君が演じ、僕は歌う   作:ソウリン

48 / 51
第48話です
千聖編です


第48演目 あなたがいてくれたから

「彩ちゃんのためにサプライズをする?」

 

そう日菜ちゃんが口にする。今日は十二月二十四日。ライブを翌日に控えた中、私は今自宅のキッチンに立っていた。と言っても、この場所にいるのは何も私だけではない。日菜ちゃん、イヴちゃん、麻弥ちゃんの三人も一緒だ。そして私は、そこで三人に今回集まってもらった理由を説明している。

 

今回皆に集まってもらったのは、明日のライブで彩ちゃんのお誕生日をお祝いするサプライズを行なおうと考えており、その計画のために皆でケーキを作ろうと思ったからだ。皆には内容まで伝えていなかったけど、彩ちゃんと雅には今日のことをバレないように、仕事があると誤魔化しておいてほしいと説明してある。もちろん、スタッフさんにもちゃんと事前に計画は説明し、実行する許可もいただいている。

 

「なるほど。そういうことなら、ジブンは大賛成ですね」

 

「私もです!凄く、素晴らしいことだと思います!」

 

「うん!なんだかおもしろそう!すっごく、るんってきたよ!」

 

皆が私の案に同意してくれるのはわかっていた。私もそうだけど、皆彩ちゃんのことを大切に思っている。何かしらの方法で、彩ちゃんを喜ばせたいと考えるのは、私たちにとって当然の行為なのだ。

 

「それじゃ、早速始めましょうか」

 

そして私たちは、各自分担を決め、作業に取り掛かった。正直、皆のケーキ作りに対する実力は未知数だったので、ちゃんと形になるか不安だったのだけれども、私の想像以上に皆手際が良くて、嬉しい誤算だった。

 

イヴちゃんは、普段からジンジャークッキーを作ってるからこそ手際が良いのはわかる。麻弥ちゃんも、普段の彼女を見てる限り、お菓子作りに関しての手際が良くても、頷ける。だけど日菜ちゃんに関しては完全に予想外だった。

 

「日菜さん、なんだかすごく手馴れてますね」

 

そう。彼女は私たちの予想以上に手馴れていた。しかも、驚くべきポイントはそれだけではなかった。

 

「ん?皆、じっとあたしのこと見て、どうしたの?」

 

今日菜ちゃんが行っている工程は、牛乳やグラニュー糖等の計量作業なのだが、彼女、(はかり)でしっかりグラム単位まで計量しているのだ。お菓子作りにおいてその行いは非常に重要なことなのだけれども、まさかあの日菜ちゃんがそこまできっちり計量まですると思わず、皆で注視してしまった。

 

「いえ、日菜ちゃん、しっかり計量までしてて凄いと思っただけよ」

 

「それはもちろんするよ。お菓子作りには、力を入れなければいけないところと、入れなくてもいいところがあるんだよ。計量は力を入れないといけないところ。お菓子作りにとっては、すっごく大事なことだもんね」

 

その言葉に、私はまた驚いた。お菓子作りに対する考え方までしっかりしている。日菜ちゃんの意外な一面を見た気がする。

 

「ひ、ヒナさん凄いです!まるで、お菓子作りの先生みたいです!」

 

「あはは、これはあたしが考えたんじゃなくて、お姉ちゃんの受け売りなんだけどね」

 

「紗夜さんのですか?」

 

「うん!この前、おねーちゃんにクッキ作り教えてもらったんだ!その時におねーちゃんが言ってたの!」

 

そういえば、この間、日菜ちゃんが練習の時にクッキーを作ったからと頂いたのを思い出した。初めて作ったと言ってた割には美味しくて、皆で日菜ちゃんのことを褒め称えたのを覚えている。あれから、まだほんの一、二か月程しか経っていないはずだ。その短い期間にも関わらず、既に多くの経験を積んできたかのような手際を見せている。そこは、流石の日菜ちゃんといったところだろう。

 

「でも、本当に驚いたわ。正直、日菜ちゃんのことだから、もっと大雑把にやるんじゃないかと心配してたのよ」

 

「うっ、それは・・・」

 

そう私が言うと、日菜ちゃんは急に気まずそうな顔をする。その日菜ちゃんの反応で皆察した。あ、大雑把にやって失敗した経験があるんだなと。

 

「そ、そう言えば、今日雅君は呼ばなかったの?」

 

「露骨に話題を変えましたね」

 

「ま、まぁ、ヒナさんはやっぱりヒナさんだということがわかったので安心しました!」

 

「ふふっ、そうね。雅だったわね。雅は、ほら、彩ちゃんにバレるかもしれないから」

 

「あ」

 

私のその言葉で、また全員が察した。雅は、隠しごとが苦手だ。隠そうと思っても、顔に出てしまうことが多い。そんな雅に、サプライズのことを話せば、彩ちゃんに隠し事がバレてしまうことも考えられる。それを避けるために、敢えて雅にも隠しておくというわけだ。

 

「でも、千聖ちゃんも残念だね」

 

「残念?何がかしら?」

 

「だって、折角のクリスマスイヴだよ?それなのに、雅君とデートに行けなくて、残念じゃないのかなーって」

 

「私もそう思います!今日は、一年に一度の特別な日なんですから!」

 

「千聖さん、ここはジブン達に任せていただいて、雅さんと出かけていただいても大丈夫ですよ?明日も、デートする時間なんて無いんですし」

 

