強欲ルフィ   作:炭素

5 / 7
シャンクス(たぶん)、マキノ好きの方はこの話から以降受け付けないと思います。バックだ!




東の海
ルフィ十二歳〜出航


 

 

 

「エースがいなくなって、もう三ヶ月か…」

 

ルフィは、コルボ山の頂上にある岩場で、日の出を迎えていた。ほろりと涙を一滴流すルフィの顔は、オレンジ色の朝日で彩られている。

半月ほどで慣れた生活の変化も、いざ思い返すと寂しさが込み上げてくるものがあった。

 

『′仕方ねえよ。アイツもそれなりの歳だ。お前も兄貴の門出を祝福してやれよ'』

「うるせえ」

『'あ?なんだよ'』

 

ルフィは、そっぽを向いてグリードを無視する。

そんなルフィの様子に、グリードはどうしたものかと頭を掻いた。

 

『'エースには、エースの人生があるんだよ。そんなことは分かってんだろ'』

「でも、エースが海に出る十七歳までは一緒のはずだったんだ」

『′って言ってもよ。ていうか何で今さら'』

「今さらって…お前のせいだぞ!グリード…!グリードがあんな事言い出さなかったら、エースは出て行かなかったんだ!」

『′んなこと言われてもよ'』

 

困った風に言っているが、三ヶ月前のグリードの一言が原因だと、ルフィには確信があった。

 

 

〜~三ヶ月前

 

夕食前の出来事だった。

 

『'ルフィ、お前ももう十二歳になったよな'』

「うん、今年の誕生日ケーキは美味かったなー。また、作ってくれよ」

『'また来年な。あれだけでかいの作るのは面倒…じゃなくて、俺とお前が会ってもう五年経ったなってことだよ'』

「おう、そうだな。これからもよろしく!」

『'そう、よろしくだ。でよ、そろそろ女を知ろうぜ、ルフィ'』

「?知ってるけど…」

『'違ぇよ。俺の自論を言ってみ'』

「?…ああ、なるほど。グリードが言いてェことはわかった」

『'よし、じゃあ村に行こうぜルフィ'』

「村に?なんでだ?」

『'マキノのとこだよ。お前が頼めばイけんだろ'』

「うーん、まあいっか。いくかーー」

 

「何処に行くんだルフィ?」

 

「うわっ!…びっくりした。何だよエース」

「…グリードと話してたんだろ?村に何しに行くんだ?もう日も落ちるぜ」

『'…おいルフィーー'』

「男になりに行くんだ。マキノに頼む」

「…は?…はァ!?」

『'あー、'』

「……」

「じゃあ、おれ行ってくーー」

 

「待て」

 

「何だよ?」

「…おれは、逃げない…!!ルフィ、寝てろ。おれが行ってくる」

「え、でもよーー」

「いいから、ガキは寝てろ!!」

 

ドン!!とエースの周りに衝撃が走った。隣のダダン一家のアジトから、バタバタと物音が響いてきた。

 

「わ、わかった。エース、その…」

「行ってくる…!」

『'あーあ…'』

 

そうして、エースは山を降りて行った。その日は帰って来なかった。

山に帰って来たのは、次の日の昼頃だった。

 

「ルフィ。おれ、マキノとお付き合いさせていただけることになった。これからはマキノの家に世話になる。夕方からは酒場を手伝うことに…そんな顔すんなよ。朝から昼過ぎくらいまでは山にいるからよ」

 

〜~

 

 

「やっぱり、どう考えてもグリードのせいじゃねェか」

『'ま、お前にはまだ早かったってことだ'』

「意味わかんねェよ」

『'いいから、ほら瞑想始めろ'』

「ちぇー…」

 

 

『'あー、ツイてねえな'』

「ん…何だよグリード。まだ終わりじゃねェだろ」

 

グリードの呟きにより、ルフィの集中が途切れる。ルフィは目を閉じたまま、先程のこともあって不満を隠さずに言った。

それに、ツイてないと言っている割には、グリードの声は弾んでいる。

 

『'気配の消し方がまんまじゃねえか。あー勘弁しろよ'』

「だから!なんだ…よ……?」

 

勢いのまま目を開けたルフィが見たのは、満面の笑みのエースと、見覚えのないもう一人の顔だった。

 

「エース、誰だこの女?お前、マキノはどうしたんだ!」

「ぶっ…あはははっ!!女だってよ!ルフィ最高だぜっ!なァ!?」

 

エースが、隣の女の肩をバンバン叩きながら爆笑する。女は落ち込んだように、がくーんと頭を落とした。

 

