「ようこそ、僕の工房へ!狭いし汚いんですけど、寛いで下さいね」
「これが鍛冶士の工房か...凄いな、設計図だらけだ」
「僕の武器は何分特殊なので、データだけでは見にくい事も有るんです。それに、紙の方が性に合ってるんですよね」
「へぇ、最近の人にしちゃ珍しいな」
今の時代、嵩張る紙の書類は嫌われやすい。何でもタブレット端末やパソコンで代用出来るこの時代に紙の書類を使う人など懐古主義の老人かよっぽどの物好きと言われるのだ、まさか仮想現実の中で紙を好む人が居るとは思いもしなかったのだ。
カーヌスのホームは鍛冶をする部屋と寝泊まりする部屋の2部屋という狭いホームで、床や机の上に乱雑に置かれて積まれた設計図やメモ書きのお陰で体感的な狭さに磨きが掛かっていた。言ってしまえば足の踏み場が無い程に散らかっている。
「シュユさん、こっちです!」
「あ、あぁ。分かった」
獣道の様になっている通り道をどうにかトレースし、ドアまで辿り着く。鍛冶場は流石に整っていて(それでも居間よりは、という話だが)少し安心する。カーヌスがウィンドウを操作すれば煌々と炉の中の炎は輝き、主の帰還を喜んでいる様にも見える。
「どうぞ、そこの椅子に腰掛けて下さい」
「ありがとう。それじゃ、鍛冶の様子を見せて貰おうか」
「どうぞ、好きなだけ見て下さい。でも、ちょっと見苦しいかも知れません...!」
カーヌスの表情が変わる。周囲の空気も変わった様な気がした。いつもの穏やかな雰囲気ではなく、俗に言われる『達人』や『天才』が放つ独特の空気が辺りを支配する。息が詰まる感覚と、カーヌスが持ち上げるハンマーが上に上がるのと同時に緊張感が高まっていく。彼が持ち上げたハンマーがピタリと停止し、振り下ろす。彼の表情は鬼気迫るとしか言えない程に真剣で、融かされた素材をハンマーが叩いた時、シュユは世界が一変した様に錯覚した。蓄積された緊張の全てが一気に解放され、断続的に金属音が部屋に響く。
決まった回数だけ叩けば武器は完成する。だから、別に感情とやる気など籠めずとも武器は完成するのだ。それでもカーヌスは一振り一振りに気合いを籠めて、全力で武器を打っていた。赤熱している歪んだ物体から、どんどん鋭利で洗練されたフォルムに変わっていく。
「--ぅぅぅああぁぁぁ!!」
最後の1回は、一際大きく打ち振るわれた。ポリゴンの蒼い光が物体を包み込み、その光が霧散すれば新たに造られた武器が現れる。
「....出来ました」
「凄いな、カーヌス。あんなに緊張するとは思ってなかったよ」
「あはは...もうちょっと、器用に力を抜ければ気合いなんて籠めなくて、良いんですけどね...ハッ、ハッ....やっぱり、使用者の命を預かるんですから、気持ちを籠めなきゃ折れてしまいそうで....」
「それで良いんじゃないのか?」
「え?」
「こういう些事に全力を向けられない様じゃ、一流になんてなれはしないだろう。達人は、どれだけ簡単で些細な仕事にも全力を傾ける。端から見れば馬鹿に見えるかも知れないが、それだけ入れ込んでいるって事だろう。お前のその姿勢は誇るものであって、恥じるものではないとオレは思う」
「......」
自分が思った事を素直に告げると、カーヌスは魂が抜けた様にボーっとしてシュユを見詰める。不審に思ったシュユは改めてカーヌスに問い掛ける。
「どうかしたか?」
「い、いえ、そんな事は無いです!ただ...」
「ただ?」
「こんな便利な時代、気持ちを籠める云々に否定的な人が多い中で、肯定してくれる人が居たのが嬉しいんです」
「...そうなのか」
「そうです!」
カーヌスは笑顔でそう言う。少し不思議な感覚を覚えながら、シュユも僅かにだが笑って返した。
「それなら、良かったな」
シュユ「作者のヤツ、本当にやりやがった...」
アスナ「どうかしたの?」
シュユ「あぁ、今回のゲストはアスナか。いや、作者のヤツがオレに司会を丸投げしたからな、少しイラッとしていただけだ」
作『うるさいぞ』カンペ
アスナ「会話聴いてるし...」
シュユ「まぁ良いけどな。で、原作ヒロインなのに全く登場しないアスナが今回のゲストだ」
アスナ「今まで登場したの2回だよ?まだ出てないシリカちゃんとかリズよりはマシだけど...」
シュユ「アイツは基本行き当たりばったりで書いてるから、そういうの考えないんだよ。アイツ、小説に関してならアイディアがぽんぽん出てくるから」
アスナ「国語がぶっちぎりなだけあるよね」
作『成績の話をしてはならぬ』カンペ
シュユ「はいはい。っと、そろそろ文字数も400行くな。そろそろ締めるか」
アスナ「じゃあ、次回もよろしくお願いします、読者の皆さん!」
シュユ「お気に入り400件突破、本当にありがとな!」