鋼鉄の少女達は世界にどう接する?   作:弓風

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 以前製作した部分はここまでなので更新速度が低下しますが、よろしくお願いします。ではお楽しみ下さい。


6:二人のこの先。

雨風「暇······」

神弓「そうだね······」

 

 二人は射撃演習を終えた後、鎮守府に戻って来たはいいが、やる事が無いので待ちぼうけになっていた。

 

雨風 「これからどうする?」

神弓 「うーん。休もうにも休憩場所を知らないし···」

雨風 「···神弓、瑞鳳が来てる。」

 

 雨風の見る場所から、瑞鳳が駆け足でこっちに向かって来ていた。

 

瑞鳳「雨風さん、神弓さん。」

雨風「瑞鳳、どうした?」

瑞鳳「提督が、甘い物でも食べてきたらって言ってたの。だから····どう?」

 

 瑞鳳はそういうと、懐から券を取り出す。

 二人は断る理由も無いので了承する。

 二人は瑞鳳に着いて行き、看板に食堂と呼ばれる場所に到着した。

 中に入ると、数十人が一度に入れる位大きな食堂であり、机や椅子が所狭しに置いていた。

 瑞鳳は食堂のカウンターとおぼしき場所にいた人に、券を渡していた。

 

瑞鳳「間宮さん。甘味処の券と初の券が二枚、お願いします。」

間宮「はい、わかりました。初の券は····あそこにいる二人の分ですね。」

瑞鳳「はい、そうです。二人ともー!ちょっと来てぇー!」

 

 ここで周りを見ていた二人が、瑞鳳に呼ばれやってくる。

 

瑞鳳 「この人が間宮さんって言うの。」

雨風「雨風です。」

神弓「私は神弓と言います。」

間宮「雨風さんと神弓さん、間宮です。これからよろしくお願いしますね。それでは準備してきますので。」

 

 間宮は挨拶をして、カウンターの裏に歩いて行った。

 

瑞鳳 「それじゃあ席はー、あそこに座ろう!」

 

 指を指した端のテーブル席に座る。

 座ってから料理が来るまで、今日の演習事などの他愛の無い話をしていると、瑞鳳がある事を思い出したようで、内容を伝える。

 

瑞鳳「そうだ!二人とも、妖精さん呼んでくれる?」

神弓「えっ?どうやって呼ぶんですか?」

瑞鳳「頭で念じて呼んだら来るよ。」

 

 瑞鳳にそう言われたので二人が頭の中で集合と念じる。

 これで本当に来るの?と思っていたら、数分程でポツポツと妖精さん達が本当に集まって来た。

 ちょうど妖精さんが集まりきった所で、間宮がお盆に乗っけてやって来る。

 アイスと熱めのお茶を瑞鳳達や妖精さんの所に置いていく。

 置き終わった時、カウンターの方からジリリリと音が鳴り響く。

 

間宮「何かしら?あっ召し上がって下さい。」

 

 間宮はすぐに音の鳴る方に走り去った。

 あまり気にせずに、出されたアイスを食べる。

 すると、食べた全員がすごく幸せそうな空気が流れる。

 表情の乏しい雨風も、心なしか笑顔になっているように感じる。

 

神弓「癒されますね。」

雨風「美味しい····!」

瑞鳳「でしょう!間宮さんの作る甘い物は凄く美味しいからね!」

 

 甘いアイスによって皆が上機嫌になり、ほのぼのする空気が流れる。

 ふと神弓がアイスを食べている時に、妖精さんの様子を見ようと視線を向けたら、何故か妖精さん達が慌てたように動いていた。

 

 

 

 

妖精さんの世界

「甘い物っていいよね。」「あー美味しかった!」「やっぱそうだよね~、あっ·····!」「うわーっ!?砲術妖精に熱いお茶がぁー!!」「ちょ、熱い熱い!?助けて!!」「熱盛!!」「すいません。熱盛と出てしまいました。」

 

 

 

 

 

 机の上で慌ただしく動く妖精さんを前に、神弓は困惑する。

 

神弓「···何やってるんだろう、妖精さん達?」

瑞鳳「でも、賑やかなのは良い事ですよ!」

雨風「にぎ··やか····?」

 

 忙しなく動いている妖精さんを観察していた時、再び間宮が近づいて来た。

 

間宮「提督から執務室に来てほしいと連絡がありました。」

瑞鳳「ん、私だけ?」

 

 間宮は首を横に振る。

 

間宮「いえ、皆さんです。」 

神弓「何の用事でしょう?」

雨風「知らない。」

 

 アイスを食べ終わってすぐに提督室に向かった。

 妖精さんは···まぁ、放置で大丈夫···か?

