幼馴染の好感度が低すぎる件   作:足でされたい

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反撃開始!

「あまやぁ!!!」

 

百合山の応援スタンドから大歓声が降りそそぐ。ゆかりさんの件でどうやら俺は有名人になってしまったみたいだった。その中で俺は聞き逃さなかった。

 

「純一!頑張って!!!」

 

間違いなく静の声だった。俺は声の方に親指をたてた。絶対に打たせないからな。

 

『百合山高校選手の交代をお知らせします』

 

ん?誰だ?

 

『キャッチャーの館山君に変わり畠山君。その畠山君がファーストに入りキャッチャーには小久保君が入ります』

 

「お、ま、た、せ!」

 

タカが知らない間にマスクを被っていた。

 

「やっとか、おせーよほんと」

 

「ビハインドで攻撃重視に出たんだろうな。お前打たれたら北原にあることないこと話すからな」

 

「打たれたのはタカのリードが悪いってことにしとくよ」

 

「んなろ、頼んだぜ!」

 

「おう!」

 

投球練習の時のマウンドの高さと自分の今日の調子を確かめるよう1球1球時間をかけて投げた。大丈夫だ俺はやれる。それだけを信じて先頭の3番の向こうのキャプテンの巨峰を睨みつけた。

 

 

『7回裏ベリーベリー学院の攻撃は3番センター巨峰君』

 

初球のサイン交換が終わる。インローに全力投球。最後に外れてもいいからってジェスチャーがあった。なら遠慮なく行くぜ。

 

第1球を投げた!

 

 

あ、やべ引っかかった!

 

 

「デッドボール!」

 

「さーせん」

 

俺は帽子を取り一礼する。やっちまったぁ、、、力みすぎた。

 

「おいこのバカ!次頼むぞ!」

 

タカからもフォローが入る。

 

「おう!わりぃ!」

 

続く4番にも制球を乱しノースリーとなる。

 

 

おい、どうしたんだよほんとに。いつもはこんな大舞台でも緊張したことなかったのに、、、

 

気付かないうちに冷や汗を流していることに気付いた。どうすればいい?答えを探しても出てこない。とにかく今はタカのミットに投げ込むことを考えなきゃ。

 

第4球のサインはアウトローのストレート。俺が1番投げやすいところだった。とにかく入れろということなんだろう。

 

セットポジションから第4球を投げた!

 

「ボール!フォアボール!!」

 

なんでだ、、、なんでストライクが入らない、、、今まで野球をやってきてこんなこと今までなかったのに、、、

 

「タイム」

 

伝令で薫ちゃんが向かってきているのがわかった。そしてマウンドに輪が出来る。

 

「おいどうしたんだよお前らしくもない」

 

「悪い、、、でもストライクが入らないんだよ、、、」

 

「切り替えて行くしかねーぞ」

 

「あの先輩方いいでしょうか?」

 

薫ちゃんが手を挙げて発言する。

 

「自分純一さんの彼女さんにこういう時の蘇生方法聞いておいたんですけど試してもいいですかね?ちょっと見られるとまずいんで隠してもらえます?」

 

「え、お、おう」

 

タカがこっちを見てきてえ?なにこれみたいな視線を送ってきたが俺にもわからない。

 

「天谷さん失礼します!」

 

マウンドに集まった内野陣はそれを見てポカーンとするしかなかった。

 

スパイクで股間を蹴り上げ終いにはビンタを貰うというコンボを貰ったせいで危うく意識が飛ぶところだった。

 

一同「薫ちゃん!?」

 

「えへへ、どうですか天谷さん?これやると元気出るって聞いて監督に直談判して伝令行かせてもらいました」

 

恥ずかしそうに言う薫ちゃん。いや恥ずかしいの俺だよ?ってかいつのまに静と連絡取ってたんだよ、、、そ、それに嬉しくなんてねーし。

 

「嬉しいかはともかく気合いは入ったよ。もう大丈夫。ほら散った散った!次トリプルプレーやるんだから内野の皆様お願いしますよ?」

 

「お、おう」

 

内野陣は腫れ物を見るような目でこちらを見て退散した。やめてそんな目で見ないで泣いちゃう。

 

「なぁ純一」

 

「んだよタカ」

 

「やったね君はドMの称号を手に入れた」

 

「ドMの力見とけよ」

 

くだらない会話を終えて俺は5番の桜と対峙する。薫ちゃんに助けられるとは思わなかったな。どうやら俺は緊張してたみたいだった。さっきのやりとりで肩の重荷が取れた感じがした。

 

サイン交換が終わり初球はインコースのストライクからボールになるツーシーム。ただでさえ変化量のないツーシームでそれを要求してくるってことは信用してもらったってことでいいよな。

 

第1球を投げた!ボールは狙い通りインコースへ!