そう、皆が私に声をかけてくれる。皆のその気遣いは非常にありがたい。私のことを考えてくれてて、本当にありがたい。だけど、私は本当にこれで大丈夫なのだ。

 

「皆、ありがとう。だけど本当に大丈夫よ。今は、彩ちゃんのために何かをしてあげたいの」

 

彩ちゃんはどう思っているか知らないけれども、私は、彩ちゃんに恩を感じている。今のパスパレが、パスパレとして活動できているのは、パスパレとして纏まっていられるのは、彩ちゃんがいてくれたからだ。私は、いいえ、おそらく今日ここにいるみんながそう思っている。私は、少しでもその恩を彩ちゃんに返したい。だからこそ、今日という日を設けたのだ。

 

「それに、雅とは今日の夜ディナーに行くからいいのよ。それだけで、十分だわ」

 

「へーディナーか。どこに行くの?」

 

「このお店よ」

 

そう言って、私は一冊の雑誌のページをめくり、日菜ちゃんに渡した。それを、麻弥ちゃんとイヴちゃんも覗き込み、そして皆顔を驚愕色に染め上げる。

 

「こ、ここ私知ってます!凄く予約するのが難しいってテレビで言ってました!」

 

「あたしも知ってるよ!学校でも皆、一度は行ってみたいって話題で持ちきりだったよ!」

 

「しかも、今日予約されてるんですか!?クリスマスイヴにこのお店を予約できるって、一体いつから予約してたんですか!?」

 

「ふふっ、実は去年の内に予約してあったのよ」

 

そう言うと、皆キョトンとした顔になる。まぁ、普通はそういった顔になるだろうなと思う。だって去年といえば・・・

 

「去年って、まだ千聖ちゃん達付き合ってなかったじゃん」

 

そう。私と雅はまだ付き合っていなかった。にもかかわらず、このカップル御用達の店を予約してあった。驚くのも当然だろう。

 

「もし、千聖さんと雅さんがまだ付き合ってなかったら、どうされてたんですか?」

 

「どうもしないわよ。そのままこのお店に行ってたと思うわ」

 

「付き合ってもいないのに、チサトさんとミヤビさんがこのお店に・・・なんででしょうか?想像しても違和感がありません・・・」

 

「そういえば、千聖ちゃん達って付き合う前から付き合ってたみたいなもんだったもんね」

 

「日菜さん。言ってることがめちゃくちゃになってますよ。間違ってはいませんが」

 

私と雅は、昔からなんで付き合ってないの?とよく言われてきた。それほど、傍目から見たら付き合ってるようにしか見えない状態だったのだ。思い返せば、確かにその通りだと思うことも多々ある。通い妻と一度イヴちゃんに言われたこともあった。今思えば、その言葉を否定できる材料が一切ないという現実がわかる。

 

「そういえば、ミヤビさんは今日お仕事では無いのですか?」

 

「ええ。今日は、事務所のスタジオで明日に向けての最終調整をするって言ってたわ。だから、終わったら事務所まで迎えに行くつもりよ」

 

「事務所といえば、今日千聖ちゃんの家に来る前に、あたしも事務所に寄ってきたんだけど、彩ちゃんがいたんだよね」

 

「彩さんが?日菜さん、今日ここに来ること彩さんに言ってませんよね?」

 

「大丈夫大丈夫!ちゃんと、今からお仕事だって言って誤魔化したから!スタッフさんも協力してくれたし、絶対バレてないよ。で、彩ちゃんなんだけど、今日雅君と二人で練習するんだって言ってたよ」

 

パキッ

 

日菜ちゃんがそう言い終わるのと同時に、そんな音がキッチン内に響き渡った。三人の視線が私の手元に集まっている。音の発信源がそこなのだから、それも当然だろう。私としたことが、ついついやってしまった。まさか、手に持っていた生卵を握りつぶしてしまうなんて。

 

「ち、千聖ちゃん・・・?」

 

「お、おかしいですね。ジブンの記憶が正しければ、人の力で生卵を握りつぶすのは不可能だったと思うのですが・・・」

 

「あら、ごめんなさい。そう、彩ちゃんが雅とね。雅と、イヴに、二人きりで。ふふっ」

 

「ひっ、チ、チサトさん、笑顔が怖いです・・・」

 

皆、何かにおびえるように顔を青くしている。どうしたのかしら?体調でも崩したのかしら?明日はライブ本番なのだから、体調管理には気をつけてほしいのだけれども。

 

まぁ、そんな風にグダグダと駄弁りながらの作業だったけれども、ケーキ自体は無事に完成した。それも、素晴らしい出来になった。これで、明日へ向けての準備は完璧でしょう。その後、皆とは別れ、私は雅を迎えに行くついでに、事務所までケーキを運んだのだった。事務所までの道中で、彩ちゃんとオハナシする内容ばかり考えてたことを追記しておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ついにライブ当日を迎えた。今日という日をどれだけ待ち望んだことか。このライブが決まった時から、気が気ではなかった。今日のことを一番に考えて、生活を送ってきた。雅と同じ舞台に上がれる。こんな日が来るなんて、当日になっても信じられなかった。だけど、これは現実。間違いなく現実であることを、確かにこの耳に聞こえてくる、開演を待ち望むお客さんの声が教えてくれる。

 

「凄い声援だね。控室にいてもお客さんの声援が聞こえてくるや」

 

「そうね。皆、私たちのことを待ってくれてるのね」

 

「わ、私ちょっとお手洗いに行ってくる!」

 

