君が演じ、僕は歌う   作:ソウリン

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お待たせしました
第29話です
雅編です


第29演目 シアワセ☆ハイテンション↑↑

皆は、夏といえばまず最初に何を連想するだろうか?

みずみずしく育ったスイカ。

空を彩る鮮やかな花火。

球児達の思いが籠もった甲子園。

人によって様々な物を連想することかと思う。

だが、そんな中でも今僕の目の前に広がる風景を連想する人は多いのではないだろうか?

嫌でも人の体を焼き付ける太陽。

きめ細かな姿が美しくもある、白い砂浜。

その辿り着く先が全く見えない水平線。

つまり、真夏のビーチ、海の光景が僕の目の前に広がっていた。

 

「予想してたことだけれども、すごい人ね」

 

もちろん、こんな場所に僕一人で来たわけではない。隣には、千聖がいる。今日は所謂デートに来ていた。二人揃って休みが被った休日。夏休み中にそう何度もある訳ではない。こんな日を有効活用しない手はないと、僕達は即断即決の精神でここまでやってきていた。

 

もちろん、こんな場所に来たのにいつまでも私服でいるわけがない。僕達は既に水着に着替えていた。千聖も、今は薄黄色を基調とした花柄のワンピースタイプの水着に着替えている。ものすごく可愛い。

 

「雅、どうしたの?そんなに見られると恥ずかしいんだけれど・・・」

 

「あ、ごめん。その、凄く似合ってて可愛かったからつい・・・」

 

「そ、そう。あ、ありがとう・・・」

 

そう言って顔を真っ赤にして俯く千聖。その仕草がまた可愛らしかった。

 

「そ、それより折角来たんだから泳がないと勿体ないよね!いこ?千聖」

 

「えぇ、そうね」

 

そして、僕達は手をつなぎ、海の中に入っていく。行こうとしたのだが・・・

 

「待って雅。準備運動がまだだわ」

 

千聖に止められた。言われてみれば確かに着替えたばかりで、僕達は何も準備を行っていなかった。

 

「そうだったね。ごめんごめん。忘れてたよ」

 

「逸る気持ちもわかるけれども、何事も準備が肝心よ。しっかり準備をしましょ?」

 

そして、念入りに準備運動を行っていく。体をほぐしていくけれど、なんだか以前より固くなってる気がする。最近あまり運動をしていないせいかな?僕は普段から、人並みに体力作りに励んでいた。長時間のライブを行うには、技術云々(うんぬん)よりもまず体力がいる。そのために、体力作りには力を入れている。

 

といっても、たまにランニングを行っている程度だけど。因みに、僕の運動能力は同年代の平均以上にはあるつもりだ。といっても、あくまで平均より少し高い程度。決して高いわけではない。泳ぐのも平均並の能力というわけだ。逆に千聖は運動が苦手だったりする。泳ぐのもあまり得意では無かったはずだけど。

 

「さて、このぐらいでいいかな?じゃあ、改めて行こうか?千聖」

 

「えぇ、そうね。行きましょ?雅」

 

そして僕達は遂に念願の海に足を踏み入れた。その途端に、太陽によって熱せられた体を癒やすかのような、心地の良い感覚が足に伝わってくる。

 

「あー気持ちいい・・・」

 

「ふふっ、そうね。風も、波も、何もかもが気持ちいいわ」

 

海に来た。その実感を嫌でも僕達に与えてくれた。

 

「さて、それじゃ思いっきり楽しみましょ?明日の仕事のことなんて考えないで」

 

「あはは、そうだね。明日の仕事は二人して日焼けと筋肉痛で苦しんじゃおうか」

 

日焼け止めはしっかり塗った。とはいえ、この照りつける忌々しい存在の前では気休め程度にしかならないだろう。今朝の天気予報を信じるなら、今日の気温はこの夏最高をマークするらしい。全くもって知りたくない情報だ。

 

「雅」

 

「ん?何千聖?ってぶふっ!」

 

千聖に呼ばれ、そちらに振り向くと急に水の塊が飛んできた。飛ばした犯人は言うまでも無いだろう。

 

「ふふっ、今の雅の顔、ふふっ、ふふふっ!」」

 

「千聖、笑いすぎだよ!よーし、こうなったら、えいっ!」

 

「きゃっ!やったわねー!お返しよ!」

 

「わあっ!やったなー!負けないよ!」

 

その後も、僕達はお互いに負けじと水をぶつけ合う。そんな他愛も無いことが楽しかった。海に来たからだろうか?なんだかテンションが高まってる気がする。いつになく、やけにハイテンションになっている気がする。だけど、嫌な気はしない。むしろ幸せに感じるほどだった。

