Love Sprouts! -ラブスプラウツ!-   作:アカツキ☆

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第2話 KISS

月曜日。学校へ向かう坂田ツバメの足取りは重かった。

 

ツバメ「この間は大変だったぜ…まさかトウカと手を繋いでる所を風上に見られちまうなんて」

 

ツバメ「なんとか誤解を解かねーと…」

 

ツバメ「……ん?アソコで信号待ちしてんのはトウカか?おーい」

 

トウカ「ふぇっ⁉︎……なんだツバメかぁ」

 

ツバメ「何だとはなんだよ、悪うござんしたね朝から俺なんかの顔見せちまって」

 

トウカ「そ、そーよ!朝からそんな陰気くさい顔見せないでよね!」

 

トウカ( はぁ…またやっちゃった、どうしてこうキツい事しか言えないんだろわたし )

 

トウカ( 何よりこないだのリングの件もあるし、恥ずかしくてまともに顔見れない…/// )

 

ツバメ「あーそうだ。こないだの事、風上にはオレから誤解だって言っとくから」

 

ツバメ「完全にオレ達が付き合ってると思ってるからな風上」

 

トウカ「あ、うん…」

 

トウカ「まぁ、サイアク誤解されたままでもいいかも…なんて」ボソッ

 

ツバメ「なんか言ったか?聞こえねーよ」

 

トウカ「何でもないっ!///」プイッ

 

ツバメ「……?」

 

 

 

 

( 教室 )

 

教室に入ると、風上は既に席についていた。

 

たんぽぽ「あ…」

 

ツバメ「よ、よう風上…おはよう」

 

たんぽぽ「う、うん…おはよう///」

 

露骨に顔が赤くなる風上。

 

もしかして今朝もオレとトウカが手繋いで来たと思ってんのかな…。

 

ツバメ「あのさ風上、こないだの事で話があるんだ。ちょっと空き教室に来てくれないかな?」

 

たんぽぽ「?いいけど……」

 

 

 

………………………………………

 

(空き教室)

 

たんぽぽ「そっか…それで坂田くんと咲林さんが手を繋いでたんだね」

 

ツバメ「あぁそうだ、だからオレとトウカの間には何もない!ないんだ!分かってくれたか」

 

たんぽぽ「でも凄いね!坂田くんのお爺さんの孔雀博士、発明家なんだ」

 

ツバメ「いや全然凄くないよ、今回みたいに人を困らせるような発明ばっかだしな」

 

たんぽぽ「そうなの?」

 

ツバメ「そうさ!例えば……」

 

……いや待てよ。

 

爺ちゃんのヤバい発明の数々を風上に教えたりして大丈夫なんだろうか?

 

もしかしたらドン引かれたりして…。

 

『坂田くんのお爺さん、いつもそんなおかしな発明ばかりしてるの?』

 

『それに付き合ってる坂田くんも、ホントはおかしな人なんじゃ…』

 

ぬおぁぁぁダメだダメだ!!もし風上にそんな事言われたら立ち直れる自信がない!!

 

ここは嘘でも爺ちゃんの株を上げておかねぇと、オレの好感度にも支障が出る!

 

たんぽぽ「……坂田くん?」

 

ツバメ「あっ!わりぃわりぃ」

 

ツバメ「いや実はすげーんだよウチの爺ちゃん!バリアフリーとか、福祉に役立つ発明とか?得意でさ!」

 

たんぽぽ「へぇ…優しい人なんだね♪坂田くんのお爺さん」

 

ツバメ「そそそうなんだよ!あはは、ははは……」

 

たんぽぽ「そっか、バリアフリーかぁ….」

 

ツバメ「どうした?」

 

たんぽぽ「えっとね坂田くん、その………」

 

たんぽぽ「今度、坂田くんのお爺さんに会いに行ってみたいんだけど……いいかな?」

 

ツバメ「え………」

 

ツバメ( えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??)

 

 

 

……………………………………………

 

(ツバメの家)

 

ツバメ「結局、風上を爺ちゃんに会わせる約束をしてしまった…」

 

ツバメ「だってあんな事言われちゃ断れないだろ!あんな……」

 

〜〜〜〜ツバメの回想〜〜〜〜

 

ツバメ『爺ちゃんに会いたいって……何で⁉︎』

 

たんぽぽ『私ね、将来介護士さんになりたいんだ』

 

たんぽぽ『福祉に役立つ発明品があるのなら、それを通して介護で重要なヒントが学べるんじゃないかなぁって…』

 

たんぽぽ『ダメ…かな』

 

ツバメ『いや、ダm…ダメってことは……ねぇけど』

 

たんぽぽ『ホント?』

 

か、風上の笑顔が眩しい…!

 

この笑顔を曇らせるわけにはいかねぇ!

