Il mio chef 〜僕と令嬢と喫茶店〜   作:なちょす

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皆さん、こんにチカ。
え〜⋯なちょすです。
恥ずかしいですなぁ⋯R-15って、どこまでやれるんですかね⋯。
この発言で大体理解した人は、閲覧注意でお願い致します。

わたシェフ第10.5話、どうぞ。


10.5 燃える瞳

秋山の件があってから1週間ちょっと⋯ようやく手の方も調子が良くなってきた。それでも動かすと若干痛みはするけど、生活に支障はない。

鞠莉もちょくちょく遊びに来るようにはなったけど⋯。

 

 

「⋯結局、僕達はどういう関係になったんだろうか。」

 

 

僕の気持ちは話した。彼女の気持ちも聞いた。だから本当であれば付き合ってるって言ってもいいのかもしれないけれど⋯。

あの日以降鞠莉は少し大人しくなってしまった。関係の話も話題に上がることは無い。

淡々と料理を作って、食べて、しょうもない言い合いをして笑ってしまう。

 

そんな日々の繰り返し。

別にそれが駄目なわけじゃないんだ。けど⋯何かを求めてる自分が居る。

 

 

「僕って⋯こんなに欲しがりだったかな⋯。」

 

 

ソファに座って天井を仰ぎみる。今日は彼女が来る予定は無い。

⋯⋯退屈だ。

どれぐらいそうしてたか分からないが、玄関からインターホンが聞こえた事で意識が現実へと帰ってくる。

 

 

「ん⋯誰か来る予定あったっけ⋯?」

 

 

思い足取りを進め、玄関のドアを開けた時、僕は自分の目を疑った。

来るはずのない人。連絡なんかとってなかった少女。

 

 

「ま、鞠莉⋯?」

 

「⋯⋯⋯。」

 

「どうしたんだい?今日なんか予定あったっけ?」

 

 

彼女は下を向いたまま答えようとはしない。

何か様子が変だ⋯。

 

 

「⋯取り敢えず入りな?」

 

「⋯⋯⋯。」

 

返事は無い。部屋の中へ戻ろうとした時、袖がピンと伸びる感覚を感じる。

後ろを振り向くと、鞠莉が僕の袖を摘んでいた。

 

いつもならこんな事なんてしない。

でも⋯そんな姿が、とても可愛らしく見えた。

 

 

「⋯おいで?」

 

 

彼女の小さな手を取り、部屋の中へ戻る。

ソファに座ってからも彼女が口を開くことは無い。長い静寂だけが、この部屋を支配していた。

 

 

「⋯何かあった?」

 

 

天井を再び仰ぎ見ながら彼女に尋ねる。

 

 

「⋯⋯無い。」

 

「ん、そっか⋯。」

 

「⋯⋯やっぱり、迷惑⋯だったかしら⋯。」

 

「え?」

 

「私、弾に⋯迷惑かけてるんじゃないかって⋯ずっと、不安で⋯怖くて⋯。」

 

「鞠莉⋯?」

 

「ね、ねぇ弾っ⋯私、貴方と一緒でいいの?もうダメなのっ⋯私、弾が居ないと⋯!」

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれ鞠莉!」

 

 

ソファの上で彼女に押し倒される。

彼女は⋯泣いていた。

今まで見せていた悲しい顔じゃない。これは⋯

 

恐れ。

 

顔に落ちてくる涙の冷たさ。

涙って⋯こんなに冷たいものだっただろうか。

彼女の目に溜まった涙を拭い、抱き寄せる。

 

 

「鞠莉⋯僕はここだよ。大丈夫。順を追って説明して欲しい。僕はどこにも行かないから⋯。」

 

「っ⋯弾が、居なくなった時⋯怖かった。何かあったんじゃないかって⋯それ以上に、弾に嫌われたんじゃないかって⋯!」

 

「⋯⋯⋯。」

 

