それは日中の潜水艦狩りの最中に起こった。
海中を揺さぶり、海面に立ち上る青い数本の水柱。
数回の爆雷が起爆後、水面に潜水艦の残骸が広がる様を見渡す一人の艦娘。
漣 「イエーイ、神弓さん!漣が潜水艦を撃沈しましたよー!」
駆逐艦漣が拳を握り、手を高く上げながら無線で神弓に報告する。
神弓 「漣さん。撃沈了解しました。」
漣 「おやおや?神弓さんもそんな冷静に言わず、漣の事をもっと褒めて良いんですぞ!」
神弓 「えーえっと、漣さんはそのまま頑張って下さい?」
潜水艦を撃沈して有頂天になった漣の扱いに困っていた時、ある事実に神弓の表情が急変する。
神弓 「えっ?水上レーダーに感あり!なんで今まで探知できなか───」
艦隊から目視可能な至近距離に敵艦が存在するというレーダーの反応に、焦ってその方角である右側面の海を見渡す。
そして海上に浮かぶ深海棲艦に神弓は驚愕した。
神弓 「せっ潜水艦!?」
水面の上にポツンと一隻だけ浮かぶ黒い影。
長髪の垂れ下がったその影の正体は、敵の潜水カ級であった。
サイレントキラーの名を持つ潜水艦が、敵船団の目と鼻の先に突如浮上するという決してあり得ない行動に神弓は動揺する。
と、同時に通常では絶対しないであろう行動が強烈な不安感を引き立てる。
神弓 「・・・嫌な予感がする。射撃統制レーダー起動!四時の方向、主砲照準。」
潜水艦を真っ先に沈める判断をした神弓は、潜水艦に気付いてない他の艦に命令を与えるタイムラグすらも勿体無いと考え、自身が砲撃準備を行う。
潜水艦へ砲塔を動かし、砲身の仰角を上げる
神弓 「主砲発砲。」
神弓の主砲が火を吹いた瞬間、レーダー及びシステムが潜水カ級からの電波を受信する。
数秒後、潜水カ級に砲弾が命中。
爆発と共に黒煙が撒き散らされた潜水艦は、自らの意思に反して海中へ没した。
瑞鶴 「「ちょ!ちょっと神弓、何が起きたのよ!」」
艦隊右側面に展開していた瑞鶴は、艦隊中央からの砲撃&近くの炸裂音に驚き、慌てて神弓へ無線を飛ばしてくる。
しかし砲撃した本人である神弓は返答する暇はなかった。
潜水カ級の発した電波が何なのか解析する事に力を費やす。
ディスプレイで電波を解析するよう指示を与えた数分後、電波の正体が判明。
電波の正体は電信であった。
そして中身については送信速度を優先したのか、暗号ではなく平文であり、システムが即座に解読文をディスプレイに表示する。
表示された文に目を通した神弓は落胆する。
神弓 「しまったぁ・・・もう少し早く撃破出来ていれば・・・」
神弓は、あと一歩が撃破が遅かったに拳を握り締め無念に感じた。
カ級の発信した平文は被弾により途中で切れていたものの、艦隊の位置座標ははっきりと送信されてしまっていた。
これで深海棲艦側に艦隊の正確な位置を知られた事が確定する。
この出来事は神弓にとって、友軍の利の為に命を捨てれる者の厄介さを身を持って実感させられた内容となった。
艦隊の位置が敵に知らされて約一時間程。
神弓の持つレーダーが接近する敵の大編隊を二つ、それぞれ別の方向から捕捉する。
敵編隊の速度から到着予想時間を推定し、回避可能か予測した結果。
神弓 「私達だけなら逃げられるけど、やっぱり輸送船が居ると無理。」
元帥閣下や艦娘の補給を備えた低速の輸送船が艦隊全体の足枷となり、空襲圏外から即時に脱出が不可能と判断した。
発覚した事実に対し、神弓は無線を全艦共通周波数へ繋ぐ。
神弓 「全艦に通達。九時の方向及び十一時の方向からそれぞれ敵大規模攻撃隊が接近中。到着予想時間はおよそ九〇分。総員、対空戦闘用意始め!」
通達直後、二隻の輸送船から空襲警報が荒々しく鳴り響き、艦内にいた艦娘達は大急ぎで輸送船から海面に降り立つ。
一方輸送船の乗組員は、艦首や艦尾に搭載された自衛用の機関砲に配置する。