 

ツバメ『あぁ良いぜ!!爺ちゃんに会ってくれるか訊いてみるわ、うん!!(ヤケクソ)』

 

たんぽぽ『ありがとう坂田くん!』

 

〜〜〜〜回想終わり〜〜〜〜

 

ツバメ「あんなマジメな理由で頼まれちゃ、風上じゃなくても断りにくいぜ…」

 

ツバメ「俺の嘘が招いたことだし何とかするしかねぇか、風上をガッカリさせたくないしな」

 

 

 

 

数日後。

 

オレは放課後、風上を爺ちゃんのラボに連れてきていた。

 

たんぽぽ「坂田くん、今日はありがとう!」

 

ツバメ「あぁ、ゆっくりしてってくれよ」

 

ツバメ( てかこれ、冷静に考えたら風上を家に呼んでるみたいなモンだよな…/// )

 

ツバメ( マズい、急に緊張が… )ドキドキ

 

たんぽぽ「顔赤いよ?どうしたの」

 

ツバメ「な、なんでもない///」

 

ツバメ「それより風上!この人がオレの爺ちゃんの孔雀博士だ」

 

たんぽぽ「初めまして、風上たんぽぽです」

 

孔雀「どーもどーも坂田孔雀です!しっかしツバメも隅に置けんのう♪」

 

ツバメ「え?」

 

孔雀「トウカちゃんに続いてまたも美少女を連れてくるとは!さすが我が孫ワシに似てプレイb…むぐっ!」

 

ツバメ「余計なこと言うな!風上の前では『デキる博士』を演じてくれって頼んだろ!」ヒソヒソ

 

孔雀「え〜じぃじ堅苦しいのニガテ〜〜」

 

ツバメ「お願いだからちゃんとしてくれ!お礼に次の研究の実験台に協力してやる約束だろ?」ヒソヒソ

 

孔雀「しょーがないのぅ…」

 

孔雀「オホン!風上くんはたしか、福祉に役立つ発明品を見たいのじゃな?」

 

たんぽぽ「あ…はい!」

 

孔雀「そんなキミにピッタリの発明品がここにある!その名も『ブラックシミュレーター』じゃ」

 

たんぽぽ「ブラックシミュレーター…ですか」

 

ツバメ「サングラスみたいだな」

 

孔雀「うむ!これをかければ目の見えない人の不便さを体感できるんじゃ」

 

たんぽぽ「確かに…障害がある人の立場に立って、少しでも気持ちを理解することは重要ですね」

 

孔雀「さっそく使ってみるかな?」

 

たんぽぽ「いいんですか?」

 

孔雀「もちろんだとも!ツバメ、コレを風上さんにかけてやりなさい」

 

ツバメ「オレが?」

 

孔雀「そうじゃ、さぁ早く!」

 

ツバメ「まぁいいけど…」カシャン

 

たんぽぽ「わ、本当に真っ暗です…何も見えない」

 

孔雀「そうじゃろうそうじゃろう、目が見えないというのはやっぱり大変なんじゃなぁ」

 

ツバメ( ………よかった )

 

一時はどうなるかと思ったけど爺ちゃんも意外と真面目にやってくれてるし。

 

このぶんなら問題なさそうだな。

 

たんぽぽ「周りが一切見えないから怖いです…誰かに引いてもらわないとマトモに歩けませんね」

 

ツバメ「こればっかりは自分で体験しないと分かんねー事だろうな…」

 

たんぽぽ「あ、坂田くんもかけてみる?いまこれ外すね」

 

たんぽぽ「………あれ?」グイグイ

 

ツバメ「どうした?」

 

たんぽぽ「あの…孔雀博士、コレってどうやって外すんですか?」

 

孔雀「あー、それいちど付けたら『あること』をしないと外れんよ」

 

たんぽぽ「あること…ですか?」

 

ツバメ( ……なんだろう、イヤな予感が )

 

孔雀「ズバリ、『キス』をするのじゃ!」

 

ツバメ「…………………は?」

 

孔雀「そのサングラスをつけてもらった人にキスしてもらわないと、外れんようになっておる!」

 

たんぽぽ「ふぇっ⁉︎///」

 

ツバメ「なっ…///」

 

やりやがったなクソジジィごらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

結局いつものノリじゃねぇか!!!

 

ツバメ「おまっ…そんな大事なこと何で先に言わねーんだよ!///」

 

孔雀「アホか?面白そうだったからに決まっとるじゃろうが!」

 

ツバメ( もうダメだこの大人!!)

 

たんぽぽ「つまりその…わたしが坂田くんにキスされるって事ですか⁉︎///」

 

孔雀「その通り!そのサングラスにはカメラが付いていてな、サングラスを付けてくれた人の顔が認証されておる」

 

孔雀「だから今、ツバメ以外にそれを外せる者はいないのじゃ!」

 

ツバメ( くそ…こいつ最初っからオレを冷やかすのが目的だったな!!)

 

孔雀「つーわけで風上くん!ツバメは見ての通りウブだからしっかりリードしてやるんじゃぞ、バイビー♪」ダッ

 

ツバメ「またこのパターンかよ!こら逃げんなジジィ!」

 

たんぽぽ「あわわ…///」

 

おいヤバいだろこの状況!

 

そりゃオレとしては風上にキスするのはイヤじゃないどころかむしろ万々歳なんだけども…。

 

風上はイヤがるに決まってるだろ絶対!

