アビゲイル・ウィリアムズ?そんなはず、彼女が英霊……?それに召喚を?』

 

「ロマンさん、ひとまずクー・フーリンさんに詳しい話を聞きませんか?」

 

『おっと、そうだったね……見たところ霊地の近くまで来ているようだから道中に詳しい話を聞こう』

 

「なんで貴方が仕切っているのよ!!!!」

 

 前途多難そうだ……

 

 

 ────────────

 

 

 所変わって武家屋敷。

 

 

 アビーは先程までとは違い、また最初に出会った時と同じ格好に戻っていた。先程藤丸くんが見えていたのはこの格好のアビーだったのだろうか?

 

 あのあと、クー・フーリンさんやマシュちゃんなどにも、アビーが手をかざしたあとに光ったかと思うと化け物、シャドウサーヴァントがいなくなったことに驚いたと言っていた。

 

 私には鍵穴が見えていたし、特に眩しかった記憶もない、もしや見えているものが少し違うのか?

 

 まあ、そのことは置いておこう。

 

 道中にこの場所、特異点に関する話や今回の異変、人理焼却についての話を聞いた。

 どうやら今、何者かの手によって人類存亡の危機に陥っているらしい。

 

 そして、彼らはこの事態を解決するための組織、人理継続保証機関フィニス・カルデアという国連の組織の者達であるらしい。

 秘匿されてきたが、世界には魔術と呼ばれる学問があるそうで、今回の事件もその魔術によるもののようだ。

 

 そして、人理焼却の原因の一つである、特異点、その一つであるここでは、聖杯戦争と呼ばれる、魔術師同士の争いがあったようでその聖杯が特異点発生の原因になっているため、聖杯を回収するというのが今回の目的のようだ。

 

 ふむ……つまりメモ帳にあった己に類するものというのは人類のことか?

 と、いうことは彼らに協力するのが1番か。

 

「それで、貴方はどうやって召喚を行ったのかしら?」

 

 おっと、そうだった、少しぼーっとしてしまって説明しようと思っていたのを忘れていたな。

 

「実はここに来る直前にこのようなメモを手に入れたんですが、魔法陣の部分だけ破れていて、使えなかったのです。が、吹き飛ばされてからそこの蔵の中に同じ魔方陣を見つけたので、召喚を行いました」

 

「はぁ?このメモ……何この詠唱、ところどころ違うじゃない」

 

「はぁ、そうなんですか……」

 

「まあまあ細けぇこたぁ気にすんなよ嬢ちゃん、それより今は聖杯を手に入れなくちゃあ始まらねえぜ?」

 

「うぐっ、それもそうね……で?聖杯の場所とかは知っているのかしら?」

 

 彼女はクー・フーリンさんにそう質問するが、ここで私は異変に気付く、周りのものがぼやけて見え、体に力がうまく入らなくなってきた。

 

「おう、そりゃあ……って……にきまっ……」

 

「…………?…………ターだ……?」

 

「っ!だい……」

 

 この感覚は覚えがある、どんなものだったか……過去の呪文を使ったあとの症状に似ている。

 つまり精神力やらを1度に多く消費してしまったのだろうか…………?

 

 昔一緒に探索をした仲間の中で似たような症状になった者もいたな。彼は確か……回復するまで気を失って……。

 

「すみま、せん……暫く、起きれない、かと……」

 

 最後になんとか言い残し私の意識は暗闇に呑まれて行った。

 




この後マシュや藤丸くんなどの視点を書こうか迷っています、ほとんど内荒の視点でほんの少しだけほかのキャラ視点という形にするか、内荒視点&他キャラ視点にしようか……。



アビーのボイスで「この境界からの眺めを〜〜」みたいな感じのセリフあった気がしたのでそれっぽい描写入れています。

宝具の時のあの白い空間、あれは宇宙の外側なのかなと私は思っているのですがどうなのでしょうね?この二次創作では門を使った転移はあの空間を経由して行っているという設定です。

宇宙の外側、そんなところに立っているという不可思議な状況や、そこから感じさせる上位者や外なるモノ、SANチェックが起こりますね。

アビーの見え方の違いですが、あれです。Bloodborneでは啓蒙が無いと人形ちゃんは動いて見えませんよね?つまりはそういう感じです。

主人公が最後のところで気を失ったのは魔力使いすぎです。
今はまだカルデアからの補助を受けていないですからね、サーヴァントのスキルやら能力やらを扱うにはなかなかきついところがあると思うので。
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