まず最初に神弓が指示した行動は迎撃機の出撃だった。
一航戦や二航戦から幾つかの新型戦闘機と多数の零戦五二型が発艦。
大きなエンジン音を轟かせながら二編隊に別れ、それぞれ九時、十一時の目標へ飛行する。
雨風 「神弓。」
神弓の後方から、輸送船内で待機していた雨風が声を掛ける。
すると神弓が雨風に対して指示を送る。
神弓 「雨風、砲撃の用意を。」
雨風 「分かった。」
砲撃の意味を察した雨風は主砲の装填に入る。
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時々雲が覆い被さる空を迎撃隊は飛び、零式艦上戦闘機五二型の栄二一型は快調に唸りを上げる。
零戦妖精はおよそ三十機程度の迎撃隊に組み込まれ、深海棲艦の攻撃隊迎撃へ向かう。
零戦妖精は周囲の警戒をしながらも、まだ珍しい隣の機体に目を奪われる。
この迎撃隊は基本的に零戦五二型で構成されていたが、中には零戦より一回り大きな機体も紛れていた。
その名も試作烈風。
紫電改二とは違う、零戦の正式な後継機である艦上戦闘機───の試作型である。
出力のある誉ニニ型を装備し、武装は二挺の7.7mmの機銃を三式13.2mm機銃に変更し火力が向上。
そして零戦の弱点であった急降下耐性が大きく強化された高性能機体だ。
しかし現時点で生産数は少なく、主力を交代するのはまだ不可能だった。
神弓 「「第一迎撃隊に連絡。敵編隊は高度三千を飛行中。針路そのまま、高度五千まで上昇。」」
神弓から行動の指示が無線機越しに届く。
零戦の無線機は桁違いの大出力で送られる電波により、普段に比べて良好に受信される。
指示を聞いた零戦妖精は操縦桿を引き機首を上げ、他の機体も指示された高度まで昇る。
神弓 「「敵編隊接触まで残り五分。一時方向下方に確認できるはずです。」」
神弓が遠距離からレーダーに送られてくる位置情報を元に適切な誘導を指示する。
この時神弓は、擬似的なAWACS(早期警戒管制機)としての役割も担っていた。
やがて深海棲艦機の群れを発見した迎撃隊は、道中の雲を利用して降下しつつ後方から襲い掛かる。
降下途中の雲で窓が白く染められ視界を完全に失うが、計器と経験を頼りにそのまま降下。
雲から飛び出た時には、既に深海棲艦機が射撃しやすい距離にいた。
隊長機 「「突レ、突レ、突レ。」」
隊長機から攻撃開始の電文が発せられ、各機がそれぞれの目標に突撃する。
その間の敵編隊は、雲を使った奇襲により今やっと迎撃隊に気付き回避行動を起こしたが、既に遅かった。
先頭を行く試作烈風の両翼から閃光が飛び出し、目の前の敵機が火を吹き出ながら墜落する。
それを見た零戦妖精も負けじと敵機に照準を合わせ、翼内の20mm機銃の引き金を引く。
撃ち出された20mm弾が数発命中し、敵機内部で炸裂。
破片を撒き散らしながら墜落していく。
続いて零戦妖精は、爆弾を大事そうに抱える爆撃機に目標を決める。
上方から下方へ、下方か上方へ敵攻撃隊を通り抜ける毎に一機づつ落としていく。
ここで零戦妖精はキャノビー越しに、敵戦闘機により友軍が撃墜されていく様を認識した。
敵機は全種類合わせ百機を超える。
とても迎撃隊の三十機だけでは阻止は厳しいと言えるだろう。
空戦からどんどん離れていく敵攻撃機を前に、零戦妖精は悔しさを滲ませながら一番近くの敵機に狙いを定めた。
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神弓 「敵攻撃隊。数を減らしつつも艦隊に接近中。雨風、砲撃用意。」
そう指示する神弓の前方25m先に雨風が陣取り、二人の艤装には一本のコードが繋がっていた。
神弓 「諸元入力完了。砲塔旋回五度、主砲仰角十四度。」