「そんな事ないって、信じたかったのに⋯頭の中でそんな考えばっかり浮かんでた⋯!そしたら、弾があのお店で倒れてて⋯傷だらけで⋯死んじゃうんじゃないかって⋯怖、かった⋯!私、弾が居ないと、駄目なんだって⋯!!」

 

 

子供のように泣きじゃくりながら、彼女の手は震えている。

この子は⋯そんな状況の中、僕の為にアイツと対峙したのか。この1週間大人しかったのは、全部僕から離れないようにする為⋯一緒に居たいが為にしてきた事。

どれだけ強がりで自分を覆っても、彼女の本質は変わっていなかった。

 

硝子のように脆くて、あの頃のまま気弱な女の子。

それでいて優しすぎるんだ。

そんな子がずっと僕の事を思っていてくれて⋯離れるわけないじゃないか⋯。

 

 

「⋯ねぇ鞠莉。僕もさ⋯今日おかしかったんだ。いつもと変わらない日常で、ずっと1人で過ごしてた筈なのに⋯何だか寂しかった。」

 

「え⋯。」

 

「君が、居なかったから⋯。あの時僕達は気持ちを言い合った。それなのに、自信が持てなかったんだ⋯自分がこんなに欲張りだなんて思わなかった。君が居ないだけで、こんなに落ち着かないんだって分かった。そんな僕が、君を放っておくはずが無い。離れたいって言ったって簡単には離してやるもんか。」

 

 

彼女の震える手に、自分の指を絡める。本当に⋯小さいな⋯。

この小さな手に、一体どれだけの物を抱えてきたんだろう。掴みきれずに零れてしまった物に、どれだけの後悔を抱いてきたんだろう⋯。

ほんの少しでもいい⋯支えてあげたい。

 

 

「鞠莉。僕は⋯証明が欲しい。」

 

「それって⋯。」

 

「もし⋯君に伝わってるなら。君が同じ気持ちで居てくれるなら⋯笑って欲しい。」

 

 

今はただ、彼女の目を見つめる。あの日のように、言葉は要らない。アイコンタクトだけで、多分彼女に意味は伝わってる。

なら⋯僕は待つだけだ。

 

 

「⋯ええ⋯分かった。」

 

 

目元を真っ赤にして、それでも笑ってくれる鞠莉。

もう⋯それだけで充分だった。

左手は指を絡めたまま、右手で彼女の頭を優しく引き寄せる。

 

 

「⋯ありがとう、鞠莉。」

 

 

僕達の距離は、『0』になる。

 

時計の秒針が、カチカチと音を立てる。もう何回音が鳴ったか分からない。ひょっとしたら、10回もいってないのかもしれない。

けど⋯いつまでもこうしていたかった。ここには僕達しか居ないんだ。

唇が離れてすぐ、鞠莉が僕の胸に顔をうずめてくる。

肋がまだ痛いのは内緒だ。

 

 

「鞠莉?」

 

「ねぇ、弾⋯どうしよ⋯。体⋯変、かも⋯。」

 

「え。」

 

「スイッチ⋯入っ、ちゃった⋯。」

 

「あ〜⋯おいで。」

 

 

ソファを降り、手を繋ぎながら彼女を僕の部屋まで連れていく。さて、どうしたものか⋯今日は見たことない顔を色々見せてもらえて有難いんだけど、あまりそういう表情をされると困る。

僕だって結構我慢の限界なんだ。

部屋に入るなり、彼女は僕に抱きつき、そのままベッドに引き倒した。

傍から見たら、僕が鞠莉を押し倒してるようにしか見えない。

 

 

「その⋯鞠莉⋯?」

 

「弾⋯もう1回⋯しよ?」

 

「っ⋯あの⋯出来れば間を開けてもらった方が─」

 

 

僕の懇願虚しく、彼女は僕にキスをしてくる。

さっきよりも長い、証拠を求める為のキスじゃない⋯。

唇から解放されると、鞠莉が限界なのは分かった。

顔はほんのりと紅く染まり、涙目でハニカミながら僕のことを見つめてくる。

 

