2度目の命は2人の為に   作:たぴぃ

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 クッソ短いGGO編、始まるよー


11章 Be possessed by the delusion
101話 新たな日常


 「…なんで予習してる所を何度もしなきゃいけないんだ。別にオレは明日奈と同じ学年でも普通に大丈夫なんだが…」

 「普通の人は次の学年の予習なんてしないのよ。私だってやるのは次の単元くらいなのに」

 「備えあれば憂い無しってな。やれる事はやっといた方が後々助かるんだ」

 「私はそこまで心掛けられる気がしないわよ」

 「オレは詩乃と違ってアドリブが利かないからな。応用力が無いから初めからマニュアル通り進めたいだけだよ」

 

 今悠と詩乃が居るのは学校だ。しかし、以前の学校ではない。SAO生還者(サバイバー)は2年もの期間内部に囚われていた。それ故に学生は勉強が遅れ、高校生は進級すら怪しくなる上に同級生からは今までとは違う目で見られる事になる。それを懸念した国は費用を捻出、その結果造られたのがこのSAO生還者のみで構成された学校だ。基本的に高校生までは費用無しで進学が可能で、大学に行く際は奨学金が貸与される。かなり福利厚生が整った学校なのだ。

 そんな学校の中庭のベンチで悠と詩乃は並んで座っていた。いつもは居る木綿季が居ないのは体調不良などではなく、単純な補習だ。元々勉強を好まない性分の木綿季は自分が苦手とする数学で38点(赤点ラインは40点)を叩き出し、悲しい事に今は教室で補習を余儀なくされている。別に帰っても問題ないのたが、後々拗ねると木綿季は長いのでここで待っているという訳だ。

 

 「珍しいわね、2人とも。いっつも学校終わったら直ぐ帰るのに、どうかしたの?」

 「リズ…じゃなくて里香か。まぁここに居ないヤツの事を考えてくれ」

 「あ〜、補習ね。そう言えば最近授業中寝てたっけ」

 「それマジか?」

 「アンタの前で木綿季の事を悪く言う嘘を吐くと思う?」

 「…自業自得か」

 「悠、あなたも授業中呆けてる事知ってるからね」

 「あはは…なんかあたしも言われてる気分」

 

 ベンチに座る2人に気付いたのはSAOで2人と親交があった鍛冶師リズベット――本名【篠崎里香】だった。友達と駄弁っていた為2人より遅く教室から出たのだが、2人に追い付いたらしい。まだ木綿季の補習には時間が掛かりそうだが。

 この学校は普通の学校と同じく、学年ごとにクラスが組まれる。だがSAOは世間の注目の大半を集めたゲームと言って過言ではなく、それ故に年齢の指標を無視して子供に買い与えた親も多い。それ故に学年の生徒数が少ない所はパーティーを組んでいた者と同じ教室に入る事になる。明日奈と里香は和人や悠より年は1つ上なのだが、教室が同じなのはそういう訳だ。因みに授業はタブレット端末を使用して学年ごとに行われる為、本来学校に来る意味は無いのだが、つい来てしまうのは混沌極まるSAOから生還したからこそ日常に触れていたいと願う部分があるからだろう。

 因みに悠は授業態度がよろしくない。単純に本人が予習復習を欠かさない性分故に、授業が退屈だからだ。基本は受けるフリだけで、大抵は他の事を考えている。故に指名された時によく聞き返してしまう。

 

 「ねね、今日はやるの?」

 「どうかな…オレ達は大丈夫だけど、木綿季は怪しいかな。流石に赤点で補習だからな、父さんはまだしも母さんは怪しいかも」

 「そのお母さんも今日は夜勤よ。お父さんも今日から出張だし、問題は無いけど」

 「まぁオレ達だけ楽しんで木綿季だけ除け者って訳にはいかないしな、結局やるとは思うぞ」

 「なら、素材集め頼んで良い?てか良いわよね。アンタの注文通りに武器造ると毎回毎回レア素材を要求されるのよ」

 「まぁモノによる。それにオレはゴタゴタの真っ只中だしな…」

 「またぁ?で、どんな――」

 「――やっと終わったよ悠ー!!」

 

