「詩乃、ボクは悠の事が好き。誰よりも愛してるし、誰にも渡したくない」
SAOに閉じ込められる前の、現実でのある日。詩乃は木綿季に唐突な告白を聴かされた。勿論ここに悠は居ない。今は日課であるランニングをしているからだ。それはさておき、詩乃も言われては黙っていない。
「私だって悠を愛してるわ。確かに一緒に居た時間や想った時間はあなたの方が長いかも知れない。でもね、それだけではいそうですかって渡せるなら好きになんてならないわ」
「....だよね。そう簡単に詩乃が譲ってくれる訳が無いって思ってたし、譲られてたら1回くらい叩いてたかも」
「ま、そんなに柔じゃないって事ね。それでどうするの?私達が同時に告白して選んで貰うの?」
それが普通の発想だ。付き合う人間は日本で1人、それ以上は浮気や二股と言われて責められる。法律でも重婚は重罪であり、発覚した場合禁固50年に処されてしまう。しかも木綿季達は学生の身分であり、
「それなんだけどさ、詩乃。ボク達は告白しない方が良いと思う」
「....は?理由を聴かせて貰えるかしら?」
「悠はボク達を優先して行動してくれる。それは分かってるでしょ?」
「えぇ。悠の出費は大体私達関連だし、大抵の頼み事は直ぐにやってくれるわね。本当に優しくて、そういう所も――」
「うん、それは後でたっぷり語り合うとして、そうだよ。悠はボク達を傷付ける事は絶対しないし、きっと出来ない。だから、多分だけど
「...確かに、悠は私達が傷付く可能性がある事もしない。フラれれば私も傷付くし、木綿季も傷付く。それが解らない程鈍くはないわね、悠は」
「本当に、ずっと迫り続ければいつかは結論を出してくれるとは思うよ。でも、ボク達よりも深く悠が傷付くと思う。だから、ボク達で共有しようって話」
「共有、ね。具体的には?」
「抜け駆け禁止、悠から来ない限りはボク達から告白しない、デートとかは悠に悟られない様に上手く交代みたいな感じにする。今思い浮かぶのはこんなところかな」
「...まぁ、良いんじゃない?でも、好きな人を共有しようなんて言えるあなた、狂ってるわよ?」
「それを良いんじゃないって言える詩乃も、充分狂ってるよ」
「良く言うじゃない、愛は人を狂わせるって。私達は愛に狂ってる、それで良いじゃない」
「ふふっ、そうだね」
タイミングを図った様に玄関からドアを開ける音が聞こえてくる。悠がランニングから帰ってきたのだ。詩乃は自分の口に人差し指を立て、「内緒だからね」とジェスチャーで表す。木綿季もサムズアップして了解の意を表す。
そしてパタパタと階段を降り、悠を迎える。木綿季は身体を冷やさない様に常温にしたスポーツドリンクを差し出し、詩乃は柔らかいタオルを使って悠の汗を拭き取る。微笑ましいその光景、悠は微笑んで感謝の言葉を告げる。彼女達の、愛に狂った眼に気付かずに。
.....好評価と感想が来たら投稿速度が上がるんだけどなぁ(チラッ