転スラ~最弱にして最凶の魔王~   作:霓霞霖

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※本作は漫画版「転生したらスライムだった件」1~6巻の知識と本サイトにある二次創作の知識で書かれています。原作を読破した方には大変お見苦しいかもしれません。それでも良いという方のみお進みください。


短編版
All is fantasy.


「ああ……待ってたよ、この時を」

 

 一人の男が気味悪く口の端を大きく釣り上げる。

 

「暴風竜ヴェルドラの消失。ああ、彼が来たんだ。()()()()()()()()が……!」

 

 彼は待ちわびた者の来訪を予感し歓喜していた。恋い焦がれた運命の相手を見つけたように、復讐を誓った怨敵を見つけたように。

 

「これで世界は動き出す。300年だ。300年待った。これで、世界はもっと、もおぉっっと面白くなる!」

 

 この地に来て300年。彼はこの地に来た時より持つ知識を頼りに自身の地位を確立し、待ち続けていた。()()()()()()()

 

「だが、もうちょっと待とう。なに、300年と比べればほんのちょっとだ。流石の僕でも、他の魔王たちに干されるのは骨が折れるからね」

 

 耐え難きを耐えるために、そう独り言ちて自己暗示をする。骨を折られたところでそんな現実は受け入れない(全く問題ない)が、せっかく確立した立場を台無しにすることも無いと考えた。

 

「全く、()()魔王とか言って仲間外れにするくせに、ちゃっかりルールは適用するんだから酷いよなぁ」

 

 彼は300年の内に魔王と認められていた。この世界に乱立する魔王の中、トップ10を纏めた括り・十大魔王には含まれていないが、その十大魔王たちから同列として扱われ、忌避されていた。その同列扱いのせいか、何故か彼らの条約には従わされ、ジュラの大森林不可侵条約のせいで待ち人に会いに行けないのだ。

 

「まぁいいさ。そんなに焦ることもないしね。どうせこんな人生、長い永いオールイズファンタジー(ただの幻想)なんだから!」

 

 彼は楽しい幻想を見て笑う。これからもっと面白くなると笑う。彼は幻想と楽しみ、幻想と笑うのだ。

 

◇◇◇

 

 魔物が居て、魔王が居て、冒険者が居て、勇者が居るファンタジーな世界。『スキル』という個々の才能を可視化するようなルールが存在する世界。

 

 この世界には魔王が多数存在し、それぞれの領地を持って、手下の魔物を従えて君臨している。特に力ある魔王たちを纏めて『十大魔王』と呼ばれる。魔王となる者は上から二番目の危険度を示す災禍級(ディザスター)であり、十大魔王のほとんどもそれに該当し、中には最上の天災級(カタストロフ)も存在する。だが、魔王であるのにランク分けある中で最低の危険度・F(戦闘能力なし)に分類される魔王がいる。

 

 その魔王は最弱の魔王として、()()()()()()()()()()()()()()。彼と敵対した者は個人・群衆に関わらず()()()()無傷で生還する。だが、完全討伐を果たした者も、再び相対しようとする者も、誰一人としていない。ただひたすらに、彼と敵対して心折れた者たちばかり増えていった。そうした被害にあった多くの国が、多くの組織が、「彼を天災級(カタストロフ)ないし災禍級(ディザスター)にするべきだ」と言う。しかし、彼は物を壊したという事実も、人を殺したという事実も、ひいては魔物を殺したという事実もどこにもない。故に、彼は『戦闘能力なし』とされている。嘆願の受け入れられぬ彼らは、せめてもの報復として彼をこう語る。

 

 「最弱にして最凶の魔王、『過負荷(マイナス)』」と。

 

 

 

 

 

 

「まぁ『過負荷(マイナス)』は僕が自称してたのがうまいこと広まったやつなんだけどね」

 

◇◇◇

 

「不可侵条約など今この場で撤廃してしまえば良かろう。暴風竜が消えたという噂だしな。もう必要なかろう?」

 

 十大魔王の内四柱、ミリム、クレイマン、カリオン、フレイが集まるとある一室。彼らはミリムとクレイマンのジュラの大森林に対する思惑の失敗と、その思惑を頓挫させた魔物の存在を知らされて集まり、その魔物に興味を持つも十大魔王間の『ジュラの大森林不可侵条約』によって干渉できないことを嘆いていたが、その嘆きもミリムによるその一言で打開された。

 

「そういうことなら条約破棄に反対する者もいないだろう。俺は賛成だ」

 

「私も賛成ですわ。私の領土はあの森と接していて面倒だったのよね」

 

