まだまだ拙い部分のある作品なので誤字報告等よろしくお願いします
俺たちの目の前に1人の男が立っている。
黒で統一されたインナーとズボンに白髪の髪の男が立っていた。かつて俺が力を受け取った時に見たビジョンと唯一違っていたのはその右腕がなかったことだ。
「おい、その右腕はどうしたんだ?」
「なに、君たちが先ほど相手取っていたバーサーカーがこちらに来て戦闘になった結果さ。こちらも右腕を失ったが、バーサーカーの残りの命は全て刈り取らせてもらったがね」
キャスターの問いかけに血まみれの男は右腕のことなどなにもなかったかのように答える。だが、その息は荒くいつ消滅してしまってもおかしくないほどボロボロだ。リッカとマシュもその壮絶な姿に思わず息を飲んでしまっている。
「向こうもセイバーとの戦いで命を数個減らしていたようだったから。私の右腕のかわりに奴を退場させられたならお釣りが来るだろう」
「そうか。嬢ちゃんたちは先にセイバーのところに行きな。こいつは俺と小僧で片付ける」
リッカたちは男の側を警戒しながら走り抜けて行く。だが、男がリッカたちを止める様子はない。
「止めなくてよかったのかよ」
「行ったとしてもセイバーがいる。そしてセイバーに対抗できる力を持った人間はここにいる。ならば行かせてもいいと考えるのは合理的ではないかね?」
「その口ぶりも相変わらずだな」
「わかっていると思うがランサー……いや、今はキャスターだったか」
「わかってる。手を出したりしねえよ」
それだけ言うと男は俺の方をじっと睨みつける。
そしてまだ残っている左手に一振りの剣が現れる。その剣を俺は知っている。その名を『干将』。
「やっぱりお前は……」
「未来のお前の結末。その一つだ。わかっているとは思うが私はお前を知らない。少なくとも私が知っている衛宮士郎という名の男はそんな力を持ってはいなかった」
「俺はお前から力をもらった。なにも持っていない全てを失った俺に唯一力をくれたのがお前だ。俺はきっと英霊の座そのものからお前の力をそして起源を受け継いだ」
「ならばお前は私の結末さえも知っているというのか」
「知っているさ。全てを見た。俺が道を踏み外さなければいずれたどり着いていたであろうお前の全てを」
「道を踏み外したのは私も同じだがね。ならば問おう。お前は何のために戦う?何のために彼女たちに力を貸している?」
「それは………」
「もう一度正義の味方でも志す気になったのか?もしもそうであるなら私がお前を今ここで殺す。たとえその体が瀕死であったとしても、万が一の確率で私という殺戮の機械になり下がるというのなら一切の慈悲なくお前を殺そう」
俺がリッカたちを助ける理由?そうだ、確かにリッカたちは俺を助けてはくれたが俺に力を貸してくれなんて一度も言ってこなかった。俺はかつての世界で既に願いを叶えた。ならば何故今こうしているのか………それは………
「答えは出たかね?」
「俺がお前と戦う理由は、リッカたちを俺が助けたい。ただそれだけだ」
そう、俺はリッカがあの時見せてくれた笑顔をマシュのリッカやオルガマリーを気遣うあの光景をそしてそれをクー・フーリンやオルガマリーが見ている光景を守りたい。
「正義の味方になりたいと?」
「俺にはもうそんなものになる権利はない。そんな夢はもうどこかに捨ててきたさ」
男は俺の答えを聞くとゆっくりと剣を構えた。
「ならば構えろ。お前の願いを叶えるためには俺は邪魔だろう。ならば俺を切り捨てていけ。俺の力についてくるのではなくお前の力でこの先を彼女たちの未来を切り開いてみせろ!」
そして俺がかつて経験した戦いの中で最も泥臭い戦いが始まった。俺も奴も既に満身創痍。俺は五体満足だが、明らかに投影の精度が落ちている。