 

かきぃ!インコースを無理に引っ張ろうとして打球はサード正面に飛んでいった。

 

「サード!」

 

「セカン!」

 

一同「ファーストォ!!!!」

 

トリプルプレー。土壇場でこれが出来るならまだまだやれる。相手の5番打者は監督に呼ばれ怒られていたそうだった。まぁ普通に考えて制球安定してないピッチャーの初球なんて手出すもんじゃないしな。しかも内側の厳しいとこ。

 

ベンチに戻ると監督がすんごい笑顔だった。待って、絶対何か勘違いしてるよねこの人。

 

「ハラハラさせんなよほんと」

 

「わりぃ、まぁ今は攻撃だよ。誰から?」

 

「お前からだよ!塁でなきゃ殺すかんな!」

 

「そりゃ打たなきゃな」

 

「天谷さんまたあれやりましょうか?」

 

「いらん!」

 

ベンチ内には笑いが起こっていた。

 

『8回表の百合山高校の攻撃は7番ピッチャー天谷君』

 

「先頭頼むぞ!」

 

流石に月村にも疲労の色が見えていた。中継ぎに変わる前に仕留めないと。

 

第1球を投げた!

 

「ボール!」

 

ストライクからボールになるスプリットを見送って0-1となる。

 

「見えてる見えてる!」

 

ごめんなさい手が出ませんでした。下手な読み合いとかするのはやめた。ストレート1本に絞る!

 

第2球を投げた!

 

「ボール2!」

 

外へのスライダーが外れてバッティングカウントとなる。

 

次の球で絶対に打つ。

 

「天谷さん打てますよー!」

 

ベンチの薫ちゃんからも声がかかる。

 

第3球を投げた!

 

きた!インコースへのストレート!

 

 

カキーン!!

 

 

打球はショートの頭を超え左右間を真っ二つに割るツーベースとなった。

 

「っしゃぁ!!」

 

「ナイバッチ天谷!!!」

 

『8番野間君に変わりまして代打中村君』

 

監督も勝負に出たようだった。

 

中村さんは3年生で代打だけなら打率6割を超えている百合山高校の切り札でもある。

 

「タイム!ピッチャー金本!」

 

出てきたか。ベリーベリー学院の中継ぎエース金本俊。防御率は0.78と低く緩急を使ったピッチングをする投手だ。

 

「中村さんお願いします!!!」

 

「タイムリータイムリー中村!タイムリータイムリー中村!」

 

ベンチ、アルプスから大歓声が飛んでいた。

 

勝負はすぐに決まった。

 

カキーン!!

 

中村さんは金本が投げた初球のチェンジアップに完璧に合わせレフトスタンドへと叩き込んだ。

 

「っしゃーー!!!」

 

塁上で俺も自然とガッツポーズが出た。

 

 

これで2-4。まだまだ逆転出来る点差だ。

 

「中村さんナイバッチです!チェンジアップよんでたんですか?」

 

「投手交代の初球は7割がチェンジアップから入ってたから山はらせてもらったよ。まぁホームランは出来すぎだけどな」

 

ほんとにこの人の勝負強さは頼りになると思った純一だった。

 

カキーン!!

 

「きゃあーーー!!!!」

 

 

「よっしゃーーー!!!」

 

え?なにこの歓声?

 

中村さんと話している間に続く畠山さんがこれまたチェンジアップをレフトスタンドに叩き込んだのだった。

 

「ええぇ!!!すげぇマジで!防御率0点台から2者連続はやべぇ!!」

 

ベンチのボルテージは最高潮だった。事前の研究があったから打てたと畠山さんは言っていた。やっぱり下調べは大事なんだなって。

 

 

続く鳥谷さんにはチェンジアップが1球も来なかった。どうやらチェンジアップ狙いがバレたようだ。まぁ流石に2者連続ドンピシャじゃね。

 

1.2.3番は完全に配球が読めず三者凡退。流石防御率0点台。すぐに立て直して来るあたりいい投手だなと思った。

 

「天谷!点とった後の守備大事だからな!頼んだぞ!」

 

「はい!」

 

俺は8回裏のマウンドへと向かった。




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