「あはは、彩ちゃん十分前に行ったばかりだよ!緊張しすぎ!」

 

「ジブンからしたら、いつも通りでいられる日菜さんの方が不思議ですけどね。ジブンも緊張して頭が真っ白になってきました・・・」

 

「マヤさんファイトです!もうすぐ合戦の時間ですよ!」

 

「あはは、イヴちゃん別に今から戦をするわけじゃ無いんだよ」

 

緊張してたり、そうでもなさそうだったりする皆。総じて言えることは、いつも通りということ。この状態なら、いつも通りのパフォーマンスが期待できそうだ。

 

「皆さん、時間です!舞台の方によろしくお願いします!」

 

そして、スタッフさんからお呼びがかかる。遂に時間がやってきた。このような機会、二度目があるのかわからない。なら、今日この機会を、悔いの無いように、全力で堪能したい。

 

「さぁ皆、悔いの無いように全力で行こう!」

 

「はい!ブシドーの力で、絶対皆さんが満足できる演奏をしてみせます!」

 

「そうですね。ジブンも、悔いが残るのは流石に嫌です。ですので、全力で行きますよ!」

 

「わ、私も、凄く緊張して、覚えたMCも忘れちゃいそうだけど、それでも今日のライブを思いっきり楽しみたい!そのために、皆で頑張ってきたんだから!」

 

「あはは、皆やる気十分って感じだね。うーん、なんだかあたしもるんってきた!思いっきりぴかってしたステージにするからね!」

 

「そうね。こんなお祭り、今後参加できるかなんてわからないもの。だから、今できる最大限の演奏で、お客さんの期待に応えてみせるわ。皆、思いっきり楽しみましょう!」

 

そう私が締めくくり、控室の扉を開く。控室を出て、静かに歩き出す。(あゆむ)は、栄光への道。きっとこの先に、素晴らしい栄光が待っている。私たちは、その栄光をつかみ取るため、静かに、強く、歩を進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

開演まで、残り五分を迎えていた。開演時刻が迫ってきたこともあり、観客席から聞こえる歓声も、さらに大きくなってきた。流石に、私も少し緊張してきた。歓声の大きさに比例して、緊張が増していくように感じる。だけど、それ以上に今、楽しくて仕方がなかった。開演する前から、既に。もしこのまま、開演してしまえばどうなるのだろうか?私にもわからない。だけど、今以上に楽しいことが待っているのは間違いない。それだけわかっていれば、きっと十分だろう。

 

「それでは、開演します!」

 

スタッフさんがそう声をかけてくれると同時に、会場に流されてた曲が止まる。ほんの一瞬訪れる静寂と、すぐさま湧く期待感をはらんだお客さんの声。それを後押しするかのように、BGMが流れ出す。

 

「皆!行くよ!」

 

雅が皆に声をかける。それと同時に、まるでお客さんを煽るかのようにBGMのテンポが早くなる。早くなり、早くなり、そして止まる。止まった後に聞こえるのは、期待感が最高潮に達した、お客さんの悲鳴のような歓声だけだ。その歓声を聞きつつ、私たちは舞台に躍り出た。

 

「みんなー!メリークリスマース!」

 

舞台の上に立った私達を、お客さんの大歓声が包み込む。今日はクリスマス。それに因んで、私たちの衣装はサンタ服をモチーフにした衣装になっている。

 

「それじゃー挨拶代わりに一曲行くよー!welcome to my world!」

 

ライブの一曲目が始まる。楽しい時間の開幕を告げる曲。そこに、雅の代表曲の一つ、welcome to my worldを持ってきた。花女の文化祭でも演奏した曲。あの時は、花音も、薫も、イヴちゃんもこの曲の演奏難易度に苦い顔をしていた。その曲に、今日はパスパレの皆で挑戦する。

 

まぁ、挑戦すると言っても、散々今日までこの曲は練習してきた。イヴちゃんと私は、既に文化祭の時にマスターしているし、日菜ちゃんと麻弥ちゃんは流石と言うべきか、あっさりと演奏できるようになってしまった。彩ちゃんは、歌えるようになるのに少し苦労していたけれども。だけど

 

「少年少女よwelcome!陽気なworldが出迎える!」

 

彩ちゃんが見事な歌唱を見せる。少し、音程がずれてしまっている部分も見受けられるけれども、それもまた愛嬌だ。彩ちゃんらしくていいことだと思う。及第点以上は間違いないでしょう。

 

「パーティーを始めようさぁー・・・イッツ、ショー、ターイム!」

 

そして、最後のフレーズを全員で一緒に歌い、開幕を告げる曲の演奏が終了する。だけど、開幕からお客さんも、私達も、休ませる気はない。

 

「まだまだ行くよー! パスパレボリューションず☆!」

 

パスパレボリューションず☆は、普段のライブではこんな序盤に持ってくることは無い。私たちの、締めの定番とも言える曲になっている。そんな曲を、この最序盤に持ってきた。正に攻めのセトリ。正にサプライズなセトリ。今日の私たちは、非常に攻撃的だ。最後の最後まで、お客さんを休ませるつもりは一切ない。勿論、私達も休む気が一切ない。そのために、この日まで体力トレーニングに精を出してきた。

 

その成果は間違いなく出ている。皆、以前に比べて体力が倍以上ついたのではないだろうか?おそらく、メンバーの中で一番運動ができないのは私だ。そんな私が、このセトリの演奏を最後までやりきることができるのだ。他の皆なら、更にセトリを増やしたりしても、問題なく熟せそうな気がする。正直、私は今回のセトリで精いっぱいだ。今回のライブが終わっても、体力トレーニングを続けていこうと、今決めた。

