生きる時間   作:滝翔

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特別授業七時間目 徒花此乃葉

夕日に背いて走る義子は気付いた時に見える手前の公園に足を踏み入れる

近くのベンチに座り 母親に手を握られて帰ろうとする子供を何の関心もなく見ていた

 

ーー我に返った後のシリアスな自分の発言が嫌になるなぁ……

 

陽も暮れて暗くなった公園でも義子は動くことなくただベンチに座っている

スマホが鳴るにもどうせ親だと無視する始末

 

ーー私…… これからどうするのかな……

 

ビジョンの見えない末の自分のことを考える自分に殺意を覚えるから

ただ何も考えようとしなくなる自覚の働きが今一番心地良かった

 

ただ一つの景色を傍観する中 そこに映る道路を知った顔が通る

 

 

「…………此乃葉(このは)?」

 

 

つい声を出してしまった そして聞かれてしまった

 

「…………義子」

 

「っ……………!」

 

義子は目を反らし 此乃葉も気まずそうにその場を立ち去って行った

 

 

ーー合わせる顔が無いな

 

 

すると突然ベンチの後ろから声がした

義子は振り向くが 普通驚く身なりをしたその人物を堂々と見る

 

「やぁ! 警戒しないんだね 自己紹介させてもらうと私の名前はシロ」

 

「……」

 

 

ーー瞬時に察せる こいつもあの超生物に関係している奴だ

 

 

「こんな時間に一人でいたらハイエース待ったなしって良く言うだろ?

それだけ都会は危険だって地元の君ならわかるだろうが 一応注意しとくよ」

 

「ご心配感謝します 如何にも怪しいシロさん」

 

そう言って鞄を持って帰ろうとする義子にシロは声を掛ける

 

「まぁ待って あの怪物を殺せる良い案件を持ってきたんだ」

 

「良い案?」

 

その言葉で義子はすぐに100億を頭に浮かべ 話を聞いてみることにした

 

「あぁ… 今とある集団で先生を殺せる計画を立てていてね もちろんE組の生徒ではないけどね

その計画に君のようなあいつが油断しない人材が欲しいんだよ」

 

「………私 もうあの先生に警戒されてますよ 嫌われているかも」

 

「はっはっは! それはない 生徒を嫌う先生はいないよ」

 

「………そんな偽善な慰めはいらないです」

 

「でも実際逃げる君を引き留めてくれる 良い先生じゃないか

そんな彼への見返りが暗殺…… 暗殺の上辺で築ける愛業だと思ってE組の生徒も本気で殺しにかかっているんだよ」

 

シロは対先生繊維で出来た白装束のローブと先生の触手の動きを鈍らせる光線銃を渡した

 

「これで君は他の生徒より有利に戦えるだろう 効率良くあいつを殺せるよ」

 

「あの怪物を殺せる……」

 

義子は受け取りローブを見ている シロもニコッと笑い義子の肩を優しく撫でていると

 

「何をしているんですか!!? シロ!!」

 

「おっと…… 邪魔者が来たようだ」

 

義子を担いで後ろに下がるは殺せんせーだった

 

「大丈夫ですか? 義子さん」

 

「え……… はい」

 

殺せんせーはシロに黒い皮膚で睨み付ける

 

「何もしていないよモンスター むしろ君の大好きな暗殺に目を向けてくれるよう彼女の背中を押していただけさ」

 

シロは笑いながらその場を去って行く

自分の身を地に下ろして一息つく先生を義子はじっと見ていた

 

「お怪我はありませんね」

 

「なんでここがわかったんですか?」

 

「ヌルフフフ!! あなたの家は把握してますからねぇ その付近をこのマッハ20で捜し回っただけですよ」

 

「さすが………」

 

「それよりさっきの女子生徒は友人ですか?」

 

 

ーーいつから居たのよ このタコ!!

 

 

「友達だった…… でも結構前からもう会ってすらいない」

 

近くにあるブランコに乗る二人は殺せんせーが持ってきたトマト牛乳パスタを頬張りながら話す

 

「美味しい…… もしかして本場イタリアから仕入れたり?」

 

「いえいえ…… 先生の手作りです これでも先生家庭科も教えているんですよ」

 

「………何でもできていいなぁ先生は 私なんか」

 

「それでも成績はトップ圏内と伺っていますよ」

 

「でも別に何かしたいとも思わなかったから 特進クラスにも行かなかったし

それが原因かなぁ 周りも友人も多分良い思いをしなかったのは 私はただ一時の暗記が出来るだけだったのかも」

 

「にゅ~~…… それで本校舎にいる〝徒花此乃葉〟さんとも疎遠に?」

 

「………知ってたんだ」

 

食べ終わった皿を回収して公園の水道で洗い終え コンビニのカップコーヒーを渡す

 

「先生もハマってるんだこのコーヒー」

 

「にゅやっ!! あなたもですか?! 気が合いますね~~」

 

 

ーーこんな話題 誰も盛り上がらないっつの

 

 

「私と此乃葉は小学校からの知り合いだったの

勉強もトップを競って頑張ってたっけ いつも一緒に遊んでこのままずっと隣で楽しくいれると思っていた」

 

「にゅ?」

 

「でも私は自分の常識の範囲内での行動ばかりで此乃葉の事を理解していなかったんだろうな………

先生は漫画やアニメとか好き?」

 

「えぇー好きですよ この前も渚君や業君と映画を見に行ったり

不破さんとはカフェで一対一で談義したりしています

それこそ今流行りのソニックニンジャなんてもう四人で放課後盛り上がりましたよ!!!!

業君と不破さんが話はベタだと言う反対で私と渚君で反論合戦も始まりましたしね!!!!

日本で言えばドレスパイレーツやMOYASIなど世界に進出するほどの漫画もどれも傑作で時間が足りませんねぇ!!!!」

 

「だよね!! やっぱり少年ジャンプはいつまでも切り離せないよねぇ!!?」

 

ついつい盛り上がる義子は話を脱線してしまったと我に返る

 

 

「そんな趣味だからかな…… 周りを見ようとしない真っ直ぐな正義からの偽善行為が此乃葉を傷つけてしまった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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