2度目の命は2人の為に   作:たぴぃ

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 原作に入るまでは大体解説みたいなもんです。会話文はおまけみたいな感じですね。


2話 小学校

 時間は飛んで小学校に入学し、3年が経った。特に木綿季と悠の関係に変わりは無く、木綿季が危なっかしく悠を引っ張り、それを悠がアシストしつつ進む。そんな感じだ。ただ変わった事を上げるのなら、悠の無表情さに磨きが掛かった、という所だろうか。木綿季と共に居る時は満面、とまでは行かずとも表情は判るくらいに変化するのだが、居ない時は基本的に無表情だ。いや、実際はただ興味が無いだけで、現に家が近いクラスメイトと過ごしている時は木綿季が居なくともしっかり表情は変わっている。

 これも神から与えられたデメリット、『感情の制限』である。これは簡単に言えば関係を持った主人公とヒロイン達にしか感情の昂りの閾値を超えないという事だ。つまり、現時点で過ごしていてハイテンションになるのは木綿季だけであり、他のクラスメイトと過ごしている時は楽しいと言えば楽しいのだが、感情が振り切れて何かをやらかす、という所までははしゃげないのだ。

 

 「ねぇ木綿季ちゃん、一緒に帰ろ!」

 「なぁ木綿季、一緒に帰ろーぜ!」

 「うん、良いよ!悠も帰るでしょ?」

 「勿論」

 

 良く悠がつるむ男子3人グループと、木綿季がつるむ女子3人グループが同時に話し掛ける。別に、皆が悠をハブっている訳ではない。木綿季と悠ほど付き合いは長くないが、彼等と数年付き合った上で導きだした誘い方がこうなのだ。

 基本的な行動原理が1に木綿季、2に木綿季、3、4も木綿季で5にやっと自分、な悠は基本的に悠個人を誘っても断る訳ではないが、決まって――

 

 「木綿季に聴いてくれ。オレは木綿季と帰るから」

 

 と言う。聴いただけだとストーカー寸前の妄想にも聴こえるが、彼は木綿季が彼を拒んだり予定が合わない、と言えば個人的に仲の良い男子グループに行ったりする。ただ、木綿季は大体悠と一緒に居る為、こういう結論に落ち着くのだ。

 つまり、悠を誘って木綿季に聴け、と言われて木綿季に聴いて帰るという二度手間を省く方法がこれだ。

 

 「今日の授業どうだったー?」

 「オレら、何も聴いてなかったんだけど、どうしよ!?」

 「ウチらは見せないからね」

 「え!?じゃあ...木綿季、見せて!」

 「.....ごめん、ボクも寝ちゃった」

 「ウソだろぉ!?じゃあ悠、見せて!」

 「自業自得だろ?しっかり家で復習を――」

 「悠.....お願い、見せて!」

 「よし、今からコピー取ってくる」

 「.......チョロいね、悠くん」

 「「「「「.......うん」」」」」

 

 よっぽど駄目な事を頼んできたなら厳しくする悠だが、基本は木綿季には甘い。飴と鞭の比率で言えば9:1ほどだ。故に、悠に何かを頼みたければ木綿季を攻略すればほぼ確実に悠は引き受ける。

 実は、こんな場面でも彼のデメリットが影響を及ぼしている。最後のデメリットは『原作の改変』だ。一見メリットにも思えるこの能力の恐ろしい事は原作に於ける未来はどんな事でも彼が介入すれば変わってしまう事だ。鉛筆が落ちるか落ちないか、程度の小さな事かもしれない。だが、現に木綿季は()()()()()()()()

 原作での彼女は小学校に入学した時はAIDSの発症を抑える薬を服用しながら学校に通い、授業は模範的な態度で受け、成績も常にトップという優等生そのものだ。だが、ひょんな事からHIVキャリアである事が露見し、生徒や教師から無理解と差別から来るイジメに遭い、AIDSを発症してしまった。が、今の木綿季は居眠りもすればお喋りもするが、成績は取る(これは悠が教えているからだ)という注意をしたくともしにくいという生徒になっている。

 今までは良い方向だけに傾いている。だが、これだけは言っておこう。この特典はあくまで()()()()()()()()と。

 

 「ねぇ、勉強会しない?」

 「おー、良いねぇマキちゃん!悠、ボク達の家は大丈夫かな?」

 「大丈夫、父さんと母さんは仕事だし、空いてる。オヤツも有ったと思うし」

 「よっしゃ、じゃあ悠と木綿季ンチ集合な!」

 「「「「「「「おー!!」」」」」」」

 「....それ、木綿季は言わなくて良くないか?」

 「もー!ノリだよ悠!ノ・リ!はい、悠もやる!」

 「そ、そう...?じゃあ....おー!!」

 

 そんな事を全く知らない彼等は、輝かしい幼少の時代を満喫する様だ。羨ましい限りである。

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