 

そして、パスパレボリューションず☆が終わる。攻めに攻めた開幕二曲。だけど、何も攻めるのはこの二曲だけではない。更なる追い打ちをかける、驚きを含んだ攻めの三曲目といこう。

 

「次の曲は、僕たちの大切な友人であるバンドからお借りした曲です。聞いてください。Neo-Aspect」

 

三曲目、Neo-Aspect。友希那ちゃん達、Roseliaの楽曲。それを、私たちが演奏する。このカバーを決めたのは雅だ。雅が独断で決めて、独断で交渉し、独断で友希那ちゃんから許可を取った。そう、独断で。許可を取れたからセトリに入れたいと雅が最初に言いだした時は、私達もスタッフさん達も凄く驚いた。まぁ、私たちは雅が決めたことならと許可をしたし、スタッフさん達も面白そうだからと直ぐに許可を出したわけだけど。

 

雅は、この曲が大のお気に入りらしい。確かに、凄く心に残る良い曲だと思う。私も好きだと言える曲。そして、実際に演奏してみてより一層に大好きになった。まるで、頂点を目指す友希那ちゃん達の覚悟が込められたかのような曲。実際に演奏してて、ひしひしとその覚悟を感じ取ることができた。Neo-Aspect。新たな姿。今なら、雅がこの曲をセトリに組み込んだ意味も分かる。私たちに、新たな境地へと踏み出してほしいと言っているのだ。雅が望むなら、いくらでも踏み出して見せよう。新たな私へと。

 

「うぉーおーおーおーお!うぉーおーおーおーお!うぉーおーおーおーお!うぉーおーおーおーお!」

 

お客さん達と声を揃えて歌う。会場が一体になるように歌う。新たな境地へ向けて歌う。歌って、歌って、そして終わる。曲とは、やがて終わりがくるもの。もっと演奏していたい気持ちはあるけれども、そういうわけにはいかない。だけど、今日はまだまだ演奏する曲が他にもある。意識を、早く次の曲へ向けていこう。だけど、その前に

 

「それじゃここで、メンバー紹介行くよ!」

 

メンバー紹介だ。ライブにおいて、大事なこと。私たちのことをよく知らずに、今日この場所に足を運んでくれてるお客さんももしかしたら中にはいるかもしれない。そういう人に、私たちのことをよく知ってもらおう。また次も来てもらえるように。

 

「はい!まん丸お山に彩りを!Pastel*Palettesのボーカル丸山彩です!」

 

そう彩ちゃんが一歩前に出て自己紹介をする。メンバー紹介は基本的に、彩ちゃんの仕事だ。私達も、この一年足らずでライブを数多く熟してきた。その数だけ、メンバー紹介を行ってきた彩ちゃん。もう慣れたものだ。

 

 

「まずは、ギター担当の、氷川日菜ちゃん!」

 

「皆ー!今日もギュイーンとしていくから、きらっとして帰ってね!」

 

自己紹介代わりにギターをかき鳴らす日菜ちゃん。今回のセトリは、雅の曲も数多く演奏しないといけないため、私達も練習時は苦労した。だけど、やっぱり日菜ちゃんは日菜ちゃんだった。難易度の高い雅の曲も、あっという間に物にして見せた。本当に、羨ましいばかりの才能だ。

 

 

「ベース担当、白鷺千聖ちゃん!」

 

「皆さん!今日は最後まで、私達のサプライズな演奏を楽しんでいってくださいね!」

 

歓声に、手を振り応える。超満員の会場。今日の動員者数は、私たちが未だかつて経験したことのないほどの人数になっている。勿論、私達だけの力ではこれだけの人を集めることはできなかっただろう。雅の効果はやはり大きい。

 

「キーボード担当、若宮イヴちゃん!」

 

「私も、ブシドーを胸に精一杯頑張ります!私のブシドー、最後まで見ていてくださいね!」

 

そう言って、キーボードを奏でるイヴちゃん。イヴちゃんも、キーボードを弾く姿が様になってきた。まだキーボードを始めて一年も経っていないなんて信じられない。今日のセトリを全て熟せる時点で、もう素人とは言えないだろう。

 

「ドラム担当、大和麻弥ちゃん!」

 

「ジブンも、今できる精一杯の音で 皆さんの期待に応えようかと思います!ジブン達の演奏最後まで見ててください!」

 

麻弥ちゃんは、さすがにまだ緊張しているようだ。その表情は流石に硬い。だけど、この舞台を楽しみたいという想いもひしひしと伝わってくる。きっと、彼女なら今日も最高のリズムを刻み続けてくれるだろう。

 

「そして最後は、私たちの大切な、最高の友人、ギターボーカル、黒城雅!」

 

そう私が雅を紹介する。雅の紹介だけは、私にさせてほしいと、彩ちゃんとスタッフさんにお願いしていたのだ。二人とも、すんなり許可を出してくれてありがたかった。

 

「黒城雅です!今日も皆さんに、最高の音を届けるために来ました!それじゃ早速、次の曲を聞いてください。Voice of Love」

 

自己紹介と共に、次の曲を告げる雅。Voice of Love。この曲は、この夏にリリースされたばかりの雅の新しめの曲。実は、文化祭の時もセトリに入っていた曲だ。実はこの曲、主題においてるのはwelcome to my worldと同じく雅本人らしい。愛に生きる道を選んだ雅本人。まぁ、雅自身は恥ずかしいから、あんまりこのことを誰かに言いたくはないそうだけど。