奴が左腕で渾身のなぎ払いを仕掛けると俺が両手に投影した干将・莫耶で何とか受け流す。互いに切り傷をつけてはいるが致命傷には至っていない。
「まだだ、お前の力全てを振り絞れ!そんなものではこの先には進めん!」
「ああああっ!」
俺が両手で奴の体に斬りかかるが俺の持ち手を蹴り上げてその一撃を防ぐ。
「ぐっ!」
「イメージしろ!常に思い描くのは最強の自分だ!お前にとっての本当の敵は自分自身に他ならない!」
数十回の打ち合いが続く。どちらかが斬りつけるとどちらかが受け流す。既に何時間も続いた気がするしまだほんの少ししか経っていない気もする。
「考え事をしている暇などないぞ!貴様は剣の腕も未熟投影精度さえ私には及ばない!ならば今目の前にいる相手だけに集中しろ!たとえどんな相手だろうとほんの一瞬の隙ができる時がある!その一瞬を探せ!」
俺は男の左腕があった部分を執拗に狙う。
「それでいい!お前がこれから会う相手はほぼ確実に格上ならばだまし討ちでも何でもいい。勝利を掴め!」
「お前は俺と打ち合うたびに強くなる!基本骨子がより強固なものとなり、お前のその脆い剣すらも真に迫るものとなる!」
そしてその言葉をきっかけにするかのように俺の体にまるで電撃が走ったかのような衝撃が走った。
体が熱い。振り下ろす腕は軽くなり、視覚がはっきりとする。剣がまるで体の一部となったかのように自分の手に収まる。
「うおおおおおおっ!!!!」
俺は渾身の力を振り絞り右手に収まった莫耶を振り下ろすのと男の持つ干将が男の胸の前で重なり、男の手に収まっていた干将が砕け、俺の剣が男の体に深い傷をつけた。
俺は男の体から剣を引き抜く。おびただしい量の出血が男の体からこぼれ出した。男は崩れ落ちることなく立ったままだ。
「俺の勝ちだ。俺は先へ進む」
それだけ言って俺は男の顔を見ずに走り去った。リッカたちが戦っているであろうセイバーの元へと。
もう足音が聞こえなくなると
「お前の願いが漠然としたものでなくなることを私も祈っていよう」
男はそう呟いた。
その言葉をきっかけにしたようにクー・フーリンが男の元の歩いて来た。
「まったく。あんなひでえ戦いは見たことがねえ」
「何なら君が加勢しても良かったんだが」
「そんなことできるわけねえだろ。男と男が本気でやりあってるんだからな」
「キャスターになっても頭の出来の悪さは変わらないか」
「何だと⁈」
「君のそういうところも変わらないな」
男の体が光の粒子となって体が消えていく
「行くのか?」
「ああ、だがその前にこれを奴に渡しておいてくれ」
そう言って男は赤色の腕輪をクー・フーリンに手渡した。
「何だ、こいつは?」
「フィルターのようなものだ。………………奴はこれから先どれほどやれると思う?」
「……おそらく全てを修正する前にその時が来る」
「そうか」
「まあ、カルデアには医療系の英霊も来るかもしれないしな。そういうことにはならな………」
「君がそういうことを言うのは気持ち悪いな」
「気を使ってやってるんだからちょっとは……っ!」
「後は頼んだぞ」
そう言うと男は完全に光の粒子となって消えてしまった。
「くそっ、言いたいことだけ言いやがって。それにバーサーカーが来たんじゃなくて自分から行ったの間違いだろ」
男はそれだけ吐き捨ててセイバーの元へと駆け出した。
終わり方が変なふうになってしまってすみません。
ちょっと期間が空いてしまいましたね。これからはおそらく週1更新になっていくと思います。
なんとか書き続けていくので応援よろしくお願いします
評価・感想も入れてくれるととっても嬉しいです
それではまた次回