シュユ「――や」
アスナ「え?今なんて?」
シュユ「うらめしやぁぁぁぁ!!!」
アスナ「ひゃああああ!?」
シュユ「こんな感じだったかも知れないな」
アスナ「……今のこと、後でユウキとシノのんに言うから」
シュユ「あっ(絶命)」
アスナ「しれっと私2回連続で出られたんだね、前回のあらすじのコーナー。まぁそれよりも、66話、楽しんで!」
小鳥が
少しの間ガタガタと身体ごと椅子を揺らしてみても縄が緩む気配は無い。固い結び目にも指が届かず、解く事は出来ない。だが気絶した時点で殺していないのなら恐らくこれから殺される可能性は低い、そう前向きに考えたシュユは大人しく椅子に座り直して犯人を待つ。
誰かが来るまで延々と待つつもりだったシュユだが、それは直ぐに必要無くなった。誰かがドアを開けて入ってきたからだ。
「――シュユ、起きたのね」
「………シノン?」
現れたのはシノンだった。現れるのは敵かと思っていたが実際は予想外の味方だ。シュユは笑ってシノンに話し掛ける。
「良かった、助けに来てくれたのか?早くこの縄を解いて――」
「――解かないわ」
「……え?」
「だって、あなたを攫ったのは私だもの」
信じられないシュユにシノンはフード付きのマントを見せる。それは確かに第47層で見た、シュユを気絶させた人物が身に着けていたフード付きマントだった。【鑑定】スキルを使って所有者名を見ても変わらずシノンの名が書いてあり、シノンの言う事が真実だという事を裏付けていた。
「どうしてこんな事を…!こんな、自分の評判を落とすかも知れない事を!」
「私は自分の評判なんてどうでも良いの。…こんな時まで自分よりも私を優先してくれるのね、シュユ」
「当然だろ、だってシノンは――」
「――家族だから?それは凄く嬉しいわ。でもね、
シノンは近付き、シュユの頬に手を添える。体温が少し低めのシノンの手は心地良い冷たさで、その眼は薄ら寒さを覚える程にシュユだけを映していた。
「他人の私を家族って言ってくれるのは嬉しいの。でもね、それじゃあどうしてもユウキよりも下でしょ?」
「家族に上も下も無い!」
「えぇ、あなたは絶対にそう言うわ、解ってる。解ってるけど、心はどうしても制御しきれないものなの。好きな人の1番になりたい、ソレを願うのは悪い事?」
「シノンもユウキも、どっちも1番大事な家族だ!2番とか、過ごした年月とか、そんなのはどうだって良い!今なら無かった事に出来る、だから――ッ!?」
「――んっ…んくっ、ぷはっ……どう?私のファーストキスの味は」
突然唇に触れた柔らかい感触に思考が止まる。本来は同意の元で行われる
頬にするキスではなく、マウストゥマウスで行われるキス。舌はまだ唇の表面を触れる程度だったが、こじ開けられてはいないもののディープキスとほぼ変わりない。友人としてのコミュニケーションのキスなら既に経験しているシュユだが、異性との
「好き…好きよ、悠。この世の誰よりも、あなたが好き。あなたが手に入るなら他のモノなんて要らない。あなただけ居てくれれば良いの」
耳元で囁かれるその言葉が心を蝕む。このまま堕ちても良いのかも知れないと思ってしまう。だがそんな弱い思いをもう1人の家族への想いで補強している。
「こんな事をしたらユウキだって黙っちゃ――」
「――だからどうしたの?ユウキは確かに黙ってはいない。でも、その程度の事であなたを諦めるとでも思う?」
蠱惑的な笑みでクスクスと笑うシノン。どれだけシュユが知略を巡らせて弁を立てようと、シノンはそれを純粋な愛情で叩き潰す。狂信的な狂愛、それこそがシノンが煮詰めてきた
シュユしか映さない眼が目前へと近付いてくる。ふわりと女性的ないい匂いが漂い、それに浮かされる様にシュユは力を抜く。その直後、口腔内は温かいモノに蹂躙され、何らかの液体を送り込まれる。蹂躙してきたモノがシノンの舌で、飲まされた液体がシノンの唾液だと気付くのに時間はそう掛からなかった。
これが他の誰かならばどうにか脱出して逃げただろう。だが今この行為を行っているのはシノンで、シノンはシュユにとって何よりも大切な人だった。理解はしている。だがシノンの暴走を認めたくない心がシュユの何かを壊した。ソレはシュユの意識を再び闇の中に沈めるには充分なショックだった。シュユは心の導きに大人しく従い、まだ口腔内を蹂躙されながらも意識を手放した。
「もう逃さないわよ、シュユ」
お、ヤンデレがウォーミングアップを終えてクラウチングスタートの体勢に入ってるぞ?