2度目の命は2人の為に   作:たぴぃ

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33話 独占

 「シュ~ユっ!」

 「なんだ?」

 「えへへ、呼んでみただけだよっ!」

 「そっか」

 「それで、どんな感じ?ボクの膝枕」

 「柔らかくて心地いいよ。重くないか?」

 「ううん、大丈夫!」

 

 シュユとユウキは平和で幸せな日常を送っていた。ユウキはフレンド全員に情報が開示されない閉鎖(クローズ)モード使用し、少なくともシュユを捜索している4人にはバレない様にしている。外出を極力減らして外出する時も変装する事でバレるリスクを極限まで減らす事が出来るのだ。

 シュユも、マシになってきたとは言え右目はまだボヤけている為外出は控えて(ユウキがそうさせているのだが)いた。一時的なのかも不明な記憶喪失も、ユウキがその話題に触れない様にしているのでシュユが気付く筈も無い。

 実際、今のシュユはとても不安定なのだ。つい先日まで戦う理由も無く、ただ【獣】を狩るという強迫観念に基づいて殺戮を繰り返していたシュユの現在の拠り所はユウキしか無い。元々『シュユ(秋崎悠)』という存在が存在する理由を支えていた2本の柱(ユウキとシノン)の内、今はその1本(シノン)が欠けている。今依存しているのは、どちらなのだろうか?

 

 「シュユ、何か欲しい物は無い?」

 「......ユウキ、かな」

 「ふぇ!?」

 「....ずっと、一緒に居て欲しい。恐いんだよ.....」

 「シュユ?」

 「....オレはもう、ユウキが居なきゃ戦えないのかもな。武器を振るう理由が、ユウキ以外に見付からない」

 

 【獣】を狩るのはカーヌスと同じ目に遭う人を減らす為だった。だが、もう忘れてしまったのだ。ならば誰の為に武器を振るえば良いのだろうか?人は何事にも理由と価値を付けたがる。それはシュユですら例外ではない。感情の枷が壊れたシュユは、自我が崩壊していないだけ幸運だ。普通なら味わった事が無い激情に発狂してもおかしくはない程の激情に、シュユは耐え抜いた。だが、その代わりに戦う理由を無くしていたのだ。

 だからこそ、戦う理由を与えなければならないのだ。その理由に、ユウキはピッタリだろう。今のシュユにとって至上なのはユウキ、そのユウキを護る事は理由に成り得るし、価値だって最高になる。

 

ドンドンドンドン!!

 

 「またあの人か.....しつこいなぁ」

 「あの人?」

 「ストーカーみたいな人。ずっとボクに付き合ってって言ってくるけど、興味ないんだよね」

 「......ウザいな」

 

 シュユはユウキの膝枕から名残惜しくも思いながら起き上がり、1階に降りて玄関のドアを開ける。そこに居たのは小柄な男。顔は幼さが残るものの整っており、もう少し年月を置けばイケメンに成長するだろう。彼はシュユの姿を見ると目を吊り上げ、噛み付く様に捲し立てる。

 

 「お前か、ユウキさんの男は!?」

 「...誰だ?ユウキが迷惑がってるから、止めて欲しいんだが」

 「俺はルーク、ユウキさんを愛してる男だ!と言う訳で、さっさと別れろ間男!」

 「随分と一方通行な愛だな。ユウキはお前と付き合いたいと言ったのか?」

 「お前が居るんだから言える訳が無いだろ!?でも、俺は解ってる。だからさっさと消えろ!」

 「.....面倒だな、デュエルで決めよう。オレが勝ったら2度とユウキとオレに関わるな。お前が勝ったらオレが消えてやるよ」

 「シュユ!?」

 「あ、ユウキさん!俺、勝ちますからね!」

 「シュユ、負けたら許さないよ!」

 「分かってる」

 

 彼等は街中へと移動する。街中でのデュエルなら体力はレッドゾーンには突入しない為、犯罪者(オレンジ)として扱われる事は無い。更に、観衆にデュエルの結果を見せる事で約束を反故にされる事を防いだのだ。()()()()輩は勝手な妄想で受け入れ難い現実を補完してしまう事が多い事を知っているからこその行動だ。

