2度目の命は2人の為に   作:たぴぃ

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24話 少女と鍛冶士

 「あ、あの人はシリカちゃん!?」

 「誰だ、それ?」

 「知らないんですか!?このSAOに咲いた、可憐な華の様なプレイヤー...このSAOのアイドルですよ!」

 「.....お前、ディーテさんに惚れてるんじゃないのか?」

 「それとこれとは話が別です!ディーテはLOVE、シリカちゃんはLIKEなんですよ、シュユさん!」

 「そ、そうか...」

 「じゃあ行きましょう!シリカちゃ~ん!!」

 「え、待ってくれカーヌス...」

 

 シュユはカーヌスに水色の小さな竜を連れた少女の元へと引っ張られていく。茶髪を2つに纏め、少し赤みがかった瞳で2人を見詰める視線は不信感に彩られていた。

 それもそうだろう。シュユは勿論、恐らくカーヌスも見知らぬ男性プレイヤー。そんな2人が突然馴れ馴れしく話し掛けてきたのだ、男女比が9:1や8:2とも言われるこのSAO内では馴れ馴れしく話し掛ける男などナンパ以外の何物にも見えないだろう。

 

 「は、初めまして!僕はカーヌスって言います。シリカちゃんとピナちゃんには、いつも元気貰ってます!」

 (....ストーカーにしか見えないな)

 「えっと、初めまして、カーヌスさん。私はシリカって言います。でも、いつも元気貰ってるって、私があげてるんですか?そんな覚えは無いんですけど...」

 「そ、そうです!一部の男性プレイヤーは、シリカちゃんが--」

 「--カーヌス、落ち着け。えっと、シリカだっけ?オレはシュユ、カーヌスのツレだ」

 

 アイドルに迫る悪質なファンにしか見えないカーヌスを落ち着ける為、話に割り込む。流石に落ち着きを取り戻したカーヌスは息を整えていた。AGIも高くないのに、どうやってあの速度を出したのか不思議なものだとシュユは思った。専属契約を交わしてから2ヶ月程が経っているが、あんな1面を見るのは初めてだった。

 それと同時に驚くのは、やはりSAO内にもファンクラブと言える派閥が有った事だ。それも少し考えれば当然の帰結で、SAOの女性プレイヤーは男性と比べると非常に少ない。下手すればMOBからのレアドロップ以上に女性プレイヤーを見る事が珍しい程だ。しかも、どんな因果か女性プレイヤーには美しい、又は可愛い人が殆どだ。ユウキやシノン、アスナはそういった事に疎いシュユから見ても絶世の美少女と言っても過言ではなく、目の前のシリカも顔面偏差値はかなり高い。少しあどけなさが残るその顔立ちは、現時点でも可憐だが少し時が経てば美しい女性になるだろうという事が分かる。

 男性プレイヤーが望む()()()()()()()は【倫理規制コード】により縛られており、無理に襲う事は出来ない。万引きという犯罪は商品がデータ化されているが故に出来ないこのSAO内では、他人への傷害や殺害以外で犯罪者(オレンジ以上)になる犯罪は強姦しか無い。自ら犯罪者に堕ちる者などそうそう居ないが、やはり異性への憧れや欲望は蓄積してしまう。だからこそ、この様なファンクラブが生まれてくるのは自然な事なのだ。

 

 「え!?じゃあカーヌスさんは鍛冶士さんなんですか?」

 「え、えぇ。まぁ、まだ駆け出しですが...」

 「【OWM】が解放されてるお前が駆け出しなら、このSAOの鍛冶士の殆どは鍛冶士未満だろうな、カーヌス」

 「お、【OWM】ぅ!?あの、武器製造系のスキル熟練度を全部100まで上げないと出来ない事がカーヌスさんは出来るんですかぁ!?」

 (やけに説明っぽい驚き方だな....。つーか、【OWM】の解放ってそんなにハードル高いのか、初めて知ったな)

 「実際はそんなに厳しくは無いんですよ。その情報、殆どデマみたいなものです。【OWM】の解放だけなら鍛冶スキルの熟練度MAXで充分なんですけど、やっぱりオリジナル武器の強味は普通の武器には無い特殊さですから、突き詰めれば他の武器製造系のスキルを取るって結果になるだけなんです」

 「へぇ~。じゃあ、何か見せて貰えたりは...しませんよね」

 「あ、大丈夫ですよ。て言うか、プレゼントしますよ?」

 「えぇ!?そんな、悪いですよ!」

 「いえいえ、お話をしてくれたお礼です。貰って下さい」

 「えっと...じゃあ、そういう事なら...」

 「オレ達、置いてけぼりだな」

 「キュルル...」

 

 シュユとピナは同じ置いてけぼり同士という事もあり、直ぐに意気投合してカーヌスとシリカを見守っている。その間にカーヌスはストレージから1本の短剣(ダガー)を取り出すと、説明を始める。【千景】の様な変態的な武器を渡そうとしているなら止めさせよう、そう思いつつ説明に耳を傾ける。

 

 「このダガーはなんと!」

 「な、なんと...?」ゴクリ

 

