デート会千聖編です。
その日の私は上機嫌だった。
朝から嬉しいことの連続。そして、放課後には雅とのデート。これで上機嫌にならない方がおかしいと思う。私は逸る気持ちを抑えて、始業式に臨んだ。式中も、放課後のことばかり考えてしまう。先生方の話もほとんど頭に入ってこない。雅とどこに行くか、何をするか、そればかり考えていると気がついたら式が終わっていた。隣にいた親友に名前を呼ばれるまで気がつかなかったほどに考え込んでいた。
「千聖ちゃん、式、終わったよ?」
「え?あ、ほんと、気づかなかったわ。ありがとう、花音」
彼女は松原花音。私の親友だ。まさか、彼女に言われるまで気づかないなんて、さすがに私らしくないと思う。雅のこととなると、よくあることだから今更な気もするけど。
そして、教室に戻った私達は、ホームルームを終えて、待望の放課後に突入する。待ちに待った時間がやってきた。私は急いで帰り支度をしていると、横から誰かに話しかけられた。
「千聖ちゃん、何かいいこと、あった?」
花音だった。花音に言われるまで気づかなかったけれど、どうやら私の上機嫌は外にまで漏れていたらしい。
「あら、わかる?」
「だって、千聖ちゃん、なんだかにやけてるもん」
どうやら顔にまで出ていたみたいで、すごく恥ずかしい。思わず顔を赤くしてしまう。
「あはは、実はこれから雅とデートなの。そう考えるとつい嬉しくて」
「ふぇ?雅君と・・・?」
花音は、雅と私の関係を知っている数少ない人物だ。私達の家族を除くと、おそらく花音含めて二人だけだと思う。花音は、雅に会わせたこともある。その際は、事前に何も伝えていなかったから、すごく慌てふためいていた。花音はいつも慌てふためいていることが多いけれど、その時はその比ではなかった。失神しそうになっていたほど。後で花音に聞いてみると、急にテレビの中の芸能人が目の前に現れて、話しかけられたから驚いたと言っていた。今思えば、私も一応芸能人なのだけれど、そのような反応を花音にされたことがない。私は花音に芸能人と思われていないのかしら?今日は時間が無いけれど、後日確認してみよう。
「そうなの。しかも、雅から誘ってくれたのよ?今日はいい一日だわ」
「そうなんだ。あ、ごめん、急いでるのに引き留めちゃったよね・・・?」
「気にしないで。時間にはまだ少し余裕があるから大丈夫よ」
「よかった、あ、じゃあ今のうちにこれ渡しておくね?千聖ちゃんお誕生日おめでとう」
そう言って花音が渡してきたのは茶葉だった。上質な紅茶だった。見るからに高そう。
「花音、ありがとう。でも、こんな上質な茶葉いただいてもいいの?」
「大丈夫だよ。いつも千聖ちゃんにはお世話になってるから。よかったら雅君といっしょに飲んで・・・?」
「ありがとう。大切に飲ませていただくわ」
「うん。じゃあ私、いくね?楽しんできてね?」
そう言い残し、花音は教室を出て行った。私は本当にいい親友に恵まれた。花音からのプレゼントを手に、私も颯爽と教室を出る。目指す場所は駅前。雅との待ち合わせ場所。
正直、早く着きすぎてしまった。
私は今、駅前で一人佇んでいた。待ち合わせ時間まではまだ30分ある。雅に連絡してみたところ、彼の学校は今終わったばかりらしい。どうやら、私の学校の方が終わるのが早かったみたいだ。花音と少し話していたとはいえ、寄り道もせず、真っ直ぐ目的地に来たこともあり、暇を持てあましていた。現在は、持ってきていたiPodで音楽を聴きながら時間をつぶしている。聴いているのはもちろん雅の曲。彼の歌を聴いていると、なんだか私も歌いたくなってきた。今日はカラオケも予定に入れようかしら?そして、雅の曲を3曲ほど聴き終えたころ、遠目ながら雅の姿が見えた。彼も私に気づいたのか、急ぎ足でこちらに向かっている。予定の時刻にはまだ少し早い。遅刻では無いからそんなに急がなくてもいいのにと思う。
「ごめん。待たせちゃったかな」
「心配しないで。今来たところだから。さぁ行きましょ?」
デートの定番セリフを口にして、私は彼の隣に並ぶ。それだけで私の胸は高鳴り、幸せな気持ちになれる。これは本格的に彼に骨抜きにされている気がする。でも、こんなところで幸せに浸ってるわけにはいかない。なぜなら、これからさらなる幸せが待っているのだから。そして、私と彼は次の目的地に向かった。