 

風上の気持ちを無視してキスなんか出来るわけねぇ!

 

ツバメ「本当にごめんな風上…もういくら謝っても足りないくらいの事態になっちまった」

 

たんぽぽ「さ…」

 

ツバメ「くそ、いったいどうすりゃ…」

 

たんぽぽ「さっ…坂田くん!」

 

ツバメ「ん?」

 

たんぽぽ「あの……ね」

 

風上はかすかに頬を染め、もごもごと何かを言い淀んでいたが。

 

やがて意を決したように口を開いた。

 

たんぽぽ「わっ…わたしに!キスしてくれませんか!!///」

 

ツバメ「えぇぇっ!?///」

 

たんぽぽ「このサングラス、なんとか外したいの!」

 

たんぽぽ「介護士になりたいのに目が見えないままじゃ、困っている人を助けるのも難しくなっちゃう!」

 

ツバメ「風上…」

 

たんぽぽ「ごめん、やっぱりイヤだよね…私なんかとキスするの」

 

たんぽぽ「もし本気でイヤだったら、このまま見捨ててくれても構わないから…」

 

ツバメ「……………」

 

ツバメ「……見捨てるわけねぇよ」

 

たんぽぽ「え?」

 

ツバメ「困ってる人を助けたい、力になりたいって本気で思ってるヤツのこと、見捨てるなんて出来るかよ!」

 

ツバメ「ましてや今回の件はオレと爺ちゃんに非があるんだ、オレが責任取って解決するのがスジだからな」

 

ツバメ「するよ、キス!」

 

たんぽぽ「坂田くん…」

 

風上がこんなにも覚悟を決めてくれてるんだ。

 

男のオレがそれに答えられなくてどーする!

 

ツバメ「じゃあその……するぞ?///」

 

たんぽぽ「うん……///」

 

きゅっと拳を握る風上。

 

その顔はのぼせ上がったように赤く、唇はかすかに震えていた。

 

ツバメ( まさかあの風上と、キスする事になるなんて………/// )

 

えぇい消えされ煩悩!

 

風上は介護士の夢を諦めないために仕方なくオレとキスするんだ!

 

下心なんて持っちゃダメだ!

 

ツバメ「風上……」スッ

 

たんぽぽ「坂田くん……」

 

10センチ。

 

7センチ。

 

3センチ。

 

お互いの唇が触れ合いそうになった……その瞬間。

 

トウカ「ダメーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!//////」バァン

 

ツバメ「どぅおわぁぁっ!」ビクッ

 

たんぽぽ「きゃぁぁぁぁ!」ヨロッ

 

ズデーン

 

突然扉を蹴破って現れたトウカ。

 

それに驚いた風上は体勢を崩し、オレを巻き込む形で転んでしまった。

 

トウカ「あああああんたたち!!会って数日でそんなキキキ、キスだなんて!!///」

 

トウカ「何考えてんのよ!!フケツよフケツーー!!///」

 

たんぽぽ「咲林さん!」

 

ツバメ「トウカ⁉︎何でここに…」

 

トウカ「孔雀博士が電話で『ワシのラボでツバメとかわいい女の子がちゅっこらしてたぞ〜♪』って言ってきたのよ!」

 

ツバメ( 完全に愉快犯だろ爺ちゃん!ますます事態をややこしくしやがって… )

 

ツバメ「違うんだ、聞いてくれトウカ!」

 

ツバメ「オレが風上にキスしようとしたのには理由があるんだ、風上のかけてるサングラスを取るために…」

 

トウカ「嘘つくな!サングラスなんかどこにあんのよ!」

 

ツバメ「どこっていま風上がかけて……アレ?」

 

たんぽぽ「坂田くん、サングラス取れたみたい……」

 

ツバメ「えぇぇ⁉︎」

 

なんと風上は、キスをしていないはずなのにサングラスが取れしっかりと素顔を見せていた。

 

ツバメ「な、なんで⁉︎」

 

たんぽぽ「えっと…多分だけどね」

 

たんぽぽ「さっき転んだ時、私の手が坂田くんの唇に一瞬触れちゃったんだ」

 

たんぽぽ「だからそれが『キスした』って見なされたのかな…って」

 

ツバメ「えぇ〜〜!!」

 

それで有効になんのかよ!

 

たしかに爺ちゃん、『唇に』キスしろとは一言も言ってなかったけどさ!

 

ツバメ「ま、まぁとにかくサングラスは外れたし!よかった、よかったようん!」

 

なんか、安心したようなガッカリなような……複雑な気分だぜ……。

 

トウカ「何にもよくなーーい!!」ウガーッ

 

ツバメ「うぉっ⁉︎」

 

トウカ「なんでキスなんかしようとしてたのか、ホントのこと言うまで逃がさないんだからね!!」

 

たんぽぽ「あわわ…どうしよう坂田くん」

 

ツバメ( ごめん、マジごめん風上…!)

 

 

 

今すぐにでもあのサングラスをかけて視界を閉ざし、現実から目を背けたい。

 

詰め寄ってくるトウカの形相を見ながら、そんな衝動に駆られるのだった…。

 

 

第2話 おわり

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