2度目の命は2人の為に   作:たぴぃ

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 ユイ「前回のあらすじのコーナーです!」

 アスナ「前回はボス戦だったね。私がLA取ったんだよ?」

 ユイ「そう言えば、本編のママはどうしてパパに敬語なんですか?」

 作者『好感度上がるイベントをこなしてないからです。言ってしまえば圏内事件ですね』

 アスナ「流石はメタ空間...メタい事を平気で言うんだね...」

 ユイ「それは置いておきまして、さてさてどうなるんでしょうか41話!?」


41話 約束

 SAO内で初となる人型ボスの単独撃破を成し遂げ、持て囃されるであろうその人物は現在、教会の中で正座をしていた。それは彼が得た【地下墓の鍵】を使用して先に進んだ、今現在で最も安全と言える【オドン教会】の中での事だ。

 彼--シュユは首から『わたしはわるいこです』と書かれたプレートを提げ、目の前に仁王立ちしている2人の少女から注がれる怒りの絶対零度の視線に、身体ごと凍りつきそうな気持ちでいる。

 「......無理はしないって、約束したよね?」

 「はい」

 「.....なのに、約束を破った。そういう事で良いのかしら?」

 「一応、そうなるのか」

 「「なんでそんな無茶をしたの(よ)!?」」

 「まぁ、何と言うか、その....成り行きというか、仕方無くというか。でも--」

 「--でもじゃないの。...確かにその時私達はボス戦の最中だったけど、突入を待とうとか思わなかったの?」

 「まさかボスだとは思ってなかったんだよ。封鎖を無視して攻略に踏み出したプレイヤーかと思ったら、正体はボスだったって事だ」

 「.....まぁ、過ぎた事は仕方無いよね」

 「そもそも、こんな所に居る時点で危険も何も無いわよ」

 

 シノンはウィンドウを操作し、シュユが提げているプレートを廃棄する。そして小さめの扉から少しだけ顔を出し、黄昏の空を見上げる。

 

 「『悪夢からは逃れられない』ね、良く言ったもんだ。来る者拒み、去る者捕らえるって感じか」

 「それ、笑えないよ、シュユ。でも、凄い話だよね。安全圏が無いってさ」

 「やっぱり不安よね。ここも、その内敵が入ってくるかも知れないって考えると」

 

 シュユが言った『悪夢からは逃れられない』というのは、ヒースクリフの指示でヤーナムから出ようと入ってきた扉に貼られてあった紙の1節だ。フレンドのチャット機能は使えるらしく、キリトがシリカに扉を開ける様に頼んだが、その扉は数人で開けようとしても固く閉ざされたままだった。故にここ(悪夢)から逃れる事も出来ず、更に招かれる事も無い。

 シュユは投げナイフを実体化させ、ポーンと上に投げる。そのナイフの切っ先は容易くシュユの掌を貫き、()()()()()()()()()()()

 

 「...やっぱり、ヤーナムに安全圏は存在しないんだな」

 「そうね--って、何してるのよ!?」

 

 シノンはシュユの掌からナイフを抜くと、アイテムストレージから【包帯】を取り出して手際よくシュユの右手に巻く。じんわりと体力が回復していくが、目の前のシノンから注がれる視線は怒り一色だ。流石のシュユも居心地が悪かった。シノンの視線から逃げる様に横を向くと、ユウキと目が合う。そのユウキも、怒りの視線を向けているのだが。

 

 「....そういえば、ヒースクリフ達はどこに行ったんだ?」

 「周囲を探索しに行ったよ。大人数は流石にって理由で3人一組、団長はクラディールを連れてアスナと、エギルとクラインとキリトで探索してる」

 「クラディール、ね....」

 

