生きる時間   作:滝翔

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特別授業二十一時間目 複雑に似てる二人

純白の雪景色に腰を下ろす殺せんせーは

電信柱に凭れてる義子と対面になる

 

「私は多分ですが…… 死ねることを望んでいます

それは生徒達の暗殺が完遂することを意味し 彼等が胸を張って暗殺教室を旅立てる証明になるから」

 

「ふーん…… 私にはその暗殺される意味が未だにわからないけど 暗殺教室の生徒じゃないから?」

 

「……私があの旧校舎で教師をやる理由は

私を助け 私に大切なことを教えてくれた人が受け持っていたクラスだからです

雪村あぐりというその女性は……

どこか抜けてて一見頼りない〝弱さ〟を全面的に出した たった二週間のE組の教師でした

おまけに服のセンスもダサいんですが そこからはみ出るありふれた魅力がヌルフフフでしてね~」

 

「私情が出てますけど?」

 

「おっと失礼!!

………全てを分かっている気でいた私が外れた道を行こうとしたとき

身を挺して止めようとした彼女の姿は一瞬でした

振り返った時には私へ向けられた攻撃が彼女へ被弾してしまってね」

 

「…………」

 

「〝あの子達を教えてあげて…… 真っ直ぐ見てあげればきっと……

この手なら…… きっとあなたなら…… 素敵な教師に〟

この言葉が彼女の最後の言葉でした

雪村あぐりという人間を例えるなら丁度私達が見ているこの雪景色の様

人心掌握に努力を惜しまなかったそれは 生徒の全ての色を理解した者が見せる純白の色

私はその時に触手の声と共に誓ったのです

〝どうなりたいか?〟〝弱くなりたい〟

弱点だらけで親しみやすく どんなに弱いものを感じ取り 守り 

導けるそんな生物に そんな教師に

時に間違い 時に冷酷な素顔が出る事があるかもしれない

それでも彼女のやろうとしたことを精一杯やろう

私なりに…… そう思えたのです

自分が殺されてもいい人間なんてそう見つかるものではありません

その大切な時間を作ってくれたのが雪村あぐりという人間でした」

 

「殺されてもいい相手か……」

 

義子の脳裏に過ぎった遠い過去の人物

しかし今は口に出さなかった

 

「結局過去のことを話しちゃったね」

 

「すみませんねぇ~ どうしても私の生徒には話しておかなければならないと思いまして」

 

「そういうのは成長しつつ今も暗殺に励んでいるE組の皆にだから話す価値があるんじゃ……」

 

「もう話してしまったんですから仕方ないことですよ」

 

「……それで私と先生の似てるところって?」

 

両手に息を吹きかける義子は

電柱から垂れ下がる氷柱を取りながら殺せんせーに聞く

 

「私は〝死神〟と呼ばれた殺し屋でした

人は死ぬんだということを身近に感じる場所で育った私には天才と呼ばれるくらいの天職でしてね」

 

「殺し屋だったんだ…… どうりで……」

 

「その雪村先生に言われたんです

もしあなたが平和な世界に生まれていたなら

頭は良いのにちょっとエッチでどこか抜けてて

どこかせこかったり意地はったり 偽らない優しい笑顔ができるそんな人になっていたと

私が当時あなたのことを観察して思いました

物事の吸収力がズバ抜けて運動神経も悪くない 業君も嫉妬しそうな天才です」

 

「そ…… そんなことは……」

 

 

〝少年ジャンプ読んでどうにかなるほど 世の中甘くないんだよ!!〟

 

 

またもや浮かび上がる過去の人物

 

「しかしあなたと出会って雰囲気の違和感がすぐに襲ってきました

期待外れとはまた違う それこそ普通の人間が夏休みを越して殺し屋になった感覚です

あなたの目は死んでいました 大分印象が様変わりしているあなたを

私は過去の自分 そして私の弟子だった青年の裏切りが重なったのです」

 

「まぁ過去の事は公園で話した通りだよ」

 

「天才は時に周りを見失い

凡人は天才が眩しすぎて落ち度を体験してしまう

あなたと徒花さんが良い例でした

友達を失う怖さを知るというある意味特殊な挫折をした天才があなたでした 磨兒子さん」

 

「っ…………」

 

「おそらく友情を大切にする少年ジャンプが原因で起きたあなたの人生の一節になったのかもしれません」

 

「ちょっと!! ジャンプは関係ないでしょ!!」

 

「いいえ…… それは磨兒子さんがよく分かってることじゃないですか?

照英社代表として謝らせて貰います」

 

「ちょっとメタいです先生!!」

 

「私と磨兒子さんが似てるところは手順次第で簡単に暗殺者に化けるところでしたね

優れた殺し屋は万に通じる あなたの恐ろしい点は私に最も近しい星の下だったということです」

 

「どひぇ~~ マジすか?」

 

「大ジーマーです」

 

「……でもそれって渚と同じってこと?」

 

「そういうことですね

私達三人の違いは育った環境ですね

・私の場合は将来への選択が無かった されど逆にそれは何にでもなれる縛られない環境下

・渚君は母親に支配され 今まで自分の意見すら言えずに親御さんに育成されていた環境下

・義子さんの場合は掲げた理想に反発する現実に問い詰められて 眠る力が目覚められなかった環境下

この中で一番殺し屋に抵抗がなかったのは私だったってだけの話なんですがね」

 

「なんか私だけ…… 中二病臭いんですけど…… まぁ良いんですけどね」

 

「にゅ~~ その中二病の価値には個人差が生じているのであまり気にしないほうがいいですよ」

 

平らな田んぼに稲を植えるかの様に殺せんせーは小さい雪だるまを並べていく

義子はそんなことにツッコミを入れる暇なく 今聞いた話に淡い妄想を膨らます

 

「そっか…… 私って暗殺の才能あったんだ」

 

「その考え方は間違っています

大事なのは将来 自分がどうしたいかです

E組でも言いましたが〝第二の刃〟を身につけましょう

夢を追う道のりで磨いたスキルは必ず あなた自身の助けになりますから」

 

 

 

 

 

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