・道化
本作の主人公、悪魔絶対殺すマン(天使、堕天使を殺さないとは言っていない)
・マリティア
道化に力を貸す謎の生き物。
・はぐれ悪魔
一生分の幸運を使い切った。
・桐生藍華
モブ→ヒロイン
桐生藍華は絶望した。ここで死ぬのだと絶望した。
何故ならば目の前の道化には己を助ける理由がないからだ。
更に言えば、この道化は人肉を貪り怪しげな術を用いる化け物を風船をわる様な気軽さで淡々と屠る化け物以上の存在だ。
自分の事なんて眼中にあるわけがない―そう思い込んでほろほろと涙を零す。
はぐれ悪魔、道化、桐生藍華……三人の間に沈黙が広がった。
道化は人声も発さず、ただはぐれ悪魔の荒い呼吸と桐生藍華のすすり泣きが虚しく響く。
十秒後、道化は重い口を開いた。身構えるはぐれ悪魔、目を瞑る桐生藍華。
しかし、道化の答えは両者が予期していたものとは違っていた。
「殺されたくなければ、その娘を放せ。」
言外に早くしろと圧を掛けると、はぐれ悪魔は桐生藍華を突き飛ばして無様に走って行った。桐生藍華が顔面から地面に倒れ込む所を、すかさず道化が抱き留めた。
「……大丈夫か。」
「……あ、ありがとうございます……」
その後桐生藍華は道化によって運び出された。
現在屋根の上を軽やかに駆けている、お姫座抱っこで。
衣装で分かりづらいものの、かなり逞しい肉体の感触にドギマギするものの道化は気が付いていないらしい。歓楽街の入り口に着くと道化は桐生藍華を下ろしてやり、一枚の紙片を差し出した。
「……ここまでは送る。その後、この番号に電話をかけろ。」
「これは一体……?」
「その番号は俺の恩師の連絡先だ、事情を知れば助けてくれる。」
「えっあっ……」
「じゃあな。お互い二度と会わない事を願うぜ。」
おずおずと桐生藍華が紙片を取ると、一方的に情報を与えて踵を返す道化。
慌てて桐生藍華は呼び止める。
「ま、待ってください!」
「………なんだ。」
足を止める道化
「その、助けてくださってありがとうございます……」
「……どういたしまして。」
ぶっきらぼうではあるが、何処か照れ臭そうに桐生藍華の礼を受け取ると道化は跳躍し夜の闇の中にへと消えていった……
捨てる神あれば拾う神あり、己の命を諦めた少女を救ったのは笑わない道化であった。桐生藍華は我ながら女としてチョロいと思わずにはいられないが……道化に対する恐怖は気が付いたら薄れており、少しばかり、ほんの少しばかり………あの道化に恋心を抱いていた。
「二度と会わないって言ったけれど、私は……貴方にもう一度会ってみたい。」
周りが聞けば吊り橋効果だと呆れるだろう。それでも、確かにあの化け物から助けてくれたのは道化であった。見捨ててもおかしくない状況で、道化は桐生藍華の命を優先したのだ。
更に、道化は二度と襲われないようにと気を回してくれた。
これはあの道化の不器用ながらの優しさなのだろう、桐生藍華は暖かくなった心のまま、教わった連絡先に電話をかけた。
道化というのは扱いに程度はあれど観客を笑わせる為にあるものだ。
故にこそ、泣いている者を前に手を伸ばす。
この男は憎悪に狂うも違わず道化であった。
助けるを選んだ結果
・道化と原作主人公の間に亀裂が生じなくなった。
・はぐれ悪魔を逃した為、道化の存在が認知される
・道化の心の柔らかさが少し戻る
・ヒロインが生まれる