 

 

 

 

瑞鳳「失礼します。」

 

 瑞鳳がドアを開け、中に入る。

 それに続いて雨風、神弓も入った。

 執務室内には、提督以外にも長門や陸奥、あと見た事のない複数の艦娘が整列している。

 

提督「いらっしゃい~。」

 

 提督は椅子に座った状態で笑みを浮かべる。

 

雨風「何の用?」

提督「まず用事を言う前に、始めて会った子は自己紹介をしてもらうよ。雨風と神弓が最初にお願い。」

 

 提督にそう言われたので、始めて見る艦娘に向かって自己紹介をして、次に相手の自己紹介が始まった。

 

赤城「航空母艦、赤城です。よろしくお願いしますね。」

加賀「航空母艦、加賀です。貴方達が雨風と神弓?中々に腕が良いと聞いているわ。」

大和「大和型戦艦、一番艦の大和です。」

武蔵「大和型戦艦二番艦、武蔵だ。よろしくな!」

 

 長門、陸奥は既に会っていたので、それ以外の艦娘が己紹介が終わったタイミングで、提督が呼び出した内容を話し始めた。

 

提督「よし、全員終わったね。それで呼び出した理由なんだけど、二人には主なメンバーに顔を合わせて欲しかったのと、明日に艦隊同士の演習をする事を伝えるためだったのよ。明日だけど二人とも大丈夫?」

雨風「別に構わない。」

神弓「大丈夫です。」

提督「なら良かった。それじゃあ雨風、神弓以外は一旦退室してくれるかな?」

瑞鳳「はい。」

 

 雨風と神弓を除く艦娘が、提督室を出て行く。

 扉がパタンと閉じると、部屋の雰囲気がガラリと変化した。

 

提督「二人は今後どうするの?」

 

 提督が真剣な面持ちで見てくる。

 その目には鋭い眼光を持っているように感じる。

 

雨風「可能ならここにいたい。でも、そっち次第·····」 

 

 雨風は、鋭い眼光を受けても動じず話す。

 

提督「こちらとしては、貴方達のような強力な戦力が手には入るのは嬉しい事なんだけど、本当にここにいるの?」

雨風「いる。ただし条件付き。」

提督「·····条件は?」

 

 提督が条件を聞いてくる。

 雨風は手で五を表す。

 

雨風「全部で五つ。一つ目、作戦とかで私達を敢えて殺すような事をしない事。二つ目、私と神弓を離れて配置をしない事、常に一緒。三つ目、もし別の鎮守府に配置変えになる時には私達に許可を得る事。四つ目、艦の頃の記憶はあまり詮索しないでほしい。」

 

 提督は難しい顔をして悩む。

 

提督「一つ目と四つ目は理解出来るけど、二つ目と三つ目の根拠は?」

雨風 「二つ目は、私達はイレギュラー····だから、お互いに状態を把握したい。もし何かあったらここの艦娘だと対応出来ないかも。三つ目、私達の戦闘力が本来の艦娘も比べ高い。無理やり最前線に送られ沈められるかもしれない。それに、貴方はそんなことをしないと私達は信頼している。」

 

 提督はいまだに難しい顔をしているが、信頼していると聞いて、少しだけ表情が柔らかくなった。

 

提督「それは嬉しいわね。わかった、上に掛け合ってみるわ。難しいけど、私が何とかしましょう。それで、最後の一つは何かしら?」

雨風 「最後に───私達はあくまで同盟関係·····」

 

 緩んでいた提督の表情が戻り、またもや重苦しい空気が流れる。

 

提督 「それは···何故かしら?」

雨風 「この世界に存在しなくても、私達の祖国はウィルキア。それ以上でも···以下でもない。」

 

 それを聞いた提督は、目を瞑り眉間に皺を寄せながら思考する。

 しばらく経ってゆっくり目を開け、今まで以上に真剣な雰囲気をさせながら二人を見た。

 

提督「わかった、もう一度確認するわ。本当に約束守ったら、私達と一緒に戦ってくれる?」

雨風「本当····我がウィルキア王国の名に懸けて、行動で示す。」

 

 雨風は提督に対して敬礼をした。

 神弓の雨風に随行して敬礼する。

 それを見た提督は、ため息をつきながら立ち上がると、

 

提督「改めてましてよろしくお願いします。ウィルキア王国所属、戦艦雨風。護衛艦神弓。」

 

