君が演じ、僕は歌う   作:ソウリン

24 / 51
第24話です
千聖編です


第24演目 みんなあなたを愛してる

それは、とある初夏の日曜日だった。

その日、私は久しぶりに暇を持てあましてた。日曜日にも関わらず、珍しく仕事は入っておらず、パスパレとしての活動もレッスン含めて一日オフ。だけど、雅は今日一日中仕事。折角のオフなのにデートもできない。私は、暇を持てあましていた。

 

「暇ね・・・」

 

「あはは、千聖ちゃん、さっきからそればっかりだよ」

 

今私は、とあるファミレスに花音と来ていた。さっきまではウィンドウショッピングを満喫していたのだけれども、数時間も楽しむとさすがに見るものが無くなり、このファミレスに二人できていた。時刻は夕方。雅の仕事が終わるまでは数時間ある。私はそれまでの時間、特にすることもなく、暇を持てあましていた。

 

確かに、花音とのおしゃべりは楽しい。それは間違いない。だけど、今日一日、私は何か物足りなさを感じていた。原因はわかっている。雅が隣にいないことだ。実の所、私は最近同じ現象をよく感じている。学校でも、事務所でも、雅が隣にいないと思うと、なんだかとたんに虚しい気持ちになってしまう。

 

それが、今感じてる物足りなさの正体。雅と数時間離れている。それだけで、どうやら私は寂しさを感じるようになってしまったらしい。自分でも、恋人になることによってここまで雅に依存してしまうとは思ってもいなかった。今はただ、寂しい。

 

「あれー?千聖と花音じゃん」

 

寂しさを感じていると、急に誰かに名前を呼ばれた。その方向に目を向けると、そこにはこの前のイベントで知り合った子、バンドでは私と同じベースを担当している女の子、リサちゃんがいた。

 

よく見ると、彼女の後ろにはそんな彼女が所属するバンド、Roseliaのメンバーが勢揃いしていた。今来たのかと思ったが、どうやらそうでは無いらしい。リサちゃんの手には伝票が握られていた。おそらく、今からお会計なのだろう。来ていたことに全く気づかなかった。

 

「こんにちは、みんな。今日も練習かしら?」

 

「いいえ、来週近くのライブハウスでライブを行うため、今日はその打ち合わせに来ていました」

 

私の質問に答えてくれたのは紗夜ちゃん。あの日菜ちゃんのお姉さんだ。日菜ちゃんが才能の人だとするなら、彼女は努力の人。弛まぬ努力で今の実力を手に入れた。その分、なんでも才能一つで熟してしまう日菜ちゃんに劣等感を抱いているみたいだけど。

 

「そうだわ。来週のライブ、私も見に行っていいかしら?」

 

「もちろんいいけれど、急にどうしたの?」

 

ボーカルを担当する友希那ちゃんの質問が飛んでくる。彼女の歌声は凄い。雅にも負けず劣らずのカリスマ性を秘めている。だからこそ、雅に彼女の歌を聴いてみてほしかった。これが本音だ。

 

「みんなに、会ってほしい人がいるの。ライブが終わってから、控え室に伺ってもいいかしら?」

 

これが建前。というわけでもなく、実は両方本音。雅に友希那ちゃんの歌を聴いてほしい。そして、彼女に会ってみてほしい。きっと、素敵な出会いになると思うから。

 

「わかったわ。スタッフにはこちらから話を通しておくわ」

 

「ありがとう。助かるわ」

 

それだけ言って、友希那ちゃん達は出口に向かう。来週が楽しみになってきた。雅は、一体どんな反応を見せてくれるだろう?今から楽しみで仕方ない。

 

「千聖ちゃん、今雅君のこと考えてるでしょ?」

 

「あら?花音、よくわかったわね」

 

「だって千聖ちゃん、雅君が関わってるときが、今みたいに一番楽しそうなんだもん」

 