神弓の言葉に呼応するように雨風の61m砲が指示された角度に合わせてゆっくり旋回する。
雨風 「装填完了。」
神弓 「発射五秒前、四、三、二、一、主砲発砲。」
61cm砲から巨大な火焔をほとばしる。
圧倒的な口径を持つ主砲は、発射時の衝撃で大気を大きく揺らし、距離のある護衛目標の輸送船すらも鈍く振動させた。
従来と比較にならないの主砲の砲撃を初めて目の当たりにした艦娘や船員は、反射的に萎縮する。
神弓 「目標到達まで残り五四秒。」
淡々と手順通りに進める神弓は、飛翔する砲弾をレーダーで監視する。
そして砲身の先から白煙が漏れきる前に砲弾の再装填が完了した。
神弓 「第二射用意。主砲発砲。」
再び先程と同様の爆発が発生した。
雨風 「主砲装填中。」
現在二人が何をしているかと言われると、前の艦隊演習で行った対空砲撃である。
だが正直な所、演習より遥かに彼方の敵攻撃隊を砲撃するのは雨風にとって困難と言えた。
雨風は元々対空射撃が苦手である。
攻撃を受けない前提で設計された神弓と違い、被弾を前提にされた雨風は高度な機器の破損を恐れ、比較的枯れた技術を使用しているからだ。
しかし今、雨風は神弓と有線ケーブルにより、神弓の持つ多数のレーダーと高度なシステムの演算能力でその弱点は打ち消された。
コードの範囲である30m以内しか使用出来ない弱点はあるが、二人の持つ強力なカードの一つであった。
神弓 「目標間もなく。だんちゃーく、今!」
レーダーが捉えていた砲弾の反応が敵編隊の傍で喪失する。
すると編隊の反応も少し小さく変化したとレーダーが表示する。
神弓 「恐らく目標付近に命中を確認。そのまま砲撃を継続。」
雨風の装填完了の単語を発する事に巨大な爆煙が立ち上る。
発射する事に派手な煙やら砲声が轟くものの、敵編隊にダメージを与えられたのは初撃のみだった。
二発目以降は敵攻撃隊が速度と高度、針路共にばらつきが生まれ神弓の予測から大きく離れたからだ。
いくら神弓のレーダーとシステムが高性能だとしても、終末誘導可能なミサイルと着弾まで無誘導で時間の掛かる砲弾とは勝手が異なる。
もう何回か砲撃したのち、ほぼ同時刻に到達する予想の敵編隊に対応する為、接続を解除し雨風は十一時の方向へ友軍と共に移動を始める。
神弓 「全空母から直援機の発艦を始めてください。」
全空母から航続距離は短い反面、高性能な紫電改二を直援として発艦させ敵攻撃隊の迎撃に当たらせた。
直援機と敵攻撃隊が再び交戦を始め、交戦に巻き込まれなかった攻撃機が艦隊へ全速力で突撃を敢行。
そして九時の方向の敵機に対応する為、秋月を旗艦とした艦隊が展開する。
秋月 「防空駆逐艦、秋月。師匠に鍛えられた腕前、発揮致します!」
やる気充分の秋月は、海上から上空に写る黒い点に長10cm連装砲を意気揚々と向けた。
照月 「秋月姉。神弓さんが師匠って呼ばないでって言っていたじゃん・・・まぁ秋月姉だしやっぱり仕方ないよね。」
訓練した成果を発揮出来ると期待する秋月と、一方隣で半分諦めを浮かべる照月。
同じ艦隊に所属する他の艦娘が二人の光景に笑みを浮かべ、緊張感が少し弛む。
だが直ぐに全員が真剣な様相を変化し大空を見上げる。
神弓 「「各艦、有効射程範囲に入り次第攻撃開始。」」
神弓の指示を聞いた秋月は、砲身角度の微調整をして所属艦に合図を送った。
秋月 「皆さん。対空砲火開始です!」
秋月自慢の長10cm連装砲が四秒毎に砲弾を発射。
砲弾は敵機に向けて飛翔する。
照月 「対空砲火!長10cm砲ちゃん、ガンガン撃っちゃって!」
漣 「さぁ、めちゃくちゃ叩き落としてあげますよー!!」
レーベ 「Feuer(撃て)!」
リベッチオ 「リベちゃんも頑張っちゃうよ!」
