2度目の命は2人の為に   作:たぴぃ

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 ヒース「そう言えば、シュユ君はどの程度の強さなのかね?」

 シュユ「今回はお前か…で、オレの強さ?ここで書くと長くなるから後書きに書くから見てくれ」

 ヒース「これは…ふむ、中々だね」

 シュユ「中々ってどういう事だよ…。じゃあ76話、楽しんでくれ」


76話 勝利条件=敗北

 「お父様、怪我しないで下さいね…」

 「任せろ。勝てる、とは言わないが無様な戦いはしない」

 

 第75層【コリナカ】の街中。その中心部には多くのプレイヤーが円状に集まっていた。その中心に居るのはシュユとヒースクリフ。どちらも自分の武器を持ち、気を漲らせて戦闘準備万端である。シュユは濃密な殺気を、ヒースクリフは活かす気…活気と言った所か。ソレを放っていた。

 シュユはユノウに戦う所を見せたくはなかった。だが、それはユノウきっての願いで見せる事となった。武器を持つだけで理性の手綱を振り切りそうになる殺意を抑え、今シュユは立っていた。

 何故シュユがここで決闘をするのか。それはKoBの幹部であるユウキを長期休暇させる為である。キリトも同じ条件を持ち掛け、ヒースクリフに決闘を挑み負けた。その結果キリトはKoBに所属し、その上でアスナは長期休暇を取ったのだ。別に所属自体は構わないのだが、キリトが負けたというのにノコノコとKoBに入るのは少しばかり嫌だった。それに、民衆がそれを赦さないだろう。攻略組を殺した最凶最悪の殺人犯、それがシュユなのだから。

 

 「ここは圏内だから死にはしない。安心したまえ」

 「あぁ、安心してる。最強の聖騎士サマ相手に戦えるか判らないしな」

 「フッ、心にもない事を」

 「バレたか。まぁ隠す気も無かったが」

 

 選ばれた形式は初撃決着モード。相手に有効打を先に与えた方が勝利となる、今のSAO(デスゲーム)で最も使われる形式だ。決闘を持ち掛けられた側のシュユが承諾すると、目の前に数字が現れる。決闘開始のカウントダウンだ。3から始まり、0でブザーが鳴る。シュユは意識を極限まで研ぎ澄まし、殺気を全てヒースクリフに向ける。その重圧は凄まじく、歴戦の猛者であるヒースクリフでさえ少しの間手が震えた程だ。

 0のブザーが鳴り響く。その瞬間、シュユは駆け出していた。一瞬でヒースクリフの元に辿り着いたシュユは左手の短剣を突き出すがヒースクリフはこれを盾でガード、更に盾を突き出してシールドバッシュを繰り出した。バックステップで躱し、右手の長剣を横薙ぎに叩き付けるが容易く盾で流され、剣がシュユの前髪を散らす。咄嗟に上体を起こしたからこそその程度で済んだが、下手をすれば首を落とされていたかも知れない。これが決闘である事を忘れてしまいそうになる。

 シュユは落葉を両刃剣に戻すと細工した投げナイフを4本取り出すと投げる。全てを剣の一振りで叩き落としたヒースクリフは動かない。まるで、挑発するかの様に。

 

 「随分と、舐め腐ってくれるなァ…」

 「私の戦い方は受けが基本だ。これが全力さ」

 「ヘぇ…奇遇だな、オレもカウンターの方が得意なんだぜ」

 「ほう、それは意外だ。君は自分から攻めるタイプだと思っていたのだが」

 「恋愛とおんなじさァ…オレは奥手(シャイ)でな!!」

 

 神速の蹴りが盾をめくる様にヒースクリフに迫るが、少し軸をずらすだけで躱される。このまま攻撃しても盾で防がれる。そう判断したシュユは敢えて踏み込み、盾ごとヒースクリフを押すが全く動かない。当然だ、ヒースクリフは服系防具のシュユと違って鎧系の、しかも重装の鎧を着ている。その重さはシュユと段違いで、直ぐに動かす事は出来ない。

 だが、別にそれで良かった。今のシュユの目的はヒースクリフを動かす事ではなく、この数秒だけこの場に固定する事。ピッピッピ、と機械の様な音が鳴り響く。ヒースクリフが足元に目を向けた時、そこには叩き落とした筈の投げナイフと赤く光るランプが見えた。

 

 「これは、一体――」

 「――ボン!」

 

 直後、ヒースクリフの足元に爆発が起きる。ヒースクリフが知らないのも当然、これは【狩人の悪夢】でしか入手できない超希少なアイテム【時限爆発瓶】だからだ。これをシュユは【アイテム合成】スキルの派生である改造スキルで投げナイフに接合、刺さった数秒後に爆発する様に仕込んでいた。その刃には()()が付いていて、抜くのは容易ではなく抜いても追加でダメージが入るという悪質極まりないものになっている。

