生きる時間   作:滝翔

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特別授業二十七時間目 面と向かって再開

銃も無意味 下手に近づこうものなら触手一本で一蹴される始末

連携も取れてない中 一人の警官は負傷して倒れている警官が持っていた拡声器を手に取る

 

『退却だぁ!! 退却しろぉ!!』

 

逃げ腰も見逃さない此乃葉の追撃は止まらない

 

「やめてよ……」

 

義子は現状の悲惨さを見るに堪えられなかった

何よりも 手を下している者は

 

 

「此乃葉ぁ!! もうやめてぇ!!!!」

 

 

のたうち回る警官達の地獄の足場を進み

義子は倉庫の目の前へと辿り着く

 

「久しぶり…… 義子」

 

「変わったね此乃葉…… そのおかしな触手は高校デビューの準備?」

 

「フフフ…… そうね

でも自分の価値を評価してもらうのは〝世界〟よ!!

あなたと違って私は…… あなたの手の届かないところで光り輝く準備をしているの」

 

「…………へぇ 世界征服ってこと?」

 

 

ーーなぁんだ……

 

 

「今からそっちに行くから……」

 

「どうぞどうぞ!! うっかり触手で八つ裂きにしちゃうかもだけど?」

 

「うん!! じゃぁ行くね!!」

 

 

ーー変わってないじゃん 昔と全然さ

 

 

階段を登る義子は 自分の頬を両手で軽く叩いた

 

 

ーーでも駄目…… それじゃまた繰り返すだけだと あの時 学んだんだから

 

 

非常口の重い扉を開くと

そこには此乃葉を含めた見知った構成員達が集まっていた

そして奥で宙に吊されている千葉と速水の姿

 

「千葉君…… 速水さん……」

 

「一応人質…… だけどさ

あんたに要求するような物は何一つないんだよね

だから消えて…… 私達もアジトを変えることになったからさ すぐにここを出て行くの」

 

「二人の人質はどうするつもり?」

 

「解放するわ ただ一つ

あなたも…… E組だった生徒も…… もし良かったら国の役員達にも私達の邪魔しないでと伝えてくれる?」

 

「…………わかったよ」

 

後ろの二人の命が最優先

交渉はリスク少なめであっさり終わろうとした その時だった

 

 

「なぁ徒花!! フヒヒ…… こっちの女だけでも貰っていかねぇかぁ?

この反抗的な目がよぉ……!! さっきから俺を興奮させるんだぁ……」

 

 

構成員の一人アギトは速水の髪を嗅ぐなり 呼吸を激しくさせていた

 

 

ーー外道に拍車が掛かってる……

 

 

「今回は無しだアギト!! 早々にずらかるぞ」

 

「なぁんだよ徒花~~ お前は〝そうゆうこと〟させてくれねぇんだからさ~~

今回は戦利品無しなんて…… 俺達が納得するとでも思ってんのかぁ?!」

 

「はぁ…… リーダーは私 だよね?」

 

「なに真面目になってんだお前…… そんな社会のルールに則るわけねぇだろぉがよぉ!!」

 

 

「…………逆らうっての?」

 

 

一瞬の触手で室内は残骸へと変わる

一本一本がアギト達にかするように壁にめり込んでいる

 

「っ……… 誰がお前なんかに付いていくかよ!!」

 

全員まとめて扉から出て行ってしまった

義子は伺うように此乃葉の顔を見ると

そこにはまだあどけない 昔の此乃葉の笑顔があった

 

「ねぇ義子…… 私の部下にならない?」

 

「……え?」

 

「触手があるから人手不足とかないんだけどさ…… やっぱり独りは寂しいの……」

 

「……何言って」

 

「お願い義子…… 昔みたいに隣にいてよ」

 

触手が二人の周りを覆い 二人だけの空間が出来る

義子は頭では冷静だったが選択肢があることを望んでいた

彼女を取り押さえるだけじゃない もしかしたら改心させられるのではないかと

 

 

ーー………これでいいの? また都合のいい方に流されるの?

 

 

頭では分かっていた だけど だけど 過ぎ去りし時を求めてしまう

 

 

 

 

 

 

一方 此乃葉の下から逃げ出していたアギトの懐から一本の電話が掛かってきた

 

「おぅ… なんだ?」

 

『      』

 

「……わかった」

 

アギトは通話を切るなり 笑いが込み上げてくる

 

「クク…… おい戻るぞ」

 

「ハァ?! ……何言ってんだよお前正気か?!」

 

「あぁ正気じゃねぇかもしれねぇ なんせ大金の匂いがしてならねぇからなぁ!!!!」

 

「その電話か? 上からか?」

 

「グフフフフ!! 今この時から…… 徒花此乃葉は裏の世界の〝賞金首〟となった!!

その額は当初シロとの計画によって頂く筈だった十億の倍だそうだ」

 

「……マジかよ まだ俺達の夢は終わってなかったのかよぉぉぉ!!!!」

 

急にやる気を出す下っ端達

 

「人生どう転ぶかわかったもんじゃねぇ…… さっそくあのガキをとっ捕まえに行くぞオラァ!!」

 

 

雲行きは日の沈みと同調して 暗く濁っている

遠い場所には数十台の黒く分厚い車両の群れが迫ってきていた

 

 

 

 

 

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