 

「鞠莉⋯。」

 

 

いや⋯限界なのは、僕だ。

 

 

「もう⋯無理だ。」

 

「え?」

 

「ずっと我慢してきたけど、流石にこれ以上はおかしくなる⋯さっきから胸がきつくてしょうがないんだ。君の笑顔も、怒った顔も、泣きそうな顔も、今みたいな顔も⋯全部が、愛おしい。」

 

 

我慢してきた反動か、もうしなくていいと分かった途端に自分の中で激しい欲望の渦が巻く。

君をもう離したくない。

その切ない表情をめちゃくちゃにしたい。

激しい独占欲と支配欲が今の僕を支配している。

 

こんな⋯人間だったんだな⋯。

 

 

 

 

 

 

「鞠莉⋯もう、君を誰にも渡さない。」

 

 

 

 

 

 

何かを求めるように。

懐かしいものを見つけた時のように。

ただただ、恋焦がれるように。

彼女は僕の頬に両手を添えて、口を開く。

 

 

「お金持ちが嫌いって言った時と、同じ目をしてる。あの時私を庇ってくれた時も同じ目をしてた⋯。優しい顔をして、ちょっぴり過激で⋯心の中は、結構黒ずんでる。」

 

「ははっ⋯そうだな⋯。自分でもどうかと思ってるよ⋯。」

 

「でも⋯真っ白な人間なんてこの世にいるのかしら。私だってそれほど優しいわけじゃないもの。見たでしょ?この間のやり取り⋯。」

 

「あぁ、女王様みたいだったよ。」

 

「ふーん⋯そういう事言うんだ。」

 

「ははっ⋯ごめんごめん。」

 

「⋯その目が、好き。貴方の本当の部分。そのギラギラと燃えている瞳が大好きなの。弾⋯お願い⋯。」

 

 

顔を引き寄せられ、おでこが軽くぶつかる距離。

あぁ⋯もう、ダメだ⋯。

 

 

 

 

「私を、貴方のものにして⋯?」

 

 

 

 

何かが切れた。

こんな風に言われて、黙ってる男子なんているものか。

良いのか、なんて聞かないからね⋯鞠莉。

再び彼女に口付けをする。

彼女はすんなりと受け入れてくれるけど⋯先に謝っておくよ。

 

 

「んっ⋯んんっ!?ちょ、ちょっと待って、弾⋯んむっ⋯!!」

 

「ごめん、待てない。」

 

 

彼女の口をこじ開け、舌を絡めにいく。逃げるわけでも抵抗するわけでもなく、どうしたらいいか分からないとでも言うように彼女の舌は戸惑い出す。

僕の体に力強くしがみついていた手は、何とか僕の体を掴んでいる程度にまで緩くなっていた。

息継ぎの時に聞こえる彼女の必死に堪えてる声や、熱を帯びた舌⋯。そのどれもが、今の僕に拍車をかける要素になる。

結構長い間そうしてしまったけど、鞠莉が力無く左手を叩いてくるので一旦離れることに。

 

⋯⋯やり過ぎた。

 

 

「はぁっ⋯はぁっ⋯⋯!」

 

「あ、あの〜⋯。」

 

「がっつき、過ぎよ⋯んっ、バカ⋯弾っ⋯!!///」

 

「すみません⋯⋯。」

 

 

カーテンを締めてる影響で部屋の中は薄暗い。でも彼女の顔色ぐらいは分かる。

怒ってしまってるが、体に力は入らないらしく口元を手首で抑えるようにガードしている。

 

言わば『待て』の状態。

 

 

「もう少し、後先⋯考えてっ、よね⋯!///」

 

「後があるんですか?」

 

「うるっさい⋯!///そんなんだから、チェリー、なのよ⋯!///」

 