 そんな初見のアイテムを、しかもシュユに動きを阻害されたヒースクリフは対処しきれない。マトモに爆発に巻き込まれるが、ルール上の決定打には足りない。そして彼がこの程度で終わるとは毛頭思っていないシュユは剣を振り抜き、黒煙の中から突き出される剣を頭を傾けて躱す。距離を詰めて短剣を心臓に突き付けるが、視線をずらせば首の直ぐ横にヒースクリフの大剣が添えられていた。

 

 「――あーあ、オレの負けだな」

 「……………」

 「大人しく降伏(サレンダー)しとくよ、それで良いよな?」

 「……………」

 

 降伏に相手の承認は必要ない。シュユは勝手に降伏すると群衆を掻き分け、ユノウを連れてコリナカから出て50層のエギルの店に向かおうとした。

 

 「――ふざけるなよッ!!!」

 

 誰も聴いた事が無いであろう、ヒースクリフの怒声が響く。シュユはそれに手錠で繋がれた手を上げて応じると、振り向く事無く出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お父様、どうして負けたんですか?」

 「そりゃあ、ヒースクリフの方が強かったからな」

 「嘘です」

 「え?」

 「お父様は最強なんです…キリトさんより、お母様達より、ヒースクリフさんより…お父様は、1番強いんです」

 

 それは幼い少女の望みであり、在って欲しい姿だった。

 

 (…参ったな)

 

 事実、本来は勝てるかも知れない。もっと好き勝手に戦って、持てるアイテムの全てを使い切るという、後先考えない戦法を取れば勝てない事は無いのかも知れない。だが勝ってはならない。どれだけユノウが慕い、ユウキとシノンが愛し、キリト達の様な良い友達を持ったとしてもシュユは結局の所人殺しでしかない。そしてヒースクリフはアインクラッド最強のプレイヤーと言われている。そんな彼が人殺しに負けたとあっては、他のプレイヤーにとっては恐怖そのものだろう。最強のプレイヤーですら抑えられない人殺しが、手錠をしているとは言え街を歩いているのだから。

 だがユノウの気持ちも分かる。父と呼んで慕うシュユに負けて欲しくない、最強でいて欲しいと願う彼女の気持ちが解らないでもない。

 だが、世の中はそんなに甘くはない。ユノウの事を優先してヒースクリフに勝ったとして、それからの未来はシュユが恐れられ、下手をすればシュユを恐れた誰かがユノウを攫い、殺してしまう事だって有り得る。そんな事はあってはならないのだ。

 

 「…ユノウ」

 「…なんですか」

 「確かにオレは強い。それも、アインクラッドの中でも上の方に居る。だけどな、どれだけ強くても護れない時はある」

 「…例えば、どんな…?」

 「オレには友達と、専属の鍛冶士が居た。友達はある日突然、オレの知らない所で死んだ。専属の鍛冶士は、オレの目の前で死んだ。…その頃からオレは強い方だったけど、護れなかった。1人はみすみす目の前で死なせちまった。…どれだけ腕っぷしが有っても、無理な時は無理だとオレは学んだよ」

 

 マリアとの戦いで無理矢理流し込まれた記憶は、ある程度だが喪ったシュユ自身の記憶すら復元してみせた。原理など知らないし、今更言っても手遅れだ。しっかり名は思い出せたのだから、特に気にしてはいないが。

 

 「だからこそ、オレはお前を危ない目に遭わせたくない。その可能性を何としてでも潰しておきたいんだ。だから、オレはあの場で勝っちゃ駄目だった。…難しくて面倒な話だけど、解ってくれたか?」

 

 ユノウは顔を上げ、たった一言シュユに言った。

 

 「…肩車、して下さい」

 「分かった。ほら、おいで」

 

 ユノウは賢い。それを充分知っているシュユはただその要求を受け入れ、ユノウを肩車する。

 

 「しっかり掴まっておくんだぞ」

 「はい」

 

 そしてそのまま、エギルの店にゆっくりと歩き始めた。




 本作のプレイヤーの強さ

 シュユ(狩人の高揚&使える物全使用)≒(?)ヒースクリフ>キリト(二刀流)≒ユウキ≒アスナ≒シノン(弓剣使用)≒シュユ(武器オンリー)>シュユ(発狂)>キリト(一刀流)≒シノン(槍)>エギル≒クライン≒シリカ(ピナ使用)>リズベット>シリカ

 こんな感じです。他に知りたいキャラ、抜けてるキャラが居れば感想で質問して下さい
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