 

「ふふっ、こういうのもたまには悪くないわね」

 

「そうだね。なんだか楽しくなってきちゃったや」

 

「そうだわ、雅。今から私に泳ぎを教えてくれないかしら?」

 

「泳ぎを?でも千聖、別に泳げないわけじゃ無いじゃん」

 

「泳げるけれども、苦手なものは苦手なのよ。こういう機会でもないと教えてもらえないし、お願いできないかしら?」

 

「うーん。そうだね。たまにはいいかな。わかったよ。教えるよ」

 

「本当?ありがとう。うれしいわ」

 

「とは言っても、僕も人並み程度にしか泳げないからね。上達しなくても僕のせいにしないでよ?」

 

「ふふっ、勿論よ」

 

そんな成り行きで、僕は千聖に泳ぎを教えることになった。教えるにあたって、まず最初に千聖の泳ぎを見せてもらった。泳げるには泳げている。しかし、その動きはどこかぎこちなかった。

 

「雅、どうかしら?」

 

「うーん、ちゃんと泳げてるには泳げてるんだけどね。どこか違和感があるよね。たぶん足の動きかな?もっと水を強く蹴るように心がけてみようか?」

 

そのアドバイスを聞き、再び泳ぐ千聖。しかし、その動きは先ほどとあまり変わりはなかった。

 

「どうかしら?」

 

「千聖、たぶん手の方に意識を持っていきすぎなんだよね。もっと足に意識を持っていって、力強く水を蹴る練習をしようか?初歩的な練習だけど、僕が手を持ってるよ。足だけに集中して、強く蹴ってみよう」

 

僕が、千聖の手を持って沈まないようにし、千聖には足だけに集中させる。その練習が功を奏したのか、千聖の動きは段々と良くなっていっていた。

 

「うん、良い感じだよ千聖」

 

「本当?ふふっ、雅のおかげね。・・・って、み、雅!後ろ!」

 

「え?後ろ?」

 

その千聖の悲鳴にも似た叫びに誘われ、後ろを振り向く。そこには、こちらに迫る波があった。ただの波だったらこんなに千聖も騒がないだろう。ただの波であったならば。その波は、この海岸では珍しい、平均男性の肩辺りまである大きな波だった。それも、平均男性の身長で計算した場合の話。

 

僕の身長は160センチほど。千聖に至っては150センチほどしかない。つまり、二人ともその平均よりも下回っていた。僕達二人とも、頭までスッポリ入ってしまうだろう。そんな波がすぐ目の前にまで迫っていた。

 

周りを見れば、他の客も一目散に砂浜へ向かって逃げている。僕達もすぐに逃げようにも、気づくのが遅すぎた。次の瞬間、僕達は大波に飲まれた。

 

「うわっ!」

 

「きゃっ!」

 

その衝撃で、思わず千聖の手を離してしまう。波に飲まれ流される僕達。そんな急流の中でも、僕は懸命に泳ぎ、千聖を追いかけた。千聖は、波に飲まれ泳ぐこともままならないようだ。このままだと、危ないかもしれない。後数メートル。それだけの距離だ。決して届かない距離では無い。僕は、必死の思いで千聖に手を伸ばした。届け、届いてくれと祈りを込めた右手。そして、千聖もそんな僕の姿に気がついたのか、こちらに向かって手を伸ばしてくれる。これなら届く!後数メートル。後数センチ。後数ミリ。そして・・・届いた。千聖の腕を掴み、引き寄せる。そして直ぐさま海面に顔を出す。

 

「ぶふぁっ!」

 

空気が美味しい。素直にそう思えた。青空の下、僕達二人は無事生還を果たした。今は、あの憎らしい火の塊ですら有り難く感じる。そしてしばらく経ち、思考が冷静になってくると、一つの違和感を覚えた。

 

違和感を覚えたのは、自身の手にだ。僕の右手は今も千聖の手を掴んだままになっている。その反対の左手が原因だ。何かを触っている。安心感を覚えるような柔らかさを伴った、何かを掴んでいる。一体これはなんだ?僕の左手は一体何に触れているんだ?

