ドリンクバーは野菜ジュース派、なちょすです。
ここで他作品の話をするのは考えものですが⋯なちょすが好き放題やってるラ!サ!!作品が、皆様のお陰で無事3作品とも色つき評価にレベルアップ致しました。
本当に⋯ありがとうございますっ⋯うっ⋯泣
これからも気が向いた時に、この田舎者の作品を見て頂けたら嬉しいです。
それでは⋯わたシェフ第13話、どうぞ。
「ダイヤの家って⋯デカイんだな。」
突如現れたダイヤの妹、ルビィちゃん。
ダイヤが風邪を引いたという報せを持ってきてくれたが、今日は親が出かけているらしい。
ルビィちゃんも自分で何とかしようとしたらしいけど⋯思いの外ダイヤの熱が高くて、電話で助けを求める前に果南と鞠莉に助けを求めに来たらしい。
本当であれば皆でお見舞いに来たかったが、果南は店の営業があるし千歌ちゃんも家の手伝いが入ってしまったようで先に帰って行った。
ちなみにルビィちゃんには僕と鞠莉の事は説明済み。
「ダーイヤー!遊びに来たわよー!!」
「鞠莉⋯違うだろ?」
「ゲホッ⋯遊びに来たのなら帰ってもらえます⋯?」
和室に敷かれた布団で寝ているダイヤ。頭に熱冷まシートを貼っており、見るからに辛そうだった。ルビィちゃんの話だと結構熱も出ているらしく、あまり食事も喉を通っていないとの事。
「と言うか、何でここに居るんですの?」
「ルビィちゃんから聞いたんだ。ダイヤが風邪引いたって凄い勢いで駆け込んできたよ?」
「そうですか⋯。そんなに大したものでは⋯ゲホッ、ゲホッ!」
「はいはいダイヤちゃん、良い子でちゅからお寝んねしましょうね〜♡」
「おだ鞠莉⋯。弾さん、少しだけ頼み事を聞いて頂けますか?」
「出来ることであれば何でも。」
「では⋯ルビィの勉強を見てあげて下さい。」
「ルビィちゃんの?」
てっきりこの金髪をどうにかしてくれとか、看病の手伝いかと思ってたけど⋯予想外だな。
横に座ってるルビィちゃんと目が合うと、彼女は小さく体をビクッとさせた。妹愛が強すぎるダイヤが、自分の友人だってだけで大切な妹と知らない男を2人っきりにさせるって、何かあるんだろうか。
「僕は良いけど⋯どう?ルビィちゃん。」
「だ、大丈夫⋯です⋯。」
「ごめんなさいルビィ⋯本当であれば私がしっかり見てあげる筈でしたのに⋯。」
「ううん、お姉ちゃんは悪くないよ!ずっとお稽古も頑張ってたし⋯ルビィとは違って⋯しっかりしてるから⋯。」
「しっかりしてたら、風邪なんか引くわけないでしょう?貴方は私よりも強くて、努力家なんです。自信を持ちなさい?」
「うん⋯。」
「では弾さん。後のことはお任せしますわ。私はこの金髪と少し話でもしてるので⋯。」
「はは⋯りょーかい。鞠莉、茶化し過ぎちゃダメだからね?」
「分かってるわよ。2人とも心配性なんだから〜!」
「普段が普段だからね⋯。」
一抹の不安はあるものの、後は鞠莉に任せて僕は自分の役目を果たすとしよう。
『こっちです。』と言われ、ルビィちゃんの部屋へ行くことに。
⋯頑張りますか。
◆
「行きましたか?」
「ええ、大丈夫。もう2人とも行ったわ。」
「貴方とこうして2人で話すのも、なんだか懐かしいですわね⋯。」
「ふふっ、生徒会室以来かしら?」
弾とルビィが去った後、ダイヤは心配そうに呟いた。
あのダイヤが私と話したいだなんて、珍しい事もあるのね。
ただただ何気ない会話を、どちらからでも無くポツポツと話して⋯あんな事もあったね、とか⋯あの時はどっちが悪い!なんて、たわいも無い会話を繰り返して⋯ちょっと楽しいかも。
ダイヤがこんな状況で不謹慎だけど、このまま続けばきっといつまでも楽しい時間が終わらないって⋯そう思っちゃった。
「⋯いけませんわね。風邪を引くとどうも弱音ばっかり吐いてしまうみたいですわ。ずっと夢を見るんです⋯浦の星で過ごした事、Aqoursの事。」
「⋯⋯そういうものなのよ⋯きっと。」
「そうですかね⋯ところで、弾さんに気持ちは伝えたんですか?」
「んー?伝えてるわよいっつも。I love you♡って。」
「そっちの話ではありません。貴方が願っている事です。」
「⋯⋯⋯一応ね。」
ダイヤが言う私の願ってる事。
それは、叶うかどうか分からない夢みたいな話。
面と向かって伝えられたらいいけれど、一歩進むのが怖くて⋯彼と居たら何でも出来るかもしれないけど、
「まぁ果南が操縦する船の上で言っちゃったから、多分弾は聞こえてないわ。」
「全く⋯素直に言えばいいじゃないですか。」
「出来たら苦労しません〜。」
「毎日毎日、痴話喧嘩をしておきながら⋯。」
「あれは弾が悪いんだってば。」
「私からしたらどちらも同じ意地っ張りですわよ。」
「あー、そういう事言うんだ。」
明らかに『ウンザリしてますわ』って顔で、ダイヤはズバッズバ言ってくる。失礼しちゃうわっ!!