 この街のシンボルである噴水の前で対峙する。シュユはストレージからユウキに頼んで修理に出して貰った【千景】を実体化させる。対するルークが構えるのは小柄な体躯には不釣り合いな両手剣。広い攻撃範囲と高い威力、高い耐久がウリだが威力重視の分移動と攻撃の速度は低い。

 デュエル申請をYESで承諾し、目の前にカウントダウンが映し出される。カウントダウンの数字が0になった瞬間、ルークは両手剣を上段に構えて突進してくる。両手剣の中でも数少ない、速度が速いソードスキル【アバランシュ】だ。シュユはルークの踏み出す先に石ころを投げる。既に速度が乗っていたルークは止まれずに石ころを踏み、足首を挫いて転倒する。しかも顔面から転んだ為、つい手を離してしまいシュユの足元に剣が転がってくる。

 

 「うおおおぉぉ!!」

 「【格闘】は持ってないのか。青いな」

 

 【格闘】は持っている者が多いので忘れられがちだが、通常の手段では取得出来ないスキルなので仕方無いと言えば仕方無いのだ。破壊不能オブジェクトにも等しい耐久力を持つ大岩を割るまで消えないフェイスペイントを施され、しかも無駄に煽り性能が高い老爺が煽ってくるのだ。面倒なので取得が先送りにされても仕方無い。

 しかし、武器をメインにして戦うSAOだからこそ【格闘】は取得した方が良い。武器を失い、徒手空拳で戦う時に【格闘】を持たない者の攻撃など貧弱だ。万が一を考え、一応取得はしておくのがセオリーだ。

 長続きさせる事は面倒なので、シュユは千景を抜刀する。刀身とダメージエフェクトの2つがルークの体力を大幅に削り、目の前に『YOU WIN!!』の文字が浮かぶ。恐らくルークの前には『YOU LOSE』の文字が浮かんでいる事だろう。現実が受け止められないルークはシュユを素通りし、ユウキの手を取る。だが、ユウキはルークを見ずにウィンドウを操作し、そして告げた。

 

 「ボク、キミの事【通報】したから」

 「え....?嘘、でしょ?ユウキさん、冗談が--」

 「--冗談じゃないよ。じゃあシュユ、行こ?」

 「....あぁ」

 

 女性の絶対数が少ないSAOではあまり知られていないが、実は女性プレイヤーには圏内に限り他のプレイヤーを『黒鉄宮』に叩き込む方法がある。それが【通報】だ。【通報】とは、ハラスメントコードに抵触したプレイヤーを衛兵NPCを召喚する事で黒鉄宮に叩き込む事が出来る女性プレイヤーのみに許された行動だ。通報されたプレイヤーは言い訳も釈明も許されず、衛兵NPCに捕まった瞬間に黒鉄宮まで連行される。街から出ても衛兵に見逃して貰える事は無く、再びその街に入った途端に衛兵NPCが捕まえに向かう。しかも上層になればなる程に衛兵NPCの力は強くなっていくので逃げるのも容易ではないのだ。

 下手なレアモンスターよりも珍しいのが女性プレイヤーなので、都市伝説としか思われていなかった。しかし、転移門(ポータル・ゲート)の方向から猛スピードで現れた甲冑の姿を見る限り、事実だったらしい。振りほどく事も出来ずに連行されたルークを見て、シュユは自分がああならない様に気を付けようと思った。

 

 「勝ったぞ、ユウキ」

 「そうじゃないと困るよ、ホント。じゃあ、帰ろっか」

 「そうだな」

 

 シュユの右腕に密着してくるユウキ。あの鬼神の様な強さからは想像できない身体の柔らかさに少し驚きながらも、シュユはそのまま歩き始める。そして、街の雑踏に溶け込む2人の後ろ姿を遠目に見た少女は濁った眼で呟いた。

 

 「.......シュユ、なの.......?」




 ユイ「作者さん、私の事忘れてませんか?」

 作者「いや、そげなことは」

 ユイ「いつ私は出られるんですか?」

 作者「まぁ遅くてあと10話、早くて5話くらいですかね」

 ユイ「毎日投稿すれば、あと1週間ですね?」

 作者「お姉さん許して....成績壊れちゃ~う^^」

 ユイ「成績が落ちたら小説も書けませんから、許してあげますけど....」

 作者「頑張りますよ。じゃあそろそろ締めますか。せーの--」

 ユイ・作者「「次回もお楽しみに!!」」
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