部外者の男 作:うにょんぽつ
気付けばそこは知らない場所だった。
知らない物に知らない部屋。
慌てて外へ出てみればそこには江戸時代のような景色が広がっていた。
空を見上げれば微かに見える宇宙船、元にいた所より遥かに文明は発達していそうなのに和服姿の人に紛れるように獣人がちらほらと。
なんなんだこの街は。
慌てて自分の姿を見ると高級そうな和服を着ていて腰には1つずつ刀がさしてある
何故だ、と首を捻った瞬間、今までの記憶が一気に頭を駆け巡り多すぎる情報量にもうキャパオーバー寸前だ
よし、整理しよう。
俺の名前は太刀川誠斗で年齢は…知らん。
若い頃は腰にさした刀でブイブイ言わせてたらしいが詳細はあまり覚えていない。あまりいい思い出がないらしい。
現在は死んだ親の金で食い繋いでいるらしくそこまで供述すべき点が無い。成程、今の生活を見るに親は結構な金持ちだったらしい。
自分の置かれた状況を整理したところでひとまず街の探検だ。
元々の性格も極まって俺の肌は透けるように真っ白だがたまにはこういう日もいいだろう。
おっと。危ない危ない忘れるところだった。
この時代には廃刀令というものがあるらしいんだった。
腰にさしていた刀を服の裏側に隠し完全に見えなくしてから玄関の戸を開ける
差し込む日差しに目を細めながら自分の家をよく見て覚える。
どうせ帰ってくるための道など忘れているだろうからこうして自分の家を覚えておくのだ。なんて賢いのだろう
自分の頭の上出来具合に冷や汗をかきながら気ままに歩を進める
暫く歩くとやはり腹が減り、小さく腹が抗議の声を上げる
どうした事かと溜息をつきながら視線を彷徨わせるとそこには大きく万事屋という看板が。
「万事屋って確か何でも屋さん的な感じだよな」
これは行くしかないと階段を上りインターホンを鳴らす
が、一向に返事がなく、留守だろうかと引き返そうとした瞬間、ガラガラガラと音を立てながら戸が開いた
「あの、何の用ですか?」
「あ…依頼しに来たんですけど…」
そこまで言うと、眼鏡の少年は思いきり目を剥き、「はい?!」と聞き返される
何かおかしなことでも言っただろうか。
若干不安になりながらも先程と同じ言葉を繰り返すと慌てたように中へ招かれる
案内されたままソファに座っていると眼鏡の少年がお茶を入れてくれた
しかし俺はお茶が大の苦手でで水しか飲む事が出来ない
どうするの誠斗!?ここで飲まなければ純粋な親切心を踏み躙ることになるわ!
お願い誠斗!お茶を飲まないと眼鏡少年だってきっと依頼を受けてくれないわ!
でも大丈夫!今のコンディションは最高だし一回くらいお茶を呑んだってライフはギリ残っている筈。ここを耐えきれば全てが上手くいくんだから!
次回、「城之内死す」。デュエルスタンバイ!
頭の中でかっこよくキメていると動かなくなった俺を見て不審に思ったのか控えめに声を掛けられた
「あ、すいません。ボーッとしちゃいました」
そう言ってニコリと笑うと眼鏡の少年も安心したように微笑まれた
「それでですね依頼っていうのは…」
急に真剣になった俺を見て眼鏡の少年も顔が引き締まる
一拍おいて口を開いた俺に眼鏡の少年は口を引き攣ることになるだろう
「食べ物が買える場所を教えて欲しいんです」