生きる時間   作:滝翔

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特別授業二十六時間目 ミッション開始

『見せしめにこの二人は始末しとくから あまりうちの組織に首を突っ込まないように』

 

此乃葉の冷たい一言で通話は途切れる

 

「ごめんなさい…… 私のせいで千葉君と速水さんが……」

 

「義子ちゃんだけのせいじゃないよ!! 私達も甘かった……」

 

 

「まだ二人が死んだわけじゃない 邪魔なだけなら見つけ次第すぐ殺すからね……」

 

 

希望の一声をかけたのは業だった

 

「つまり…… 相手は交渉を求めてるってこと業?」

 

「いや~~ わざわざ義子さんと会話したってことはさ

此乃葉って人は目立ちたがり屋かカマッテチャンだったりする?」

 

 

「……いや どちらかというと此乃葉は小学校のときには既に目立っていたから

逆に本人は嫌がっていたりしてたし」

 

「照れ隠しだったら笑えるけど 実はそういうの求めてたりしてたんじゃない?」

 

「…………」

 

そうじゃないとははっきり言えない ここでも彼女の知らないことが現れて胸が苦しくなる

とりあえず義子は改めて皆に謝罪した

 

「さっきは取り乱してごめんなさい!!

そしてこんなことになってあれなんだけど…… 千葉君と速水さんと共に

此乃葉のことも救って下さい!!」

 

深く頭を下げる義子を見ていた神崎と中村はクスクスと笑いながら

 

「はい義子ちゃん これ」

 

「??」

 

「一応E組に入って来たときに用意されてたんだと思うよ

軍と企業が共同開発した強化繊維でできた体育着 通称〝超体育着〟!!

フード内に目元保護用の極薄バイザーと通信機付きだよ」

 

「…………」

 

無言で受け取る義子の顔は覚悟の表れだ

 

「よし!! じゃぁ行こうかぁ!!」

 

「業…… 遊びに行くんじゃないんだから……」

 

「何言っての渚ぁ…… 俺の日本で好き勝手してるゴミ共を処理しに行くんだよ?

今年はオリンピックだってのに俺達日本人に変な外人のイメージ植え付けちゃってさぁ

もうブチブチにキレてるに決まってんじゃぁ~ん」

 

スマホを握りしめる業の殺意に誰もが冷や汗を流す

杉野は思わず渚の肩を叩く

 

「おい渚…… 業のやつ今…… 〝俺の日本〟って言わなかったか?」

 

「うーん…… はっきり聞こえたね」

 

 

「それじゃぁさっそく敵アジトに乗り込みますかぁ!!!!」

 

 

穏やかなブレークタイムを基本とし

時の話題や情報を交換する飲食店に似つかわしくない声が響き渡る

デパートの更衣室 公園のトイレなどで着替えを終える八人は

廃れた港へと赴く

 

汽笛音と共に流れるスチームサイレンが場の雰囲気を切迫させた

 

「うわぁ…… 刑事ドラマみたい」

 

「最近じゃぁスチームサイレンなんて聞かないからねぇ……

ここが当たりって言ってるようなもんだよ」

 

 

『データを基に今のは警告音だと思います』

 

 

「え? じゃぁバレたの?」

 

『バレたのであれば何らかの動きが少なからず見れる筈です

これはおそらく私達ではない別の存在に気付いたかもしれません』

 

「別の存在って…… まさか警察?」

 

コンテナが敷き詰められている場所に身を隠しながら前進する義子達は

気付かれない程度で目的地である第二倉庫を覗いた

 

「A班とB班は非常口 C班はここで待機だ

発砲の許可は許されている 中学生と言えど相手はあの超生物と同等だと思え!!」

 

入り口を塞ぐパトカーが数十台

機動隊の姿もあり 完全に倉庫一帯を包囲していた

 

一人前に出た警官は拡声器を片手に深く溜息を吐く

 

「こんなドラマみたいなこと…… 普通はしないぞ?」

 

「相手は未成年と言えど傷害を生む危険性があるとの上からの判断です」

 

「ハァ…… されど〝未成年〟だから説得に応じさせて若い芽への配慮って考えか……」

 

警官は少し照れる気持ちを抑えて 拡声器に声を当てた

 

『君達は完全に包囲されている!! 過ちを振り返り おとなしく出てきなさい!!』

 

反応は無し と誰もが思ったその瞬間だった

 

「はぁい出てきましたぁ!!」

 

先に二階の窓を突き破って出てきたのは数本の触手だった

その狙いはパトカーを全て破壊すること

一瞬にして戦場と化した現場を見渡した警官は

 

『突入!!』

 

機動隊への突撃命令 しかし時既に遅く

 

「「「「「 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 」」」」」

 

窓から放り出された人数は事前に伝わっていた機動隊の総動員

 

「狙撃犯はどうした?」

 

「それが…… 応答ありません」

 

数分足らずで混乱状態にさせられた触手の宿主がとうとう屋根にて姿を現わす

 

 

「此乃葉!!」

 

 

それは遠くで機を伺う義子達にもはっきりと見えた

 

着ている制服は紛れもなく椚ヶ丘中学校の柄だった

ブレザーを脱ぐ彼女は体温が上昇しているのか 体中汗だくの状態

 

「……なんか昔の茅野ちゃんを思い出すね」

 

「「「「「 うん 」」」」」

 

 

「ん? 茅野さん 何かあったの?」

 

「っ…… すんません……」

 

 

業と中村が茅野を見てニヤニヤあざ笑っている横で

義子の頭の上には??マークが浮かんでいた

 

 

 

 

 

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