向かったのはショッピングモール。その中にある最近オープンしたイタリア料理店。ここは、イタリアで修行を積んだシェフが経営していて、本格的なイタリアンが食べれると、この前読んだ雑誌に載っていた。それを見て是非食べてみたかったお店だったので、今日のランチに選んだ。その味は噂以上だった。今食べているマルゲリータも、クリームパスタも、この辺りのお店では相手にすらならないほどの絶品だった。今度花音も連れてきてあげよう。今日の茶葉のお礼もしないといけない。チラッと雅の方を見てみると、夢中になってパスタを食べていた。そのほっぺにクリームがついているのを発見する。雅はそれに気づいていない様子。よっぽど夢中になって食べているようで、まるで子供みたいだなと感じた。その姿がまたかわいい。
「あら、雅、ほっぺたにクリームが付いてるわ」
私はそう言って、彼に付いたクリームを指で取った。なんだかこういうシーンをドラマで見た気がする。
「本当に子供っぽいんだから。うん、おいしい!」
指についたクリームをそのまま口に運び、笑顔を浮かべる私。以前見たドラマでは、私のポジションが男側だった。された側の女性はこの行為で赤くなっていたけれど、逆の場合どうなんだろう?雅の方を見てみると、あの時の女性と同じように顔を真っ赤にしていた。どうやら効果はあったみたい。
「雅、顔が真っ赤だけど大丈夫?やっぱり体調悪いんじゃ」
「だ、大丈夫だよ。このお店ちょっと暑くないかな?うん、そのせいだから」
顔を真っ赤にして言い訳をする雅。少し、あざとかっただろうか?と、思ったけれど、雅の反応を見る限り、喜んでくれたみたいなので、これで良かったのだと思う。
「ふふっ、じゃあそういうことにしておくわ」
なんだか不服そうな顔をしている雅。おそらく、私に見透かされているような気がして恥ずかしいのだと思う。雅の考えていることは私には大体わかる。だから間違いないと思う。そして、私達は食事を終えた。本当においしかった。また絶対に来よう。
「ごちそうさま。お会計は僕が払っておくから、大丈夫だよ」
「それは悪いわよ。私も払うわ」
「大丈夫だよ。これでもお金には困ってないし、何より今日の主役は千聖なんだ。気にしなくていいし、主役を引き立てるのが演出家の仕事だろ?まぁ僕の場合音楽家だけど、劇中曲も役割自体は一緒さ。僕にまかせておいてよ」
彼は、音楽家としての
「雅、ありがとう。あなたがそう言ってくれるのなら、お言葉に甘えるわ」
ここは、素直に彼の優しさに甘えておこう。このお返しは、雅が主役の時に返せばいい。とは言っても、それはまだまだ先の話。雅の誕生日は3月3日だ。すでに先月終えたばかり。その時も二人でお祝いしたけれど、雅が仕事だったため、仕事後に彼の家でケーキを囲むことしかできなかった。来年はデートしたいと思う。来年はどこに行こうかな、なんて思い浮かべながら、私達は店を出た。その際に、来年もまたこのお店に来るのもいいかもしれないなんて考えながら私達は上機嫌で店を出た。
次に私達は、モール内の服屋を訪れた。私の趣味はショッピング。様々な商品を眺めているだけでも楽しい。ここのお店は品揃えも豊富でサービスもいいから、気に入っている。今日も数着気に入った物を買った。ここでも、支払いは雅が持ってくれた。今日は全部のお会計を支払うつもりらしい。ありがたいけど、少し申し訳ない気持ちになる。だけど、断るのもなんだか雅に悪い気がする。そう思い、私は彼の好意を享受することにした。だったら、せめてものお礼に、今日も雅の服を選んであげようと思う。彼は、はっきり言って、服のセンスが悪い。着れたらなんでもいいと思っている。だから、いつも私が選んであげている。密かな私の楽しみだったりもする。
そして、メンズコーナーに来た私達は、そこで驚愕の看板を目にする。
『本日メンズ特価!全品半額!』
前々から、サービスのいい店だとは思っていたけれど、まさかここまでするなんて。これは俄然やる気が出てくる。長丁場になりそうな予感がする。ふと、雅の方を見てみると、何故かどこかに駆けていこうとしていた。一体どこに行こうとしているのかわからない。これから楽しくなりそうなのに。だから、私は彼の肩を掴んだ。そのときの雅が、何かに怯えているように見えたけれど、きっと気のせいだと思う。