「……いいでしょう。私も条約の撤廃に賛成です」

 

 カリオン、フレイ、クレイマンはそれぞれミリムの意見に同調し、他の魔王に条約撤廃を連絡及びそれを受理する文書に各々サインする。そして、それが魔法的効力を発揮する瞬間に事が起こった。

 

「ありがとう、君たち。これでようやく、僕は彼に会いに行ける」

 

 ここに居ないはずの、ここにいる全員が聞き覚えのある声が響く。皆一様にその声の発生源に顔を向ければ、先ほどまで居なかったはずの『そいつ』が悠然と席に腰かけていた。

 

「てめぇ、いつの間に!」

 

「カイ!貴方がどうしてここに!?」

 

「ええ?そんな驚くことかい?僕がそんな面白そうなこと、知らないなんて現実を受けい―――」

 

 カリオンとフレイが驚愕に声をあげ、クレイマンが警戒しつつ静観している中、ミリムだけが人間の肉眼で捉えられぬ速度の拳を『カイ』と呼ばれた男の顔面に叩き込み、見事その頭蓋を砕いて見せた。

 

「……カイ、さっさと起きるのだ。貴様がこの程度で死ぬわけ無かろう」

 

 頭部を失い、力なく地面に横たわる死体に向けて、ミリムは冷淡に睨む。

 

「全く、酷いなぁミリムは。僕は『魔王』だけど『ただの人間』で、君なんかに殴られたら死んじゃうんだよ?実際死んじゃったじゃないか、頭パァンって」

 

 その部屋に居る全員が瞬きで目を閉じ、目を開けた時には死体なんて何処にも無く、先ほどミリムに殴られた男が、殴られる前の状態のままそこに居た。

 

「まぁ!オールイズファンタジー(全部幻想)なんだけどね!」

 

 ミリムの行動を無駄だと嘲笑うように口で三日月を作る。

 

「それで、何の御用ですか?『番外魔王』、『カイ・ヤグラ』」

 

「なんだよぅ、そんな他人行儀なフルネーム呼びで。もっと親しみを込めて、「カイパイセン」って呼んでくれていいんだよ?あ、でもまぁ君たちがくれた『番外魔王』って結構気にいってるんだ。なんか『永久欠番』とか『裏ボス』みたいな感じで良いよね」

 

 冷静なクレイマンの質問に、カイは道化じみた身振り手振りで、「カイパイセン」とかのセリフも裏声でわざわざ発し、何が楽しいのか気味が悪い笑顔を浮かべている。

 

「……」「……」「……」「……」

 

「はい、「質問にはちゃんと答えましょう」ってね。大丈夫だよ、しっかり学校で習ったから」

 

 くるくると回っていたかと思えば、四柱に睨まれて大人しく席に着く。しかし、気味の悪い笑顔は崩さない。

 

「「何の御用ですか?」という質問の回答ですが、「ジュラの大森林不可侵条約を撤廃してくれたお礼を言いに来ただけなので、もうご用事は有りません」、です。じゃね、バイビ」

 

 途中まで抑揚なく機械音声のように返していたが、最後はにこやかに手を振って、またここにいる全員が瞬きをした時にはカイが椅子ごと、まるで元から彼が居たのが幻想だったように消え失せている。

 

「く、あやつに先を越されてなるものか!ワタシはもう行くのだ!」

 

 扉を蹴破る勢いで飛び出すミリム。他の面々はまだあのカイの衝撃から脱することができず、茫然としている。

 

「はぁ……。厄介な方に感づかれてしまいました」

 

「厄介は厄介だがな。あいつが動くってことはマジで魔王が新生してるかもしれねぇぞ」

 

 クレイマンが通り過ぎた台風にため息を洩らせば、カリオンはカイが動くことの重大さを指摘する。

 

「彼が動く案件と言えば、『魔王』か『勇者』くらいですものね。後は世界のどこかをぶらついていますけど」

 

 ここにいる、いや全十大魔王が『番外魔王』の行動原理を知っている。狂ったように『魔王』に喧嘩を売っては殺され、『勇者』に挑んでは殺される、()()()()()()()()()()()()()()()()()。『カイ・ヤグラ』とはそういう狂気の塊であり、そういう邪悪であるから、彼らも『番外魔王』という枷で縛り付け、同じ土俵に上げることで自分たちへの被害を少なくしているのである。と言っても、彼から受けた被害は全て幻想のようになかったことにされているのだが。

 

 ちなみに、彼が敗北を求めていない、彼が挑む標的が居ない時は世界漫遊の旅をしていることも全十大魔王に知られている。

 

◇◇◇

 

「怒れる魔王など災禍そのものだ。うっかり出会って手を出すなよ」

 

「出さないって」

 

 まだ名前も決まっていない、後に『ジュラ・テンペスト連邦国』と呼ばれる魔物たちの国のその一角で、その国の王、リムル・テンペストとその隣国に当たるドワーフ王国(ドワルゴン)の王、ガゼル王が談笑していた。

 

「特に気を付けなければならない魔王が一人いる。『過負荷(マイナス)』、カイ・ヤグラだ」

 

「カイ・ヤグラ?」(なんか日本人みたいな名前だな。もしかして俺と同じ転生者か?)