 

「とーどーけー!あいーのこーえよー!さーけーべー!あいーのまーままにー!」

 

歌いながらも、マイクを観客席に向けて、観客のコールを煽る雅。その姿は、非常に様になっていて、カッコよかった。正に、舞台上の王様。従者を鼓舞する王様の姿。この姿を見れば、皆も雅がファンから様付けで呼ばれ、ファンのことを従者と表現する意味も分かるだろう。

 

「はーしーれー!あいーのほーうにー!すーすーめー!あいーととーもにー!めーざーせー!あいーのごーおるー!つーかーめー!あいーすひーとをー!さーあーさけべー、マーイラーヴ!」

 

最後のフレーズを、また全員で歌い、曲が終わる。本当に、良い曲だ。それに、お客さんたちの一体感も増している。会場内の熱気も最高潮に達したのでは無いだろうか?だけど、まだまだ終わらない。この最高の時間は、まだ終わらない。だけど、いつかは必ず終わりが来るもの。その後、何曲も何曲も演奏し、そしてその時は、やってきた。

 

「皆さん!今日は、来てくださって本当にありがとうございます!残念で仕方ないですけど・・・次が最後の曲です!」

 

彩ちゃんの声が、その時が来たことを会場内に告げる。目に見えて、気落ちするお客さん達。その気持ちは、私達も一緒だ。永遠に続けば良いとさえ思える最高の時間。だけど、永遠なんてものは願ってもやってくることはない。ならせめて、今日集まってくれたお客さんに、最高級のパフォーマンスを披露してお別れしよう。また、絶対に私達を見に来たいと思えるような、最高級のパフォーマンスを。

 

「最後の曲は、簡単にできる振り付けもありますので、是非、一緒に踊りましょう!それでは聞いてください!ゆめゆめグラデーション!」

 

彩ちゃんが曲名を告げる。ゆめゆめグラデーション。夢を追う人達への応援ソング。きっと、今日の会場に集まってくれたお客さんの中にも、必死になって、藻掻きながら夢を追いかけている、そういった人がいるだろう。素敵なことだと思う。

 

正直、私にはよくわからないことだけど。私には夢というものが無い。いくつか、掲げている目標はあるけれども、夢と言えるようなものはない。だから、夢を追う人の気持ちというものがあまりわからない。だけど、雅や彩ちゃんを見れば、それはきっと素晴らしいことなんだということがわかる。だって、自分の夢について語る二人は、本当に目が眩むほどに輝いているのだから。

 

そんな、輝いている人達のために雅が作った曲。きっと、雅自身へも向けた、自分への応援歌といった意味もあるのだろう。夢を追う全ての人に笑顔でいて欲しい。そういう思いを込めて、この素晴らしくも輝かしい曲を演奏していく。頑張れ、頑張れと想いを込めて演奏し、叶え、叶えと願いを込めて歌い、そして曲が終わる。

 

「皆ー!今日は本当にありがとう!また、会おうね!」

 

雅がそう言うのと合わせて、全員で手を振りながら舞台袖へと消えていく。終わった。楽しい時間は本当にあっという間だ。あー、また今すぐにでもあの場所に帰りたい。帰って、また皆で演奏がしたい。そう思わずにはいられない、最高の時間だった。まぁ、その願いは現実の物となるわけだが。

 

「アンコール!アンコール!アンコール!アンコール!」

 

お客さんが、魔法の言葉を唱える。私達を再度舞台に呼び戻す、とびっきりの魔法の言葉を。その魔法の言葉は、唱えられる度に、大きくなり、そして声が重なっていく。早く帰ってこい、帰ってこいと私達に呼びかける。その呼びかけに、私達が応えない訳がないだろう。

 

「ははっ、皆まだまだ元気みたいだね」

 

「そうね。私達も負けてられないわね」

 

「あたしもまだまだ弾いていたいな。だって、今日のライブ、すっごくぴかってしてるんだもん!」

 

「ジブンも、最初は緊張しすぎて、楽しむ余裕もあまりなかったったんですけど、今はこの時間が楽しくて仕方ないです!」

 

「私も同じ気持ちです!今日という日が、この熱戦がまだまだ続いてほしいです!」

 

「うん!そうだね!私ももっと歌っていたい!だから、行こう!」

 

皆の気持ちは一緒だ。この時間を、お客さん達とまだまだ共有していたい。そのために、直ぐさま舞台へ舞い戻る。だけど、何も今日の目的は演奏することだけじゃ無い。日菜ちゃん、麻弥ちゃん、イヴちゃん、そして少し離れた位置にいるスタッフさん達にも、雅と彩ちゃんにバレないように、アイコンタクトで合図を送る。皆、私の意思を感じ取ってくれたようで、静かに頷いてくれる。さぁ、今日最大のサプライズの幕を開けよう。そう意気込み、私達は再び舞台へと舞い戻った。

 

「皆!アンコールありがとう!それじゃ早速・・・」

 

