アスナ「そうだね。10話…までは行かないけど、それでも結構長くキャラ紹介してたよね」
キリト「あ、そうだったな。っと、前回はシノン編だったな。良い武器を入手して、先に進んだ所で終わったらしい」
アスナ「あと、シモンさんが死んじゃったよね…凄く強そうだったのに。シノのんを助けてくれたかも知れないって考えると、ちょっと残念かも」
キリト「いや、結構助けてたと思うけどな。…っと、そろそろ字数が多くなってきたな。じゃあ皆さん――」
アスナ「――お楽しみに!」
キリト「あ!俺の台詞ーーー!!!」
「――あ?死体だけか?」
大きな両開きの扉から中に入ったシュユは拍子抜けと言わんばかりに溜め息を吐いて肩を落とす。もっと手応えのあるモノを期待していたのに、目の前に現れたのは椅子に座って息絶えた死体。ハッキリ言ってシュユは萎えていた。
「…チッ。にしたって、何で死んで――」
「――死体漁りとは、感心しないな」
「ッッッッ!?」
「だが、分かるよ。秘密は甘いものだ。だからこそ、恐ろしい死が必要なのさ。…愚かな好奇を、忘れるようなね」
死体に手を伸ばす。突然その手を横から掴まれ、シュユは驚愕して引き剥がそうとする。だが、万力の如く締め付ける手はそう簡単には離してはくれない。不味いと思った瞬間、あっちから手を離してくれた。そして彼女は傍らにあるカタナの柄に短剣が付いている奇怪な剣を握ると、ガキンッ!と音を立てて二刀にする。眼は帽子の陰になっていて見えないが、口元は確かに笑っていた。
「イイねぇ、斬り甲斐が有りそうだ…そう簡単に死ぬなよォ!!」
「…ふむ、私が戦いたいのはキミではないな。あまり私は選り好みはしないんだが…キミは好みじゃない」
「ほざけ!!」
カタナを振り下ろすが、当然阻まれる。そんな事は織り込み済み、シュユは空いている左手に葬送の刃を片手剣形態で実体化、そのまま突いた。それはマリアが左手に持つ短剣で受け止められ、巻き込む様な剣捌きに葬送の刃を手から弾き飛ばされてしまう。
それでも止まらない。装備欄から外れない限り葬送の刃のバフは作用し続ける。大鎌形態ではないのでSTRとAGIへのバフではないが、
「ここは狩人の悪夢さ。数多の狩人の罪が集約され、悪夢を形成した。このヤーナムの罪、その全てがここに在る」
「だからどうしたァ!?」
「故にここに行き着いた狩人は血に魅入られ、血に狂う。見てきただろう?アレこそが、
「あァ!?んな訳が
「獣…クク、獣か。滑稽だな、シュユ。
大振りの一撃を弾かれ、隙を晒してしまう。その一瞬でマリアは右手を獣の爪の様な形にすると、その手をシュユの腹部に突き刺した。
「キミは狩人の
マリアはシュユに口づけをする。鼻に抜ける鉄臭さと生温く、少し粘つく液体。それが血液である事に気付くのはその液体を嚥下した直後だった。
「――あ、あァァァァぁ!!!」
――狂う、狂う狂う狂う狂う狂う狂う!!!
見える光景は地獄絵図だ。たった1人で跋扈する獣を狩り、自らの高まる獣性を受容して狂いながらも狩りを続ける。爪に身体を斬り裂かれる、でも戦う。群衆の1人に鍬や鋤で殴られても戦う。銃で撃たれようと、炎で焼かれようと、斧で斬られようと、杖で殴打されようと、巨大な槌で潰されかけようと、殴り飛ばされて壁に叩き付けられようと、触手に体内を蹂躙されようと、何が起きようとも戦う。例え死んだとしても戦う。何度でも戦って、戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って、
「――ァ…何の、為だ…!
「さぁ、私にも解らない。彼とは言葉をあまり交わせなかったからね。しかし、そうだね…強いて言うのなら、狩りの行く末に成り果てる
見えたのは3つの結末。介錯に身を委ねる未来、同じ歴史を繰り返す未来、そして自らがヒトではない何者かに成り果てる未来だ。自分も戦いの果てにはこうなるのだろうか、そう思うと怖気が込み上げてくる。
「キミはどうする気だ?この悪夢に…いや、ヤーナムに足を踏み入れて血を受け容れた時点でキミは普通の『ヒト』ではいられない。それは夢から覚めたとしても変わらない。キミは狩人だ。狩人は夢から覚めても狩りからは逃れられないのさ。…鴉羽の狩人ややつしの狩人と同じく、ね」
「な、んだ…と?お前は、一体何を――」
「――キミが望むのなら、だ。私が引導を渡してあげよう。獣に成り果てた末に仲間に殺されるより、数倍は楽に殺せるさ。さ、どうする…?」
「オレは…オレ、は…」
どうにか立ち上がる。頭の奥が突き刺されるかの様に痛い。つい膝をついてしまう。どうしても身体が言う事を聞いてはくれない。もう限界らしい。
「…そうか。それがキミの答えか、シュユ。なら、約束は果たさなければならないな」
今の構図は傍から見ればシュユがマリアに頭を垂れ、赦しを乞うている様に見えるだろう。項垂れて動かないシュユを見てマリアは自ら武器【落葉】を振り上げ、そのまま振り下ろそうとする。数秒後にはシュユの首は地面に落ち、身体をポリゴン片へと還すのだろう。
――絶対に死んじゃ駄目よ、シュユ。
――シュユが死んだら、ボク達も後を追うからね。
…嗚呼、これじゃあ死のうにも死ねないじゃないか。
「――ほう?」
「死ねないんだよ…こんなんじゃ狂えもしない。オレは死んじゃいけないんだ」
「死んじゃいけない、か。愚かな事を言う。獣だけではなく同じ人間すら殺したキミの生存が、神に赦されるとでも?」
「…悪いが、オレは神なんざこれっぽっちも信じてない。それに、オレが戦う理由なんて初めっからコレしか無いんだ。見失ってたオレが馬鹿馬鹿しい」
「戦う理由か。是非とも教えて欲しいものだね。あんな獣に堕ちかけたキミを救い、狩人に戻したのはその理由なんだろう?」
「オレの戦う理由、それはな――」
シュユは1度死んでいる。記憶こそ殆ど掠れてしまったが、一応は転生者なのだ。そんな中、クソッタレな快楽主義者の神に縛られた感情の起伏。かつては縛れていた神が仕込んだ感情のの枷も、既に壊れている。だが、シュユ生きる理由はたった1つに集約される。幼少からその理由は変わる事など無い。『コレ』は生きる理由、ならばこそ、戦わねば生き残れない世界なら『生きる理由』は『戦う理由』に変換出来る。
「――オレの命は、2人の為に在るからだッ!!」
支離滅裂、滅茶苦茶な理由。だがそれでも良いと本人は決めた。例え他の何者を犠牲にしたとしても、シュユは大切な2人の為に戦う。それがシュユの、他ならぬたった1つの存在意義なのだから。