キリト「今回はスグなのか。さぁ、どうなんだろうな。でもアインクラッドを理想郷として捉えてるだろうし、穢されたら怒り狂いそうだけどな」
直葉「まぁ二次創作だし、良いんだよね?」
キリト「まぁそうなのかな?タグにもあるし、許してくれるさ」
「よく来たな、シュユ」
「おっそいわよ!」
「エギルと、リズ?なんだ、今日はリズも来てたのか」
「と言うより、今回の案件はリズが居なけりゃどうしようもないって事なんたがな。取り敢えず座れ」
「了解。ユノウ、降りてくれ。膝に座って良いから」
「分かりました」
肩車していたユノウを降ろし、膝に乗せる。目の前のリズベットは駄目だこりゃと言わんばかりに頭を抑え、親バカと一言呟く。シュユは失礼な、と内心反論するが実際親バカの自覚は有るので心の内に留めておいた。
エギルは机を持ってくるとそこに輝きを放つあるアイテムを置き、話を始めた。
「お前が頼んでた【ソウルアイテム】の使い道がやっと判ったぞ」
「ほう。で、その使い道は?」
「武器か特殊なアイテムに錬成するの。通常の武器とは違う特異な性能を持たせられるけど、その分取り回しは難しくなる。まぁ、アンタなら大して問題は無いだろうけど」
「お父様は最強ですから!」
「全くその通りだな、ユノウ。それで、だ。お前はソウルをどれだけ持ってる?」
シュユはアイテムストレージから名のあるソウルを全て出す。その数は10個以上と言った所か。つまりはそれだけのボスのLAボーナスを獲っているという事であり、今までの定石だった使い方をしていないという事だ。
今はシュユが睨んだ通り、ソウルアイテムには特殊な使い道が有る。故にシュユはソウルアイテムを使わずに貯めていたのだが、ソウルアイテムは使うと経験値になる。それもフロアボスやユニークモンスターのソウルともなれば使用時の経験値も莫大なものになる。通常はレベルを上げる為に使うものなのだ。
「多分だが、このソウルごとに武器やアイテムは作れる。だがお前に合うブツが出来るかは分からないな。例えばこの【熔鉄デーモンのソウル】だが、恐らく出来るのは特大剣だろう。お前のスタイルには合わないと思うが…」
「…なら、エギルの店で売れば良い。加工費も合わせて、そうだな…値段の6割くれれば文句は無い」
「アンタ正気!?命賭けてもぎ取ったユニークアイテムで作ったモノを、たったそれだけで売るの!?」
「落ち着け、リズ。別にオレは構わないし、むしろ使わずに家に置いとくなら使って貰う方が武器としては本望だろ。それに、オレは金が枯渇しやすいしな」
通常のボス攻略に於いて、回復ポーションなどを含めたアイテムの出費は攻略組でも10000コルから15000コル程度なのに対し、シュユの出費は25000コルから30000コル以上と割高だ。それはアイテムを惜しげ無く湯水の様に使い、ターゲットを取る為に補助攻撃アイテムを使いまくるシュユだからこその現象で、それ故に金欠でもあった。ユウキとシノンにアイテムを多めに渡す代わりにコルを多めに貰う程だ。
因みにヒースクリフ戦で使った【投げナイフ型時限爆発瓶】だが、単価が凄まじく高い。アインクラッド内でも流通しないヤーナムのアイテムである事に加え、シュユしか加工元の時限爆発瓶を持っていない事から準ユニークアイテムに分類されているからだ。これを査定したアルゴは1つあたり30000コルは下らないと言っていた。なのでシュユはこのアイテムを滅多に使わない。
つまり売りに出せば数十万は下らないであろうユニークを売りに出した時の6割も貰えれば、シュユにとっては万々歳なのだ。
「じゃあ全部加工して良いのね?」
「あぁ――いや、これだけはオレが使うよ」
「【背教者ニコラスのソウル】?どうしてそれだけなの?」
「まぁ、このソウル自体は35層のユニークエネミーのソウルだし、最前線で戦うには火力不足は否めないだろうしな。それに、1個くらい使ってみたいって理由もある」
「お前のアイテムだし、俺達は何も言えん。好きにしてくれ」
「ありがとよ、エギル」
そう言ってシュユはニコラスのソウルをストレージに収納する。後で使うと言って仕舞った理由は単純で、このソウルで造った道具を誰にも使って欲しくなかったのだ。
自分の預かり知らぬ所で死んだ
「代金は?一応それなりの額は用意できるぞ」
「アホ言うな。さっきのお前の言葉を聴いて請求するなんて商売人としての風上にも置けねぇよ。それに今回の件に関しては成功するかも五分五分の案件だ、そういうのは後で――」
「――それなら、そっちで全部決めて構わない」
「アンタね…あたし達が嘘言うとは思わないの?」
「オレは商売人としてのエギルと鍛冶士としてのリズを信頼してる。それで嘘を吐くならお前らの器はそこまでだったって話だ。単純だろ?」
そこまで言うとリズはまた頭を抑え、エギルはニヒルな笑みを浮かべる。その強面にユノウはちょっとだけ怯えてシュユの服を掴み、それを見たエギルは表情を直した。
「そこまで言われたら、ねぇ?」
「あぁ、ちゃんとやってやらないとな。ったく、舌戦は弱い癖に煽りは上手いよなぁ」
「お父様、もう喋って良いですか?」
「勿論。ユノウは良い子だな、帰りに何か好きなの買おうか?」
「良いんですか!?」
「勿論。オレは嘘は言うが、約束は破らない」
やはり親バカである。シュユはユノウを膝から降ろし、上に放ると肩車になる様にキャッチする。膝でユノウに伝わる衝撃を緩和し、気遣う事も忘れない。ユノウはシュユが被っていた帽子を取ると自分の頭に乗せる。少し目付きを鋭くしているのはシュユの真似だろう。少し苦笑するとドアを押し開け、家路に就くのだった。
「…ホント、技術の無駄遣いね」
「全くだ」
専属商売人と専属鍛冶士の苦労はまだ続きそうだ。