Il mio chef 〜僕と令嬢と喫茶店〜   作:なちょす

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皆さん、こんにチカ。
妄想が捗る、なちょすです。
何だかんだこの作品が一番早く終わる気がします。

それでは⋯わたシェフ第7話、どうぞ!


07.これはデートじゃない

さてさて⋯。

鞠莉の後輩達 (後々聞いたらGuilty Kissと言うらしい。)が来たのが昨日。そこで僕は鞠莉と約束をしてしまった。

 

 

『そこまで言うならあの2人をあっと驚かせてあげるわよ!!驚かせたら後でマリーの買い物に付き合ってもらうからね!』

 

『はいはい、分かりました⋯。』

 

 

我ながらなんて約束をしてしまったんだろうか。お陰様で彼女は家に泊まることになるわ朝から叩き起されるわ朝食は青いわで、もう⋯もう⋯うっ。

 

結局買い物に付き合うことになったのだが、話を聞いたところ特に欲しい物は無いと⋯何で僕は連れ出されたんだ?

というか⋯。

 

 

「何で腕組んで歩いてるのさ?」

 

「あら、デートと言えば定番じゃない♪」

 

「デートじゃ無いし聞いたことも無いよ。」

 

「恋人繋ぎの方が良かったかしら?」

 

「そういう問題じゃ⋯。」

 

「見て弾!これ可愛いわね!♡」

 

「そろそろ話を聞く癖をつけてくれないかなぁ⋯!?」

 

 

鞠莉の自由奔放加減は今に始まった事じゃない。果南とダイヤにも対策は聞いてみたけど、『諦めろ』だそうだ。人生何事も諦めが肝心だと何かの本で読んだけど、こんな形で体感する羽目になるなんてな⋯。

 

にしても今日の鞠莉はえらくテンションが高い。こっちは寝不足気味なのに何で彼女はピンピンしてるんだ。

 

 

「弾、クマが凄いわよ?」

 

「誰のせいだと思ってるんだい?」

 

「弾が一緒に寝てくれれば早かったのに。」

 

 

そう⋯元はと言えば、鞠莉がケラケラ笑いながら『一緒に寝ましょ☆』とか言ってこなければこんな事にはならなかったんだ⋯。

 

 

「そういうわけにもいかないだろ⋯。」

 

「⋯私がお嬢様だから?」

 

「お嬢様とか関係無しに、君が女の子だからだ。」

 

「ん⋯そっか♪じゃあパパッとショッピングしちゃいましょ!マスターの珈琲も飲みたいしね☆」

 

「あぁ⋯初めて鞠莉と共感できたかもね。」

 

 

それから僕達がやって来たのは、何やら華やかなアパレルショップ⋯の一角。

というか水着売り場。目のやり場に困る。

 

 

「ふんふふ〜ん♪」

 

「なぁ鞠莉。」

 

「ん?」

 

「外で待っててもいいかい?」

 

「あら、ダメよ。弾にも手伝ってもらうからね?♪」

 

「な、何を⋯?」

 

「水着選びに決まってるじゃない。」

 

 

今すぐここから立ち去りたい。

そりゃあ僕だって一人の男さ。幾ら鞠莉が破天荒でも、顔が良いのは知ってるしスタイルだって悪くない。だからこそ何だか胸の当たりがこそばゆいんだ⋯。

 

 

「僕は女の子の服すらまともに選んだ事ないよ?」

 

「関係ありまセーン!弾が好きなの教えてくれれば良いじゃない。」

 

「果南とかダイヤじゃ駄目だったのか??」

 

「ええ。だって弾に見せる為だもん。」

 

「⋯それって、どういう⋯。」

 

「どういう意味だと思う?」

 

 

楽しそうにクスクスと笑う彼女の姿を直視出来ず、思わず目をそらしてしまう。何を考えてるか分からないけど、この状況を楽しんでるのは確かだ。こういうのを、小悪魔系って言うのかな⋯。

あれこれ言いながら片っ端から水着を手に取っていく鞠莉。

 

うん⋯諦めよう⋯。普通にしておかないと逆に怪しまれてしまう⋯。

 

 

「弾〜、これとかどう?」

 

「ん?どれ⋯派手すぎやしないかい?」

 

「そう?」

 

 

彼女が手に持っていたのは紫色のビキニ。⋯もう下着じゃん。

 

 

「まぁ弾が言うならそうかもね!」

 

「⋯試着はしないんだよな?」

 

「サイズ分かってるからしないわよ?⋯着てほしいの?」

 

「そ、そういう訳じゃ⋯ない。」

 

「ふ〜ん⋯ムッツリ♡」

 

「うるさいっ。」

 

「アウチっ!」

 

 

ニヤニヤと小憎たらしい頭にチョップをかましてやる。

駄目だ⋯調子が狂って仕方が無い。嫌でも想像してしまう自分がいるのが何とも言えない気持ちになってしまう。そりゃ僕だって男だし⋯。

世の中のカップル達はよく平気で選べるな⋯。

 

 

「あ、じゃあこれは?」

 

 