出迎えてくれた歓声に応えつつも、直ぐさま雅がアンコール一曲目に入ろうとした時だった。突然、会場中の照明が落ちた。勿論、これは事故などではない。スタッフさんの演出だ。突然のことに驚き、どうしていいかもわからずその場で立ち尽くす雅と彩ちゃん。それは、お客さん達もそうだろう・・・と思うかも知れないが、実はお客さんには演出の一環で場内が真っ暗になることを事前に周知してあったのだ。お陰で、皆、大人しいものだ。だけど、ずっとこのまま暗いままなわけにもいかない。そろそろ、スタッフさん達の準備もそろそろ大丈夫みたいだ。その証拠に、スポットライトが照らされる。彩ちゃんを照らす、スポットライトが。さて、それでは私もお仕事をするとしましょうか。

 

「ハッピバースデートゥーユー」

 

マイクを片手に、誰もが知っているあの歌を歌う。想いを込めて、あの歌を。

 

「ハッピバースデートゥーユー」

 

声が増える。日菜ちゃんが、麻弥ちゃんが、イヴちゃんが私に会わせて歌ってくれる。

 

「ハッピーバースデーディーアあーやちゃーん」

 

四人で歌う。四人で声を合わせて歌う。だけど、四人じゃ足りない。だからこそ、多くの人々の声を集める。スポットライトが私にも照らされる。それを確認して、私は観客席にマイクを向けた。

 

「最後は皆さんも一緒にお願いします!せーの、ハッピーバースデートゥーユー!」

 

会場全体を巻き込んだ大合唱が響き渡る。一人の少女へと向けられた、大合唱が。

 

「皆さん、ありがとうございます!あさって、十二月二十七日は私たちの愛すべきボーカル、丸山彩ちゃんのお誕生日です!ですので、少し早いですが、この場をお借りしてお祝いをしたいと思います!」

 

「え、ええええええええええええ!そ、そんなの聞いてないよ!」

 

それは、ずっと隠してきたのだから当然だろう。聞いてたほうが大問題だ。だけど、彩ちゃんのこんな顔を見れたのだから、隠してきて正解だったと思う。最初から言ってたら、きっと彩ちゃんもこんな顔しなかったでしょう。因みにどんな顔かは想像にお任せしようかと思う。きっと、大体どんな顔かわかるでしょうけど。と、彩ちゃんの顔を眺めているとスタッフさんがある物を運んできた。昨日私達で作ったケーキだ。

 

「昨日私達四人で作ったのよ」

 

「僕にも言ってくれたらよかったのに」

 

「雅に言っても、直ぐ彩ちゃんにバレちゃいそうじゃない」

 

雅の発言を一蹴する。反論したくても、全く反論する余地も無く、雅はただ口をパクパクさせているだけに終わった。いつから雅は金魚になったのだろうか?別に、私は雅を水槽に入れて飼うような趣味は無い。

 

「それじゃ、彩ちゃん。火を消してくれるかしら?」

 

「思いっきりやっちゃってください!」

 

「アヤさんのブシドーを見せる時です!」

 

「うぅ・・・皆、本当にありがとう・・・」

 

「あはは、彩ちゃん今日もカンキワマリ、だね!」

 

とうとう堪えきれずに泣き出した彩ちゃん。まぁ、これだけ皆で頑張ったんだから、泣くぐらいしてくれないと困る。これだけやって、涙もろい彩ちゃんを泣かせることが出来ませんでしたじゃ、私達もなんだか悲しくなってくる。私達の頑張りはなんだったんだろうと。

 

「そ、それじゃあ、行くね・・・」

 

そして、彩ちゃんが見事一息でろうそくを消して見せた。流石ボーカル。肺活量は中々の物だ。一息で消し終わった彩ちゃんに向けて、温かい拍手と声援が送られる。

 

「おめでとう!」

 

そして誰かがおめでとうと言うと、我先にと言わんばかりに次々とおめでとうの叫びが方々から上がり始めた。勿論、舞台上からも。今日のライブのテーマはサプライズ。そして、もう一つ。セトリの時点で決めたテーマとして、一体感というものを挙げていた。今、この会場は間違いなく一体となっていた。彩ちゃんへの想いで一体になっていた。美しい一体感で、この会場は支配されていた。その後も、おめでとうコールは彩ちゃんが落ち着くまでずっと続いた。

 

「彩ちゃん、もう大丈夫かしら?」

 

「うんっ!みんな・・・本当にありがとう!私、今日という日を一生忘れないよ!」

 

「きっと忘れたくても忘れられないでしょうね。ふへへ」

 

「でも、まだ今日という日は終わっていませんよ!アヤさん、最後まで頑張って行きましょう!」

 

「そうだね!あたしももっとるんっっとしたい!だから、あたしももっともっと全力で行くよ!」

 

「うん!行こう!それじゃ皆おまたせ!アンコール最初の曲は、僕達の共通の友人であるバンド、Afterglowの皆がパスパレのために作ってくれた最高にエモい一曲です!聞いて下さい!Y.O.L.O!!!!!」

 

Y.O.L.O!!!!!アンコール一曲目に新曲を持ってくる大胆な采配。アンコールに入っても、攻めのセトリは終わらない。最も、この選曲はそこまで責めているとも思わない。私達は皆、このY.O.L.O!!!!!という曲に全幅の信頼を寄せている。それだけ、素晴らしい一曲。本当に、未だにこんな良い曲をもらってしまっていいのかわからない。皆のお気に入りの一曲になっている。

 

今日観客席には、Afterglowの皆も来てくれている。そちらに目を向けると、皆何やら、照れくさそうな、嬉しそうな、そんなどう反応するべきかわからないといったような顔をしている。まぁ、その気持ちもわからなくもない。ひまりちゃんは、大泣きして周りのお客さんにも心配されてるみたいだけど。大丈夫かしら?

