2度目の命は2人の為に   作:たぴぃ

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 キリト「実際スカルリーパーってメチャクチャ強いと思うんだよなぁ…」

 アスナ「まぁ広範囲高機動高威力の三拍子が揃ってるボスだし、この作品だと犠牲者無しだけど原作だと犠牲者出てるもんね」

 キリト「まぁそれよりも確実に強いヤツが今回と次回で出るんだけどな()」

 アスナ「確か、未だに作者のトラウマになってる敵なんだよね?」

 作『もう2度と戦いたくないです』


85話 開戦

 キリトは怪訝そうな顔でヒースクリフを見つめていた。それは以前、KoBの加入を賭けた決闘(デュエル)で持った違和感から来るものだ。人間離れした反応、体捌きは見慣れている(主にシュユだ)が、その時見せたヒースクリフの反応は異常なものがあった。まるで、何かの意思に衝き動かされる様に異常な反応速度を見せたのだ。

 やはり、ヤツには何かがある。そう確信したキリトはエリュシデータを握り締め、駆け出した。

 

 「キリトくん!?」

 

 アスナの声にヒースクリフが振り向く。その時、剣を構えて走るキリトが目に入り、咄嗟に盾を構えて攻撃を受け止める。

 

 「クッ…!」

 「いきなりどうしたんだ?まさか状態異常か…?」

 

 駄目だ。あの程度の反応なんてヒースクリフなら簡単に出来る。これでは、何の証拠にもならない。諦めかけたキリトの目に、鈍色の閃きが映った。

 

 「…オイオイ、何だよコレ。まさかアンタが()()()()だとは思ってなかったぜ。なぁ、ヒースクリフ」

 

 葬送の刃はヒースクリフの首に添えられていた――いや、そうではない。葬送の刃には渾身の力が込められ、ヒースクリフを屠る気でいたのだ。それでもその首に刃が入り込まない理由は1つ。紫色のウィンドウが刃の侵攻を阻んでいるからだ。

 そのウィンドウに記されている英語の文は『Immortal Object(干渉不可物体)』。そしてこの文が現れるのは安全圏内のプレイヤーや建造物などの()()()()()()()()()()()()()()だ。そして通常、プレイヤーは安全圏の外で庇護下に置かれる事は決して無い。ここから導き出される結論は1つだけだろう。どれだけ鈍い者でも気付ける筈だ。

 

 「団長…あなたは…?」

 「………まさか、ここで露見するとはね。そうだ、私の正体は茅場晶彦。このSAOの製作者にして運営だ」

 

 予想外ではあったが別に構わない。そんな感情を醸し出しながらヒースクリフ(茅場晶彦)は喋る。だが、自分の背後に居るシュユに対しては敵意に似た不愉快さを滲ませていた。

 

 「キリト君、君は何故私の正体を看破出来た?中々に尻尾も証拠も残さない様にしていたのだがね」

 「…KoB加入の一戦、あの時俺の剣を受けたアンタの動きが機械みたいな動きだったからな。人間離れした動きはアンタの後ろに居るヤツのお陰で見慣れてたからな、違和感に直ぐ気付けたぜ」

 「私の後ろ…あぁ、シュユ君か。君にも1つ訊いておこう、何故躊躇い無く私の首にその刃を当てられた?」

 「何故?まぁ言ってしまえば単純だよな。キリトは理由無く仲間に剣を向けられる様なヤツじゃない。状態異常でも絶対に味方、と言うよりアスナには伝える。なら、アンタが疑わしいからアンタに剣を向けたんだろうって解った。なら、オレはアンタよりキリトを信じるだけだ」

 「…あぁ、そうか。凄く不愉快だよ、シュユ君。英雄足るキリト君に見破られるなら構わない。だがね…イレギュラー(化け物)の君に見破られるのは我慢ならない!!」

 

 ヒースクリフはシュユの大鎌を払い除け、段差の上に跳躍する。その表情は憤怒と歓喜、そのどちらにも見える複雑な表情をしていた。

 

 「思えば君は、SAOを存分に引っ掻き回してくれたね。私がプログラムした覚えの無い装備にシステムの裏を掻いた裏技を習得し、数多の偽りの栄光を打ち立てた。所以の判らないユニークスキルに殺意に溺れる訳でもなく殺戮を重ね…挙げ句の果てには私との一騎打ちで手を抜いたッ!!」

 

 確かな事実だ。敗北する未来は変わらないかも知れないが、確かにシュユは抵抗して結果をどうにか出来たかも知れない。ただそれをしなかったのは単に自分が負けた方が収まりが良かったからだ。それはシュユの怠慢であり、それをさせたのはこのアインクラッドの状況である。

 

 「あのヤーナムという土地も中々に私を苛立たせるものだったが…まぁこの際私は許そう。そして君達に褒美を与えないとな」

 

 そう言ってヒースクリフはウィンドウを開き、何かを操作する。が、KoBの構成員が立ち上がり、ヒースクリフに向かっていく。

 

 「俺達を裏切ったのか!?ふざけるな、俺達の信頼を返せ!!」

 「まぁそうなるね。だが、現に私は君達を勝たせてきただろう?攻略組という甘い汁を吸わせて、ね。そんな君達に、信頼がどうこう言われたくはないと私は思うよ」

 

 その言葉と同時にウィンドウで何かが決定され、シュユとキリト、ヒースクリフ以外の全員が倒れる。

 

 「ユウキ、シノン!?」

 「こ、れ…まひ…!?」

 「レベル3の麻痺だ。効果時間も長いし、対抗は出来ないだろう?…さて、キリト君は私と、シュユ君は『彼』と一騎打ちして貰おう。君達2人が私達と戦い勝利した時、それがSAOのクリアさ。だが安心してくれ、私達は君達を殺さないからね」

 

 何も無い場所から浮き出る様に現れた男はフルフェイスの兜を被り、ユウキが装備している様な鴉の羽の意匠が見えるマントを纏っていた。左手には銃、右手には見覚えのあるカタナが握られている。

 

 「千景…?」

 「そうだ。彼はシュユ君(イレギュラー)とヤーナムを出来る限り解析し、その優れた所を併せ持った、言わば戦闘能力の塊だ。一筋縄ではいかないよ」

 

 脱力した立ち姿、それにシュユは不気味さを覚える。と言うより知っていた。ヤーナムに居た意思を持つエネミーは構えを取る者は居なかった。全員が構えず、脱力して自然体で構えていたのだ。ヒースクリフの言う、ヤーナムの優れた所を取り入れたという発言は強ち嘘ではなさそうだ。

 

 「おいキリト、解ってるよな。これはゲームじゃない、これは――」

 「――解ってる。俺はあの男を――」

 「そうだ。オレ達は目の前に立つ敵を――」

 「「――殺す」」

 

 2人は同時に抜刀し、互いの相手に踊り掛かる。その刃に殺意を滾らせ、皆を解放する為に。

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