2度目の命は2人の為に   作:たぴぃ

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 序盤は短いです。原作入るまでに1話辺り2000字を越える事はそうそう無いと思います。


1話 幼馴染み

 「悠、早く早くー!」

 「待って、そんなに急ぐと――」

 「いてっ。アイタタタ...」

 「ほら、転んじゃった。大丈夫?」

 「うん!悠が居るから大丈夫!」

 「ありがと。じゃあゆっくり行こう。お母さん達、置いてってるしね」

 

 『彼』の名前は秋崎(しゅうざき)(ゆう)、転生者だ。そして悠と手を繋ぎ、満面の笑みを浮かべている子供は紺野木綿季(ゆうき)、幼馴染みだ。

 元々の『彼』はSAOシリーズの事を知っていた。となれば、ヒロインである彼女の事を知っているハズだが、そんな様子は見せず、子供らしからぬ落ち着きで彼女を抑えていた。何故なら彼はS()A()O()()()()()()()()()()()()()()からだ。それは神が与えたデメリットの1つ、『原作知識の消失』だ。

 

 「木綿季、何をしようか」

 「んっとね....ボク、砂のお城作りたい!」

 「分かった。じゃあ頑張ろうか」

 

 悠は両親からバケツとスコップを貰い、砂の城の作成を始める。そうは言っても基本的には木綿季の手伝いやアドバイスに徹し、自分から気付いて手を出す事は有っても主導は木綿季だ。常に木綿季が楽しむ事を第一に考えている。

 木綿季は本来天涯孤独の身である。姉は新生児の頃に服用した血液製剤の血液提供者が後天性免疫不全症候群、通称AIDSに感染していた。つまり、AIDSを伝染(うつ)された事により死亡、両親もそれより先に同じ病により死んでしまった。()()()()別の血液製剤を使用した木綿季はAIDSに感染する事は無く、唯一生き残った。施設に預けようともしたが、元々紺野一家と交流のあった秋崎一家は「娘も欲しかった所だ」と喜んで木綿季を受け入れた、という訳だ。

 実際の実態はそんな奇跡と偶然の産物ではなく、娯楽に餓えた神の仕組んだ()()()。彼が神から与えられたメリットの1つ、【現実世界で関わったヒロインの救済】である。文字通り、彼が現実で関わった(細かく言えば互いの名前を認識し、友人以上の関係を持った)ヒロインは強制力が働き、彼女達の命に危険を及ぼす、或いは命を奪うトラブルを回避出来る。ただ、周囲の人間にそのメリットは及ばないらしいが。

 

 「できたー!」

 「やったね、木綿季!...結構時間も経ったし、お母さんも呼んでるし、帰ろっか」

 「えー?まだ遊びたいよ...」

 「明日も来られるし、何よりそろそろ入学だよ。幼稚園みたいにはいかないんだし、我慢しようね」

 「むー....悠が言うなら、我慢する...」

 「うん、そうしよう。じゃあ帰ろっか。お母さんの晩御飯も待ってるし、ね?」

 「うん!」

 

 砂の城を壊して砂場を片付けようとした悠だったが、視線を感じてふと右を見る。木綿季は悠の手を見詰めて、今にも泣きそうな顔でいる。そんな彼女を見て、壊すという考えを敢行する程悠は頑固でもなければ鬼畜でもない。壊そうとした手を引っ込め、木綿季と手を繋いで家路に着くのだった...

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