 

そこから少し離れた場所には、Roseliaの皆もいる。彼女達にも目を向けてみると、友希那ちゃんは何やら、静かに笑みを浮かべていた。彼女が何を考えているのかまではよくわからない。だけど、この曲から何かを感じ取っているようだ。その横では、紗夜ちゃんとリサちゃんが、そんな友希那ちゃんを見て優しそうな笑みを浮かべていた。きっと、彼女達には友希那ちゃんが感じ取ったこともわかったのでしょう。そして、最高にエモい一曲も終わりを迎える。

 

「ありがとうございました!Afterglowの皆!最高にエモい一曲を本当にありがとう!」

 

「私達、この曲が本当に大好き!だから、これからも大切に歌わせてもらうね!皆、ありがとう!」

 

雅と彩ちゃんが、感謝の言葉で締めくくる。その言葉は、私達の総意。この舞台に立っている全員が、そう思っている。最高の曲、最高のお披露目になったのではないだろうか?だけど、お披露目する曲はこの曲だけでは無い。

 

「そして次の曲。次の曲も、初披露となる新曲です!」

 

アンコール新曲二連発。最もインパクトの強いお披露目会にしようと皆で決めたセトリ。そして、この曲は、私にとって特別な曲となった。

 

「この曲は、ツインボーカル曲です!本来は、私と千聖ちゃんで歌う曲なんですけれども、今日は特別仕様!雅君と千聖ちゃんで歌います!それでは聞いて下さい、ゆら・ゆらRing-Dong-Dance」

 

彩ちゃんが曲の紹介をしてくれる。ゆら・ゆらRing-Dong-Dance。雅が私達のために、私のために作ってくれた曲。この曲を、今日は雅が一緒に歌ってくれる。どうしてこうなったかと言うと、単なる私のわがままだ。折角の機会だから、雅と二人で歌いたいとわがままを言ってしまった。だけど、そんな私のわがままを、雅が、彩ちゃんが、皆が受け入れてくれた。

 

私は、本当に幸せ者だと思う。多くの、最高の人達に囲まれて、最高に幸せな人生を歩むことができている。雅がいてくれたから、私の人生は色鮮やかな物になった。彩ちゃんが、日菜ちゃんが、麻弥ちゃんが、イヴちゃんがいてくれたから、パスパレとして最高のバンド生活を育むことができている。今日この会場に集まってくれた皆がいてくれたから、こんなにも最高の時間を過ごすことができた。少しでも、この恩を返したい。だから、この曲に全ての想いを乗せて歌う。

 

雅と背中合わせで歌唱する。小さくも大きいその背中が、私を支えてくれている。まさか、こんな日が来るなんて。大きな舞台で、雅と共演するだけに(とど)まらず、一緒に歌うことができるなんて。夢のような時間だった。夢のような現実だった。できることなら、いつまでもこの夢の中にいたい。だけど、それは決して叶えられない願い。夢の終わりがやってくる。

 

「ありがとうございました!名残惜しいですけれど、次が本当に最後の曲です!」

 

会場中から、悲鳴のような歓声が上がる。皆ももうわかっている。もう、夢から覚める時間が近づいているのだと。

 

「最後は、僕の始まりの曲を歌いたいと思います。今日という最高の一日を忘れないために。メモリア」

 

メモリア。シンガーソングライター黒城雅としての始まりの曲。今まで、ライブで歌われなかったことは無いのでは無いか?と考えてしまうくらいの彼の代表曲。その曲名を聞いて、観客席からも待ってましたと言わんばかりの大歓声が起こる。

 

「わーすーれーぇーなーいよー!僕のーつーみーをー!わーすーれーぇーなーいよー!君への、かんーしゃーをー!皆も一緒にー!Say!」

 

「わーすーれーぇーなーいよー!」

 

「僕のーつーみーをー!」

 

雅の呼びかけに応じて、今日何度目かの大合唱が起きる。今日という日を忘れないと誓う、お客さん達の大合唱が。

 

「わーすーれーぇーなーいよー!」

 

「皆への、かんーしゃーをー」

 

最後は、雅のライブアレンジで締める。最後の歌詞を君から皆に変えるのは、雅のライブの定番だ。今日集まってくれた、皆への感謝を忘れない。そう意を込めて。そして、この曲を最後に、今日のライブは終わる。

 

「皆-!本当に今日はありがとうございました!また、黒城雅の記憶に、最高の一ページを刻むことができました!本当にありがとうございました!」

 

「本当に、ありがとうございました!もう、今日のライブが楽しすぎて、あの、その、何を言おうとしてたかも忘れちゃったんですけど、本当に最高の一日でした!ありがとうございました!」

 

「皆!今日は来てくれて本当にありがとう!もう、凄く、るんってしぱなっしのライヴだったよ!いっぱいのるんっをありがとう!また皆でるんってしようね!」

 

「皆さん、今日は本当にありがとうございました!私は、今日のライブを絶対に忘れません!だから、皆さんも絶対に覚えていて下さいね。今日来て下さった皆さんがいてくれたからこその、最高の時間でした!またいつか皆さんと同じ時間を共有したいと思っています!本当に、ありがとうございました!」

 

「皆さん、今日は本当にありがとうございました!皆さんにも、今日は私のブシドーが伝わったのでは無いかと思います!皆さんのブシドーもたくさん伝わってきました!本当に楽しい時間をありがとうございました!」

 