 ベンチの後ろから飛び付いてくるのは木綿季だ。ぶっちゃけ首が痛いが、それを噛み潰しつつ木綿季の頭に手を置く。ここでアイアンクローでもしてみようか、と思ったが怒らせれば自分に勝ち目が無い事は解る。無難に頭を撫で、ベンチからゆっくりと立ち上がった。

 

 「さて、じゃあ帰るか」

 「早くやりたいしね!」

 「木綿季、今週の休日は勉強よ」

 「え〜!?大丈夫だって!どうせ数学だけだし。ね、悠?」

 「駄目だ、やるぞ」

 「ちぇ〜、分かったよ」

 「うん、良い子だ」

 「じゃ、詳しい事は『あっち』で話すわね!」

 「了解。じゃあまた後で」

 

 小走りで家の方へと走っていく里香を見送り、3人は帰路に就く。とは言えそこまで遠くはなく、歩いて30分もすれば到着する。鍵を開けて家に入り、制服をハンガーに掛けると3人は自分の机の上からアミュスフィアを取り出すと自分のベッドに寝転び、タイミングを合わせる事無く同時にコマンドを口にした。

 

 「「「リンクスタート!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「待ちやがれぇぇぇぇ!!!」

 「しつこい!!オレはそっちに与するつもりは無い!!」

 「うるせぇ!テメェら、追いかけろ!!!」

 

 ログインして数分後、シュユ()は大量の同族(シルフ)に追われていた。単純に高機動かつどちらかと言えば技量系の武器を得意とするシルフとしてALOに降り立ったは良いのだが、あるトラブルに巻き込まれていた。

 と言うのも、シルフとサラマンダーの抗争だ。つまりどちらも強力な人材、そうでなくとも人手を求めている事には変わりなく、そんな中種族からの離反は何としても止めたい。更に面倒なのはシルフの代表であるサクヤの事だ。サクヤはアスナとシュユを取り戻す為の世界樹攻略の最前線に居た人物。そう、闇霊の時のシュユの強さを目の当たりにしている訳だ。闇霊の強さは飽くまで本人準拠、つまり多人数のトッププレイヤーを相手取り、ほぼ無傷で突破できる彼を逃したくないのは尚更だった。因みに闇霊システムは既に廃止されている。

 いつもは撒いてから過ごしているのだが、今回は何故かしつこい。ならば場を混乱させ、そして自分が掌握すれば良いとシュユは先程から戦闘音が聴こえている場所へと向かう。その場所ではシルフとサラマンダーが戦いを繰り広げていた。

 

 「悪いな、恨んでも良いぞ」

 「ヘ…?」

 

 その中の4人、シルフとサラマンダー2人ずつに狙いをつけた彼はその4人を一刀の元に斬り伏せ、倒す。アイテムとコルを大量に入手し、先程まで追ってきていたシルフの軍団に自分が握る刀を向けた。

 

 「良いか、オレは中立だ!シルフにもサラマンダーにも、他の種族だけに肩入れする事は無い!好き勝手にやらせてもらう!!」

 

 それが実力の伴っていない者なら笑い飛ばせただろう。それ程までにALOに於ける種族からの離反とは厳しいものなのだ。だが、生憎にも彼はその実力が伴っている。今まで誰も倒さずに逃げ回ってきた事もだが、不意打ちとは言え4人をほぼ同時に倒した事もその証左だ。

 追えば殺す、そういう意味を込めて睨み付けると彼は飛び立つ。そんな隙だらけのシュユを追う者は、もう誰も居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「【ガンゲイル・オンライン】って知ってるか?」

 「知ってるしやろうとも思ったが、止めた」

 「え、マジで?なんで止めたんだ?」

 「あ?そもそもオレは遠距離戦苦手だし。そういうのはユウキとかシノンならまだしも、オレがやった所で多分剣担ぐかショットガンで超近距離やるしな。買うだけ買ってシノンにあげた」

 「そうか…分かった、ありがとう」

 「…?変なヤツだな。いや、今に始まった話じゃないか」

 「うるさいぞ」




 ちなみにGGO編、殆どVR世界の話は出ません。
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