秋月管轄の照月、漣、レーベやリベッチオを含めた他の艦娘達も対空砲火を開始する。
水上から放たれる砲弾の数に比例して、空へ断続的に表れる黒煙もその量を増大させる。
対空砲火は面制圧で敵機を落とす方法だが、今までの戦いに比べ今回は一定面積辺りの炸裂数が多い。
敵が輸送船しか狙っていない挙動を見せているのもある反面、これは敵機に対して精密かつ濃密な弾幕を生成出来る様になった事を示唆している。
一機、二機、三機と順々に撃墜し、撃墜出来ぬとも損傷を与え爆弾や魚雷を投棄させ続けた。
しかし空とは広大で、たとえ一編隊を全てを撃破できたとても別の編隊が防空網を突破する。
秋月 「うぐぐぐ、やっぱり全部は流石に・・・師匠!逃した敵機をお願いします!」
神弓 「「はい。任せて下さい!」」
秋月達の防空網を抜けられた後に残るのは、空母と輸送船を守る最後の砦の神弓ただ一艦。
輸送船に近づく深海棲艦機達はたかが一艦程度と侮っていた。
容易に対空砲火を掻い潜り、目標の輸送船に攻撃出来ると。
しかしそれは神弓の圧倒的な性能の差を知らない不幸がもたらした考えだった。
神弓 「CIWS、自動迎撃モード。」
上空の爆撃隊に六連装ガトリング砲から毎秒八十発の35mm砲弾が独特の発射音と一緒にバラ撒かれる。
発射された弾はまるで一本の縄のように伸び続け、敵機を絡めとり撃墜していく。
一方海面付近まで降下した雷撃隊は、一発一機撃墜という高精度の127mm速射砲の餌食となっていた。
この出来事を確認した他の敵機は動揺する行動が見られ、咄嗟に攻撃目標を輸送船から周囲の護衛艦隊に変更した。
敵機それぞれの新たな目標に向け転針し攻撃態勢に移行する。
神弓 「RAM発射。」
護衛艦隊へ脅威度が高い目標に限り、RAMで迎撃を開始した。
これは他の艦の被害を抑えつつ貴重な対空ミサイルの消費を抑える事の出来る方法だった。
航空攻撃を受けておよそ一時間後、敵機が全機撤退していく。
深海棲艦の攻撃により艦隊の被害は一部の艦娘が被弾により若干損傷する。
しかし代わりに多数の敵機に大きな被害を与える事が出来た快挙であった。
しかし神弓には喜ぶ暇はなかった。
深海棲艦の機動部隊がレーダーに第一次攻撃隊が帰還する前に第二次攻撃隊を発艦させていたからだ。
本来は第一次攻撃隊が帰還し、無事だった機体と予備機を合わせて第二次攻撃を行う。
しかし攻撃間隔を短くする為、おそらく予備機も全ての発艦させたと神弓は想定した。
深海棲艦側から意地でも敵を沈めやると気概を感じた神弓は、第二次攻撃隊用の防御網を突貫で構築し直す。
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そして日が沈みかけの日没になった時、輸送船には傷一つ付いていなかった。
艦隊は無事三度の航空攻撃を乗り越え、逆に無数の敵機を撃墜した事で敵航空戦力を大幅に減少させ壊滅に追い込む事が出来た。
艦載機が居なければ空母はただの鉄屑同然である。
今日の航空攻撃が終了したと判断した神弓は、全艦共通周波数で指示を届ける。
神弓 「総員、対空戦闘用具納め。皆さんはこれから交代で休憩を行って下さい。そして今から一日間だけ代理指揮権を雨風に委譲します。」
神弓はある計画に沿って雨風に指揮権を委譲したのち、艦隊から離脱した神弓は道中の深海棲艦をレーダーで避け、最大速力で南下を続けた。
2000kmの距離を約90ktの速力で駆け抜け、僅か半日でマダガスカル島北端の沿岸部に到着する。
そして神弓はこの為に温存した搭載機の発艦準備へ移る。
マダガスカル島泊地攻撃には特殊弾頭ミサイルは使用しない。
これが提督の考えた末の結論であった。
核を使う事が怖くなったのか?それとも核による費用対効果が薄いと考えたのか?はたまた放射線汚染を考慮したのか?
