「南西で待機していた野郎共は掃除しておいた さっさと逃げちまいな」
「シティー…… ハンター」
「中にまだ仲間がいるんです!! 助けて下さい!!」
一方義子と気絶している此乃葉はアギトと対立していた
「ヘヘ!! その女を渡して貰おうか?」
「……無理に決まってんでしょ? 久しぶりに友人に会ってあんたみたいなのが彼氏だったらショックだわ」
「いつまで経ってもムカつく女だなぁおい!!!! 数年前と同じ結果になると思うなよ?!!」
アギトはポケットから一本の注射器を取り出した
「……それって」
「そうだぁ!! 〝触手の種〟って言やぁ お前らわかるんだよなぁ?!」
右腕にぶっ刺し 狂喜に任せて笑いが止まらない彼の腕は早くも異変を見せる
「シロ曰く この触手は研究施設のセキュリティーに使われていた劣化版だそうだ
しかし投与した瞬間…… 効果が目まぐるしい即効性で現れる」
しなるアギトの右腕は裂け目を見せ 数本に分裂する
強面の顔に加えてあの腕になったらもう化け物としか言いようがない
「さぁどうする!! 磨兒子義子!!」
「…………決まってるだろクズ野郎」
抱いていた此乃葉をガラスの破片が散りばめる場所から移動し 近くのソファーに寝かせた
振り向いた義子の顔を見てアギトは絶句
「……またその生意気な面を見るとはな」
「悪党を前に怯むとでも思いました?!」
誰かを助けてたいと思った義子は触手を宿す相手でも前屈みに構える
「さぁ…… 悪夢も今日で終わり!!
此乃葉を連れ帰って 皆と一緒に私は高校へ行く!!」
「…………ハハ 俺の触手に勝てるか?!」
勢い付けて放たれるアギトの触手は散乱しつつも義子へと伸びていく
「徒花もろとも死ねぇぇぇぇ!!!!」
「死ねるかぁ!!!」
義子はあえて触手の懐に突っ込んだ
四方八方から襲いかかる触手を二刀のナイフで一つ一つ捌いていく
避けない理由は背後にいる此乃葉を守る為
「なんでそんな動きが出来る?!」
「これでもあの〝暗殺教室〟にいた生徒ですから!!」
片方を逆手持ちに切り替え 相手の懐に潜り込む
切り上げる義子の振り上げはアギト自慢の尻顎へ襲いかかる
「ぐぬぉ!!」
「かすった……」
すぐに距離を取るアギトは裂かれた触手を見て義子に畏怖を感じた
「人間技じゃねぇ…… 妖怪かてめぇは?」
「……? ………あぁそっか!!」
義子は短い期間でありながらも雪女と生活をしていた
「まさかあの人からのご加護があるとは…… 今度〝ぬら孫〟全巻買って読もう」
「なにブツブツ言ってんだぁ!!」
触手が絡みついて持ち上がった鉄柱で殴ろうとするアギト
義子は体勢を立て直し紙一重に避ける
だがスケールが違う分 微かに恐怖による動揺が自身の身体能力に影響を及ぼす
「頼むから…… もう少し持って!!」
足を摩る義子 しかし攻撃は待ってくれない
「オラオラどうした!!?」
「クッ!!」
ーー 一気に倒してやる!!
「あなたみたいな小物に!! 私達の人生狂わされて溜まるかぁ!!」
震えていた足に張りが戻り
真上から降る鉄柱をダッシュでかわした義子は
決着を付けるべく アギトとの間合いを詰める
「このぉ!! 戻れ触手!!」
アギトが身体ごと後ろに引っ張り鉄柱を引き寄せる
しかし先を読む義子はその鉄柱を避け横に身体を滑らせた
鉄柱は予想通りアギトを目指して飛ぶ
「うぉ!!」
アギトも避けるが触手が絡む鉄柱は壁にめり込む
もちろんこれも義子の思惑通り 触手は引っかかりアギトは行動を抑えられた
「戻れ!! 戻ってこい触手!!」
「フフン!! チェックメイトかしら?」
伸縮しようとする触手に身体が持ってかれそうなアギトは身動きが取れない
それを見下す義子を見て 彼が冷静でいられる訳もなく
「こんのぉぉぉぉ…… 女の分際でぇぇぇぇぇ!!!!」
「男だろうが女だろうが…… 訓練した凡人は天才を越えて 万に近づくの
あなたみたいなガキ大将の時代は終わって草食動物も肉食に化けるのよ」
義子は右足をブランブラン振り回し
何をしているのかと思えば 一気に頭上に振り上げた
「クソがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「魚人空手奥義!!!!!(原作は奥義じゃないけど)
〝 火華カカト落とし!!!!!!! 〟」
ゴチーーーーン!!と大きな音が駆けつけて渚達にも
表で組織を壊滅的に痛めつけている冴羽の所にも響き渡った
「義子ちゃん!!」
「…………勝ったぜイェイ」
自慢の顎を突き出しながら気絶しているアギトのそばで腰から崩れる義子の顔は晴れていた
「まさか触手がもう一つあったとは……」
「あいつが目覚める前に取り除ける?」
神崎に介抱される義子はぐったりしている触手を観ている赤羽に聞いた
「腕の全てが触手になってるからこの尻顎には酷だよね 切断するしかないかも」
「アハハ…… 保険にも入ってないだろうし ご愁傷様だね」
そんな気が抜けてる会話をしてる最中
アギトに寄生した触手がピクっと不穏な動きを見せた
「業!!」
本人も気付く前にそのマッハの速度を誇る凶器が牙をむく
「危ない!!」
業を押し退けたのは義子だった
「アァァ!!!」
触手は彼女の腹部を貫き
鉄柱に寄って開いた外へと追い込まれる
「っ!!?」
業もすぐに行動に移し義子を助けようとするが
予測不能な触手の暴走によって阻止させれる
「渚!!」
「うん!!」
近くに転がる対せんせーナイフを拾った渚は茅野の合図と共にアギトへと走った
「義子ちゃん!!」
触手の動きを避けて助けに来てくれる茅野の背後に迫る触手の一振り
「茅野ちゃん危ない!!」
義子も咄嗟に前に出る
襲われそうな人間を目の当たりにして自分の身など考えず
そして身を挺して茅野に覆い被さる
「うぁぁぁああああああああ!!!」
渚がアギトの右腕目掛けて飛びかかり その生えて変化した断面を両断する
しかし勢いを止めること叶わず二人は建物の外へと吹き飛ばされてしまったのであった
「義子ちゃん!! 茅野ちゃん!!」
そのまま海に落ちた二人
集まった裏社会の武装集団を全壊させて一服している冴羽は何かが飛んできたと驚く
「………なんてこった!!」
すぐに海に飛び込む冴羽に渚達は安堵しながらも建物を降りて駆けつけていった