空から日光が降り注ぎ、ちょっと暑いかなと思っている時、磯の香りと共に海から涼しい海風が吹き付け、心地よい温度を保つ。
そんな桟橋で、雨風と神弓は合流予定の艦娘を待っていた。
すると、神弓が何かに気づいて視線を向ける。
神弓「あれじゃない?」
雨風「···みたい。」
二人の見る先には、水上を航行する四人の艦娘がおり、近づいて来る。
二人は桟橋から降りて水面に着地する···着地?着水?
そしてお互い正面に立ち、大淀から会話を始める。
大淀「貴方達が雨風さんと神弓さんですね。私、軽巡洋艦の大淀と申します。」
霧島「金剛型巡洋戦艦四番艦の霧島です。お二人のデータ、しっかり取らせていただきます。」
瑞鶴「翔鶴型航空母艦、二番艦の瑞鶴よ。今日はよろしくね。」
神通「軽巡洋艦、神通です。よろしくお願いします。」
霧島は眼鏡を付け、上に巫女服風の服に藍色のミニスカートを履いており、Xの形をしたアームの先に四つの連装砲が搭載している艤装である。
瑞鶴は黒髪ツインテールに、ミニ袴になった巫女服、肩と背中に長い板と矢筒を付けて手に弓を持っていた。
神通は、ロングの茶髪と後頭部にリボンを付け、セーラー服の腰の辺りに魚雷発射管を付けている。
雨風「私は雨風型戦艦、雨風。よろしく。」
神弓「神弓型護衛艦一番艦の神弓です。今日一日お願いします。」
雨風、神弓が挨拶を終え、大淀は全員の人数を数える。
そして全員居ると確認を終えて、命令を発した。
大淀「では、全艦揃ったようなので沖に出ましょうか。全艦、前進半速。」
神弓「え、前進半速?」
その命令に神弓は僅に困惑する。
瑞鶴「どうかした?」
神弓「いえ、何でもありません!」
神弓はそう返事をする時、チラッと雨風に視線を向ける。
雨風は特に変わった様子は見せない。
神弓は雨風の様子を見て、多分問題ないと判断して出発する。
そして沖へ向かっている途中、神通が最初にある事に気づく。
それは雨風と神弓が周囲に比べ、かなり頻繁に速度調整をしていると。
神通 (まぁ艦娘になったばかりだから、しかないですね。)
神通は同じく艦娘になったばかりの頃に、全く同じ出来事を経験していた為、よくある事だと考えた。
しばらくして他の艦娘も次々気づくが、皆同じように気にしなかった。
外洋に出てから、大淀はまた別の命令を与える。
大淀「それでは皆さん、しばらくは雨風さんの速度に合わせて走りましょう。」
雨風「私?大丈夫?」
瑞鶴「大丈夫よ少々、気にしないで。」
余裕を持った表情を瑞鶴はする。
大きな艤装から戦艦とは分かっていたので、規模から見ても20kt弱、速くても金剛型巡洋戦艦の30ktには及ばないと予測していた。
しかし、それは間違いだったと気付かされる事になった。
雨風「わかった···辛くなったら、言って。───第一戦速。」
最初は皆が雨風の言葉を冗談と受け取っていたが、雨風が速度を上げたら、皆の表情が変わる。
周囲は雨風の予想以上の加速に慌てて追いかけるが、第一戦速で17.8kt。
そこからさらに増速する第二戦速で35.7kt、これで霧島と瑞鶴が脱落して、大淀と神通が最大戦速で走っていた。
雨風はさらに自身の最高である53.5ktで走る。
雨風「風···気持ちいい。」
神弓「そうだね。でも、私はもっと出せるけど。」
雨風「それは、神弓が速すぎるだけ·····」
すると、かなり後ろから大淀の叫びが聞こえた。
大淀「あの!ちょっと待ってくださいッ!!」
雨風と神弓は、ここで他の艦娘がいなくなったのに初めて気づき、後ろを振り返る。
そこには、遠くで息切れしている大淀達の姿が。
二人は傍まで移動する。
雨風「だから、言ったのに····」
