むかしむかしあるところにとても悪い魔女がいたそうな…
名をラディナという
ラディナは家畜に魔法をかけて猛獣にすり替えたり、作物を魔法で雑草に変えてしまったり、そうして村人をからかっていたそうな…
しかし、村人達はラディナを使う彼女の前に為す術もなくただ笑われるだけだった。
とある日その村に疫病が流行ったそう。
その疫病はたちまち広がり村は壊滅してしまいました。
もちろんラディナが疑われ今回は村人達の怒りも爆発。そしてラディナは森の奥深くに追放されたそうな…
とある平原にたたずむ都市「パルディア王国 」ここに新たな命が誕生した。
「お前からはなにか不思議な力を感じる…名はワンダとしよう。」
大きなベッドに横たわる女性がとても柔らかい表情で横にいる赤ん坊の頭を撫でる
「お前は私が必ず幸せにするからね…こんな戦いの為にお前が苦しむ必要は無いんだから…戦いのない、平和な世界を……」
この言葉がその女性の最後の言葉だった。
オギャー!
明らかに身体にそぐわない大きさのベッドに寝転ぶ赤ん坊が大きな声で泣き叫ぶ。
「どうされましたか!?ワンダ坊っちゃま!」
使用人と思しき女性が駆けつける。そしてその女性は驚きの光景を目にした
きっかけはとても小さなことだった。
外で遊んでいる兄達のボールが中庭から見事ワンダの部屋のガラスをぶち破り侵入、そのまま部屋の花瓶にクリーンヒット。
割れた破片が飛び散り、ひとつは"ワンダの頭側の壁"にある壁掛け時計の支えに見事命中。そのまま壁掛け時計が重力に従い落ちてゆく。
さらに割れた花瓶の破片のひとつはワンダの頭上の照明へ、、
案の定電球が割れその破片はワンダの顔をめがけ落ちてくる。
結果、ワンダには壁掛け時計だったものと照明だった破片たちをこれでもかというほど被っている。
が、当の本人は無傷なのである。
「はぁ、またですか…」
使用人の女性は肩を落とし片付けを始める
「どうしてワンダ坊っちゃまはいつもいつもこう不運なのでしょう…これ以上私達に手間をかけさせないで欲しいものです…」
女性が片付けをしながら思わずこぼす。
こういうことが一週間に一回くらいなら使用人も仕方なく許せる。しかし、このレベルのことが1日に数回起こるのだ、さすがの使用人達もに肩を落とす…
「坊っちゃま…毎度毎度悪くないのは分かってるのですが…流石にこの頻度ですと、、呪いかなにかでしょうか…」
「魔女に呪われた子よ。この子は」
騒ぎを聞きつけた使用人が2人、機嫌の悪そうに入ってくる
「魔女!?ちょっと、本気で言ってんの?」
「本気もなにもこの頻度はどう考えてもおかしいでしょ…
みんな言ってるわよ、この子は魔女に呪われた不幸な子だって」
「そんな…国王様に聞かれたらなんと言われるか。」
「国王様も薄々思ってるんじゃない?この子は普通じゃない。」
「それは…」
そんな噂が広まる中キャッキャと無邪気に笑うワンダを見て使用人の女性は同情と、少しの畏怖を覚えた…
バリィィン!
再び王宮に大きな音が響き渡る。
音の発信源は、言うまでもなくワンダだ
本日5度目の激音に遂に国王が痺れを切らした
「またワンダか!なんなんだあいつは!いい加減にしろ!私も王宮の者達も皆業務をしているのだぞ!」
「そう言われましても…ワンダ坊っちゃまもまだ物心ついていない赤ん坊なのです。
城のものも承知ですのでどうかお鎮まりください…」
使用人がワンダを庇いに入るが納得いかない様子の国王。
「もう無理だ!もう我慢ならんのだ!一体こいつは何者なのだ!ほ、本当に魔女の…」
「あなた!!!」
国王の言葉を王妃が大声で遮る。
「私たちがそう言ってしまったらおしまいですよ?ちゃんとあの子は正真正銘私が産んだあなたの子です。ほかの何者でもありません。少しばかり不運なだけですよ、きっと」
そう優しい笑顔で国王に語りかける。
「そう…だな……あぁ…私としたことが…少し取り乱してしまった…すまない。」
反省し俯く国王とそれをそばで慰める王妃の姿は国の長としてではなく、ひと組の夫婦としてとても理想的な姿だった。
「ありがとう、助かったよ。」
そう国王が例の言葉を述べ王妃はワンダを抱きかかえ、優しくキスをする。
「ウッ…グ、アァ…」
突如、王妃が呻き声を上げその場で崩れ落ちる。
「な、なんだこれは…一体なんなんだ!!
