生きる時間   作:滝翔

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特別授業二時間目 初めまして殺せんせーです

 翌朝

 

久しぶりにクローゼットから制服を取り出し

鏡を前に着替える義子は何食わぬ顔で台所へと階段を下りていく

 

「おはよう義子」

 

「おはよ…… お父さんは?」

 

「もう会社に行ったわよ」

 

朝ご飯を食べようと 箸を持つ義子は不意に時計を見る

既に七時半を過ぎており 登校に間に合う為の電車が行ってしまっていたのだった

 

ーー学生の時間がもう忘れている

 

それでも別に焦るわけでもなく義子はマイペースに家を出る その時

 

「行ってきます……」

 

「義子!!」

 

玄関のドアから出て行こうとする義子を母親が呼び止めた

 

「はいお弁当!」

 

「………ありがとう」

 

目線を合わせることが出来ず 後ろ向きに弁当を受け取りそのまま学校へと向かった

 

 

 

E組の校舎がある山の入り口付近でとあるスーツ姿の男に呼び止められる

 

「磨兒子義子さんですね?」

 

「…………そうですけど」 

 

「防衛省の烏間だ これからE組で勉学に励む際に少々話しておかなければならないことがあります 少しこちらへお越し願います」

 

 

ーー底辺のクラス行くのに こんなのあるの?

 

 

私はただついて行き 外の景色を密閉した大きな車の中へと誘導された

 

「あの…… 何なんですか?」

 

座る義子のテーブルには昨日理事長から渡された書類と同じ書類が置かれている

 

「目は通して頂きましたか?」

 

「………はい見ました」

 

思いっきり嘘をついたが前に対になって座っている烏間の表情が

〝見抜いているぞ〟とばかりの澄まし顔だった

 

「一応の為最初から簡単に説明する

まず表紙にあるようにこれは国に関わる重要機密なので絶対に他言しないでもらいたい

我々はとある超生物を暗殺する為に動いている部隊

月が三日月に破壊されたのも知っているな?」

 

「生物……? 三日月の件は知っています」

 

日々ネットで刺激になるネタを捜している義子にとってそんな情報は朝飯前

むしろ知らない方がいないだろう

 

「その怪物はマッハ20のスピードを持ち

来年の三月には地球をもあの月と同じにすると脅しをかけてきた

その期間中に奴に世界を奔放されたら我々に打つ手はない」

 

「はぁ……」

 

 

ーーさっきから何の漫画の話してるんだろう……

 

 

烏間の話に興味を抱くものの 少々怖くなってきた義子は思い切って聞いてみた

 

「あの…… 話が見えないですが?」

 

「だが奴は 狙いは不明だがここ椚ヶ丘のE組の担任なら請け負うと自己申請をしてきた」

 

「…………」

 

「不快だがこれは絶好のチャンスと見た政府はそれを承諾し E組の担任として赴任してきた

ここまでで解る通り君は今からその怪物の授業を受けると共にその怪物を暗殺してもらう

怖かったら無理しなくともいい そのときは親御さんと磨兒子さん本人の同意しだいで転校の手続きをさせてもらう」

 

烏間の最後の一言に義子は怒りを覚える

 

ーー本校舎に戻る選択は無いんだ………

まぁあの理事長のことだから何言っても無駄だろうなんだけど

 

「ちなみにE組のクラスメイトは全員参加している

危害を加えない条件も出してあるから身の安全は心配しなくてもいい

暗殺成功の報酬は100億!!」

 

「やります!」

 

 

ーーこうして義子はE組のネットでは知り得ない裏の事情を受け止め……

 

 

「……られる訳がない!!」

 

義子は急に立ち上がり車から降りようとする

 

「待ちなさい!」

 

「帰ります! 今の話も聞かなかったことにしますので!!」

 

周りにいる黒服に手を握られ とうとう淀めいていたボヤけた恐怖が正直になって帰ってくる

 

「校舎近くだから狙い安いと思ったんですか?

頭良さそうなことを言って襲う危ない集団だって最初から気付いてたし!」

 

「違う! 我々は本当に……」

 

必死に説得する烏間の言葉も無視して暴れる義子

 

「嫌っ! 放して!! 誰かぁぁ!」

 

「大気圏から安全にムーンサルトぉぉぉ!! ヌルフフフ!!」

 

その黄色いタコのような姿をした怪物はいきなり義子の視界を触手で覆う

 

「ば…… 化け物……」

 

「にゅやっ!!」

 

その特徴の無いニコちゃんフェイスが義子の顔に急接近する

現実ではありえない存在がいきなり現れたことにより 義子は気絶してしまった

 

「どうしてくれるんだこのタコ!!」

 

「いえね せっかく飛べるってことでアクロバティックをテーマにした先生だけの〝神業〟を不破さんと岡野さんと一緒に研究してたんですよ

しかし…… 普通はよほどのホラーな物を見ない限り人は気絶しないんですがね~~

ましてやいろんなジャンルをネタにした作品が多く出回る世の中ですしね」

 

「………あえてやったのか?」

 

「さすが烏間先生!! 彼女はおそらく睡眠不足

今までの不登校生活が体に染み渡り今日登校ということもあまり意識していなかったのでしょうね

そんな状態でからの烏間先生の堅い堅い説明 少し興味でもあろうものなら疲労と負担がダブルアタックしてくるでしょう」

 

「それでお前の登場で現実に精神がついて来れなくなったわけか……」

 

「今彼女に必要なのは休養です 何か夢中になっていることでもあったのでしょう

後日また改めてお会いしてみて下さい」

 

「貴様に言われなくてもわかっている」

 

烏間は義子を黒服の女性部下に預ける

義子はそのまま自宅へと送られて母親に預けられ 本人が目を覚めたのは次の日の朝だった

 

 

 

ーーにゅ~~ 明日には元気に登校して欲しいですね~~

 

 

 

職員室で磨兒子義子の写真付きの書類に目を通していた殺せんせーは一人でニヤついていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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