瑞鶴「速、すぎ··るわよ!!」
瑞鶴は、さっきの余裕は何処へ吹き飛び、疲れ果てた。
霧島「一体そんな速度を出せるって···どんな機関を積んでいるのですか?」
雨風「核融合炉Ⅳ。」
霧島の質問に対して核融合炉という答えが帰ってくる。
それを聞いた霧島は?を浮かべる。
霧島「雨風さん。その、核融合炉Ⅳ····でしたっけ?初めて聞いた名ですね。どんな構造をしてるのですか?」
雨風は少しだけ考えると、一部だけを抜擢した説明をする。
雨風「海水を燃料にして動く機関を改良した最新型。」
霧島が目を見開いて驚愕し、今までの疲れたを忘れたように雨風に近づいていく。
霧島「えっ!海水を燃料に!それって雨風さんにとって、周りに燃料があると?」
雨風「そう。」
霧島だけではなく、周りにいる艦娘も驚いて雨風を凝視する。
瑞鶴「··· あんた、ほんとどんな艦なの···?」
瑞鶴が驚きと呆れた組み合わせた顔をして話した。
雨風 「戦艦····?」
瑞鶴 「いや、違う。そうじゃなくて。」
霧島が雨風と瑞鶴の間に割り込んで、雨風に質問する。
霧島「あの、雨風さん。海水を燃料にするためにどんなやり方をしているのですか?」
雨風「プロセスは凄い複雑、だから貴方達では理解は難しい···運用は出来ない。」
霧島「そっ、そうですか。」
霧島は明らかに落胆した様子を見せる。
霧島が落胆した理由はシンプルで、鎮守府にとって燃料を含む資源は貴重な物だ。
海水を燃料代わりに出来た場合、移動だけ限れば核融合炉が壊れない限りほぼ永久的に移動が可能。
更に燃料の輸送をスペースを他の資源に切り替えれる。
霧島が落胆している時、大淀は別の事が気になった。
大淀 「雨風さん。核融合炉の出力は一基でどの程度です?」
ここで雨風は考える素振りを見せる。
それはここで機関の性能を話していいかと悩む。
しかし最終的には話そうと決めた。
話そうとした理由は、まずこの世界では実現不可能と判断した為である。
もしかしたら妖精さんによって作られる可能性はあるが、見た感じ艦娘の装備がかなり旧式ばかりであり、核融合炉が作れる程の技術力がないと思ったからだ。
雨風 「最新型の核融合炉Ⅳの出力は32000。」
大淀 「なっ!32000ですか!?」
大淀達の使うロ号艦本式缶(ボイラー)の出力は、およそ12000~15000の出力で雨風の搭載している核融合炉の半分以下の出力しかない(実際に合ってるかはお任せします。)
瑞鶴 「え!そんなものを何基積んでいるのよ!」
雨風 「核融合炉十二基とタービン٤型四基。およそ合わせて100万馬力。」
周りの艦娘達はその数字に戦慄した。
────まるで鳩が豆鉄砲を食らったように····
雨風の言った数字は文字通り桁違いだった。
本来であれば、一艦が持って良い出力ではない。
その時、大淀がハッと我に帰り、神弓の方を向く。
大淀「えっと、神弓さんは?」
恐れながら大淀は側にいる神弓に聞く。
神弓「私ですか?私は同じ核融合炉Ⅳ三基で二基の小型タービン٤型で161,280馬力です。」
瑞鶴「なんで貴方は貴方で大和型並みの出力があるのよ!」
霧島「なるほど、戦艦並みの出力に軽い船体ですから、道理であの加速性能と速度性能があるわけですね。」
もはや一周回って吹っ切れるレベルに達したお陰で冷静になった瑞鶴は神弓にツッコミ、霧島は分析を始めていた。
一方その頃、横須賀鎮守府の執務室では、無線機片手に頭を抱える提督の姿が。
武蔵「提督。これは···どういう事だ?」
提督「私に聞かないでよ武蔵····取り敢えずこう言ってるけど、普通に信じれないよね。」
と、提督達は部屋で、大淀·霧島と秘匿無線を繋いで話を盗み聞きをしていた。
