間章その1
「知らない天井だ」
俺が目を開けると白い天井が広がっていた。上体を起こして周りを見渡すと俺はどうやらベッドの上で眠っていたらしい。隅の方に観葉植物らしきものが置かれている。
そして俺の横で背もたれのついた椅子に座りながら眠っている黒髪の女性が一人。
女性は白衣を着ており、肩ほどまで黒髪がかかっており前髪は下ろされ、眼鏡をかけたまま眠ってしまっている。
俺のこれまでの記憶が正しければ、俺はおそらくカルデアというリッカやマシュが所属している機関にいるのだろう。俺の最後の記憶は死人のような肌をした金髪の女性が、レフ・ライノールと名乗った男に体を貫かれながらも、かの聖剣エクスカリバーを放っているところだ。あの時なぜかわからないがどうしようもない感情の波にのまれたのを今でも覚えている。まるでかつての世界で桜を殺されたときのような喪失感が俺の中に生まれていた。あの感情は一体何だったのだろうか――彼女とは一度も会ったことなどないはずだったのに。
その思考を俺は頭の隅に置いて俺はこの女性を起こして状況を説明してもらうことにした。
肩を軽くたたいてみるが起きる様子はない。次に「あのー」と声をかけるがこちらも反応がない。肩を揺すってみても効果はないようだ。どうしたものかと考えていると俺が揺すったのが影響なのか、女性が手に握りしめていた少し大きめのボールペンが床に落ちた。
カツンという音をボールペンが鳴らすと女性は大きく目を見開き、
「すいません所長!私眠ってませんからたたかないで!――――って痛っ!」
そんな声とともに立ち上がり頭を下げるとちょうど俺の頭とぶつかってしまった。額に鈍い痛みが走る。俺と女性はともにのけぞり、まるで獣のようなうめき声を上げていた。
俺たちが額や後頭部を押さえていると、自動ドアのような音がすると同時に一人の男性が部屋に入り込んできた。
「センサーに士郎君が目を覚ましたって報告が来たから様子を見に来たんだけど、二人ともどうしたんだい?」
「いえいえ!何でもないです何でも!」
「そ、そうなのかい?ならいいんだけど……」
俺の頭をガシガシとつかみながら何でもないアピールをしてもなあ。なんて考えていると俺の目に女性のものらしき名札が見えた。これは……この人の名前か?ローマ字になっていて読みにくいが、鳴川すずと書かれている。
薄いオレンジ色の髪に白衣を着た男性が俺と鈴さんの間に入って引き離してくれた。
「ともかく、まずは自己紹介といこうか。僕の名前はロマニ・アーキマン。皆からはドクターロマンと呼ばれている。君もよかったらロマンと呼んでほしい。そして君の横にいる女性がカルデアの医療部門に所属している鳴川すずさん。君の担当になった娘だ。これでも優秀な娘なんだよ」
すずさんはコホンと咳払いをしてから俺の方を向くと、
「ドクターロマンの紹介にあずかりました鳴川すずです。士郎君の専属のドクターと考えてください。」
「その様子だともう俺のことは大体知っているってことでいいのか?」
「ええ、こんな事象は観測されることがまれなので、まだ仮説の域をでませんが、士郎君はおそらくこの世界とは違う世界―――いわゆるパラレルワールドから来た人間だと考えられます。」
すずさんのこの仮説は、俺もたどり着いていたものだ。切嗣は魔術のことはほとんど教えてはくれなかったが、魔術ではどうしても到達できない領域――すなわち魔法というものがあると言うことを俺は知っていた。おそらくあの聖杯が起こしたものも――よくしらないが――魔法の一種なのではないかと考えたのだ。
「それとあなたの今の状態については今調査中です。結果がわかったら報告しますね。」
「興味があればカルデアの館内を歩いていてもかまわないよ。それについ昨日カルデアに力を貸してくれるという英霊たちが召喚されたばかりなんだ。」
そう言い残して二人は部屋を後にしたのだった。
それから俺はすずさんとドクターロマンの2人が大急ぎで戻ってきて、下手に英霊の力を使わないようにといわれ、俺はリッカとマシュを訪ねてみることにした。幸いロマンから2人がどこにいるのかは聞いていたし、誰かと話をしてみたかったというのもある。
俺は二人がいる場所――――シミュレーションルームへと向かうことにした。
俺は人に聞きながらシミュレーションルームに向かっていると、
「おやおや?君もシミュレーションルームに用があるのかな?」
そう言って話しかけてきたのは、いつか何かの本で見たこともあるモナ・リザその人だった。
「なっ?!」
まさに開いた口が広がらないというのはこういうことを言うのだろう。俺は間抜けに口をぽかんと開けて目を見開いていた。
「うんうん。リッカちゃんといいロマ二といいあまり魔術に関わりのない人たちはいいリアクションをするねえ。その開いた口に免じて私の名前を聞かせてあげよう。私こそ万能の発明家、レオナルド・ダ・ヴィンチその人さ!気軽にダ・ヴィンチちゃんと呼ぶように。」
「あんたはサーヴァントだな。その姿は宝具によるものか………ってことはあんたが昨日召喚されたサーヴァントってことでいいのか?」
「へえ。話が早くて助かるよ。それと第1の質問にはNOと答えさせていただくよ。私はここにかなり前から召喚されている。君の言うサーヴァントたちなら――ほら、あそこでリッカちゃんたちのそばにいるのが今回来てくれたサーヴァントたちさ。」
そう言って彼?彼女?はモニターを指さした。そこにはリッカとマシュのほかに4騎の英霊たちが映っていた。
黒い鎧に死人のような肌をした薄い金髪の女性。赤い外套を身に纏った白髪の男。肩が露出した黒い服に紫色の長髪に目隠しをしている女性。そして青いタイツに青い長髪を一つ結びにした朱色の槍を持った男が画面上にいたのだった。
投稿遅くなってしまい申し訳ありません!
ついつい種火周回やリアルの用事におわれておりました。
オリキャラも今後出る機会が多くなると思うのですが、暖かい目で見守っていてください。
今回も短いのですが次のお話で美遊兄とサーヴァントとの会話に移っていきたいと思います。次の話はちょっと早く投稿できると思うので今後ともよろしくお願いします。
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