至高の棋士   作:夜叉

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プロット作成済み。
プロローグ上下の感想、評価にて連載開始予定。
将棋を愛し、夜叉神天衣を愛する全てのロリコンへ捧げる作品。


プロローグ 棋士との出会い

 

 至高の棋士、久瀬一( くせ はじめ)名人。

 

 当時、将棋界に激震が走った。19歳という若さで久瀬一は名人戦を勝ち抜き、名人へと至る偉業を成し遂げる。

 戦法は後手番一手損角換わり、角換わりの一種だ。

 将棋は従来先手が若干有利とされていたが日本将棋連盟公式棋戦においては微差ながら、統計開始以降はじめて後手の勝率が先手のそれを上回った。

 角換わりの序盤において、後手が△8五歩を省略するために早期に角交換する。そのために後手の上にさらに一手損するという、従来は考え得なかった戦法である。

 

 そんな彼は小学六年生にプロ棋士となり、中学を卒業後に高校には行かず将棋指しの現在を送っている。

 黒髪のショートカットに切れ長の瞳が特徴的な美青年であり、小学五年生の時に両親を交通事故で亡くして以来というもの、両親もアマチュアでの将棋指しとして名を馳せていたために“形見”である将棋を大切にしてきた。

 そうして足早と将棋界の階段を登った先に待っていたのは名人位だった。

 

 

 

「アンタなんて大嫌いっ!! おじいちゃまのバカーっ!!」

 

 もう独りで将棋を指すのには限界が来ていたから、おじいちゃまに頼んでお父様が生前に約束をしていた九頭龍八一先生への弟子入りしようと思っていたのにお父様の事すら記憶に残っていない将棋指しに教えを乞うなんて絶対に嫌よ!!

 

「もう、誰もお父様のことなんか……覚えてない」

 

「僕は覚えてますよ、アマチュア名人だった夜叉神さんのことは」

 

 縁側で煎餅をかじりながらお茶を呑んでくつろいでいる、この男は誰なの。

 

「だ、誰よ……あなた」

 

「九頭龍八一先生と同じく、昔に夜叉神さんと縁があった者ですよ。名前は久瀬一といいます。あっ、このお煎餅とお茶は晶さんから頂いたので勝手に盗んで食べ飲みしているわけではないですからね!!」

 

 両手を広げてあわあわとしている様子を見て、不思議とつい先程までの八一先生へ感じていた怒りはどこかに飛んでいってしまっていた。

 どこか、お父様の雰囲気と似たようなものを持ってるように感じる。

 

「……それであなたは何をしに来たわけ?」

 

「生前、夜叉神さんと約束をしていました。もし僕が棋士として名人になった時、天衣さんを弟子に迎えると」

 

「……っ!!? お父様が言っていたの、一人は若くして才がある者、いずれは頂点に立つ棋士。もう一人は若くして智を磨く者、いずれは至高に到達する棋士。九頭龍八一先生と久瀬一先生のことね」

 

 おじいちゃまに将棋関連の本を買って貰って読んでいると度々、久瀬一先生の将棋の戦法が載っている。

 私が指すであろう、お父様が遺してくれた将棋の戦法である後手番一手損角換わり、角換わりの一種。

 

「夜叉神さんがそのように言っていたとは嬉しく感じますね……願わくば生きてお会いしている時に言っていただきたかった。僕も幼い頃に両親を事故で亡くしていましてね、悲しみに暮れながらも形見として将棋があったので両親が遺してくれた将棋を守るために、証明するために今日まで将棋を指してきました」

 

 言葉が出てこなかった。

 目の前にいる、久瀬一という一人の棋士に私は自分自身の今を重ねてしまった。両親が遺してくれた将棋、それを誰の記憶にも残されずに消えていくのは嫌だ、家族との大切な思い出が消えていくのは嫌だ。

 私は証明する、お父様が居たから、居てくれたから今の私があるんだと。大切な家族との大切な思い出を守るために、女流棋士になるのよ、絶対にね。

 




プロローグ上下は1400文字構成。
評価よろしくお願い致します。

連載開始が決まった場合、5000文字構成となります。視点は基本、天衣ちゃん視点及び久瀬視点です。
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