「君はどんな狩りを成し遂げた?何を狩り、何を殺し、何を得た?」
「さぁ、どうなんだろうな。少なくとも最悪で、獲物を狩り、友を喪い、強さを得たのは確かだ。後悔なんてしちゃいないけどな」
「それならばこの夢から醒めれば良かったものを。まさか残る道を選ぶとは、酔狂を通り越して狂人の域だろう」
「助けたいヤツが居たからな。伝えたい言葉もあるし、伝えて欲しい言葉もある。それはもう託したし、後はどうにでもなれって感じだな」
「狩人とは思えない発言だ。狩りにも酔わず、血にも酔わないとは驚きだよ。このまま死のうと構わないとでも思っているのか?」
「…どうだろうな。オレには分かんねーよ」
「だが時間はたっぷりある。…君が望むのなら、下界の者も助けられるだろう」
「そうか。随分と親切なんだな、爺さん」
「移植完了、と。…まぁ、そりゃあバグはあるわよね」
「まさか、ナーヴギアのデータを移すなんてね。これでBANされたらどうするの?」
「仕方ないでしょう、悠が…シュユが上級ダンジョンの最奥に居るかも知れないじゃない。そうなると1から育てていく場合じゃないし、正式にALOを始めるならしっかりと育て治すわよ」
詩乃は現実でナーヴギアからメモリーチップを取り出し、ソレをアミュスフィアに挿入したのだ。だが本来この2つの機器は規格が異なり、それ故にデータの読み込み不良によって2人の装備はバグっている。
特に武器が酷く、一応形だけは装備しているが名前は文字化けし、しかも変形したとしてもロクに使えない。【慈悲の刃】は変形すると脆くなり、【シモンの弓剣】は弦が固く弓が引けないのだ。元よりSAOで死んだ際にシュユに譲渡された武器を無理矢理復元している様なもの故に仕方ないとは言え、このザマでは大して使えないだろう。
「飛行はどう?」
「スティック操作は簡単だけど、マニュアルはコツが要るね。でもシノンならやれると思うよ。ボクも掴めてきたし」
「あなたのセンス基準にされるのは困るわ。こういう感覚的なセンスなら、あなたのソレは最高なんだから」
「まぁ感覚派の方が楽だよ。飛行だって肩甲骨をグィッと動かす感じでやればスイーッて飛べるしね」
「……私のペースでやるとするわ。やっぱりあなたの説明じゃ無理ね、私は」
「じゃあボクも。そうだなぁ…2時間後にここで落ち合おう。それで良い?」
「了解、じゃあまたね」
「うん、シノンも頑張ってね」
2人は別々の方向に進み、自分のやり方でALO特有の【飛行】の訓練を開始した。その目的は遊びではない。遊びは今回の目的を達してからであり、今は違う。目的はただ1つ、大切な人を取り戻す為に。
友達をブラボの沼に引きずり込みました。良い宣伝文句だったと思いますよ。
「中世のヨーロッパみたいな街並みで(事実)住人達から手厚い歓迎(殺意MAX)を受けられる。しかも犬(可愛いとは言ってない)とも触れ合える(戦闘)し、都会に飽きたら田舎(墓場or森)にも行けるし王城(廃城)にも行ける、ちょっと難しいけど楽しい(事実)ゲームだ!」