「くく、まぁちょっとばかし女顔になっちまってるが、こいつは男だよ…ルフィ誰だと思う…?ダメだ、言おう我慢できねェ…ルフィ、お前のもう一人の兄貴のサボさ!!サボが生きてたんだ!!死んでなんかいなかった!!帰って…来たんだ…!!!」

 

エースは、途中から涙を流していた。

ルフィは、信じられないものを見たかのように固まった。

エースは、今までルフィの前では一度も涙を見せたことがなかったのだ。よく見れば、目が真っ赤になって少し腫れている。一度泣いていたのかもしれない。

そして、そこまでいってようやく、ルフィはエースの言葉を飲み込んだ。

サボの顔をじっと見つめて数瞬、ルフィは、ぱくぱくと口を動かした。

 

「え…で、でも…サボは死んで」

「だから生きてたんだんだよ!!お前も何とか言えよサボ…!っぐぅ」

 

ルフィは、再度サボに、ゆっくりと視線を移す。

サボは、にかっと歯を見せて笑っている。

 

「ルフィ…ただいま!!まさかお前にもそう思われてーー」

 

ルフィは言葉を遮って、サボの胸に飛び込んだ。

 

 

 

それから、半年後。

 

明け方の時間。ひんやりとした冷気が、海の匂いを感じさせる。天気は快晴。風の向きも悪くはない。

ルフィは、フーシャ村の港に一人ボートに乗って、出航の準備をしていた。見送りは、村長、マキノの二人だけだ。

 

「じゃ、行ってくる」

ぽこん、と村長に杖で頭を叩かれる。

 

「軽いわいルフィ。心配しているワシらが馬鹿みたいだろう」

「そう言われても、一年だけだしよ」

「…考え直さんか。お前の兄はまだしも、お前はまだ十三にもなっとらんのだ」

「航海術も(グリードが)もってるから心配すんなよ」

「…はぁ、海賊にはなってくれるなよ」

「まだ海賊旗は上げねェよ」

「まだ、か…」

「村長、大丈夫よ。ルフィはしっかりしてるわ」

 

パチンとマキノがウインクを飛ばしてきた。マキノは、グリードの存在を知っているからだ。

 

事の起こりは、一ヶ月前。サボの提案から始まった。

「一度、海に出てみないか?偉大なる航路(グランドライン)には入らねェで、この東の海(イーストブルー)で…そうだな半年…いや、最低でも一年くらい」と。

そんなことを突然言い出したサボに、怪訝に感じたルフィだったが、同時に胸を高鳴らせた。実際に、兄の一人はもうすでに海を見ているのだ。話を聞いて、興味が湧かないはずがない。

正直なところ、あと五年も待っていられなかったのが本音だ。

そして、金である。

ルフィはグリードの影響で、日頃から金銭欲を持て余していた。たまにゴミ山の港にやってくるゴロツキ達では、そう金を持っていない。欲は、中々満たされていなかったのだ。

それがどうだ。

偉大なる航路(グランドライン)に入らずとも、この東の海(イーストブルー)にも海賊はそれなりにいる。つまり、そういうことだ。宝が取り放題である。

加えて…いや、こちらが本命。賞金首だ。

十歳の頃から手配書を集めては、その金額を眺めるルフィにとって、サボの提案はまたと無い機会だったのだ。

 

反対に、エースは興味を示しつつも、あまり乗り気ではなかった。マキノと離れづらかったのが、一番の理由である。

最終的には、サボに説得されたマキノに説得され、エースは一年の航海を決めた。

ルフィは、詳しいことを聞いていないため、その三人の間でどんな話があったのかはよく知らない。

気にもならなかった。もう自分の欲に一直線だった。

 

ルフィは、今頃ゴミ山の港から出航しているだろう二人の兄を想いながら、海を見据える。

 

「グリード、一億だ。おれは、一年間で一億稼ぐぞ!」

『'何度も言ってるけど、少し力抜いてけよ'』

「まかせろ!!」

『'あー…サボとエースも少しは言い聞かせとけよな…ま、目標は悪くねえ。いい欲だぜルフィ'』

「おう!」

 

ルフィは、意気揚々に海へと飛び出した。

 

 




エース突撃


「マキノ、おれ…おれと…」
「おれと?」
「結婚してくれ!」(やべ、違ェ!)
「…十歳近く離れてるよ?わたし」
「関係ねェ!!おれは本気だ!!」
「でも残念。エースまだ結婚できる年齢じゃありません」
「!?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。