美遊兄と行く人理修復   作:Lychee

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なんとか11月が終わるまでに書くことができました。楽しみにしていた皆様にはお待たせしてしまいすみません。
それでは本編をどうぞ


顔を上げろ

マルタと名乗った女性は俺とヴラドの間に歩み寄り、俺に向けて彼女の持つ杖を傾けた。そのまま両目を閉じまるで祈るように頭を下げる。瞬間、俺の体を暖かな光が包み俺の傷が治っていく。」

「あら、貴方のその火傷の跡はなかなか治りませんね」

「………ああ、これはただの傷じゃないんだ。ドクターが言うにはサーヴァントの治癒でも直せない類のものらしい」

呆気にとられながらも俺は彼女に返答する。

「彼女にもその治癒をしてやってほしいんだけど」

そう言って俺がジャンヌの方に顔を向けると、そこには顔を盛大に引きつらせたジャンヌがいた。何だ?知り合いだったのか?

「悪いけど彼女の治療は後よ。」

「先にそこのランサーを倒し………説得してからね」

そう言ったマルタの目は炎を宿していた。

 

「貴様…ライダーだな。」

「ええ、そうよ。あなたと一緒にここに召喚されたサーヴァント。真名は言ってしまったけれど私は大した逸話もないはずだし、まあかにすることではありません。」

「裏切ったのか?」

「裏切るも何も私は世界を滅ぼす計画に初めから乗っかったりしてないわ。ただ召喚された瞬間に強力な狂化を施されたからあの時は理性を鎮めるために従っていただけ」

 

ヴラドの問いにマルタは堂々と答える。

しかしその答えを言い終わると同時に地面から数十の槍が突き出される。マルタはその槍を大きく跳躍して避け彼女の持つ杖からいくつかの光弾を打ち出し槍の勢いを止める。

「問いに答えただけだっていうのにこの仕打ちはないんじゃないかしらヴラド三世」

「裏切り者の首は即刻はねてしまうのが余の流儀である」

「これだから権力をつけた奴ってのは。いいでしょう。貴方が言葉よりも先に武を選ぶというのなら私もそれに応えましょう。

ヴラドは大地を力強く踏みしめマルタの胴を突き刺さんと突貫する。

それを防ぐために彼女は杖から先ほどのように光弾を生み出しヴラドに向かって発射していく。そのままヴラドは突っ込み光弾をまともに直撃する……かのように見えた。だが違う彼は自分の進行方向に槍を凄まじい速度で生み出し光弾にぶつけていたのだ。

「ちっ!」

その光景を見たマルタは大きく後退しもう一度光弾を生み出す。だが先ほどとはサイズが違う。マルタ自身より大きくなった光弾はその大きさには見合わないスピードでヴラドに襲いかかる。ヴラドも槍を生み出し迎撃にかかるが槍は光弾に飲み込まれていく。

光弾がヴラドの目前まで迫りくる。

「おおおおおお!!!!!」

ヴラドの咆哮とともに光弾が縦に裂け爆発を生む。その顔には火傷の痕が残るがそれが徐々に回復していく。

「これが吸血鬼の再生か…厄介ね」

「あれでもダメなの⁉︎」

ジャンヌが悲鳴をあげ俺もその光景に言葉を失う。明らかに致命傷のエネルギー弾を受けてもさらに再生し復活する。幻想種の話は何度か聞いたことがあったけど、まさかこれほどとは思わなかった。

「そこ、狼狽えない!」

その声に俺は顔をあげ、マルタは俺の顔をしっかりと見る。

「貴方はこれからもこんな敵と戦っていくんでしょ!その覚悟があって今ここにいるんでしょう!男ならこの程度の敵程度で俯くな!顔をあげなさい!!」

その言葉に俺は奮い立たされた。そうだ、俺はリッカたちの世界のためにこの力を使うと決めたんだ。こんなところで立ち止まるわけにはいかない!

「俺も援護する。俺が引きつけるから渾身の一撃をぶちあててくれ!」

「ようやくいい顔になったじゃない。それじゃあ行くわよ!」

俺は干将を生み出しヴラドに斬りかかる。それを再生を終えたヴラドがやすやすと斬りはらう。その時点でもう片方の手に莫耶を投影。

「うおおおおお!!!!」

気合いとともにその空いた腹を切り裂く。しかし切った先からゆっくりと傷口が治り始める。これじゃあ奴には傷もつけられないことは分かっている。

だがあの時の武器なら。かつての世界で俺と最後に戦ったギルガメッシュ。奴は多くの剣や槍他のいろいろな武器を俺に撃ってきた。その全てとは言わないが一部なら解析できている。

その中から退魔効果のある武器を解析し投影する。

俺はジャンプして自分の背後に隠していた投影武器を全てヴラドに向ける。

「工程完了!全投影一斉掃射!」

空間に固定した退魔宝具の投影をヴラドに向けて同時に撃ち出す。

この至近距離ならある程度は弾かれたとしても数本は当たる。

予想通りに数本ヴラドの各部位に突き刺さる。

「おおおおおおおおおお!!!!!」

贋作とはいえ英雄王の財をその身に受けたヴラドは聞いた相手を気絶させそうな魔力を含めた絶叫をあげる。その声に吹き飛ばされそうになる足を懸命に地につける。

だがそれも所詮は贋作。今投影したものには真に魔を祓う力が宿っているわけではない。

俺の投影がヴラドの傷が治癒し始めるとともに消えてゆく。

 

「あとは私に任せなさい!」

俺は声の方向を確認しそれとは逆方向に思い切り跳ぶ。

その方向には青の髪を振り乱したマルタが杖を手放しその拳に籠手を嵌め駆けてくる。

猛スピードで駆けてくる彼女はまさに流星ように美しくそして速い。

「主よしばしその目をお瞑りください」

祈るようにその言葉を口にしてヴラドの目前へと肉迫し、

「歯を食いしばりなさい!晴烈流槍(ハレルヤ)!!!」

その勢いのまま鋭い拳がヴラドの顔に突き刺さった。




読んでくださりありがとうございます
感想評価お待ちしております
次回も12月の前半のうちにはあげますのでお楽しみにお待ちください
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