その後私達は、心ゆくまで雅のファッションショーを楽しんだ。雅は容姿は幼いけれど、分類としてはイケメンに入る。かわいい系でも、かっこいい系でもいけるから本当に着せ替えてて楽しい。どれもよく似合う。ちらっ、と時計を見ると、時刻は3時半を回っていた。さすがに長くなりすぎたかもしれない。次で最後にしよう。
「うん、これも良さそうね。あ、これも。こっちも似合いそうね。雅、次はこれとこれとこれお願いね」
「千聖、さすがにこれで終わりにしてよ」
彼がどこか疲れた声で言う。さすがに、時間をかけすぎたかもしれない。さすがに私も少し疲れてきた。
「そうね、めぼしいものはこれで全てだから最後にしようかしら」
私がそう言うと、彼は少しホッとしたような表情を見せた後、少し申し訳なさそうな表情を見せた。雅の考えていることはわかる。大方、彼の服ばかり選んで、私の好きなことをできていないんじゃないか?楽しめていないんじゃないか?とでも考えているのだと思う。そんなことはいらない心配だというのに。
「気にしなくていいわよ?私は十分楽しんでるもの」
私がそう言うと、雅は少し安心したような表情を見せた。本当にわかりやすい。だけど、それもまた彼の魅力だと思う。裏表の無い性格。だからこそ、一緒にいて心地良い。だからこそ、彼に
昔から私は、何を内に秘めているかわからない大人たちが
そして、雅の最後の試着が終わった。うん、やっぱりこれも似合う。その中でも、最も似合っていた3着を私は選ぶ。うん、この3着は一際輝いて見えた。是非また彼に着てほしい。そして、早々にお会計を済ませて、私たちは次のお店に向かった。
次にやってきたのはアクセサリーショップ。私にとって今日最も来たかったお店。雅にはすでに、ここで買いたいものがあると伝えてある。だけれど、その前になんだか失礼なことを考えてそうだったから、笑顔で注意しておいた。なんだか怖いものを見たような表情をしていたけれど、何を見たのかまではわからない。
「で、千聖は何が買いたかったの?」
「そうね、雅、今日は何の日か覚えてる?」
今日は特別な日。私にとって、雅にとっても特別な日。今日は私の誕生日。だけど、それに負けず劣らずの重要事項がある。
「千聖の誕生日でしょ?それがどうかしたの?」
「そうね、それはもちろんそうなのだけれど、他に思い当たることない?」
やっぱり忘れていた。おそらく、私が誕生日だということばかり考えていたから、もう一つの記念日のことまで気が回っていなかったのだと思う。プレゼントも必死になって私に合うものを探してくれたみたいだし、私は別に気にしていない。
「そうだ。ごめんすっかり忘れていたよ」
「いいのよ。私は自分の誕生日だったから覚えているだけだから。気にしないで」
今日は、私が彼と初めて出会った記念日でもある。偶然にも、あのテレビ収録の日は、私の誕生日だった。番組の中で、サプライズでケーキも用意してもらって、出演者のみんなにお祝いしてもらった覚えもある。あの日のことは一生忘れないと思う。私にとって、今までの人生でも1,2位を争うぐらいに特別な日。私と彼の人生が繋がった日。
「そうだったね。今日は二つの記念日だったんだ。誕生日おめでとう千聖。そして僕と出会ってくれてありがとう千聖。けど、それがこのお店とどうつながるの?」
「私達の出会いを記念して、お揃いのアクセサリーを買おうと思ったの」
そう、私はあの出会いを忘れないように、そして今日という日を忘れないように、記念にお揃いのアクセサリーを買おうと計画していた。買うものも既に決めている。
「いいね。で、何買うの?」
「これよ」
私が指さした先には、天然石の指輪があった。紫色と黄色が混ざったような色合いをした綺麗な石が付いている。
「この石は私の誕生日石なの。これを二人でつけてみない?」
この石の名前はアメトリン。パワーストーンと呼ばれる石の一種。パワーストーンっていうのは、特殊な力があると言われている石で、身に着けているだけで様々な恩恵があるって言われている。その効果は石によって様々。
このアメトリンはそんなパワーストーンの中でも少し特殊な石。同じパワーストーンのアメジストとシトリンが混ざり合ってできた石。その効果も、二つの石の特徴が反映されている。アメジストは、愛の守護石とも呼ばれるほど、愛と密接な関係にある石。そしてシトリンは、太陽を象徴する石と呼ばれていて、精神状態を浄化する効果があるなんて言われている。そして、そんなシトリンの宝石言葉は『夢を追って』すごく、雅に似合う。