 

 その魔王の名に、リムルは親近感を抱き、その同郷かもしれない魔王に興味が湧いて耳を傾ける。

 

「最も目撃報告が多い魔王でな、その魔王は『最弱にして最凶の魔王』と言われている」

 

「サイジャクで、サイキョウ?」

 

 その発音を『最弱』と『最強』に解釈したリムルはその矛盾に怪訝な表情をする。

 

「強いという意味ではない。彼に挑んだ者は皆悉く彼を討ち取るが、皆心折られて帰ってくるのだ」

 

「みんな倒せてるのに、心折られる?「悉く討ち取る」ってことは無限に復活するから、みんなそれで心折れるのか?」

 

「「無限に復活する」というのは事実らしいが、「心折られる」というのは「討伐を諦めさせられる」ことでは無い。「生きることに希望を、夢を見いだせなくなる」ことだ」

 

「はぁ?」

 

 ガゼル王は真面目にリムルに説明しているが、説明を受けているリムルは聞けば聞くほど意味が分からなくなる。

 

「名を上げるべくカイに挑んだ冒険者は、皆冒険者を止めて田舎に引っ込む。それを危険だと判断して討伐に動いた国は、それを命じた王も従った官僚も戦った兵士も、皆無気力になり、仕事をせずに引きこもる。酷い者では自刃すらするらしい」

 

「で、でもよ。そいつに挑まなければ、手は出してこないんだろう?」

 

 『カイ・ヤグラ』の悪評をガゼル王に諭され、リムルは臆病風に吹かれて親近感もどこへやらかに飛んでいった。

 

「いや、残念ながら彼から挑むケースも確認されている。彼の標的となるのは主に『勇者』と呼ばれる者・『勇者』になると期待された者・『勇者』と自称する者。それと、『魔王』にも挑むとされている」

 

「ううぇ~い……」

 

 リムルは絶対勇者を国に招き入れないことと、魔王にならないこと、その2者に関わらないことを誓った。

 

「かなり享楽的で危険な魔王だ。出会ったならまず逃げることを勧める。いや、まずは出会わないことを祈るように勧めよう」

 

 ガゼル王が真摯に忠告をし、その忠言にリムルが感謝の言葉を掛けようとした瞬間だった。

 

「いやだなぁ、全く」

 

 聞き覚えの無い声が聞こえる。今まで感じたことのない気味の悪さを感じる。その発生源に、リムルもガゼル王も顔を向ける。

 

「そんなキラーパスされたら」

 

 見覚えのない者が、いつの間にかにそこに居て、何が楽しいのか口で弧を描いていた。

 

「このタイミングで登場したくなっちゃうじゃないか!」

 

 リムルもガゼル王も、そのあまりにも異質で不気味な存在に衝撃を受けて呆然としてしまった。とりわけリムルの衝撃は大きい。その存在の装いが『白のワイシャツ』『黒のネクタイ』『灰色のブレザーとスラックス』という前世の世界の学生に似た服装と、色が抜け落ちたような短い白髪で糸目の男の気味が悪い雰囲気があまりにも釣り合っていないのである。前世の現代風の少年が、邪悪なラスボスのオーラを放っていることに、異常な違和感を覚える。

 

「き、貴様がっ!」

 

 衝撃がまだ少なかったガゼル王がその存在の正体を察して、臨戦態勢を取る。

 

「やぁやぁ!窓辺のマーガレットでお馴染みの、僕の登じ―――」

 

「リムル様!」

 

 主の危機を察知し、リムルの影から唐突に現れた狼型の魔物・黒嵐星狼(テンペストスターウルフ)のランガはその危機の原因たる男の体に噛みつき、体当たりの勢いで壁をぶち破って外まで弾きだす。男とランガが勢い余って離れた時には、既に噛みつかれた腹部が食い千切られていた。

 

「ゲボッ」

 

 立ち上がる筋肉も食われて横たわっている男に、二体の鬼・鬼人が歩み寄る。

 