 

「あの、雅、手が・・・」

 

「え?」

 

その千聖の言葉を聞き、僕は恐る恐る自身の左手に視線を向けた。そこにあった真実に、僕の思考は一瞬固まってしまう。見事に僕の左手は掴んでいたのだ。千聖の胸を。おそらく、千聖を引き寄せた際に、無意識に千聖を掴まなくてはいけないと思った僕は、あろうことか千聖の胸を掴んでしまったのだろう。愚かにも程がある。

 

「ご、ごめん!」

 

そして、思考が復活した僕は、千聖から手を離し、距離を取った。僕はなんてことをしてしまったのだろうか。

 

「い、いいのよ。気にしないで、雅は私を助けてくれたわけだし、何も悪いことはしてないわ。むしろ、お礼を言わなくてはいけないわ。ありがとう、雅」

 

そう言いながらも、顔を赤くしたままの千聖。その優しさが、今は有り難くも気まずかった。気まずい沈黙が僕達の間に発生する。

 

「そ、そうだわ!もうそろそろお昼の時間よね?海の家に行かないかしら?私、お腹が空いてきたわ」

 

「そ、そうだね!行こうか!」

 

気まずい沈黙を、千聖が破ってくれる。そんな千聖の提案に、僕が反対できるわけが無かった。僕達は顔を赤くしたまま海から上がり、海の家へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

海の家は大盛況していた。飛び交う注文。満遍なく埋まった席。外にまで並んだ客。見覚えのある店員。これは席にありつくまで時間がかかりそうだ。それよりも、気になるのはあの店員達。どこからどう見ても知り合いなんだけど・・・

 

「いらっしゃいませ!特別コラボカフェへようこそ!」

 

そして見覚えのある顔は外にもいた。こんな所で何してるの?

 

「えっと、彩ちゃんこんな所で何してるの?」

 

「あ、雅君!千聖ちゃん!今日は私ここの一日店長なの!」

 

そう、僕らの友人丸山彩は言う。なるほど、よく見てみれば確かに胸にそう書かれた名札を付けている。

 

「そういえばそんな仕事が入ってるって彩ちゃん言ってたわね。まさかこの海の家だったなんて。ふふっ、面白い偶然ね」

 

「ほんとだね。まさかこんな所で知り合いに会うと思わなかったよ。知り合いといえば、中で見知った顔が働いてるみたいなんだけど、アルバイトか何か?」

 

「それが・・・」

 

「彩ちゃん、悪いんだけど、もう少し中を手伝ってくれないかな?」

 

彩ちゃんが何かを言いかけると、奥から一人の男性が出てくる。その顔には疲労の色が在り在りと浮かんでおり、体からも忙しいですと言わんばかりの雰囲気があふれ出していた。

 

「あ、店長!わかりました!」

 

「店長・・・なるほど、本物の店長さんなのね」

 

「ん?君たちももしかして彩ちゃんのお友達かな?」

 

「えぇ、そうですけど」

 

その言葉を聞くと、途端に安心したかのような表情を見せる店長さん。君たち『も』と聞く辺り、おそらく中で働いている彼女達のことを指しているのだろう。その時点で、僕達にはある程度の予想が付いていた。なるほど、だから彼女達はこんな所で働いているのか。

 

「あぁ、それはちょうど良かった!どこかで見たことあるような子達な気がするけど、きっと大丈夫だろう。よし、突然で申し訳ないんだけど、今人手が足りなくて、少しお店を手伝ってもらうことはできないかな?」

 

そして、店長さんの口から予想通りのお願いが飛んできた。おそらく、中で動き回っている彼女達も同じ理由で店長さんに頼まれたのだろう。

 

「そうね、雅、どうしようかしら?」

 

「そうだね。店長さんも困ってるみたいだし、少し手伝っていこうか」

 

「おー!手伝ってくれるか!すまない!お願いするよ!」

 

店長からのお願いに応えることにした僕達は、彩ちゃんに案内され、厨房に入ることになった。ここに来る途中、店内をせわしなく走り待っていたひまりちゃんとあこちゃんに軽く手で挨拶をした。二人ともかなり驚いてたけど、それも当然かとも思う。

そしてやってきた厨房には、これまた見知った顔があった。

 

「あれ?雅と千聖じゃん。はっはーん。さては店長に捕まっちゃったねー」

 

「雅さん、白鷺さん・・・こ、こんにちわ・・・」

 

リサちゃんと燐子ちゃんだ。二人ともどうやら厨房を担当していたらしい。

 

「リサちゃん、燐子ちゃん、ご苦労様。私も料理を手伝うわ」

 

「千聖が手伝ってくれるの?それは助かるよー。この前ヒナから千聖が料理上手だって話を散々聞かされたからねー。期待しちゃうよ-」

 

「もう、日菜ちゃんったらまた勝手に言いふらしちゃって。だけど、私も日菜ちゃんからリサちゃんが料理上手だって話を聞いてるわ。期待してるわね」

 

「あはは!ヒナの口はふさげないねー!」

 