どうやら私は雅のこととなるとすぐ態度に出てしまうらしい。気をつけないといけない。と思いつつ、次の瞬間には来週の雅の顔を想像して、また態度に表れてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間が経過した。今日はRoseliaのライブの日。そして、そのライブはすでに始まっている。目の前で繰り広げられる目を見張るような素晴らしい演奏。友希那ちゃんの聴く者を問答無用で惹きつける歌声。熱気に包まれる観客達。

 

心地良い空間だった。一体感に包まれた観客と、夢中になって叫んで跳ねる。これも全て、彼女達のレベルが高いからできること。観客達が心の底から彼女達の演奏を楽しんでいるのがよくわかる。

 

隣の雅に目を向けてみると、彼もまた彼女達の演奏に夢中になっていた。彼女達の一挙手一投足を見逃すまいと目を見開いている。おそらく、彼女達の技術を自身の糧にしようとしているのだろう。

 

「凄い・・・」

 

雅が呟く。やっぱり、彼女達の演奏はレベルが高い。プロである雅ですら、思わずこう呟くのだから、もはや疑いようが無い。彼女達は、すでにプロのレベルに達しているのかもしれない。

 

「雅、彼女達に会ってみない?」

 

そして、そんな彼女達と雅に会ってほしかった。理由はいくつかあるけれども、一番の理由は、雅に友希那ちゃんと話してみてほしかった。私の抱いた印象では、友希那ちゃんは雅によく似ている。だから、雅に実際に会ってほしかった。きっと、二人にとっていい出会いになるから。私はそのような確信を抱きつつ、雅を引き連れて関係者エリアに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

事前に友希那ちゃんに言ってあったこともあり、私達は関係者エリアにスムーズに入ることができた。といっても、入り口に立っていたスタッフさんに雅がサインを求められたりしていて、スムーズかどうかは正直判断に困るけれども。

 

何はともあれ、私達は彼女達の控え室の前まで来ていた。雅の様子を窺うと、どうやら早く中に入りたくてソワソワしている様子。まるで、子どもみたいにワクワクしているということが一目でわかる。

 

「はい」

 

扉をノックすると、中から女の子の声が返ってくる。この声は紗夜ちゃんかしら?ほどなくすると、扉が開き、中から水色の髪をした女の子が顔を出した。案の定、紗夜ちゃんだった。

 

「お疲れ様、紗夜ちゃん。素敵な演奏だったわ」

 

「白鷺さん、ありがとうございます。それで、私達に会わせたい人物がいるとのことですが・・・あら?そちらの方は・・・」

 

「まさか、黒城雅?」

 

「ええええええ!雅様!?」

 

当然のことのように、皆がそれぞれ驚愕の表情を見せてくれる。あこちゃんは、確か雅のファンだと言っていた。その、憧れの人物がいきなり目の前に現れたのだから、驚くのも無理も無いでしょう。あの友希那ちゃんですら、声には出していないものの、その目が大きく見開かれている。

 

「え?おーほんとだ!テレビで見た顔がいるよー!」

 

「黒城・・・雅さん・・・あこちゃんの、憧れの人・・・」

 

そして遅れて、リサちゃんと燐子ちゃんも中から顔を出してくる。出してくれるのはいいのだけれども、私達は今通路に立っている。いい加減中に入れてくれないかしら?まぁ、いきなり目の前に雅が現れて驚くのも無理は無いけれども。

 

「とりあえず、中に入ってもいいかしら?」

 

「そうね。私も、彼とは話してみたかったからいいわ」

 

友希那ちゃんからの許可が出て、部屋の中に通される。どうやら、友希那ちゃんも雅と話してみたかったらしい。やっぱり、友希那ちゃんも、自分が雅と似ていると感じていたのかしら?