「「終いじゃ(だ)」」

 

 満身創痍の男に容赦なく、白髪の鬼人・ハクロウは首を切りおとし、赤髪の鬼人・ベニマルは黒い炎で一片も残さず灰に帰す。

 

「ちょっ、お前ら!?」

 

「なんてことをするんだ!君たちには血も涙もないのか!」

 

「え?」

 

 リムルは彼らの行動に驚き、諫言しようとするが、その言葉も更なる驚きで中止されることになる。横から響く声は正しく、先ほど自身の配下に殺されたはずの男のモノだった。

 

「まぁ!オールイズファンタジー(全部幻想)なんだけどね!」

 

 傷一つ無い姿で、ランガに襲われた場所と同じところに、その男は立っていた。口で三日月でも描こうとするかの如く笑顔で。

 

「き、貴様!どうやってっ」

 

「さぁ?幻想(ユメ)でも見てたんじゃない?」

 

 ベニマルの質問に素っ気なく返し、されど笑顔を絶やさぬ男。

 

「ああ、でもさぁ。夢は夢でも痛いモノは痛いじゃない?」

 

 何気なく、ただ何もない手を、彼に危害を加えた者たちに沿って振られたら、その者たちに釘が刺さっていた。

 

「「「!?」」」

 

 ハクロウは首に、ベニマルは頭に、ランガは腹に、それぞれおよそ25寸の釘がいつの間にかに刺されている。本来その程度で死ぬはずが無い彼らだが、しかしパタリとその身を地に伏せた。

 

「ランガ!ハクロウ!ベニマル!」

 

 一瞬にして動かなくなった配下たち。リムルが声をかけても微動だに動かない。

 

「てめぇ……っ」

 

 リムルは怒りを覚え、その男を睨むが、冷静にそいつを分析するべく手は出さない。

 

「いやだなぁ、そんな僕が悪いみたいに。僕は彼らに殺されたんだよ?どうして僕が彼らを殺しちゃいけないのさ。「復讐をしちゃいけません。復讐は何も生まない」って?何で何も生まないならしちゃいけないんだ?「負の連鎖は誰かが我慢して断ち切るべきだ」って?なんで先に手を出した強者にそんなこと言われて、弱者が我慢しなくちゃいけないんだ?君だって、やられたらやり返すだろう?僕だってそうさ。だからさ、『僕は悪くない』!」

 

 こんな状態でも饒舌に語りコロコロと笑う彼に、リムルは寒気を感じていた。

 

(大賢者、今あいつはどんなスキルを使ったんだ?)

 

(解。対象『カイ・ヤグラ』はこの世界の力(スキル)を一切使用していません)

 

(そんなわけあるか!あんなのをスキル無しでやられたら溜まったもんじゃないぞ!)

 

 いつも頼りになるはずの大賢者が、今回に限って役に立たないことにリムルは悪態をついてしまう。

 

「まぁ!オールイズファンタジー(全部幻想)なんだけどね!」

 

 次の瞬間には、彼の言う通り全てが幻想だったように倒れ伏していた者たちが、立ち上がっていた。

 

「いったい、何が……!」

 

「俺は、釘を刺されて死んだはず……」

 

「釘も傷も、無くなっている……」

 

 ハクロウもベニマルもランガも、釘が刺さっていたはずの場所を確認しては何も無いことを認識し、現状を全く把握できずにいた。

 

(大賢者!あのベニマルたちを蘇生した力はなんだ!)

 

(解。個体名『ベニマル』が死亡した事実も、蘇生された事実も有りません)

 

(おい!どうなってんだ!?)

 

(へぇ、僕の能力ってそういう判定なんだ)

 

「なっ!?」

 

 突然割り込まれた自らのスキルとの会話に、リムルは目を見開く。そうして見た男の顔は不敵な笑顔だった。

 

(大賢者くんちゃん、こんにちは!僕はカイ・ヤグラって言うんだぁ、よろぴくね~!)

 

(……)

 

(おうふ、氷点下華氏0℃だマンマミーヤ!)

 

 受信するテンションが乱高下な怪電波は()電波と言うのが正しそうなくらいリムルを混乱させる。

 

(お、お前!なんで俺の脳内に!)

