2度目の命は2人の為に   作:たぴぃ

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20話 良い夢、悪い夢

 ――戦い続けた先に、何が在るのだろうか。それを考え、そして目の前の敵を狩る。身に纏う装束は返り血に濡れ、手に持つ武器は血を滴らせる。身体の中で違和感を感じない場所は無いに等しく、1歩歩くだけでも足が縺れて転びそうになる。

 それでも狩る。友人の為に、大切な人の為に、自分が人で在る為に、他者の命を犠牲にする。いつしか酒に酔った様に戦い続け、人として在る事すらどうでも良くなる。

 

 「もう止めて!絶対に止めるよ、シュユ!」

 「あなたの為なら命だって捨てて見せる!だから、早く戻ってきなさい、シュユ!」

 

 誰だろうか、2人の少女の声が聴こえる。そして少女達を取り込みたい、1つになりたいと願う想いは呪いとなり、大鎌を振るわせる。人間離れした速さと威力を以て何故か躊躇する少女達を狩り、その血を啜る。美味!美味!美味!

 この味の為なら何だって殺せる、狩れる、化け物になれる。そう感じた彼の身体を斬った者が居た。

 

 「安心して私に任せなさい、きっと上手くいくから。だから、眠りなさい

 

 誰だ?解らない、知らない、記憶に無い。それでも狩人()に残された僅かな記憶が、確かに人間であると知らせる。だが、顔が判らない。声も朧気で、思い出など覚えている訳が無い。それでも彼は殺したいと願う。何も知らない、無関係なのかも知れない彼女の頸を絞めて、大鎌で斬って、そして血を啜りたいと願う。殺意と血に溺れた狩人は獣となり、そして最後には――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――ユ。....ユ、シュユ!」

 「ッ!!.....ぁ、朝か。シノン、ありがとう...って、どうしてオレはシノンに抱き着いてるんだ...?」

 「昨日の夜、いきなり帰ってきたと思ったら突然私に抱き着いてきたの、覚えてないの?」

 「....あぁ、そうか。ボス倒して、キリトと戦って、それで....」

 「ボスを倒してキリトと戦った?ちょっと、本当に昨日何をしてたの?」

 

 ゴチャゴチャとしている頭の中の記憶を掘り起こし、シノンに話す。勿論サチの事も包み隠さず、事の次第を全て話した。その間のシノンは何も横槍を入れず、黙って眼を瞑って話を聞き、ぽつぽつと話すシュユの声だけが部屋に響いていた。

 

 「――っていう事が有ってオレはイベントボスをソロで倒して、キリトと本気で戦って倒した。で、帰ってきたんだ」

 「....そう。先ずはコレね」

 「いて。...ゲンコツ?」

 「無茶の件は仕方無いからコレで許してあげるわ。生きて帰ってきたんだし、過ぎた事を言っても何も変わらないからね」

 「ありがとう」

 

 シュユの頭頂部に落とされたゲンコツは軽く、全く力が入っていない。何だかんだ、シュユには甘いのだ。だが、次の言葉が問題だった。

 

 「――じゃあ、次は私に秘密で女の子と毎週会ってた事についてだけど」

 「......え?」

 

 まさかあの良い雰囲気の中で、サチの特訓についての事で怒られるとは思っておらず、珍しく気の抜けた返事を返してしまう。何とも、先程許してくれた無茶の話よりも有無を言わせぬ雰囲気が出ている気がする。

 

 「まさか私に秘密で女の子と会ってたとは、ね」

 「いや、待ってくれ。オレは別に色恋沙汰じゃないって言った筈だろ?」

 「でも女の子だったのよね?」

 「それはだな――」

 「女の子と会ったのよね?」

 「.....はい」

 「よろしい」

 

 やはり男は女に逆らえないのが常らしい。シュユが弁明しようとする度にシノンの黒い雰囲気が膨れ上がっている事を察知したシュユは自分の被害を最低限にする方向に方針を変えた。下手を打って被害を拡大させるよりは最低限にした被害を受ける方が差し出す対価は安くなるものだ。

 

 「じゃあ...そうね。私にクリスマスプレゼントを頂戴?」

 「プレゼント?.......じゃあ、これとか」

 「サンタ帽?...凄いポピュラーな形だけど、可愛いわね。ありがとう、シュユ。早速装備してみるわ」

 

 ウィンドウを開き、シュユが譲渡したサンタ帽を装備するシノン。普通なら頭にサンタ帽が乗るだけなのだが、今回は違う。シノンの身体全体が装備変更時特有の光に包まれ、その光が消えた時シノンの姿は先程とはかなり異なっていた。

 

 「ちょ....えっ?」

 「み、ミニスカサンタ...?」

 

 シノンの服はミニスカサンタになっていた。正座しているシュユから下着は見えないものの、非常に際どいラインだ。シュユが少し屈むかシノンが跳ぶか、下手すれば歩いただけで下着は露になってしまう事だろう。その姿は俗に言われる【ミニスカサンタ】、男の妄想の産物がそこに存在していたのだ。白い太ももが何とも眩しい。白い頬をうっすらと染める朱も、今はシノンを引き立てるのに最適な役割を担っていた。

 そんなシノンをひたすら眺めて脳内に保存するシュユ。それを見たシノンは腕を振り上げ、叫んだ。

 

 「そ、そんなにジロジロ見るなーーーっ!!」

 「お゛う゛っ!?」

 

 思い切り頭頂部に当たったゲンコツの衝撃はシュユの脳を揺さぶり、未だ疲労が抜け切らないシュユの意識を刈り取るには充分な威力を持っていた。

 

 (ありがとう、クリスマス....!)

 

 いつもは下らないと思っているクリスマスに、珍しく感謝の念を送るとシュユは意識を手放した。

 見てしまった悪夢は、もう吹き飛んでいた。




 キリト「今回のゲストは俺なのか?」

 作「そうだよ(肯定)」

 キリト「思うんだけどさ、俺の出番少なくないか?これでも原作主人公なんだぞ?」

 作「だって私的に、君と一緒に居て『行くぜ、キリト!』みたいな小説は見飽きたし書きたくないもん。この作品のメインは飽くまでシュユだし、必然的に出番が少なくなるのは仕方無い」

 キリト「えぇ....。まぁ、確かにこんな作者の小説読む人は原作を大体知ってる人が多いだろうからな。俺の出番が少なくなるのは....仕方、無いよなぁ...」

 作「あーもう、ウジウジするんじゃないよ原作主人公。他の人の小説と比べたら確かに出番は少ないだろうけど、出ない訳じゃないから。な?」

 キリト「分かってるよ。という訳で、次回もよろしくな!」

 作「あ、私の台詞取りおったな!?」

 キリト「フハハハハ、せめてもの反抗だ、これぐらいは許して貰うぜ!」

 作「してやられた....。あ、次回もよろしくお願いしますね」
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