まぁ⋯嘘だってバレバレだけどね♪
思わず2人でぷっ、と吹き出してしまう。
「ダイヤってば、そんな事言いたかったの?」
「さぁ⋯どうでしょうか?ただ私は、貴方達には人並みの幸せを手にして頂きたいと思っていますよ。」
「ダイヤ⋯。」
「普段ならこんな事言わないのに⋯やっぱり風邪は引きたくありませんわね。でも、それは私だけでなく、果南さんだって同じなんです。散々惚気にブツブツ言ったり文句ありげな顔をしてますけど、ちゃんと貴方のことを考えてます。」
「⋯うん。」
「ふふっ、そんな難しい顔はしないでくださいな。鞠莉さん⋯」
優しく抱き締められ、熱を帯びたダイヤの体温に包まれた。
「何があっても、私達は貴方の側に居ます。」
学校を守れなかった時、悔しかった。閉校日に理事長室から皆の帰宅していく景色を眺めてたらダイヤが来て⋯。
『理事長兼高校3年生なら、その問題児を見届けるのも生徒会長の仕事だ』って、絶対に離れようとしなかった。
果南だって、外が真っ暗になっても校門でずっと待っててくれていた。
そんな子達が幼馴染みだなんて⋯私、幸せ者よね。
「ありがとう、ダイヤ。貴方が生徒会長で、親友で、幼馴染みで⋯本当に良かった。」
「私も、だなんて言いませんけどね?」
「あ、ひっどーい。ふふっ、でも伝わってるからNo problem!ねぇ、そろそろお腹すいたりしてない?」
「ん⋯まぁ少しだけ⋯。話しすぎましたね。」
「じゃあマリーが手料理を振舞ってあげる♪」
「私に死ねと?」
「料理のリアクションじゃないわよねそれ。大丈夫よ!ちゃんと善子と梨子にも喜んでもらえたんだから!!」
「知ってますか?ギルキスの物差しをAZALEAに適応させると死人が出るんです。」
「さぁ、Let'sクッキーーーング!!♡」
◆
「で、ここで公式を使って⋯。」
「あ、そういう事なんですね!」
勉強組の僕達。頼まれたからには仕事を全うしようと色々教えているけど、ダイヤに似て飲み込みが早いというか理解が早いというか⋯。
顔とか性格は違うけど、本質的な部分はやっぱり姉妹なんだな⋯。最初はお互いガチガチに緊張してたけど、この空気にも大分慣れてきた。
だから、敢えて聞けなかったことを聞いてみようと思う。
「ねぇ、ルビィちゃん。」
「はい。」
「最初来た時、鞠莉や果南からは男性恐怖症だって聞いたけど⋯大丈夫、かな?」
「えっと⋯実は、まだちょっと怖い⋯です。でも、お姉ちゃんに大丈夫って言われたので⋯。」
「そうなの?」
「はい。知り合いに小鳥遊 弾っていう人が居るから、困った時はAqoursのメンバーとかその人に相談しなさい、って⋯。」
「ダイヤが⋯。」
何だか不思議な感じだ。僕とあの3人が知り合ってから、まだ1年だって経っていない。
それでも、鞠莉が恋人になった。
果南が見た事ない景色を見せてくれるようになった。
ダイヤが、僕を信じてくれていた。
もし、あの喫茶店で鞠莉に出会っていなかったら。
もし、僕があの喫茶店で働いて無かったら。
どれか一つが欠けていても手に入ることの無かった日常、なんだな⋯。
「にしても、良く僕が弾って分かったね?」
「それもお姉ちゃんに言われたんです。えっと⋯その⋯。」
何やらモジモジと言いにくそうにしている。感動ムードだったのに、何を言ったんだダイヤ。
「取り敢えず言ってみて?」
「ま、鞠莉さんといつも一緒に居て⋯さ⋯『幸が薄そうな顔でモヤシみたいな人だ』って⋯。」
「⋯⋯⋯その説明で僕が弾って分かったってことは⋯ルビィちゃん?」
「ごごご、ごめんなさいっ!悪気は無いんです!!何でか分からないですけど、『この人だ』ってなっちゃって⋯。」
まぁ⋯この分も全部ダイヤにぶつけよう。というかあの3人にぶつけてやろう。
まるで示し合わせたかのように人をモヤシ呼ばわりするなんて、よっぽどモヤシが食べたいらしいからね⋯!