楽しそうに会話を弾ませる千聖とリサちゃん。だけど、その手は既に手際よく料理を始めていた。千聖の実力には疑いの余地もないけれども、リサちゃんも見たところ負けず劣らずの実力をしているようだ。さて、僕は何をしようか?正直、気合いは十分なんだけれど、厨房じゃ役に立てるようなことが無い気もする。

 

「千聖、僕は何をしようか?」

 

「雅は何もしなくても大丈夫よ。大人しくしてて」

 

うん、ここだと戦力になれないことは重々わかっていたけれども、悲しい。何か力になれることは無いかな?そう思い、僕は厨房を少し離れ、店内の様子を見てみることにした。

 

「すみませーん」

 

そして、様子を見てみると、僕のすぐ近くの席で店員を呼ぶお客さんがいた。店内を見渡してみると、他の店員さんは皆どうやら手が空いていない様子だ。ここは僕が出るべき場面じゃないかな?注文を聞くぐらいなら僕にだってきっとできる。よし!やってやるぞ!

 

「はい、お呼びでしょうか」

 

「あ、すみません注文したいんですけど・・・ってあれ?店員さんどこかでみたことあるような?」

 

「あ!もしかしてあの黒城雅じゃね?」

 

「あ、ほんとだ!黒城雅だ!でも、なんでこんなところに?」

 

「ほら、あっちで丸山彩が一日店長として接客してるし、その関係じゃね?それよりも俺ファンなんだよ!一緒に写真お願いしてもいいっすか?」

 

「あ、えっと・・・」

 

そうだ。僕だって役に立てるという気合いが空回りしてすっかり失念していた。僕っていちお芸能人じゃないか。芸能人がいきなり注文を取りに来たら誰だって同じような注文をするだろう。

 

「え?あれって黒城雅?」

 

「あ、ほんとだ。こんなところにいるなんて」

 

そして、その騒ぎは周りのお客さんにも伝播していく。ダメだ。このままだと注文を取るどころの話じゃない。僕はどうすれば。そう考えているときだった。後ろからいきなり腕を引っ張られて、僕は店の奥に引っ張り込まれた。

 

「ね?似てるでしょーあの黒城雅に!あの子実はそっくりさんでねー!アタシ偶々おんなじ学校に通ってるんだけどさー、校内じゃ有名なんだよー!あ、学校は秘密ね!今の時代そういう身バレっていうやつ?がなんか問題になってるみたいだしさー。あ、お待たせしてごめんない!注文お伺いしますね-!」

 

「あーごめんありがとう」

 

「それにしてもソックリさんだったのかー。それにしては似すぎてたような?」

 

「でしょー?ほんと似てるよね-。皆絶対言うことだからよっぽどだよねー」

 

店内からは先ほどのお客さんと会話するリサちゃんの声が聞こえてくる。どうやら、僕を助けに来てくれたのはリサちゃんみたいだ。だけど、彼女だけでは無い。彼女は今でもお客さんと話している。じゃあ、僕の腕を今でも掴んでいる人物は誰なのか?掴まれている先に目を向けてみると、そこには予想通りの人物が立っていた。

 

「もう、何をやってるのよ・・・」

 

「ごめん、何か皆の役に立てることは無いかと思うと、つい・・・」

 

そう、ため息を吐く千聖に謝る僕。全て僕の浅慮(せんりょ)が招いた結果だ。何の言い逃れもできない。

 

「本当に雅は何もしなくても大丈夫よ。本当に音楽関係以外の事はポンコツなんだから大人しくしてて」

 

「ぽ、ポンコツ・・・」

 

千聖の言葉が心に深く突き刺さる。いや、それに関しては本当に何も否定できないけれども、いざ面と向かれて千聖に言われると心に来る物がある。今すぐ泣きたいほどに。僕は思わず、その場に膝を着いて、蹲ってしまった。

 

「ふぅ、終わった終わったー。・・・って雅、何してるの?」

 

「あら、リサちゃんお疲れ様。ありがとうね」

 

「リサちゃんありがとう。それと、僕がポンコツでごめんなさい・・・」

 

「いや、それは別にいいけど・・・ポンコツ?雅本当にどうしちゃったのさ?」

 

リサちゃんに心配げな目で見られる。本当にリサちゃんって優しい子だな。僕が迷惑をかけたのに、何も気にした様子も無く、逆に心配をしてくれる。僕には勿体ない友人だよ。

 

「はぁ、しょうがないわね。リサちゃん、調理の方は私に任せて、燐子ちゃんとドリンクの方をお願いしていいかしら?」

 

「おーけー。でも一人で大丈夫?かなりの重労働だと思うけれど」

 