 溜めるカーヌスに、律儀に唾を飲んでまで言葉の続きを待つシリカが微笑ましいとシュユは思う。

 

 「変形します」

 「なぁんだ、変形だけ--って、変形ぃ!?」

 「はい。こうやって順手に持って振れば--」

 

 ガキンッ!!と音を立てて短剣が一般的な片手剣に変形する。見たところ、軽量片手剣に見える。

 

 「--片手剣に早変わりします。でも、カテゴリ的には短剣のままなので使えるソードスキルは短剣だけなんですけどね」

 (オレが見に行った時の短剣か。あんな感じだったのか)

 「スゴいです!こんなにスゴい剣を、本当に私に?」

 「ええ、勿論です。はい、どうぞ」

 「わぁ、大事にしますね!」

 「そうしてあげて下さい、きっとその()も喜びます」

 「はい!」

 

 花の咲いた様な笑顔、とは今のシリカの笑顔の事を言うのだろう。今までシュユの頭の上に留まっていたピナはシリカの元へと飛び去っていき、1人取り残される。程好い重みと温かさが消えたのは少し寂しいが、ピナはシリカの【相棒】なのだから仕方が無い。

 あの片手剣形態から元に戻す為には、逆手に持って突きの動作をする必要があるらしい。対人戦ならモーションを見破られれば一巻の終わりだが、シリカの戦闘スタイルはピナを特性を利用した支援型(バファー)だと思われる。前に出て戦うシュユの様な万能型(オールラウンダー)やキリトの様な攻撃型(アタッカー)なら今カーヌスが渡した武器は使いにくいが、シリカの様な後衛型なら咄嗟に間合いを変えられるあの短剣は使えるだろう。

 いつの間にか打ち解けたカーヌスは去っていくシリカに大きく手を振っている。最後まで笑顔だったシリカを見て営業スマイルなのかな、と思う自分はひねくれているな、とシュユは内心苦笑していた。

 

 「ふぅ、可愛いですね、シリカちゃんは」

 「お前、何も知らない人に聞かれたらストーカーって勘違いされるぞ」

 「あはは、そうですね。...でも、シリカちゃんを見てると妹を思い出すんです」

 「妹が居るのか?」

 「はい。中学生になった妹なんですねど、遅い中学祝いでこのゲームを買ってあげたんです。オープンβは流石に当たらなかったので、製品版を。あまりにも殺伐としてたら教育的にも悪いので、試しに僕がログインしてみたら、まさかのデスゲームですよ。...妹が閉じ込められるより何倍もマシなので、僕は後悔してはいないんですけど、現実(リアル)の妹はやっぱり心配ですね。かなり心配性なヤツなので」

 「...そうか。まぁ、前線には出ないなら死にはしないだろ。だから安心しろ」

 「そうですね。でも、シュユさんも死んじゃいけませんよ」

 「どうした、藪から棒に」

 「シノンさんはあなたが思う以上に脆い。もしあなたが居なくなれば、あの人は無茶な戦いを続けて朽ち果てる」

 「まさか。シノンは強い、勿論ユウキも強い。...オレが居なくとも、戦えるさ」

 「そのユウキさんがどんな方かは知りませんけど、きっとシノンさんと同じだと思います。...きっと、そうなってしまう」

 

 カーヌスの言葉にシュユは違う、と返した。確かに哀しんではくれるだろうが、あの2人は前を向いて戦ってくれると信じているからだ。カーヌスの言葉が正鵠を射ている事を、知る由も無く。




 シュユ「今回も始まった、『特にやる事を決めてない後書き』のコーナー。司会はオレが務めさせて貰う」

 シリカ「今回のゲストは私です!」

 シュユ「で、今回は作者のリア友から質問を預かってきた。シリカ、読んでくれ」

 シリカ「は、はい!えっと....『Hey、作者!お前タグにダクソって付けてる癖にダクソ要素が牛頭のデーモンと説明文がダクソっぽいくらいしか無いじゃねーかYo!』だそうです」

 シュユ「絶対シリカに読ませる内容じゃないな。で、作者の返事を預かってる。内容は....」

 シリカ「あ、私が読みますよ」

 シュユ「そうか?じゃあ頼む」

 シリカ「はい。『それなんですけど、基本的にダクソ要素は絶望的な状況と一部の敵、アイテムの説明だけだと思って頂きたいです。私がやり込んだソウルシリーズは2だけで、アノールロンド周辺の知識は調べながら書きはしますがやはり知識不足による解釈の仕方や理解で書いて不快にはしたくはないのであまりダクソ要素は出ません。その代わりブラボは2と同程度にはやり込んだので結構書けると思います。ダクソも2なら、どうにか...』との事です」

 シュユ「言い訳が長い。簡単に言えばダクソ要素は基本2しか出ません、というのとブラボ要素は出せますよ、って事か」

 シリカ「本当に話が長い人ですね...」

 作『もっと罵って』カンペ

 シリカ「き、気持ち悪い!!」

 作『ご・褒・美』カンペ

 シュユ「キモい、死んどけ。じゃあ気を取り直して、次回も--」

 シリカ・シュユ「「よろしく(お願いします)!!」」
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