「ン…… ンン!!」
力強い義子が手を離してくれない
身体が密着し 思わず彼女の胸を押し返そうとするも
ーー我慢して此乃葉…… すぐ終わるから……
「茅野!!」
「うん!!」
どこからともなくピンセットを取り出した茅野は
気が紛れている此乃葉の首筋に根付いてる触手を引っこ抜いた
此乃葉は気を失い その場に倒れた
抱きかかえる義子は此乃葉の頭をそっと撫でる
「辛かったね…… ごめんね此乃葉」
「ふぅ…… 一件落着でいいの?」
全員その場に座り込む
一瞬の出来事とはいえかなり労を多とした
「皆は怪我してない?」
「大丈夫だよ神崎さん 義子さんと徒花さんのベストショットに集中し過ぎてちょっとカスっただけ」
「相変わらず油断しないね業君」
業と中村はスマホ画面を義子に向ける
確認した義子は疲れてか もしくは耐性があるからか ただただ苦笑するしかない
「まさか二人がこんな関係だったとはね……」
「少なくとも私は今まで気付かなかったんだけどね…… そういうラノベとか読んでたのに」
「愛は盲目って奴?」
「こんな特殊ケース 普通は盲点でしょ?」
義子は此乃葉を担いで立ち上がる
「一応危険な場所だし 少しでも移動しよ」
「賛成!! でももうちょっと休ませてぇ!」
中村が大の字で寝そべった次の瞬間
窓を割って義子達がいる室内に催眠ガスが投げ込まれた
「何が起ったの?!」
「っ………!!」
一番窓の近くにいた業だけが一瞬見ることが出来た
非常口から避難する全員は 屋根の上へと駆け上がる
「全員ハジキは持ったか!?
〝集英組〟含め 余所の連中に獲られる前に俺達が報酬を受け取る!!」
ギリギリで下を確認した渚達は肝を冷やす
「あれって…… 〝モノホン〟さん?」
「どう見てもそうでしょ~~ 参ったね……」
『調べたところによると 連中の正体は日本ヤクザの最大組織【甲殻組】の構成員ですね
今この建物に長居するのは危険です 奴等は倉庫を吹き飛ばす程の武器の準備を確認』
すぐに奴等に気付かれぬよう隣の倉庫へと移動する しかし
「逃がさねぇぞ徒花ぁ!!」
此乃葉を担いだ義子が飛び移る 宙に浮いた時
背後より多く投げ込まれた手榴弾の爆風が二人を吹き飛ばした
「ウァゥ!!!!」
予定の着地地点が大きくズレた二人は そのまま二階の窓に放り入れられる
大破したガラスの破片から此乃葉を守る義子は負傷する
「話に聞いていたヤクザのお待ちかねかぁ…… ターゲットは隣の倉庫だぁ!!!!」
下に報告するアギトもまた隣の倉庫へと向かおうとする
「なんで徒花さんが裏社会の人間からも狙われてるの?!」
『奴等の素性を探ってる中で発見しました
どうやら彼女の触手の力を欲しがっている人間が懸賞金を掛けたようです
触手の認知度は殺せんせーが現れてからこの一年でかなりの人間に知れ渡ってる可能性がありますから』
「そんな…… とにかく二人を助けないと!!」
危険を顧みず救出しようとする渚達
しかしまたもや思い通りにさせてくれないのが
「おいおい…… 中学生だらけじゃねぇか どれが徒花此乃葉だ?」
別ルートで回って来た組員達が屋根を登って来ていたのだ
「こりゃぁ詰んだかねぇ?」
「っ………」
ーーどうすることも出来ない?!
「とりあえず全員半殺しでとっ捕まえろ!!」
前進してくる自分達より大きな怖い大人達
もうダメだと悟った渚は近くにいる茅野を庇う形で抱きしめた
前進に出て持ってきた廃材を構える業
ニヤニヤと死と隣り合わせな生活を送っている奴等に通用するも筈もなく
「やれぇ!!」
一斉に襲いかかる組員達にさすがの業も腹を括った そのときだ
「痛ってぇぇぇ!!!!」
どこからともなく乾いた銃声
音は小さく何処から撃ってきているのかも分からない
ただ自分達以外の人間が倒れていることだけは理解した
「あ…… 電話……」
懐から取り出したスマホから聞こえてきた声は
『皆!! 大丈夫か!!』
「「「「「 烏間先生!!!! 」」」」」
『まったく…… どれだけ危険過ぎる事をしたのかわかっているのか?!』
「「「「「 っ…………… 」」」」」
『それより そっちに徒花此乃葉はいるのか?!』
「少し遠くにいるんだ…… でも触手はもう抜いたよ」
『っ……!! ……そうか さすが私のクラスだな
そして非常事態なだけに君達を救出する許可が今出た
赤羽業!! 君が指揮を執れ
直ちに全員 その場から避難するんだ!!』
「僕達だけで逃げ切れる相手じゃないと思うけどね……」
『そうだ…… だから私も〝違法作業〟に手を染め ある人物に君達の保護を依頼した』
「え?」
一人銃を持った男が弾丸に当たらず突っ込んできた
「この野郎!!!!」
「業!! 危ない!!」
渚に言われ 振り向く業が見える相手は すぐ背後まで迫ってきていた
「っ!!」
太陽を遮り 自分達を影で包むその男は一人だった
組員を蹴り飛ばす動作と共にこちらを振り向く彼もまた 片手にリボルバーを掲げる
『法に則っては君達を助けられないと判断した俺は
知り合いの紹介でその男に助けを依頼した 彼は〝
〝法で裁けぬ悪を撃つ〟 』
「俺を呼んだのは君達かい? 〝