生きる時間   作:滝翔

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特別授業二十四時間目 遠くにいる価値は

「ねぇこの服可愛くない?!」

 

「義子それメンズ!」

 

無事卒業を終えた義子は友達とショッピング

残り少ない中学生ライフの余韻を思う存分楽しんでいた

 

「次はどこいく?」

 

「あたしパンケーキ食べたい!!

あ!! あと朗報 近くでタピオカミルクティー飲めるようになったらしいよ!!」

 

「うっそマジ?! 行くしかないっしょ!!」

 

田舎の市内を駆け巡る義子は充実していた

まるで椚ヶ丘での出来事が悪い夢だったかのよう

 

「ねぇねぇこれ見て!!」

 

「ん?」

 

カフェで一息ついていると 店内のテレビに目を奪われる

 

『ご覧下さい!! 銀行が酷い有様です!!

今回の一件を含めた連続強盗が相次いで起きています!!

警察の調べによると 全て同一犯だということですが……

いやぁ…… もし犯人の方が聞いてるのであれば これ以上罪を重ねないで下さい

そして罪を認め 警察に出頭して下さい

現場から以上です』

 

「こっわ…… 義子ってあの近くに住んでたんでしょ? 都会こっわ」

 

「うん…… 何処でも事件は絶えないけど 都会は規模が違うからね」

 

本当に怖じ気づく訳でもなく

友達はガールズトークに移っているとき

義子だけはそのテレビから目を離さない

 

『情報によれば今回の実行犯 〝中学生〟って噂じゃないですか!!』

 

『正確には中学三年生がこの時期に多国籍犯罪組織に加盟しているので未成年ですね

原因が家庭環境なのか もしくは学校でのイジメ

どちらにしても犯人達を特定しない限り原因も闇の中ですがね……』

 

 

「……………!!!!」

 

 

ずっとテレビを見てる義子にさすがの友人も不思議に思い

 

「どうしたの義子? 顔真っ青だよ?」

 

「…………」

 

義子が注目しているのは監視カメラの実際の録画映像だった

ぱっと見て数人の犯人が店側を脅しているごく普通の強盗映像

だが彼女にははっきりと 見慣れていると言った方が正しいか

マッハ20には届かないスピードの光る線があちらこちらを飛び回っていたのだ

 

「触手……」

 

「「 触手? 」」

 

友人等と別れた義子は

帰り道にスマホを握りしめていた

 

「……やっぱり聞こう」

 

スマホ画面を開き ここ何度か連絡を取り合っていた相手に電話を掛ける

 

『もしもし?! 久しぶりだね義子ちゃん!!』

 

「うん…… 直に声で話すのは三ヶ月振りだね 不破さん!!」

 

『どぉったの?』

 

「今流れているニュースのことなんだけど……」

 

義子は何故か殺せんせーの名前は出さなかった

暗殺教室はとうに終わっている 気まずいのか それとも結果が怖いからか

とりあえず伏せる

 

『あぁ例の強盗事件でしょ? ありゃ触手だね』

 

「え…… あぁやっぱり?」

 

ーーあれ?

 

『私の考えでは柳沢…… あぁシロね あいつの仲間が関与してるかな~~って』

 

ーーもしかして……

 

『烏間先生にも聞いたんだけど その線で柳沢の回復を待ってるらしいし』

 

 

ーー殺せんせー生きてる?

 

 

『もしもし聞いてる?』

 

「あぁうん!! また地球存亡の危機なんだね」

 

『それで…… 犯人の目星なんだけどさ……

私達の中学校出身がいるらしんだ犯人の中に』

 

「同級生ってこと?」

 

『うん…… それでビッチ先生にこっそり機密情報を教えてもらったんだけどさ

義子ちゃんって〝徒花此乃葉(あだばな このは)〟って生徒知ってる?』

 

「…………!!!!」

 

震えた手がスマホを雪に落とす

聞き間違いと言いたいところだが 気になってた過去の記憶が蘇る

 

公園で此乃葉に会ったとき

彼女がいなくなった途端に出会ったシロ

シロが言っていたとある集団で殺せんせーを殺す計画

つまりそれが此乃葉を含めた集団なら

 

「ねぇ不破さん…… 触手を宿した人間はどうなるの? 殺せんせーみたいになるだけ?」

 

『……詳しくは知らないけど メンテナンス無しだと激痛を伴い

感情によって触手に支配され肉体が触手に浸され続けると……』

 

「……何?」

 

『最悪…… 死ぬわ』

 

「…………」

 

 

自分が聞いてきた

 

 

次の朝早く身支度を調えて新幹線に乗る義子がいた

母が作ってくれた弁当を食べながら一人 車窓を見つめ続けている

 

ーー此乃葉は私を裏切った人物 そして…… 私は此乃葉を守れなかった

 

 

自分が聞いてきた どうなりたか?

 

 

ーーわからない…… でも私はもう新幹線に乗っている

引き返せない 電車賃もったいないし

 

 

東京駅で待ってくれている不破と合流する為

義子はとりあえず もう一度 後悔を知ったあの椚ヶ丘へと戻った

 

 

 

 

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