 

(ファ○チキ下さい)

 

「ファミ○じゃねぇよここは!」

 

 リムルは混乱し過ぎていて周りにとって意味不明なツッコミを晒す。さらに言えば、完全なる同郷判定に気付いていない。

 

「あっはっはっはっ!やっぱり君は楽しい奴だなぁ!辛抱強く待った甲斐があったよぉ」

 

 大きな笑い声とともに男は気を緩める。先ほどまでの吐き気すらするような気味の悪さは、胡散臭い雰囲気まで薄まった。

 

「お前、何をしたんだ?」

 

 その雰囲気の変化につられて混乱が解けたリムルは、まだ警戒したまま男の一挙手一投足を見逃さぬよう凝視する。

 

「何もしてないよ?幻想(ユメ)でも見てたんじゃない?」

 

「……こっちの手下が手を出して悪かったな」

 

 男がまともに取り合うつもりがないことを理解し、リムルは事を収めようと頭を切り替える。

 

「大丈夫さ、君の配下はとても利口な子たちだからね。僕に手を上げたりなんか、そんな現実は受け入れて(全くして)いないよ?」

 

「……そうか」

 

「でもまぁ……」

 

 あちらがこちらの不備に対して咎めないということだと思って安心したリムルだったが、またもや男の雰囲気が元の気味の悪さに戻り、解きかけていた警戒心を入れ直す。

 

「僕はね、自分の失敗を他人に謝らせる奴は大嫌いなんだ。本当に悪いと思っているなら本人が謝るべきだし、他人が謝ったって本人が反省してないんじゃ意味がないだろう?」

 

 リムルと男の一騎打ち状態で、途中から蚊帳の外だったハクロウたちは男の言いたいことを理解し、主の前に出て頭を下げる。

 

「本当にすまなかった」

 

「僕に敵対した者達は例外なく心を折ることにしてるんだけど。魔物の『弱肉強食』の心を折ったってことで、良しとしようかな」

 

 代表してベニマルがそう言葉を発せば、男の気味悪さが薄まっていくのを感じる。

 

「ところでお前、何しに来たんだ?」

 

「え?遊びに来ただけだけど?」

 

 リムルは肩をガクッと落とした。今までの一触即発な殺伐状態は何だったのかと落胆してしまう。

 

「あっはっはっはっ!とっても楽しかったよ、リムル!じゃ、もっと国が発展した辺りでまた来るよ!じゃあね、バイビ」

 

 そこにいる全員が瞬きした瞬間には、男の姿はまるで幻想であったかのように消え去っていた。

 

「何だったんだ?あいつ……」

 

 彼が居たという痕跡はないが、リムルたちの疲労感が、彼がそこに居た証明だった。

 

◇◇◇

 

「ああ、本当に楽しかったよ。あんな格別な異常(アブノーマル)、本当に存在するんだなぁ」

 

 カイはリムルから感じた多大なる異常度(プラス)に歓喜していた。あれこそが、自分という魔王(マイナス)が挑むに値する主人公(プラス)だと。

 

「やっぱり魔王ってのは、主人公に打倒されてこそだよね!」

 

 敵役が適役な自分(マイナス)であるからこそ、主人公役が適役なリムル(プラス)を求めていたのだ。いつか満足のいく、完膚なきまでの敗北を味わうために。

 

つまらないもの(現実)なんて見ずに、面白いもの(幻想)を見よう。所詮こんな人生、オールイズファンタジー(全部幻想)なんだから」

 

 

~終~

 

 

氏名:八倉海(カイ・ヤグラ)

 

能力(原作):幻実当避(オールイズファンタジー)(めだかボックス)

 

能力説明:めだかボックスにおける過負荷(マイナス)を海が現実で発現してしまったオリジナルの力。現実を受け入れずに否定し、幻想を受け入れて肯定する、幻想を現実に変えてしまう能力。その能力にはいちおう適応範囲外があり、都合の良すぎる幻想は現実に変えられない。

 

本作における使用例:

・現実から「転スラ世界」への転移(部分成功・本当はリムルが転生する前後の時代に転位したかったが、300年前に転移してしまった)

・死んだはずが蘇る(完全成功)

・過程をすっ飛ばして十大魔王になる(完全失敗・おかげで魔王たちに喧嘩売って実力を示すしかなくなったし、結局十大魔王にはなれなかった)

 

所持スキル:無し(過負荷(マイナス)長所(プラス)を得られるはずが無い)

 




 はい。色々言いたいことがあると思いますが、まず私の話を聞いていただきたい。
 
 今本腰入れて書いてる奴終わった後に原作購読して書こうと思ってたんですが、アニメが2018年秋にやるって言うんで。絶対二次創作がたくさん増えるだろうなと思ったうえで、あまりパクリとか二番煎じとか言われたくないがために先出ししました。
 
 反省はしている。ただ後悔はしていない。そして、『僕は悪くない』。
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