………あいつだ…ワンダだ、魔女の呪いだぁぁぁぁ!」
突如王妃を失った衝撃で我を失い怒り狂った国王は携えた剣を掲げワンダに切りかかるが、使用人に取り押さえられる
「アイツのせいだ!あいつを殺せば!」
正気を取り戻す兆しもなく怒り狂い続ける国王。それを取り押さえる使用人達の力も自然と強くなっていく。
「オンギャアーーー!」
大きな音に驚いたのかワンダが泣き始める。
そして、それと同時に上空のシャンデリアを釣る金具が壊れ怒り狂う国王をとそれを取り押さえる使用人数名を下敷きに落下する。
無残な惨状に喚き散らすものもいれば崩れ落ち泣きじゃくるもの、あまりの衝撃に何もすることなくただ立ち尽くすもの。様々に捉えきれない現実を目の前にしていた。
そして………
そんな中、赤ん坊の笑い声がその場の全ての者をを畏怖させたのだった。
〜パルディア王国郊外 迷いの森〜
迷いの森、青々と雑木が生い茂り、木漏れ日のみが差し込む巨大な森、有名な昔話にも登場し、その昔話では魔女の住む森として描かれている。
故に人々から恐れられた1人として近づかない禁忌の森である。
そこに甲冑も纏った数名の騎士と、煌びやかな衣装に身を包む恰幅の良い男性。
「本当によろしいですね、大臣。」
「ああ、構わん。置いていけ」
その言葉を聞き側近の兵士が木で編まれたかごをそっと芝の上に置く。
そして大臣一行は無表情のままそのかごに背を向け歩き出した。
赤ん坊の、ワンダの入ったかごを置き去りにして、、、、
目を覚まし体を起こす。本日も快晴のようだ
いつものように泉の水で顔を洗い、その水を桶ですくい水瓶に溜めてゆく。
そして、水瓶に火をかけ次の作業に移る。
次は薪を集めるため森の奥に入る
そして、一本の気の前に立ち手を組みなにかをボソボソと呟く…
すると目の前の木がキレイに切れて重力に従い倒れてゆく。
今度は倒れた木の前に立ち腕を縦に振るう。
倒れた木は音を立て半分に割れる。
さらに同じように手を振るいどんどんと木を切り分けて見事な薪が完成する。
完成した大量の薪は空を舞いキレイに収納される。
次は動物達にえさをやるために小屋にもどろうと振り返ると…
小鳥たちがなにかに吸い込まれるように1箇所に集まってゆく
不審に思い近づくと、、
大木の麓に大量の小鳥に囲まれた小さなかごと赤ん坊が捨てられていた。
赤ん坊をマジマジと見つめ軽く頷いて
「ほぅ…これは、、とても興味深い」
そう呟き近づき拾い上げたその時、まさにこの瞬間を狙っていたかのように狙っていたかのようにそばの大木が2人に向かって倒れ込む
が、左手で赤ん坊を抱え詠唱を行う
ラディナの目の前に大きな魔法陣が現れ、突風が巻き起こり大木を弾き返す
「そう…ワンダって言うのね…
ふっ、ふふっ!この子の将来が楽しみね」
そうラディナは微笑みその赤ん坊、ワンダを抱いたまま小屋に向かって歩き出した
それから2人は順風満帆に暮らしを送っていた。
森で得た食料や多種多様な素材を街で売り払い、そのお金で必要なものを買い森に帰る
ワンダの不幸体質はもちろん治ってはいないしかし、それをラディナが魔法を駆使しことごとく回避してゆく。
数年の月日が立ち赤ん坊だったワンダは少年へと成長しラディナと魔法の訓練を行っている。
「ふふっ、いつでもいいわよ。かかって来なさい」
「言われなくてもやってやるよ!今日こそは!!」
ワンダの数秒の詠唱を行うとラディナに向かっていくつかの火の玉が飛んでゆく、
その火の玉とともにワンダ自身もラディナの懐に飛び込む
「だからいつも言ってるでしょ、おバカさん☆」
ラディナが指を弾くとともに目の前に水の壁が現る
「うわぁっ!!」
全速力でラディナへと直進していたワンダは火の玉とともに水の壁に飛び込む
「自分から攻撃を仕掛ける時は相手がどう防ぐかを考えろといつもいっているでしょ…」
「だってぇ…普通に避けてくると思ったんだもん…」
「ならば相殺されやすい炎魔法を使うのではなくて、そうね…風魔法や単純に衝撃を放つような魔法を追随させるべきだったわね」
「そんな高度な魔法まだ使えねぇよ!」
「あらそう.....ごめんね♪
でも、そんなに難しいものでもないわよ?
こう…手に魔力を集中させて純粋にそれを放出するのよ。こういう風に」
バチン!
ワンダの後にある木が5、6本一度に倒れる
「って危ねぇ!なにしてんだよ!!」
「あら、ごめんなさいww」
「笑ってんじゃねぇ!はぁ…そんな簡単に出来たらとっくの昔から使ってるっつの…」
「そう?あなたなら出来ると思うけど?」
「何を根拠にヘブッ!!!」
ラディナが倒した木になっていた木の実が見事にワンダの頭に降ってくる
「根拠はそれよ」
「どれだよ!バカにしてんのか!」
「別にバカにしてるわけじゃないわよ?、、、2割くらいは…」
「8割バカにしてんじゃん!」
チッ
「なんだよ!その バレたか、、みたいな顔は!」
「なんでこういう所だけ頭回るのかしら…」
「うるせぇ!!」
「ふふっ、でもさっき言ったことは本当よ
あなたならどんな魔法も使いこなせるようになるわ」
「へっ!そんなもん信じらんねぇぇぇぇぇええええええ!!!!????」
いじけて座っている大量の鳥がワンダに襲いかかる
命の危機を感じたワンダは全速力で森を駆け抜ける
「そう…あなたは強くなるわ、必ずね。」
そう呟きながら微笑む
「笑ってんじゃねぇぇぇえ!助けろぉぉぉおおお!!あ、死ぬ!死ぬぅ!!」
ワンダの将来に思いを馳せながら、、ワンダが生きてることを願って小屋に帰る
「ラァァァァディィィィィナァァァァアアアアアアア!!!」
この断末魔が森中の動物達を怒らせさらに追いかけることになることを彼はまだ知らない………
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