生きる時間   作:滝翔

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特別授業十五時間目 とりあえず前向きに

「竜宮城行かねーのかよ! 神崎さんと一緒にお話しする回とか普通あるだろぉ!」

 

「個人の思い通りにいかないのが演劇なのよ 片思い設定にしてあげただけありがたいと思いなさい」

 

本人がいるにも関わらず本音爆発の杉野に狭間は冷静に対処していた

そんなやりとりを見ていた私達は撮った動画を見直している

 

「やっぱり皆文化祭で経験積んだから スムーズに撮れてるね~ 後は編集してまとまった物語をアップするだけだね」

 

「不破さんのとこの登録者数すごいからいろんな人に見られるね」

 

 

「ヤバッ……! ちょっと緊張してきたかも…」

 

 

茅野があたふたし出すと同時に義子にも緊張が走ってきた

 

「結局慣れだよ 慣れ!!」

 

「茅野さんも小道具頑張って作ったからねぇ」

 

「茅野っちも演技上手なんだから出演すれば良かったのに~」

 

 

「アハハ…… 私はこういう地味な作業の方が向いてるからね」

 

 

どこからともなく風が吹き

生徒達の背景には殺せんせーが現れる

 

「ヌルフフフ! 何やら皆さん楽しいことをしてますね~」

 

「あっ…… 殺せんせー!」

 

「何をしていたのですか?」

 

「皆で演劇を撮ってYouTubeに乗せるんですよ」

 

「それはそれは…… それで先生の役は?」

 

 

ーー参加する気でいたのか?!

 

 

「あ~~…… 撮影は終わってもう載せるだけなん…… ですよね」

 

「…………」

 

一人川岸に蹲る殺せんせーを余所に 義子達は作品完成の祝杯を行っていた

 

「どうだった磨兒子さん!」

 

「こういうの初めてで…… 朝起きたときから心臓バクバクだったけど…… でもすっごく楽しかった!!」

 

「良かった…… 今の磨兒子さんすっごく良い顔してるよ」

 

「え……」

 

他の仲間も近寄ってくる

 

「この際だからあだ名も決めようぜ」

 

「え?!」

 

 

「あぁコードネームね…… 良い思い出ないな~」

 

 

杉野の提案に全員が頬を引きずる

 

「ちなみに皆のはどういう………」

 

不破「私は〝このマンガが凄い!!〟」

 

ーーうわっ 不破さんらしい……

 

杉野「俺は〝野球バカ〟」

 

神崎「私は〝神崎名人〟」

 

寺坂「俺様は〝高岡もどき〟」

 

ーー高岡って誰?

 

渚「僕なんて…… 〝性別〟」

 

茅野「私なんて〝永遠のゼロ〟よ!! 誰だよ付けたの!!」

 

ーーあぁ………

 

『ちなみに私は〝萌え箱〟です!』

 

ーーまんまだ!

 

 

各々のコードネームを聞くなり義子はあることに気付く

 

 

ーー私…… 皆のこと何も知らないなぁ~

 

 

「義子ちゃんって茅野ちゃんより背が低いよねぇ」

 

「あっホントだ! フフン!」

 

ーー茅野のドヤ顔が切ない……

 

「あとは空手やってるわよね」

 

「あっ…… うん 昔だけど」

 

女子陣が特徴を挙げる中 あの男が結論を申した

 

「ロリで戦士…… おまけに陰がある 需要全開だな」

 

 

ーーそういえば居たね 竹林

 

 

「じゃぁ〝幼女戦士〟に決まりだね」

 

シメの不破の一言で義子のコードネームは〝幼女戦士〟に決まった

 

「あぁ…… うん ありがとう……」

 

身長に影響出まくりのあだ名に困惑しながらも 義子は喜んでいた

 

「でも普段は義子ちゃんって呼ばせてもらうからね」

 

「えっ……」

 

「男子はともかく 私達は磨兒子さんよりも義子ちゃんって呼びたいな」

 

「うっ…… うん………!」

 

あんなに引き離してた神崎さんから そんなことを言われるなんて思いもせず

義子はこの前の不破の台詞を思い出していた

 

 

〝変わろうとしているなら あのクラスはチャンスだよ!〟

 

 

ーーこんなに…… 優しくて楽しいクラスだったんだ

 

 

義子は悟った

そして神崎や杉野達に頭を下げる

 

「あのときは酷いこと言ってごめんなさい!」

 

「ううん… 私もそういう時期があったから 義子ちゃんを見過ごせなかったんだ」

 

「神崎さん……」

 

和解の展開に誰もがほのぼのとした空気に乗じて 殺せんせーが割って入ってくる

 

「ヌルフフフ! ここで磨兒子さんに提案です!」

 

「…………授業を受けろ でしょ?」

 

「そんなことはあなた自身とっくにわかっているじゃないですか

一回周りの力を借りて 全力のあなたを私に見せて下さい」

 

「暗殺………」

 

「そうです もちろん学校に来てくれれば私もそれなりにサポートも出来ますよ」

 

「…………」

 

義子は皆の方を振り向く

 

「休日はオッケーだぜ」

 

「暗殺ってなると今日以上にやる気が出るよなぁ~」

 

「じゃぁ義子ちゃん! この一週間で計画を立てましょ」

 

 

「うん!」

 

 

「ヌンヌン…… 上手く馴染めましたね~ 磨兒子さん」

 

「………E組のおかげですよ ついでに殺せんせーもね」

 

「私はついでですか?!」

 

「アハハ!! でも学校の教師が暗殺を教えるってどうなんですか?」

 

「………」

 

殺せんせーは義子の頭に触手を置いた

 

「誰かを暗殺したいって相談されたときは 正直教えるべきかどうか私も迷ってます

先日あなたはイリーナ先生の交渉術は風紀を乱しているとおっしゃっていましたね?」

 

「はい……… というよりも今も考えは変わりません」

 

「ヌルフフフ! それは間違いではありません

ですが人から求められている 教えを請われているのも事実です

色仕掛けと一概に言いながらも社会ではそういう類いの術が役立っている必要なことだということを

あなたは知るよしも無いですよね」

 

「…………」

 

「人の役に立てるのは何か? 何をすれば役に立てるのだろうかと考えてみれば

大衆から嫌われるような行いに進んでしまう場合もあれば たった一人に感謝される場合もある

私は暗殺を通じてそれを毅然と教えていかなければいけない 堂々とね

ですから常に逃げだそうとしていた磨兒子さんを見過ごすことも出来る訳がない」

 

「でも私…… まだまともに授業受けたこともないんだよ 見ず知らずの人間になんでそんなに関われるの?」

 

 

「それでも私はあなたの担任です どんなときでも生徒の手を離さない せんせーは〝先生〟になるときそう決めたんです」

 

 

 

 

 

 

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