 

「まずは自己紹介だね。皆知ってると思うけど、僕の名前は黒城雅。気軽に雅って呼んで欲しい。僕も気軽に呼ばせてもらうから」

 

「そう、わかったわ。私は湊友希那。このバンドのボーカルよ」

 

「私は氷川紗夜。ギターを担当してしています」

 

紗夜ちゃんの自己紹介を聞いて、納得いったような表情を見せる雅。どうやら、氷川という名字と、その似通った容姿から、気づいたみたいね。日菜ちゃんと紗夜ちゃんの関係に。

 

「そうか、君は日菜ちゃんの・・・」

 

「っ!・・・えぇ、日菜は私の妹です」

 

日菜ちゃんの名前が出ると、紗夜ちゃんは一瞬だけど、確かに表情をゆがめた。やっぱり、二人の関係はまだ上手くいっていないみたい。日菜ちゃんは、今度ある七夕祭りに紗夜ちゃんを誘いたいって言っていたけれど、上手く行くかしら?断られるのが怖くてまだ誘えていないみたいだけれども。

 

「アタシは今井リサ。よろしくー。いやー、でもまさかテレビでよく見る芸能人にこんなところで会えるなんて思わなかったよー」

 

リサちゃんは相変わらずフレンドリーね。雅も、見かけによらずコミュ力は高いけれども、それを差し置いても彼女のコミュ力は非常に高いと思う。

 

「んんっ、・・・わらわは闇を統べる王。今宵の汝との血肉騒ぐ宴席、堪能させて頂くぞ。・・・どう、りんりん?雅様の前でカッコよく決まった?」

 

「うん、あこちゃん・・・すごくカッコよかったよ?」

 

「ほんと?やったぁ!」

 

「あはは、でもあこ。それじゃ、憧れの雅様に自分の名前が伝わってないぞー?」

 

「あ、そっか。あこは、宇田川あこって言います!憧れの雅様に会えて感激です!」

 

あこちゃんも相変わらずね。正直、先ほどの口上はかっこいいのかどうかよくわからないけれども。

 

「なるほど、巴ちゃんの妹っていうのは・・・」

 

「そうです!あこです!この間はサインありがとうございました!絶対大事にしますね!」

 

どうやら、宇田川という名字からあこちゃんと巴ちゃんの関係に気づいたらしい雅。よくよく考えると、知らないうちに雅は、Roseliaとの繋がりができていた。本当に、世間というのは狭いものなんだと実感する。

 

「うん、大事にしてね。良いお姉さんを持ったね」

 

「はい!自慢のおねーちゃんです!」

 

相変わらず姉妹仲も良好みたいね。日菜ちゃん達の仲も良好になってくれればいいのだけれども。

 

「あの・・・私は、白金、燐子、です・・・よろしくお願いします・・・」

 

「うん、よろしくね、燐子ちゃん」

 

燐子ちゃんも相変わらず人と話すのが苦手みたいね。ライブ中の彼女を見てると、彼女のこういった一面を忘れそうになるけれども。

 

「雅さん、一つ質問してもいいかしら?」

 

「なに?友希那ちゃん。僕に答えられることなら答えるよ」

 

「あなたの曲は以前から聞かせてもらっているわ。それで、あのような曲が作れるあなただからこそ聞いてみたい。雅さん、あなた一日にどれくらいの時間音楽のことを考えて過ごしているの?」

 

友希那ちゃんがこんな質問を投げかけたくなるのもわかる。雅の作る曲は、基本的に日常の中の風景をモデルにしている。町中で繰り広げられる他愛も無い会話。外を歩けば誰もが出くわすような日常的光景。逆に、家の中で起こるよくある現象など、本当に一日生活していれば誰もが見かけるようなシチュエーションをテーマに作られることが多い。

 

だからこそ、多くの人からの共感を得ている。歌詞からまるでドラマを見ているように情景が浮かんでくると。だけど、そんな曲を作り続けるには、日常の中で音楽のことを考えて生活していないと難しい。些細な事にもすぐに反応して曲に取り込めるように、アンテナを張ってないと難しい。だから友希那ちゃんは聞きたかったのだろう。一体、雅は一日の内に、どれぐらいの時間アンテナを張って生活しているのかと。

