鋼鉄の少女達は世界にどう接する?   作:弓風

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18:新たな影

 作戦が終了して少しの間だけだが、艦娘達には一時的な休暇が与えられた。

 今まで常に張っていた緊張が解れ、他人と会話する者、どんちゃん騒ぎをする者、ゆっくり体を休める者など、それぞれが休暇を満喫していた。

 ───表向きは休暇。

 しかしそれはある思惑を隠しているだけで、裏では全く別の出来事が進んでいた。

 

 

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 

 

 執務室には椅子に座っている(幌筵)提督と、部屋の中央で綺麗な姿勢で立っている秘書艦の古鷹の姿があった。

 

(幌筵)提督 「うーん・・・突如撤退した深海悽艦、か。」

 

 (幌筵)提督は手に持った報告書を見ながらそう言う。

 

古鷹 「一応コマンドルスキー島の方の深海悽艦は撤退したと思われますが、キスカ島の方に至っては・・・」

(幌筵)提督 「大丈夫だ、分かっている───壊滅、だろ?」

 

 報告書を見る前から知っていたと言わんばかりに(幌筵)提督は答える。

 二人はお互いに難しい顔をしている中、古鷹が口を開き続けた。

 

古鷹 「その通りです。キス島に停泊していたであろう深海悽艦は、発見された残骸の数から推定して最低でも六百隻以上と思われます。」

(幌筵)提督 「たがそれは水面に出ている残骸から算出された数だろう?沈んだものも含めると、四桁は下らないだろうな。」

 

 (幌筵)提督は報告書から目を離して古鷹に向き直り、そしてこの事態の問題点について話し始める。

 

(幌筵)提督 「しかし問題は一体、誰が、どうやって、深海悽艦にこれ程の被害を与えたのか?だ。」

 

 その問いに古鷹は顎に手を触れて思考して考えた。

 

古鷹 「残骸の中には戦艦や空母などの主力艦艇も含まれています。ですから、どうやったかは私では見当もつきません。」

(幌筵)提督 「だろうな。それにこれ程の規模になると、我々の全戦力を持ってしても一度では不可能だな。そこでちょっと古鷹に聞きたいのだが、当時あの二人はどうしてた?」

 

 古鷹の目を(幌筵)提督が鋭く見つめる。

 

古鷹 「当時は出撃を除けば、この泊地にずっと居たそうです。他の艦娘の目撃もありますし、工廠から艤装が出された形跡もありませんから、おそらく白かと。」

 

 最初に雨風と神弓が疑われるのは仕方ない。

 何せ通常艦艇だけでは到底なし得ない状況であるからだ。

 

(幌筵)提督 「ふむ、わかった。とりあえず一旦下がってくれ。」

古鷹 「わかりました。ですが提督、あまり抱え込まないでくださいね。失礼しました。」

 

 ドアの前で一礼して、古鷹が退出する。

 古鷹が退出した後、(幌筵)提督は手に持っていた報告書を机に置き、また何か考えるように視線を上に向ける。

 

(幌筵)提督 「この件があの二人が原因でないとすると、一体なんだ?時系列を見るに僅か一夜で起こっている。とてもじゃないが我々の艦隊ではどうやっても不可能。それも航空機が使えない深夜、もし一方的に攻撃出来ると考えても一夜ではあの数は無理だが。」

 

 (幌筵)提督は少しの間思考し続けると、少し前に初めて知ったある単語が思い浮かんだ。

 ───超兵器。

 前の会議で報告された新たな勢力であり、唯一確認された艦は、単艦で複数の艦隊を相手できる圧倒的な性能を持った艦らしいと報告された。

 前の会議で80ktの速度には度肝を抜かれたばっかりだった。

 あの二人以外で、深海悽艦を壊滅させるのが可能な艦はそれしか考えられなかった。

 しかし決定的な証拠が存在しない今、あくまでも予想でしかない。

 なんとか証拠がないかと(幌筵)提督が精一杯頭を働かせている中、執務室のドアがコンコンと叩かれた。

 その音を聞いて、一旦思考を停止させた。

 

(幌筵)提督 「入れ。」

 

 (幌筵)提督がそう叫ぶと、ドアが開いて先ほど出ていった古鷹が入って来た。

 

(幌筵)提督 「古鷹じゃないか。どうした?」

古鷹 「えっと、ちょっと見せたい物が見つかりまして。」

(幌筵)提督 「見せたい物?」

古鷹 「これなんだけど・・・」

 

 そう言って古鷹は、手に持っていた封筒を提督の机に置く。

 

(幌筵)提督 「これは?」

 

 封筒を受け取った(幌筵)提督は、封筒の封を破りひっくり返して中身を取り出す。

 封筒から流れ落ちるように写真が何枚か出てきた。

 そして封筒から出てきた写真に写っているものを何気なく見る。

 すると突然、(幌筵)提督の顔が険しくなる。

 (幌筵)提督は一通り写真を見終わってから、真剣な視線を古鷹に戻す。

 

(幌筵)提督 「すまないが、今すぐ雨風と神弓をここに呼んでくれ。」

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