「皆さん!今日はジブン達のライブに来ていただいて本当にありがとうございました!最初はジブン凄く緊張してて、ちゃんとドラムを叩けているのかどうかもよくわかってなかったんですけど、緊張が解れてからは、本当に楽しくて仕方が無かったです!本当に楽しい時間をありがとうございました!ふへへ」

 

全員の挨拶が終わり、今日何度目かもわからない大歓声が私達に贈られる。本当に最高の時間だった。できるなら、まだもう少しだけ、この時間を過ごしていたい。

 

「あ!そうだった!僕の始まりの歌は歌ったけど、パスパレの始まりの歌を忘れてたや!」

 

その願いは、叶えられる。まだもう少しだけ、ほんの少しだけ、この時間を。

 

「そうだよ!私達のはじまりの歌も歌わせてよ!・・・というわけで、皆さん、まだ元気は残っていますか-?」

 

その彩ちゃんの問いかけに、大歓声が応える。元気は十分みたいだ。なら、最後のサプライズを堪能していただこう。今日最後のサプライズを。

 

「それでは本当の本当に、最後の曲です!皆でしゅわしゅわして下さいね!聞いて下さい!しゅわりん☆どり~みん!」

 

そして、始まる、本当のフィナーレ。地を割らんばかりのお客さん達のコールが、私達を後押しする。私達も、それに負けじと声を張り上げて歌う。音をかき鳴らす。正しく、私達とお客さん達が一体になって、会場の熱気を上げていく。今日のテーマ、サプライズと一体感の集大成。今、この会場は正しく、一つの集合体へとなっていた。個ではなく群。群ではなく個。そのような、曖昧な表現しかできないけれども、言いたいことは伝わるのでは無いだろうか?要するに、このライブは未来永劫語り継がれるような、最高のものになったということだ。

 

「今日は本当に、ありがとうございました!」

 

そして、最高の一日が幕を閉じる。お客さん達の感謝を込めたありがとうの、本日最後の大合唱を背に受けて、私達は舞台を後にした。その感謝の言葉を、深く心に刻みつけて。

 

 

 

 

 

 

 

 

ライブが終わり、私達は帰途についていた。今は、私と雅の二人だけ。他のメンバーとは、既に別れていた。

 

「本当に、今日は素晴らしい一日だったね」

 

「そうね。忘れたくても忘れられそうにない、最高の一日だったわ」

 

今日のライブは、きっと私達にとって永遠のものとなった。この先、何年、何十年と経とうとも、不意に思い出しては、笑みを浮かべるような、そんな最高の思い出。そんなことを思っていると、不意に空から白い粒が降ってきた。

 

「あ、雪だ」

 

雪だ。肌に触れる冷たさが、雪なんだぞと自己主張してくる。一つ二つ降ってくると、その後直ぐに世界は白い粒に覆い尽くされた。

 

「ホワイトクリスマスね」

 

「あはは、そうだね」

 

今日はクリスマス。その聖なる日を彩るに相応しい幻想的白。今日という日を忘れられない材料がまた一つ増えた。

 

「わーすーれーぇーなーいよー」

 

「千聖?急にどうしたの?」

 

「ふふっ、なんとなく歌いたくなっただけよ」

 

雪が降り、時刻も夜遅く。自然と気温も落ち込んできた。身も凍る寒空の下でも、隣には雅がいてくれる。少しでも暖かくなるようにと、二人の距離も自然と近くなる。肌に触れる雅の温もりが心地良い。この温もりも、生涯忘れないでいよう。そう心に固く誓った、ホワイトクリスマスの帰り道だった。




どうも、ソウリンです
息をするように、文字数が増えていく作品がこちらです(白眼
本来ならライブ後の楽屋でのやり取りなど、まだ書きたい場面はあったんですけどね
大幅カットしました
カットしてこの文字数とは、カットしてなかったら二万文字優に超えてたな(白眼
今回のサブタイトルは、AKB48さんのあなたがいてくれたからです
もしかしたら、知らない人も多いかもしれないですね
まぁ、アルバム曲ですしね
ただ、本当に良い曲なんですよ
興味があれば、是非聞いてみて下さい
それとこの一週間、ガルパにとって、バンドリにとって本当に激動の一週間になりましたね
新バンド2バンド追加!
RASきたああああああああああああ!
チームRASの一因として、こんなに嬉しいことはない!
最高です!
そしてもう1バンド、モニカ!
なにこれ、普通に大好きなんだけど
Daylightすっごくよくないですか?
バンドリ初のヴァイオリン
すっごく味が出てて良いと思います
七深ちゃんもつくしちゃんもましろちゃんも透子ちゃんも超絶可愛いし、瑠唯ちゃんも超美人!正直、バンド内の推し誰にするかも悩んでます
今のところ、ましろちゃんかつくしちゃんかな?
でも、七深ちゃんも透子ちゃんも瑠唯ちゃんもみんな好き・・・
ガルパ追加が今から待ち遠しいですね!
リアルバンド活動もあるということで、リアルでもアプリでも今後目が離せない存在ですね!
バンドリドーム来てくれないかな
超絶楽しみにしてます!
では、今回はこの辺で
次回は、物語の都合上千聖編からの投稿です
オリジナルストーリーになります
投稿目標なんですけど、ガルパ三周年までにとさせていただきます
予定では、15日午後12時に千聖編投稿して、16日午前0時に雅編投稿できたらなと思っております
ですので、次回投稿目標は実質、15日午後12時だと思っておいて下さい
ではでは、次回もよろしくお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。