 

「あはは、恥ずかしながら、ほんの数度・・・」

 

「数度?そんなに少ないのですか?」

 

「意外・・・です・・・」

 

ほんの数度。たしかにそれだけ聞けば意外に思うでしょう。だけど、これは雅の言葉足らず。たぶん、雅のことでしょうから、普通それぐらいは考えて生活してるものじゃないの?とか、自分を普通だと考えて質問に答えてそうね。

 

「うん、どうしても一日に数度、音楽から意識が離れちゃう時があるんだ」

 

「て、え?そっちの数度?いやいや、どれだけ音楽のことばかり考えてるのさ?」

 

「さ、さすが雅様!」

 

驚愕の表情を浮かべる面々。雅のことを知らないと、驚くでしょうね。だけど、雅に取ってはこれが普通。何一つおかしなことはない。だって、私とのデートの時ですら、頭の片隅にはいつも音楽のことを置いてあるのだから。だけど、そんな雅でも日に数度は音楽のことが意識から離れる時があるらしい。一体いつなのかしら?こればかりは私にもわからない。

 

「そんなに驚くことかな?友希那ちゃんだって似たようなものじゃないの?」

 

「・・・さすがに私もそこまででは無いわ」

 

「そう?友希那ちゃんならありえると思ったんだけどね?だって君は・・・」

 

そこで私は思わず、はっ、となった。まさか、雅もそう感じていたとは思わなかった。思い返せば、雅も友希那ちゃんの歌声を聞いていたのだから、当然かもしれない。その歌声から、雅なら何かを感じ取ってもおかしくない。そう、例えば・・・

 

「僕に似ているから」

 

自分に似ているとか。雅と友希那ちゃんはよく似ていると思う。そのカリスマ性、音楽に対する姿勢。音楽に関しては人に厳しく、それ以上に自分に厳しい面。非常によく似ていると思う。音楽に関して違う点を上げるとするならば・・・

 

「だけど、君は僕と違って見つけたんだね。最高の仲間達を」

 

そう、バンドかソロかの違いだろう。といっても、雅にだってバンドを組んでいた時期はあった。本当にわずかな期間で終わってしまったけれども、確かにバンドを組んでいた時期はあった。

 

やめた理由は仲間が練習に着いて来れなかったから。そもそも雅は、音楽に関しては自分が一般的だと考える傾向にある。練習量だってそう。自分の練習量は普通だと思い、仲間に課したわけなのだけれども、誰もその練習に着いてこれなかった。

 

雅はいつも、その倍の練習量を熟していたというのに、誰も着いてこれなかった。だからこそ、現在雅はソロで活動している。雅が言うには、もうバンドは諦めたらしい。無理も無い話だとは思う。

 

「本当に、羨ましいよ。自分の理想(ゆめ)を支えてくれる、一緒に追ってくれる仲間がいて。本当に、羨ましいよ」

 

その雅の言葉を聞いて、私は凄く悲しい気持ちになった。羨ましい?それじゃ、まるで今はそんな人物一人もいないみたいじゃない。じゃあ私は何?私じゃ、雅の支えにならない?一緒に夢を追いかけれない?

 

「ふっ、あなたにもちゃんといるんじゃない?隣で支えてくれる人が」

 

「え?」

 

いてもたってもいられず、雅の手を握る。私の存在に気づいてほしかった。私のことを見てほしかった。雅が静かにこちらを振り向く。その顔には、懺悔の色が浮かんでいるような気がする。私のことに、気づいてくれたのだろうか?