「別に一人じゃ無いわよ。雅にもちゃんと働いてもらうわ」

 

その言葉を聞き、僕のやる気がまたグッと上がってくる。千聖が僕を頼ってくれた。その事実だけで凄く嬉しかった。

 

「千聖、僕が手伝ってもいいの?」

 

「えぇ、といっても、簡単なことを教えてあげるだけだから、大した仕事では無いわよ?」

 

「それでも嬉しいよ!よし!頑張るぞ!」

 

「あはは!じゃあこっちは問題なさそーだね!じゃあ千聖、雅、まかせたよー」

 

そう言って、リサちゃんは燐子ちゃんの方へと向かっていく。さて、リサちゃんにもあぁ言われた訳だし、頑張らないと!

 

「それじゃ、やるわよ」

 

「うん!何でも言ってね!」

 

そして、そこから僕達の共同作業が始まる。と言っても、ほとんどの作業は千聖がしてくれている。僕は本当に誰でもできるような簡単な作業を淡々と熟しているだけだ。だけど、そんな時間がなんだか楽しかった。千聖と一緒に何かをしている。その事実だけで幸せに感じた。

 

気づいたのはその時だった。海で遊んでるときから、今も続いているこの謎のハイテンションの正体に。今日の失態もこのハイテンションから来るやる気の空回りが原因だった。そして、そのハイテンションの原因は、千聖だった。正確には千聖とのデートだった。

 

実は今日のデート、僕達が付き合い始めてから初めての、本格的なデートだった。あれから、僕達二人は共に仕事が忙しく、中々デートに出かけることができずにいた。あっても、羽沢珈琲店等で、限られた時間を過ごしたぐらいだ。

 

そして、そんな初めてのデートという事実に、僕は浮かれていたのだ。それが、この謎のハイテンションの正体。全ての元凶。元凶なんだけれども、そう考えると途端になんだか勝手に顔に笑みが浮かんだ。

 

「雅、急に笑ったりしてどうしたの?」

 

「ん?うん、なんだかこんな時間が幸せだなって思って」

 

「・・・そうね、凄く幸せだと思うわ。こんな、何気ない日常がいつまでも続けばいいのに」

 

「そうだね。本当に、続いてほしいね。この幸せが」

 

数日後も、数年後も、数十年後も、いつまでも、いつまでも、永遠に続いてほしい。ありふれた、一般的なこの日常。隣に千聖がいる日常。それだけでいいのだ。千聖がいるだけで、僕は幸せになれる。僕という人間は、そんな単純な男なのだ。だから願う。いつまでも、いつまでも千聖が隣にいてくれますようにと。切に願う。この終わりなき日常の存続を。いつまでも、いつまでも。




どうも、ソウリンです。
今回は早かったでしょ?(一週間遅刻
今回のサブタイトルは、みなみけ4期となる、みなみけ ただいまより、シアワセ☆ハイテンション↑↑です。みなみけのOP曲ってほんとテンション爆上がりする曲ばかりなんですよね。カラオケで歌えば本当に盛り上がりますよね。知ってる人がいれば(白眼
まぁ、日常系アニメは数多くありますけど、自分はこのみなみけと、ひだまりスケッチ、らき☆すたは絶対外せません(世代モロバレ)
次話のサブタイトルもみなみけ関連楽曲から付けてます。なお、超絶マイナーなので、知ってる人いたら拍手を送りたいですね。
それと、今回のお話しを読んで、なんで人の多い海で遊んでて誰も声かけないんだよと思ったあなた。
ほら、あれですよ、木を隠すなら森の中って言うじゃ無いですか?つまり、そういうことさ(どういうことだよ
まぁ、要するに、芸能人隠すなら人混みの中ということです。こういうことでもしないとデート描写ほんと縮こまっちゃうんですよ(涙目
お願いします。許して下さい。なんでもはしませんから(しないのかよ
そして、お礼を言わせていただきます。☆7評価及び、☆10評価を頂きました!本当にありがとうございます!
評価して下さった方が20名を超えました!本当にありがとうございます!
いやー投稿始めた当初、こんなに高評価を頂けると正直思ってなかったので、本当に嬉しいです!これからも、お手間ですが評価、感想頂けると、本当に嬉しいです!これまで評価して下さった皆様方、感想を書いて下さった皆様方、改めて本当にありがとうございます!
では、今回はこの辺で。
次話は千聖編です。実はまだできてません(いつもの
今からがんばって仕上げますので、予定では本日午後12時とします。もし、投稿が無かった場合は翌日午後12時となりますのでご了承下さい。
ではでは、次回もよろしくお願いします!
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