2度目の命は2人の為に   作:たぴぃ

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 シノン「今回のキャラ紹介はエギルよ。…て言うか、エギルが居なきゃキリトは死んでるのよね。中々、どころかかなり重要な人物だと思うわ。ALO編だって――」
 作者『ストップ!!多分皆分かってるけど、一応それネタバレだからね』
 シノン「はいはい、悪かったわね。じゃ、キャラ紹介をどうぞ」




 エギル

 店を営むナイスガイ。その店を知る皆曰く、阿漕な商売らしい。が、物を買うにしても売るにしても価格は適切かつどちらも最大限の得を出来る様に設定されており、本人の人柄も有って信頼する者は多い。
 よくシュユ達3人がレベリングで溢れる程所持しているアイテムを買い取り、他の需要があるプレイヤーに売っている為何だかんだ懐は潤っている。3人は上客らしい。
 シュユの好意の受け取り方が間違っている事に気付いている1人。シュユがユウキかシノンのどちらかと2人きりで行ける様に依頼したり、ユウキとシノンにアタックの方法を教えたり、シュユに恋愛の何たるかを説いたりして最大限の援護をしている。故に、ユウキとシノンからは師匠的な敬意を向けられていたりいなかったりする。


52話 ユウキ編 狩人

 月の光の先に、何かが見える。オドン教会と似て非なる建物、狂った狩人、血に沈んだ道、そしてそこで独り戦う、孤独な誰か。その後ろ姿だけで誰なのか、ユウキには直ぐに判った。名を呼び、手を伸ばそうとする。だが、彼は先へと進み、ユウキの視界は白く染まって彼の姿を覆い隠した――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――良い夢は見れたかい、ユウキ?」

 「…鴉の人…」

 「クク、鴉の人かい。確かに的を射てる呼び方だねぇ。…それにしても、だ。こんな所で寝るのはオススメはしたくないね。寝るんならもっと安全な場所にしな。あたしが居なかったら死んじまうかも知れなかったんだ」

 

 周りを見回せば、確かに血飛沫が床にこびり付き、死体も転がっていた。ユウキが寝ていたであろう水盆には薄く、ゴワゴワした毛布が敷かれており、誰かが自分を気遣ってくれた事は直ぐに理解できた。

 

 「この毛布は…」

 「それはアンタと一緒に居た黒ずくめが掛けてやったヤツさね。あたしにここを守らせて、あの黒ずくめは先に進んでったよ。ユウキは俺より疲れてるだろうから、ってね」

 「ッ…シュユとおんなじ、馬鹿じゃん…」

 

 決してキリトもシュユも頭は悪くない。だが、他人の為に自分を使い潰せる、そんな面で言えば2人は似た者同士のだろう。聖剣とゼロモーション・シフトの過負荷により身動きが一時的とは言え全く出来なくなったユウキに戦わせるなど、キリトもシュユも絶対にさせない筈だ。それを言うならキリトも同じ筈だが、そんな事は底無しのお人好しの彼には関係ない。キリトはただ誰かの為に進む、狂気染みた自己犠牲に身を任せて。

 ユウキは毛布をアイテムストレージに収納すると立ち上がる。少し足元がふらつき、嘔吐感がこみ上げてくるが戦えない訳ではない。剣を実体化させると、その時狩人が言葉を放つ。

 

 「気を付けな、アンタは血に魅入られやすそうだからね」

 「血に、魅入られる?」

 「そうさ。血に酔って血に依って、血に寄っていく事が全ての『ヒト』とは言えない存在(モノ)に成り下がるヤツも居るのさ。そうなったらもう終わりさ、あたしが狩らなきゃいけなくなっちまう。この年寄りの老体を労ると思って、仕事は増やさないでくれると有り難いねぇ」

 「…ボクは死ぬ訳にはいかない。シュユに会うまで、会っても死ぬ気は無いけど、絶対に死ねない」

 「良い返事だ。アンタとは正反対だったけど、昔居た狩人を思い出すねぇ…月の香りを漂わせた、あの狩人を」

 「月の香り?」

 「――っと、ちょっと話過ぎたね。全く、年を取ると話が長くなって嫌だね。それじゃ、せいぜい頑張るんだよ、ユウキ」

 

 鴉羽の装束を翻し、狩人は去っていく。彼女が居た場所にはちょっとした血溜まりが出来ていたが、薄暗くコンデションが悪いユウキにはソレが見えていなかった。

 ユウキはふらつく足を剣を杖代わりに使う事で前に進ませる。彼女はたった一言、呟いた。 

 

 「――言われなくても」




 今回は短いです。
 そう言えば、沢城みゆきさんがご妊娠なさり声優業を少し休業されるらしいですね。おめでとうございます!
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