 

「・・・そうだったね。ごめん、千聖。何も、僕を支えてくれるのは、一緒に夢を追ってくれるのは同じステージに立つ人だけじゃ無かったね。こんなバカな僕だけど、これからも支えてくれる?夢を応援してくれる?」

 

返事は返さなかった。そんな当たり前なこと、一々声に出す気にもならない。言われなくても、いつまでだって隣で支えてあげるのだから。だからこそ、言葉の代わりに笑顔を送る。それだけで、察してくれたのか、雅がきつく抱きしめてくれた。暖かくて、安心する胸。私の大好きな場所。

 

「おーあっついねー」

 

「おねーちゃんから聞いてたけど、お二人って本当にそういう関係だったんですね・・・」

 

「お、大人です・・・」

 

「白金さん、いちおうあの二人は同い年ですよ?大人もなにもないと思います」

 

皆が何か言っているけれども、今はどうでもよかった。今はただ、この温もりに溺れたい。だけど、その時間も終わりらしい。雅の胸が私から離れていく。凄く残念に思う。

 

「そうだね、ありがとう友希那ちゃん。君のおかげでなんだかスッキリした気がするよ。そうだね。何も支えてくれるのはバンド仲間だけじゃない。それを思い出させてくれてありがとう。どうも、君たちの演奏を見てると、昔の嫌な記憶を思い出しちゃってね。思考が短絡的になってたよ」

 

「別に、私は何もしていないわ。あなた達が勝手に気づいただけ。だから気にする必要は無いわ」

 

友希那ちゃんは良い子ね。言動で勘違いされることもあるみたいだけど、本当に優しい子。今はその優しさを享受しよう。

 

「友希那ちゃん・・・いや、友希那、君とはどうやら最高の友人になれる気がするよ」

 

「そうね、私もそんな予感がするわ、雅」

 

そう言って、互いに笑顔を浮かべる二人。出会ってそんなに間もないけれども、友希那ちゃんのあんな顔初めて見た。・・・これはひょっとすると、雅に惚れちゃったかしら?そうなると、さっきの優しさは別問題ね。少しお話しする必要が出てくるわね。

 

「おーこんな良い笑顔した友希那なんて久しぶりに見たよー。これはあれかなー?ついに友希那に男の陰が!っていうやつかなー?」

 

「ちょ、ちょっとリサ。変なこと言わないで」

 

「友希那さん、ちさとさんは強敵ですよ?頑張って下さいね!」

 

「ちょ、ちょっとあこまで何を言ってるの?」

 

「ゆ、友希那さんも、大人です・・・」

 

「湊さん、微力ながら応援しています。ですが、練習に影響の出ない範囲でお願いします」

 

「り、燐子に紗夜まで・・・」

 

「あら?面白そうな話してるわね?もっと詳しく聞かせてもらってもいいかしら?友希那ちゃん?」

 

「し、白鷺さん、その顔は何?笑顔なのに、目と心だけは笑ってないわよ・・・」

 

「あちゃー、友希那、骨が残ってたら拾ってあげるから頑張ってね」

 

「り、リサ、元はといえば誰のせいだと思って・・・」

 

「友希那ちゃん?お外でお話ししましょうか?二人で」

 

「ま、待って。今あなたと二人になるのは・・・」

 

「湊さん。では、先に解散してますので、ごゆっくりしてきてください」

 

「さ、紗夜、あなた・・・」

 

「行くわよ、友希那ちゃん?」

 

「ちょ、ちょっと白鷺さん?手を離して?潰れそうだから、ちょ、ちょっと?」

 

その後、私と友希那ちゃんはお外で仲良くお話をした。終始、友希那ちゃんの声と体が震えていたような気がするけれども、気のせいかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は既に夜に差し掛かろうとしていた。私は今雅と二人、帰途についていた。今日という一日は素晴らしい日になった。雅と友希那ちゃんを会わせる作戦は大成功。今日出会ったばかりなのに、早くも親友と呼べる関係にまでなっていた。気がかりは、友希那ちゃんが雅に対して今以上の関係を求めないかだけれども、あれだけお話ししたのだから大丈夫でしょう。

 

そして、その雅は現在、私の隣で何かを考え込んでいた。また悩み事かしら?最近雅はよく悩みを抱えていると思う。

 

「雅?どうかしたの?」

 