次に彼女が手に取ったのは、青みがかった生地にトップスにはフリルが付いている。さっきのよりは下着感が少ないから、何とか直視は出来そうだ。

服の上から当てて、それを着たらどんなイメージになるか僕に見せてくる。ニヤニヤしながら見てくるのが少しイラッとするものの、実際問題似合ってるのも確かだ。

でも直接言うのは⋯負けた気がする⋯あぁ、もう。

 

 

「弾、なんで目をそらすのよ?」

 

「⋯⋯ってる⋯から。」

 

「なーに?リトルボイス過ぎて聞こえないわよ〜?」

 

「だ、だから⋯!可愛らしくて似合ってるって言ったんだっ!!」

 

「へ?あ、うん⋯あ、ありがと⋯。」

 

 

せめて『ムッツリ弾はこういうのが良いんだ☆』ぐらいのフランクさで弄ってもらった方がマシだった。

何でさっきまでニヤニヤしてたのに、借りてきた猫の様に大人しくなるんだよ⋯。ちょっと顔赤いし。

 

長い沈黙が僕達の間に流れる。

非常に気まずい⋯。どうすればいいんだこの状況。インターネットの質問箱に投稿したら答えはすぐ返ってくるのだろうか。誰であっても構わないから、この沈黙から先へ進むためのベストアンサーを要求したいよ。

 

 

「弾は⋯こういうのが良いの?」

 

「ま、まぁ⋯まだ下着っぽくない感じがするし。」

 

「そっか⋯じゃあこれにしましょう!」

 

「自分で言うのもなんだけどそんなにあっさり決めちゃっていいの?」

 

「言ったでしょ?弾に見てもらいたいんだから、弾が好きってやつを選ぶだけ♪」

 

「そうですか⋯。」

 

「⋯弾のムッツ⋯」

 

「うるさいっ。」

 

「アウチっ!?まだ何も言ってないじゃない!!」

 

「言うつもり満々だったろ!」

 

「言うに決まってるわよ!」

 

「開き直るなっ!!」

 

 

何やら店員さんからの暖かい視線が痛い。

何を勘違いしてるか分かりませんけど違いますからね?

 

 

「はぁ⋯じゃあ会計済まして行くよ。」

 

「あ⋯うん。」

 

 

鞠莉の手を取って歩き出す。こうでもしないと僕らの口論は永遠に終わらないだろうからね。

店員さんが何やらキャーキャー言ってたり、鞠莉が大人しくなっていたり色んな事が起きてるが全スルー。

もう眠くて眠くてしょうがないんだ。後一刻も早くこの店から出たい。

さっきから僕の脳内フィルターは、水着が目に入る度に何故か鞠莉が着ている姿で脳内に投影されていくんだ。

 

どうやら僕もおかしくなっているらしい。

 

それからは特に買う物は無かったけど、服屋で鞠莉のファッションショーが始まったり何故か僕まで参加することになったりと大忙し。まぁ行く先々でギャーギャーと口論はしてたけど⋯その分笑いもした。

多分一番最初に水着売り場に行ったから、その反動なんだって⋯そう思いたい。

 

こんな日も悪くないかも、なんて⋯思ってしまったのは。

 

 

『あぁ〜⋯生き返る〜⋯。』

 

「おやおや。すっかり仲良しさんだね、お2人さん♪」

 

「たまたまですよ、マスター。」

 

「いよいよマリーと弾の意識がシンクロしてきたわね⋯。」

 

「鞠莉も何言ってるんだよ。」

 

「デートしたんだから当然じゃない♡」

 

「えっ!?もう2人ってそこまで行ったの!?」

 

「デートじゃないし、マスターを混乱させるのは勘弁してくれ⋯。」

 

 

ようやく喫茶店で一息ついたと思ったら、まだまだ鞠莉は元気全開らしい。人に誤解を生む事に関してはプロフェッショナルだと思うよ。

 

 

「この後も弾の部屋でvery hotな夜を⋯。」

 

「過ごすわけないし、明日は講義だし、そんな関係になった覚えもない⋯!」

 

「いっふふぉーふはっへはひゃん〜!(It’s ジョークだってば弾〜!)」

 

「全く⋯ほっぺ柔らかいな⋯。」

 

 

初めて触ったけど意外とモチモチしてる。そして伸びる。もち肌ってテレビで言ってるのを聞いたことがあるけど、まさに餅。

 

 

「弾君、私にも触らせて?」

 

「あ、どうぞ。」

 

「ひょっほぉ!?(ちょっとぉ!?)」

 

 

家に帰ってからこってり怒られたけど、取り敢えずこれで今日生まれた分の誤解は勘弁してあげよう。

そして明日からはまた普通の日常に⋯。

 

 

「っ!?」

 

「痛〜い⋯弾?」

 

「⋯いや、何でもない。さ、もう少ししたら帰ろうか。」

 

「ふふ、そうね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい。小鳥遊 弾を確認しました。金髪の少女と店のマスターと一緒です。はい⋯はい⋯畏まりました。」

 

 

 

「『秋山』様。」




次回、『08.記憶の行方』
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