そして、そんな二つの石を合わせ持ったアメトリンは、自己の能力を伸ばしたり、心身への癒しを与える効果があると言われている。そして何より、その宝石言葉が私たちに似合う。その宝石言葉は、『愛情』。調べれば調べるほど、私たちに相応しい石だと思う。
「いいね。そうしようよ」
「さすがに指輪はまだ早いけど、ここのお店はお願いしたら指輪をネックレスに加工してくれるの。お願いしましょ?」
指輪はまだ早い。それは、私たちが晴れて恋人同士になってからがいい。だから、今はネックレスで我慢しておく。でも、近い将来に、雅とお揃いの指輪を左手の薬指にしてみたい。そんなささやかな願いが叶う日を夢見て、私たちは会計に進んだ。加工を依頼したときに、店員さんに素敵な恋人さんですね、と言われて顔を赤くしてしまったのは、仕方がないことだと思う。
アクセサリーショップを出た私たちは、私の希望でカラオケに来ていた。カラオケも随分久しぶりに来た気がする。おそらく、最後に来たのは中学時代に、雅と来て以来だと思う。今度、花音でも誘ってみよう。だけど、雅と二人でカラオケなんて、彼のファンが聞いたら卒倒しそうなイベントな気がする。夜道で刺されないか警戒しなくてはいけない。
「カラオケなんて随分久しぶりだね。何歌おうかな」
「そうね、雅、先に歌ってもらえるかしら?」
「僕から?そうだね。千聖が言うならそうするよ」
最初は、雅に歌ってもらうことは来る前から決めていた。理由は単純。彼の歌が聞きたかったから。彼の歌っている姿が見たかったから。歌っているときの雅は、一際輝いて見える。そんな彼を見ているのが、私は好きだった。思えば、初めて彼に魅かれた時も、彼の歌う姿、歌う声に魅かれた。今では、彼のあらゆる面が好きだけれど、やっぱり1番ってなると、歌ってる時の彼が好き。そして、彼が入れた曲が流れてくる。その曲は、意外な選曲だった。
「これは、
「うん。今作ってる曲のための参考にさせてもらったんだ」
それは、人気女性アイドルグループの代表曲だった。そういえば、雅は確かに今アイドルソングを作っていると言っていた。さすがに、何も枠組みが無い状態から完成させるのはいくら雅でも無理なはず。だとすると、枠組みになる曲を何曲か探し、それを参考に完成に近づけるのがベストだと思う。この曲も、その中の1曲なのだと思う。彼の歌を聞いた感想は、当然ながら上手い。雅の声は中性的で、歌い方によっては女性が歌っているように聞こえる場合もある。今歌っているように。よく通るその歌声は、聞いている者を老若男女関係なく魅了する。実際、彼のファン層には全く一貫性が無い。支持層が性別年齢関係なしにバラバラだ。ここまで支持層がばらけるのもめずらしいと、この前テレビで言われていた。
そんな彼の歌と、映像に移るアイドルの姿が、何故か非常にマッチして見えた。彼の歌を聞いていると、映像のアイドルのダンスを見ていると、なんだか私も踊ってみたい気分になってきた。試しに、映像のアイドルを見て見様見真似で、踊ってみる。すごく楽しい。たまには、こうやって体を動かすのも悪くないかもしれない。少し踊っている内に、曲が最後のサビの終わりに差し掛かる。私は、そこでまだ自分が曲を入力してないことに気づき、慌てて入力する。歌う曲はもう事前に決めてある。そして、雅の歌が終わり、私の歌う曲が流れてくる。
「これは、メモリア?」
「そう、私の大好きな曲よ」
この曲は雅の曲で、私が大好きな曲。私は、カラオケに来たら9割方雅の曲を歌う。彼以外の曲を歌うのは稀なこと。その中でも、この曲は私たちにとって特別な曲。記憶という意味を持つこの曲。中学時代の雅の過ちを戒めるために作ったと雅は言っていた。自分の過ちを忘れないように。それを正してくれた私への感謝を忘れないように。彼はそう言っていた。私も同じ気持ち。彼の過ちを忘れず、共有していきたい。罪も、二人で分ければ半減されるはずだから。彼からの感謝も素直に受け入れる。そして、私の感謝も彼に贈る。これでおあいこ。そして、彼は言わなかったけど、私にはわかる。彼がこの曲に綴った、もう一つの忘れてはいけない感情を。
「忘れないよ 雅の罪を」
「え?」
「忘れないよ 雅への感謝を」
「千聖?」