「うん、ちょっとね。千聖が僕のことをいつも支えてくれるのはよくわかったよ。だけど、逆に言うと、千聖しか僕の支えになってくれてないのかな?千聖の支えにしか僕はなってないのかな?って思っちゃって。パスパレのみんなや、ファンの人達。多くの人のことを想って僕はここまで音楽活動を続けてきたけど、逆に僕のことを想ってくれてる、支えようとしてくれてる人っているのかな、って考えちゃって。あはは、なんだかあつかましい悩みだよね」

 

「雅、それはちょっと視野が狭いわよ?音楽のことばかり考えてるせいかしら?そうね、例えば今日のあこちゃん。あなたに会えてすごく喜んでたわよね?雅に会えただけであんなに喜べるのって、あなたのことを想っている証拠じゃないかしら?この間のひまりちゃんだって同じよ。それに、あの二人だけじゃない。パスパレのみんなだって、千景だって、今日会ったばかりの友希那ちゃんだって、言葉にしなくても、ちゃんと雅のことを想ってる。支えようとしている。愛しているわよ。ちょっと考えればわかることよ?少しは音楽以外のことにも目を向けてみたら?」

 

本当に、視野が狭くなっているんじゃないかしら?千景やパスパレのみんなも、雅といる時、本当に楽しそうにしている。それはもう、心の底から。そんなこと、本当に雅のことを想っていないとできないんじゃないかしら?そんなこと、一々声にするようなことでも無い。だから誰も言わない。だけどちゃんと、みんな雅のことを想っている。みんな雅のことを愛してる。それは間違いない事実なのだから。

 

「あはは、手厳しいね。でも、それも仕方ないことか。そうだよね。ごめん、変なこと聞いて。どうも最近ナイーブになってる気がするや。音楽活動の方が難航してるからかな?ごめんね」

 

「いいのよ、気にしないで。だけど、一番雅のことを想っているのは、愛してるのは私だから。それだけは、覚えていて?」

 

「あはは、忘れるわけないじゃないか。逆もまた然りだよ。千聖のこと一番想っているのは、愛してるのは僕だからね」

 

「えぇ、わかっていいるわ」

 

誰も言わない。だからこそ、言葉にするのは私の特権。いつだって、言葉にしてあげる。だから、いつだって言葉にしてほしい。愛してる。それは魔法の言葉。人を簡単に幸せにする呪文。私は今日もその呪文を唱える。雅が幸せになりますように。夢が叶いますようにと、願いを込めて呪文を唱える。二人が、いつまでも幸せでいられるように。呪文を唱える。明日も。来年も。いつまでも。




どうも、ソウリンです。
なんとか間に合った(二回目
いやー寝ずになんとか仕上げることができました。
今から爆睡します。あんま寝る時間無いけど(白目
今回のサブタイトルは、劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!より、Kiroroさんのみんなあなたを愛してるです。
自分、正直ケロロ軍曹シリーズって全く見たことないんですよね。この映画も見たことはありません。ですけど、この曲はすごく好きです。シンプルな歌詞と、Kiroroさんの芸術のようなハモりが心地よい曲ですね。本当に名曲だと思います。
そしてお礼を一つ。☆9評価ありがとうございました!これからも、期待に応えられるような作品目指してがんっばっていきますので、応援お願いします!
そして、誤字報告もありがとうございました!前話で気をつけると言っておきながらいきなりこれだよ(白目
こ、今度こそ気をつけます(震え声
まぁ、もし過去話でもなんでも、誤字脱字等を見つけて頂いた際は報告して頂けるとありがたいです。ご協力よろしくお願いします。
では、今回はこの辺で。
次回は雅編です。バンドとの出会い3部作最終章です。え?三部作だったら一バンド足りないじゃないかって?ははは、ちゃんと初登場話は考えてますのでご安心を。ひとまずは終了とします。目標は20日の午前0時とします。
間に合わなかったら仕事の(ry
ではでは、よかったら次回もお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。