 最も死のリスクが高い最前線で戦う者は実力は高い。ただ、その実力に人間性が比例しているかと問われれば首を傾げざるを得ない。

 このクラディールという男性プレイヤーは大剣使いの攻略組なのだが、あまりその性格は良い方ではない。プライドが非常に高く、自分が認めた者以外の傘下に加わる事を異常に嫌う傾向があり、実際に攻略で危険な目に遭った事も有る。が、それは運も有るのだろうがどうにか切り抜けており、確かな実力は備えている。偶々聞いた噂だが、クラディールはアスナに恋愛感情を抱いているらしい。それをKoB内では『身の程知らず』と陰口を叩かれている事をシュユは知っていた。

 ヒースクリフがクラディールをキリトと一緒にしないのは、確実にクラディールがキリトを邪険にしているからだろう。ぽっと出のソロプレイヤーの横行を(勿論シュユも含まれる)クラディールは嫌っているのだ。シノンに関してはその限りではなく、むしろ歓迎している。それは恐らく、アスナの友人であるシノンに優しくする事で心象を良くする為の手段なのだろうが、シノンの好感度はシュユの対応を見た時に最低値に下がっており、肝心のアスナの好感度も恩人であり友人でもあるシュユの態度を見て、決して高くないという事は推測に難くない。

 まぁ、そんな難儀な性格の彼とは言え実力はトップクラスだ。そこにSAOの最強格と名高いヒースクリフが居るのだから死ぬ事は無いだろう。キリト達も、確かに有名ではないが実際は優秀なプレイヤーの3人組だ。心配する事は無いとシュユは断定する。

 

 「なぁ、ユウキ」

 「ん、なに?」

 「ユウキはKoBの制服は着ないのか?あの白と赤の派手なヤツ」

 「ボク、あの服あんまり好きじゃないんだよね。だから団長に無理言って、勲章みたいな感じにしてるんだ」

 

 ユウキが指し示す胸の辺りには、確かにKoBの特徴的な白と赤のカラーリングと十字架が施された勲章が着けられていた。今のユウキは紫と紺の装備だが、実際のユウキは白い服もちゃんと似合うのに、とシュユは思う。彼女の艶やかな髪に、白い服は確かに映えるのだ。

 

 「.....あ、そう言えば」

 「どうした?」

 「シュユ、ユウキ、槍持ってない?」

 「そんな櫛持ってない?みたいに言われてもね...」

 「悪いけど、ロクな槍は無いな。....あ、ちょっと待ってくれ。確かアイテムボックスに...」

 

 シュユは【灯り】の機能にあるアイテムボックスを漁る。殆ど見ない武器欄にはドロップした要らない武器の数々が貯まっている。その殆どが今の階層では実用など出来ない程だが、その中にはレアドロップやLAボーナスの結果がしれっと入っている。

 

 「あぁ、有った有った。はいこれ」

 「槍には見えない形ね。剣みたいな感じ」

 「こんなんでもユニークウェポンなんだ。回復効果も付与されてるし、繋ぎ程度には使えると思う」

 

 彼が渡した武器は【アルスターの槍】だ。遅効毒と敵を倒した場合に体力が回復するという、それなりに強い武器。防具貫通力も高い槍だが、言ってしまえばその程度。純粋な攻撃力ではキリトのエリュシデータどころかユウキの聖女の祈剣にすら及ばない。

 因みに、前に使っていた【ハイデの槍】は数日前の【聖職者の獣】との戦いで壊れてしまった。元々性能不足が目立っていたのだが、度重なる戦闘による疲弊とストライクランサーで獣の身体に風穴を開けた事が決定打となり、修復不可能なレベルで壊れてしまったのだ。第1層で入手したにも関わらずしっかりと突破口を開いてくれたのだ、感謝出来るが恨み言は無しだろう。

 

 「--ねぇ、シュユ」

 「ん?」

 「どこにも行かないでね」

 

 どこにも、とはどういう意味だろうか?この教会から出るな、という意味なら無理だ。他にも様々な捉え方が有るが、それを言ったのがユウキならばシュユの返事は、1つしか有り得なかった。

 

 「.....あぁ、勿論だ」

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