忘れないよ、雅への愛を。忘れないよ、雅からの愛を。彼が、この曲に、隠した最後の記憶。愛の記憶。私にはちゃんとわかる。だから、私も愛をこめてこの曲を唄う。あなたに捧ぐこの愛の唄を。私が乗せることができるだけの愛情を声に乗せて、雅に贈る。この想いが少しでもあなたに届くように。そして、曲が終わる。
「うん、やっぱり素敵な曲ね。私の歌、どうだった?変じゃなかったかしら?」
「すごく良かった!作った本人が聞いても思わず唸っちゃうほどだったよ!乗せられた感情もすごく伝わってきたよ!」
「ふふっ、ありがとう」
なんだか照れ臭い。雅本人にこんなに褒められると、嬉しいを通り越して照れてしまう。でも、私がこんなに上手く歌えるのは、雅の曲だからこそ。他の人が作った曲を歌っても、こんなに上手くはいかないと思う。歌を歌う時に、想いというのは非常に重要な役割を持つ。曲を作った人が、込めた想いを歌い手が感じ取り、歌に込めることができれば、その歌は何倍にも昇華される。雅のことはだれよりもよく知っている私だからこそできることだと思う。
「だけど千聖?僕は千聖に対して感謝の気持ちでいっぱいだけど、僕は千聖に対して感謝されるようなこと全くしてないよ?」
不意に、彼がそんなことを言い出す。雅は、自分が私にどれだけの影響を与えているのかをわかっていない。雅に出会っていなければ、今の私という存在はいなかったはず。
「そんなこと無いわよ。雅が気づいてないだけで、私はたくさんのものをあなたにもらってるわ。それこそ、私に負けないほどのね」
「本当に?全然わからないや」
「そうね、じゃあ一つだけ教えてあげるわ。雅がアクセサリーショップで言ってたことをそのまま返すわね?私と、出会ってくれてありがとう」
「千聖・・・」
だからこそ、教えてあげる。雅は、人の気持ちに疎い。だから、実際に教えてあげなければ理解できないことも多い。だから、こうして、真っ直ぐに私の正直な気持ちを伝えてあげる。それが一番の方法だから。1番理解してほしい気持ちは伝えないけれども。
その後は、二人で思う存分カラオケを楽しんだ。雅とデュエットもしちゃったけれど、ファンの子に知られたら本気で刺されそうで怖い。
そして、時間は過ぎて既に時計は7時を回っている。時間的にもそろそろ帰らなければいけない。
「今日はすごく楽しかったわね。晩ご飯どうしましょうか?」
「そうだなー千聖の手料理が食べたいな」
ふと、彼に晩御飯の予定を聞いたら、そんな返答がきた。少しときめいてしまった。
「いつも食べてるじゃない」
「だって好きなんだから仕方ないじゃないか。今日のお昼のイタリアンもおいしかったけど、僕には千聖の手料理の方が合ってるや」
「ふふっ、そこまで言うなら仕方ないわね。じゃあ、材料買って帰りましょうか」
言葉では仕方ないと言っているけれど、内心嬉しくてしょうがなかった。こんな些細な日常が幸せで堪らなくなる。そんな些細な幸せから、愛を感じる。雅といるだけで、私の心は温かくなる。隣に立って居れるだけで、私が生きる意味になる。もう、これからの人生、雅無しで生きる私の姿が想像できない。だから、これからの長く果てしない
どうも、ソウリンです。
いやー長くなったな(汗
雅編でしなかった部分の解説やらを千聖編でしてると、どうしても千聖編のほうが長くなってしまうという。これでも縮めたんだけどな(白目
そして、サブタイトルは愛唄でした。greeeenさんといえば、『キセキ』を思い浮かべる人が多いかもしれないですけれど、自分の場合はこの『愛唄』ですね。大好きです。
後、伏線っていうほどでもないですけど、雅編に微妙なヒント入れてたりします。興味ある方は探してみてください。え?これがヒントなの?ってなるかもしれないですけど。
そして、千聖以外で初の原作キャラ、花音が出てきました。本来は、最初に出てくるキャラは、違うキャラを想定していたんですけど、そのキャラ先に出す予定で進めると、うまくストーリーがまとまらなかったので後回しにしました。出るのまだまだ先です。先に他のキャラ数人出てきます。儚い・・・
そして、なんとなんと☆10評価をいただきました!
誠にありがとうございます!この場を使いお礼させていただきます!
非常に励みに、自信になります。本当にありがとうございます!
では、今回はこの辺で。
次回は雅編。内容は秘密です。
ではでは、次回もよろしくお願いします!