それは提督自身しか知らない。
神弓 「ハリアーⅡ、ハウニブーⅢ発艦。」
神弓の展開した甲板から二機が発艦、深海棲艦のマダガスカル泊地を目指す。
二機は足並みを揃えつつ、山肌に沿う感じに低空飛行で接近する。
何度も山を越え、最後に泊地に最も近い山を越えた先には戦艦タ級や駆逐ハ級等の三十隻位の艦達に加え、攻撃目標の装甲空母姫の姿を視認した。
二機はそのまま装甲空母姫へ迷わず進む。
泊地にいた深海棲艦は後方からの想定外の襲撃に大混乱となり、咄嗟に対空放火を開始。
しかし統制されない精度の悪い攻撃は当たるはずもなく、ハリアーⅡは装甲空母姫の飛行甲板に57mm機関砲を放つ。
対装甲用に装填されたタングステン製焼夷徹甲弾は驚異的な貫通力を誇り、装甲空母姫の甲板装甲すらも貫く。
次に後続のハウニブーⅢも小型荷電粒子砲を発射。
圧倒的な熱量で装甲を溶解させ穴を空ける。
深海棲艦側も何とか対空放火で対応しようにも、一撃離脱の波状攻撃を行うハリアーⅡには射撃が追い付かず、ハウニブーⅢは上下左右前後というとんでもない機動で軌道の予測が困難であった。
この時、残念ながら装甲空母姫側には対抗手段が存在せず一方的に狩られるだけだった。
装甲空母姫の飛行甲板に大量の穴が空けられた頃、ハウニブーⅢの一発の荷電粒子が偶然機体燃料保管区画に命中。
片側の飛行甲板内から燃料に引火、内部を砕き甲板を引き裂く。
この事を理解したハリアー妖精も、残った片方の飛行甲板に左右対称の位置へ徹甲弾を撃ち抜く。
すると先程と同様な引火爆発が発生し装甲空母姫の甲板が黒煙に包まれる。
でもたった二機では中破辺りまで持ち込んだとしても、撃破までは不可能であった。
だが今回の目的は装甲空母姫の無力化である。
装甲空母姫の無力化に成功したと判断したハリアー妖精は、ハウニブーⅢと共に母艦へ帰路につく。
北へ逃走を図る二機に対して、装甲空母姫の護衛艦達は恨めしそうな視線を送るだけしか出来なかった。
神弓は二機を収容した後、合流地点のスコトラ島を目指す。
夜間の間航行し続け泊地攻撃から無事帰還し、航行中にレーダーで集めた深海棲艦に関する情報を整理する。
スコトラ島からスリランカ島に敵航空戦力壊滅等の情報を送る。
そしてスコトラ島に通信用と帰路確保用に駐留させた輸送船一隻と随伴艦を除き、艦隊は欧州に向けアデン湾から紅海へ突入を敢行した。