ちなみに執務室には、大和や武蔵に長門や陸奥、赤城加賀と秘書艦の瑞鳳などが居る。
加賀「嘘の可能性はないのかしら?」
長門「加賀、諦めろ。実際にその性能を見せているからな。」
加賀 「そうだったわね。私達は見ていないけど。」
提督「それじゃあ次に、兵装を聞いてくれる?」
提督はマイクで霧島へ伝える。
無線機のスピーカー越しに会話が流れる。
霧島「あのぉー、それだけの機関を積んでいるなら、兵装もきっと凄いと思うのですが?」
雨風「私はいろんな最新型が乗ってる艦、色々ある。主砲や対空パルスレーザー、ミサイルなどがある。 」
レーザーやミサイルなど聞き慣れない単語が出てくる。
武蔵「なっ、なぁ提督よ···いくつか理解出来ない物もあるのだが····」
武蔵は単語について困惑する。
それは他の艦娘もそうだった。
彼女達には全く持って聞き覚えのない兵器であったらだ。
提督「皆が知りたいのはミサイルとレーザーよね?」
武蔵「あぁそうだ。そのミサイルとレーザーとやらはなんだ?」
大和や赤城達も武蔵と同じような疑問を思い浮かべていた。
その疑問に対して提督が簡単に説明してくれた。
提督「いい?まずミサイルって言うのは長射程の誘導式噴進弾に近い。それでレーザーって言うのは工業加工とか使われるもので、わかりやすく言うとすごく強い光の事はなんだけど、レーザーって光の速さで飛ぶから避けれないのよ。でもそれには高い出力が必要だし、曇や霧が掛かると威力がかなり減衰するけど、多分雨風は問題ないわよ。雨風の桁違いの出力はそれを補うためじゃない?」
長門「ふむ?それはつまり航空機はほぼ無効になるって事か?」
提督 「多分そうじゃないかしら。」
提督の説明に長門の疑問を、概ね予想通りの返答が帰ってきた。
赤城「えっ?その性能なら、私たち空母の出番は───」
提督「え?いやいや大丈夫だって安心してっ!!だから泣きそうならないでお願いだからっ!!」
ここで、自分達の存在価値を無くなりそうになって、泣きそうなった空母組を慌てて慰めることに····
赤城「本当ですか?」
提督「本当、本当だから!」
赤城「なら良かったです。」
提督「はぁ良かった。えっと次に、神弓の方を聞いてちょうだい。」
提督が疲れた声で大淀に伝える。
大淀「なら、神弓さんはどういったい兵装を搭載しているのですか?」
神弓「えっと私は、127mm速射砲と艦空潜特四種類のミサイルに魚雷、あとは雨風の付ける対空兵装くらいかな?数少ないけど。」
大淀「どう見てもそれだけで充分だと思うのですが····」
大淀が神弓の言葉を否定している中、提督は神弓の兵装について考えていた。
提督「うーん、神弓は駆逐艦にミサイルをつけたみたいだね。」
大和「提督、そのミサイルが問題なんですが。」
提督「うぐっ!·····その通りね。」
陸奥 「海に空に海中、それでいて遠近どちらとも対応··ね。軽巡や駆逐艦達が聞いたら羨ましいがるのじゃないかしら。」
長門 「まさに万能艦だな。」
提督 「さて、そろそろ次に行ってくれる?」
大淀「それでは皆さん行きますよ。」
神弓「あっちょっと待って下さい。大淀さんと霧島さん。」
神弓が手を上げ、二人の傍まで近づく。
大淀「どうかしました?」
神弓「提督に伝えて欲しいのですが、盗み聞きもほどほどでお願いします。」
周りに艦娘は首を傾げていたが、大淀と霧島は神弓の言葉に苦笑いをしている。
提督「うっわぁ、バレてらー。」
加賀「流石にバレるのは想定してなかったわね。」
提督「まったく、その通りよね。しかしなんで気づいたのかしらね?」
提督の言葉に返答できる人はここにはいなかった。