昨日の記憶がまるで覚えていない
今日は学校を休んだ私に母が自分部屋の扉越しに話しかけてくる
「体調はどう?」
「うん…… 大丈夫」
「昨日は初日だったから疲れたんでしょう……
担任の先生…… 烏間先生も心配していたわよ?」
「…………」
義子は何かを思い出しベッドから起き上がって制服に着替える
昼食を済ませて洗面台に行き 鞄を持って玄関へと向かった
「本当に今日行く? 先生からも無理をしないようにって言われているけど?」
「………本当に大丈夫だから」
「そっ…… はいこれお弁当!! 昨日と同じやつだから」
「行ってきます!!」
勢いよく飛び出す義子の顔にはいつも以上に楽しみにしてるネット関係とはまた別の
新しい何かが待っているような楽しさでいっぱいだった
山を駆け上がり 椚ヶ丘中学の旧校舎へと走る義子
次々と木々を通り過ぎて 一本の枝を除けると
「ハァ…… ハァ…… 旧校舎
あそこにあいつがいる 昨日一瞬見たあの黄色い……」
玄関で靴を脱ぎ
私の名前が書かれている下駄箱に靴を入れ
職員室まで早歩きで向かう
「ふぅ~…………」
深呼吸と共に扉を開ける義子に気付いたのは
パソコンを睨んでいた烏間だった
「先ほど君のお母さんから電話をもらった 座りなさい」
「はい…… あの……」
「あの怪物なら今授業中だ 君は六時間目から参加してもらうことになる」
周りを見ると机の上に見たことのない銃やナイフなどが置かれている奇妙な空間
烏間の入れた茶を啜っていると 隣にある意味新種の人種が座ってきた
「あらぁ? この時期に新入生?」
「え……」
その瞬間 柔らかい二つの砲弾が義子の顔面を覆った
「どこの殺し屋よぉ~!! ゲロんないと圧迫死させるわよぉ?!」
「~~~…………!!」
ーー死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅ!!!
「やめろイリーナ!! 彼女はまだ不調なんだ 物理的に吐くぞ」
烏間の一言で義子を解放するイリーナは笑って目の前の茶を飲んでいた
「先に紹介しておく そいつはもう一人の担任イリーナ・イェラヴィッチ
英語を担当しているが 一部の生徒には色仕掛けによる交渉術なども教えている」
「中学生に何を教えてるんですか……」
「あら外人を好きになったらどうするのよ?」
「うっ……」
会話が始まる度に寄ってくるイリーナのスキンシップに背筋が凍る義子は我慢できずに立ち上がる
「風紀って言葉知らないんですか!? 色仕掛けとかただのビッチじゃないですか!!」
「はぁぁ!!? 誰がビッチよ!!」
「名前もビッチだし!!」
「イェラ……ヴィッチ!! ヴィ!! ヴィィィ!!」
いがみ合う二人に火が付きそうな時 タイミング良くチャイムが鳴る
「ヌルフフフフ!! 随分と職員室が賑やかですね~~」
何処から現れたのかもわからない超生物はゆっくりと義子を見る
「…………すごい」
間近で見て義子は夢じゃないと確信する
「磨兒子義子さんですね?」
「はい!」
「ようやく初めましてですね~~ 私は3年E組の担任 皆から殺せんせーと呼ばれています よろしく」
そのニュルニュルとうねる触手の一本が義子の前まで伸びてきた
「よろしくお願いします ………本当にすごい」
握手した後の義子は不意に殺せんせーの懐に入り彼に抱きついた
「「……………」」
「にゅ~~………」
「生きてる…… 偽りでもヤラセでもない未知の生命体……」
「失礼な!! 私は列記とした地球生まれですよ!」
烏間とイリーナが見てる中 二人は楽しそうにやりとりを終える
「して磨兒子さん あなたさっきイリーナ先生の色仕掛けは風紀を乱しているとおっしゃいましたね?」
「はい…… というより先生を殺したりとか暗殺事態よくわかっていません」
「…………私が地球を滅ぼすことについては?」
「聞きました ………でも人を傷つけることが好きな先生には見えないんですが?」
「………」
沈黙が生まれた中 烏間が割って入ってくる
「どちらにせよ脅しをかけているのは事実だ
その脅しすら対応出来ていないのが政府の現状 実際に実行されてからは何もかも遅いんだ
ここにこの怪物が留まっていることが各国首脳達の間で一致したまたとない機会だと結論付けている」
義子の手元に特殊なナイフが渡された
「この怪物にだけ効く特殊ナイフだ」
「怪物ではありません 殺せんせーです」
「対先生物質と名付け国が開発した
こいつ以外の人間にはただの玩具動揺のゴムのような物だから危害はない」
「こいつではありません!! 殺せんせーです!!!」
「これから我々と共に地球の存亡をかけて超生物暗殺に協力してもらいたい」
ふとナイフをガン見する義子はナイフの刃先を先生に向けてみる
「おやぁ? 随分やる気ですねぇ~~」
「………」
一呼吸を終えてナイフを前に突き出す しかしあっさりと触手で腕を捕まれた
「ヌルッフッフッフ どこを狙って……」
そのナイフは義子の手元にはなかった 押さえられる瞬間に放したそのナイフは殺せんせーの胸部に向けて勢いまかせに飛ぶ
「にゅっ!!?」
殺せんせーは瞬時に三人の背後に移動する
「なんで背後に移動するんだろう……」
殺せんせーの視線の先には既に銃を構えた義子がこちらを見ており
銃弾が自分の心臓部間近へと迫っていた
ーーこれは……
義子の銃撃は確実に プロがよくいう手応えを感じた