 そういうとお互いに握手する。

 今まで凄まじい緊張感を纏っていた部屋から緊張感が抜け、いつもの提督室に戻った。

 二人との話し合いが終わったら、提督は外で待っている艦娘達を呼ぶ。

 

提督 「よーし!あれの準備するわよっ!!」

長門「了解した。」

神弓 「あれの準備って?」

 

 ガッツポーズをしている提督にあれの内容を聞くと、にやけながら内容を教えてくれた。

 

提督 「宴、パーティーの準備よ!」

神弓 「今日は何かの特別な日ですか?」

 

 神弓は気になったので聞くが───

 

提督 「何言ってるのよ主役ぅ!」

神弓 「はいっ?」

 

 神弓は、提督の言ってる意味がわからない様子でポカーンとしている。

 ポカーンとしている神弓に、もっと詳しく説明してくれる。

 

提督 「私の所は新しく仲間が増えると歓迎会をするのよ。新しい仲間と言ったら貴方達じゃない!」

 

 提督は雨風と神弓を見ながら説明していると、長門が話し掛けてくる。

 

長門 「ここはこれが恒例だからな。それで提督、人手が足りないから手伝ってもらうが、話し合いで疲れてないのか?」

提督「別に構わないわよ。それに明日は艦隊の演習だから、今日の内に全員に紹介したいし。」

 

 疲れなんざありませんとばかりに張りきる提督。

 そんな提督を見て、長門は心配する必要が無いと判断した。

 

長門「よし、なら急ぐとしよう。」

神弓 「私達も手伝いますよ。」

 

 神弓は自分も準備を手伝うと名乗りを上げるが、長門に止められた。

 

長門 「主役は後で出番が山程あるぞ、だから安心しろ。」

提督「待っている間は···そうね、二人を部屋に案内させたいんだけどぉ───大和、行ってくれる?」

大和「承りしました。では私についてきて下さい。」

 

 大和、雨風、神弓は提督室を後にする。

 それから建物を横をいくつも通りすぎ、しばらく歩くと寮のような建物に入って行く。

 廊下を移動中に、誰かの声が聞こえる。

 

?「どうも大和さん、彼女達が噂の艦娘ですか?」

 

 後ろから声が聞こえたので後ろを向くと、パシャっと、音とフラッシュが光った。

 フラッシュの光で反射的に目を閉じて、ゆっくり瞼を上げると、そこにはセーラー服にポニーテールの子がカメラを構えていた。

 

青葉 「貴方達が噂の艦娘ですね?ども、恐縮です、青葉ですぅ!一言お願いします!」

雨風 「····?」

神弓 「え、えっ!?」

 

 雨風は首を傾げ、神弓はいきなりのことで軽くパニックに陥る。

 

大和 「困らせたら行けませんよ。それに質問は今夜の歓迎会に行いますから。」

 

 大和が青葉を叱る。

 

青葉 「なら、名前だけでも教えてくれませんか?」

 

 しかしここで引き下がらないのが青葉クオリティーなのか、せめて名前だけでも聞こうとする。

 

雨風 「雨風。」

神弓 「えっと、神弓です。」

青葉 「なるほど、雨風さんと神弓さんですね。では、次は歓迎会の時に!」

 

 青葉は手に持ったメモに名前を書いた後、急いで離れる。

 二人に対し、申し訳なさそうに大和が謝罪をする。

 

大和 「すいません。元からあんな子なんです。」

神弓 「いえいえ、気にしてませんから。」

雨風 「問題ない。」

大和 「それでは案内を続けますね。」

 

 大和が案内した部屋は、二人が過ごすには十分な広さがあった。

 机やクローゼットの他、二段ベッドが置いてある。

 

神弓 「ここが私達の部屋かぁ。」

雨風 「思っていたより広い。」

大和 「何かあったら私に言って下さい。それでは準備が出来次第呼びますので、それまでゆっくりして下さい。」

 

 大和は部屋を退出する。

 大和が退出した後、雨風は下段のベッドに横になる。

 

神弓 「雨風はベッドは下にするの?」

雨風 「上がるの···面倒だから。」

 

 雨風は文字通り面倒くさそうな声で答える。

 

神弓 「雨風らしいね。でも歓迎会をしてくれるのは驚きだよね。」

雨風 「多分、艦の頃の進水式のようなもの···かな?」

神弓 「確かにそうかもね。どちらにせよこれから頑張らないと!」

 

 そんな様子の神弓を見ながら雨風はボソッと呟いた。

 

雨風 「····空回りしないといいけど────」

神弓 「あーまーかーぜぇー!全部聞こえてるからねぇ·····!」

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