「ぐぬぬ⋯いつもなら言い返してやるんだけど⋯あ。この間さ⋯未経験の鞠莉ちゃんは、誰の為に(・・・・)残してるって言ったんだっけ??」

 

「は、はぁっ!?///」

 

 

動けない彼女の上に覆いかぶさり、ちょっと意地悪してみる。

いつもやられてるんだから、これぐらい大目に見てほしい。

 

 

「ね⋯教えてよ、鞠莉?」

 

「し⋯しら、ない⋯!言って、ない⋯///」

 

「因みに僕は君の為に残してるよ。」

 

「な、やっ⋯そんなの、狡い⋯。てか、貴方この間まで私の事忘れてたじゃない。」

 

「痛い所を突かれた⋯。でも、君となら⋯いや。君が良いって、本当に思ってる。」

 

「っ⋯⋯好きに、すればいいわよ⋯///」

 

「もう1回いい?」

 

「聞こえてたでしょ!?///弾になら良いから、好きにすればいいって言ったの!///」

 

「うん、聞こえてた。ありがと、鞠莉。」

 

「⋯⋯貴方本当に弾?///」

 

「嘘だと思うなら教えてあげよっか?僕の全部⋯鞠莉の体に⋯。」

 

「やっ⋯ちょ、待ってってば!んっ⋯だ⋯ん⋯!///」

 

 

オフショルダーにショートパンツなんて、僕に対してドストライクの格好で来るのが悪い。同じように彼女に口付けをし、もう止まることは無かった。

 

薄暗い部屋の中。

 

記憶にあるのは⋯汗ばんだ彼女の綺麗な体。

 

動く度に押し殺される彼女の嬌声。

 

小原 鞠莉という少女の全部。

 

僕達は、お互いを求めあった。強く。強く。強く。

快楽という本能に抗おうともせず、2人で⋯どこまでも堕ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「⋯⋯⋯死にそう。」

 

 

朝を迎え、自分の状態に心底呆れてしまう。

左手はまた痛み出すし、肋は痛いし、ついでに腰も痛い。

まぁ⋯自業自得な部分が殆どだけど⋯。

がっつき過ぎたし⋯変な事ばっかり口にしてたし⋯思い出すだけで恥ずかしさのあまり穴に埋まりたい気持ちだ。

 

 

隣でスヤスヤ眠る彼女の体には、誰かさんが付けたキスマーク⋯数だけで言ったら僕に付いてる方が多いんだけど。

そう言えば⋯まだどっちも服を着てないなぁ⋯。

 

 

「⋯やめよ。今すぐ起きよう。このままじゃ⋯」

 

「⋯⋯ムッツリ。」

 

「⋯⋯⋯起きてたんだ?」

 

「当たり前じゃない♪まぁ体中痛くて動けそうもないんだけど⋯。」

 

 

折角男の生理現象が反応する前に服を着ようと思ってたのに⋯何で君は⋯そういう事をこのタイミングで言うんだろうね⋯⋯。

 

 

「へ?あ、ちょっ⋯だ、弾??お顔がscaredよ??」

 

「人の事をムッツリ呼ばわりして⋯動けないって誘ったって事は⋯そういう事だろう⋯?」

 

「ジョーク!ほんのお茶目なジョークだから!ねっ!?私本当に動けないのよ!!///」

 

「大丈夫⋯昨日だって僕が頑張ったじゃないか。いけるいける。」

 

「そういう問題じゃっ⋯んっ⋯!///ば⋯かぁっ⋯!!///後で覚えておきなさい、よぉっ!!///」

 

 

⋯⋯こうなる気は⋯なんかしてた。

後で、もう1回病院で左手見てもらおう。怒られるかなぁ⋯。

その前に鞠莉に怒られるか⋯。

 

 

 

結局、僕達の情事は昼頃まで続き⋯寝不足のままベッドの上で鞠莉にめちゃくちゃ怒られたよ。

 

 







次回、『11.ウェイトレスのマリーデース☆』


初めてこんな描写書きました⋯うっ⋯泣
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