「あ、あの⋯小鳥遊、さん⋯?」
「弾で良いよ。善子ちゃんにもそう呼んで貰ってるし。」
「え!?善子ちゃんとも知り合いなんですか!?」
「鞠莉繋がりで。」
「あ⋯Guilty Kiss⋯⋯。」
何やら遠い目をしだしたルビィちゃん。
あの3人⋯と言っても梨子ちゃんも被害者っぽいけど、この子達にとってギルキスってどんな存在なんだろうか。
勉強を見ながら昔の事を教えて貰っていると、何やらいい匂いがしてきた。
「誰かがご飯でも作ってるのかな?」
「え⋯?そんなはず⋯だ、だって今日はお母さんもお出かけしてて⋯。」
「⋯⋯⋯まさか。」
1人居た。
色付き料理の鉄人が。
「ルビィちゃん、戻ろう!」
「ど、どうしたんですか?」
「ダイヤが死ぬ!!」
「ええええええええっ!?」
大急ぎで部屋に駆けつけると、お粥を食べながら談笑してる2人の姿が。
あ、あれ?おかしいな⋯?
「ダイヤ⋯生きてる⋯。」
「は?」
「いや、だってそれ⋯鞠莉が作ったんだろ??」
「何よ弾までー。ダイヤにも言われたけど、私殺人料理何か作らないわよ?」
「えと⋯結局何の話ですか??」
1人付いてこれてないルビィちゃんに、かくかくしかじか説明をする。『あぁ⋯。』みたいな顔してるけど、実はこの子が1番大人っぽいんじゃないか??
「心配損かぁ⋯腕を上げたんだな、鞠莉。」
「当然!可愛い後輩や大事な幼馴染みに食べさせるんだもの、当たり前でしょ?♪」
「何で僕と食べる時は色が付くのか知りたい。」
「こんにちはー!」
「あ、果南が来たわよダイヤ!」
「タイミング⋯!」
この3人のペースって本当に独特だよなぁ⋯。
そんな事を考えてたら、僕の携帯にマスターから電話が掛かってきた。
あの人からの電話ってあまり無いから、何か用があるのかな?
「ちょっとゴメン。はい、もしもし?」
『あ、弾君。ごめんね急に電話しちゃって⋯。』
「いや、大丈夫です。何かありましたか?」
『⋯⋯明日、こっちに来てくれるかな。』
「明日?良いですけど⋯どうしたんですか?」
『聞きたい事が⋯あってね⋯。』
「聞きたい事⋯?」
『それじゃあ、お願いね。』
「あ、ちょっ!?⋯切れた。」
様子が変だ。何かを躊躇ってるような、そんな声⋯。
何故だろう⋯こんなに胸騒ぎがするのは。
不安が取り除けないまま、今日は皆でダイヤの看病をした。鞠莉も今日は家に帰るみたいで、また週末に家に来る約束をして別れた。
それで、良かった。
また会えるって、信じてたから。
ずっと一緒だって⋯信じてたから。
信じてた⋯筈なのにな⋯。
「マスター?」
「ごめんね弾君、急に呼び出しちゃって⋯。」
「いえ⋯どうしたんですか?」
「これ⋯⋯信じたく、無いけど⋯。」
「⋯⋯⋯⋯は⋯?」
次回、『14.雨』